情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
そして、物語は動き出す。
目覚めたものが何処へ向かうか、それは一人一人の思うがままに。
どうやらこの中には、村人が6名、人狼が2名、占い師が1名いるようだ。
マクシームが「時間を進める」を選択しました。
ふふ…っ。やったね。
[ロランの表情が綻ぶのには、カチューシャと満足の笑顔を交す。
ぐっと拳を握った達成感は、上がった小さな声にかき消された]
あ……っ
[手を止めて、そろりと周囲の表情を窺った]
……、忘れてた。
[こそりと呟くのと、
カチューシャが野菜サンドを取り出すのは同じ頃合か。
ボクはしょんぼり肩を落として、ユーリーを見た]
ごめん。
[返事を待たずによそわれる料理。
キリルが鹿と言えど表情は緩く笑みを浮かべたまま]
オリガが居たら喜んだだろうね。
二人の手料理だ、って。
[キリルとカチューシャの二人に視線を向け]
ありがとう。
けれど、それは功労者に。
[ミハイルを流し見て其方に渡るようキリルを促した。
彼女が肩を落とし謝ればゆるゆると首を振るう]
――…謝る事はないよ。
……ん。
[眉を下げたまま、ユーリーの言葉に頷く。
イヴァンに肩叩かれて慰められれば、少し笑みも見せたろう。
そうして視線を戻し、ミハエルへとボウルを差し出す]
そうするよ。ごめんね、ユーリー。
リトヴィノフさんも。
オリガがここに居たら…か。うん。
そうしたらきっと、一緒に料理も出来ただろうなあ。
[快活で明るい彼女は、一緒にいているも楽しい存在だった。
彼女が都会に行くと言い出した時も、随分と納得をしたものだ。
一緒に行きたいと、あの時は少し思った。
けれど今はもう、そんなことは思いはしない]
[聞こえた、もう一人の年近い娘の名前。
ゆるゆると顔をあげ、ユーリーへと視線を向ける]
…オリガ、元気?
[連絡は取って居るのだろうか。
何とはなしに、問いを置く]
[サンドイッチがカチューシャから差し出される。
中身が野菜であることは大凡見当がついた。
こうして人が集まる場では
彼女が別の料理を用意してくれる事を知っていたから
男は自然な仕草でそれを受け取った]
ありがとう。
これも美味しそうだ。
[感謝の言葉を彼女へと向ける]
/*
ボクらは何故、イヴァンの畑に死体を埋めたか…!
こたえ:わからぬ
インスタントに埋めたってこと かな…。
どうしようか、ロランww
噴くの収まったし赤にも出ようね、そうしようね。
[キリルがユーリーに椀向けた時、
言葉は発せずに、音だけしか紡げなかったけれど。
何ひとつ心配は、していなかった。
ミハイルの手が伸びかけるのには、視線で追ったが、
慌ててひっこめられるのに、ぱちと目を瞬いた]
…ん。
そんなに、腕、良くないけど。
[見よう見まねでなんとかしているだけだ。
それでも少しでも認められている風に思えて、
表情見られるのが恥ずかしかったから、俯いて膝を見た]
[別れを告げて外に出た。
随分と賑やかな方に目を向ければ、広場の中央に篝火が組まれていた。目を細めて見る。
如何やら先程の面子で、宴会のようなことをやっているらしい。]
……嗚呼、そうだった。
[辺りに漂う匂いには惹かれるけれど、しなくてはいけないことがある。
輪の中にいる妹は、あまりに遅いようなら迎えに行けばいい。多分必要ないだろうが。
そう判断したから、広場には立ち寄らず、自宅へ向かうことにした。]
………ッ!?
[聞こえた声に、挙手した手に遅れて顔を上げる。
「想った」心算が、声に出ていたのかと、
表情薄い少年の貌に焦りが浮かび、辺りを見渡した]
この村の男は揃いも揃って酒好きだな。
[ミハイルとロランの様子を眺めクツリと笑う]
ロランが赤なら僕はこっちを飲むかな。
[ロランへと差し出して見せた白のグラスを軽く揺らす。
薄い琥珀の水面がゆらと波打った]
[あげた顔、白い葡萄酒のグラスに写る。
呑み干してしまった洋梨の果実酒の瓶は腿の横、
それも欲しい、と言って色の白い手を差し出す。
ユーリーを見上げる顔は、じっとその口唇を見詰め
彼が妹の事を告げる様子を見逃さない]
……そ、っか。
そっか。
[その言葉に、眉を下げて無表情を緩める。
白葡萄の色の液体を見ると、彼女の柔らかい髪を思い出す]
――そうか。
[もう一度呟いてから、ユーリーを見上げ、
ありがとう、と、少しだけ眉寄せ口元緩め、告げた]
[焦ったように幼馴染が顔を上げる。
それへとボクは、思い切り目を向けてしまった。
確かにそうだと思う、確信がある。
───あの日、彼も赤い月を見たのではなかったか]
[目が、合う。
――遠い遠い過去に、白い花を欲した幼馴染と。
違う、聞こえたわけじゃない。
否、聞こえたのだ。
悟るのは本能の部分だから、きっと間違い無い]
…――そう、足りない。
[続けてみる]
[続く言葉。促すように響く囁き。
それはあの夜の月のように、心の奥を暴いていく]
…これじゃ、足りない……。うん。
”あの人”でも、まだ足りないかな。
[少し残念そうに、手元の皿に視線を落とす。
美味しく調理された森の鹿。
食されるために供された動物だけじゃ、物足りない。
喉の奥から飢えがじわりと、心を浸す]
うん、ボクだよ。ロラン。
…──ここにいる。
[遠いあの日に手にしたのは、淡く香る白い花。
今この目にするのは、禍々しいほどの赤い月]
ロランも、なんだね──…
[伸ばされたロランの指先にグラスの脚を触れさせる。
幼馴染である彼や彼女らに手紙を送ったか如何かは知れない。
送っていないのだとすれば、理由は知れる。
快活だが寂しがりでもある妹のことだ。
幼馴染からの返事で里心つくのが目に見えていた]
――…そう、さ。
[ロランの浮かべた表情にふと目を伏せる]
キミが気にしていたと知ったら
今年は里帰りするかもしれないな。
[届いた手紙に、未だ返事は書いていない。
物思うように呟き、それからゆると首を振る。
それは浮かんだ考えを打ち消すような仕草だった]
うん。食べてみてから言ってよ。
あ…っ、ふふ。ありがと。
イヴァンも飲む?うん……乾杯。
[ミハイルへ、ボクは軽く胸を張って言ってやる。
けれど赤い葡萄酒のグラスを受け取って、
そのポーズもすっかり崩れてしまった。
傍らのイヴァンと、こっそりグラスを打ち合わせる。
何だかもう、香りからふわりと酔ってしまうような心地がした]
[ユーリーから受け取るグラスは、ペロと舐める。
程良い酸味が鼻を抜け、喉へと落ちる熱。
少し目を眇め喉を鳴らして飲んでから、ぽつりと落とす]
里帰り…か。
……嬉しいけど、また、行く、んだよね。
[ロランに彼女からの手紙は届いて居ない。
ロランからもまた彼女の住所を聞き出して書く事はしていない。
この村に戻る事が良い事なのか、判らなかったから。
それからミハイルへと顔を向け]
でも、違う場所ではまだ駄目な年らしい。
[赤い葡萄酒も遠慮なく貰う。
ふたつのグラスをチンと当てて見せられる程には、
少し、機嫌が良くなっている自分にも気づいた]
― 自宅 ―
可愛らしいじゃない。
お兄ちゃんとしては心配――ってよりは、嬉しい感じね?
[レイスの表情はあまり動かないけれど、昔からの付き合いだ、なんとなくはわかる。
面白そうに言って。
しばらくした後に帰るというのを、玄関まで見送った。]
気をつけるわ、ありがとう。
[ひらと手を振り別れて、広場を見やる。
賑やかな様子に、笑みが零れた。
それでも墓地のことを、話を思い出すと、表情は曇る。
今は近づくような気持ちになれなかったから、しっかりと鍵をかけて屋内に戻った。]
人狼なんて、いるわけないじゃない。御伽噺よ。
……幽霊だって、いないんだから。
[合わない指輪にキスを落として、好きな人の好きな味に変えたクッキーを一枚、齧った**]
[赤い月を映す烏色もまた、赤く染まった時。
どうしようもない衝動に、胸を掻き毟った]
…ん。
――そうだよ。
御伽噺なんかじゃない。
[眇めた眸の奥に浮かぶのは凶暴な焔ゆらり]
ああ、じゃあ…「あの人」は、君が?
[自身が酷い衝動に夜中彷徨った時。
もう、あの旅人は殺されていた。
それでもどうしても抑えられなかった、から。
付近の狼達に混じり、その冷たい屍肉を啜った。
その甘美な味は、未だ、覚えていて
――暖かい血肉が欲しいと、自身の奥が訴える]
[ロランの仕草は線の細さと相俟って馴染んで見える]
何処ぞの屋敷で働いているとあったから
何もなければ戻るだろう、けど。
[思案するように途切れる言葉。
妹の幼馴染を見遣り]
キミが行くなと言えば
如何かは知れない。
[ユーリー自身は妹が村を出るのに渋りはしたが
引き止めるほどではなかったし
オリガもまた兄に引き止められても意思を変えぬだろう。
けれど、幼馴染の言葉は、また別に思える。
彼女からの手紙には家族よりも幼馴染の事ばかり書かれていたから]
/*
やることメモ
・町に行こうと思っているって誰かに言う→多分ここにもう戻ってこない
・旦那の話をする
もう村人COをしたようなもんである
[酒でも飲んで、とマクシームが言うを聞いて
軽く肩を竦める]
調子にのって飲みすぎるなよ?
[幼馴染だからこその軽い口調。
サンドイッチをぱくりと頬張れば
新鮮な野菜の食感とみずみずしさが広がる]
美味いよ、カチューシャ。
[目許を和ませて言えば
男はあっという間にサンドイッチを平らげた]
オリガ、かあ…。
ボクはたまに会いたいけれどな。
[どうしてもと言えば、彼女はボクに手紙をくれた。
それでも、ほんのときたまのものだし、最近はご無沙汰だ。
都会の新鮮な出来事を楽しそうに綴った手紙は、
彼女の生き生きとした面影を伝えてくれるようだった]
またカチューシャと3人で、お喋りもしたいし。
[幼馴染に目配せをして笑う。
お泊りをして、お喋りに興じるのはごく稀に許された楽しみだった]
…うん。だから、ボクはいないって言ったのに。
”いないこと”にしないとダメでしょう?
そうしなくては───…ダメでしょう?
[わらう。烏色よりも薄い銀灰の色。その瞳も赤に染まった。
赤い月が、綺麗に空を血に似た色に染め上げた]
素敵だったよ、ロラン。
”あの人”のこと、ボクは大好きだった…ううん。
今も大好き。ずっと、ここにいるよ。
[ボクはうっとりと目を伏せた。
胸元を押さえれば、あの日嚥下した熱い血の味が蘇るよう。
甘美な肉の味の記憶に、微かにボクの喉は鳴る]
…彼も一人で歩いていたから丁度良かった。
食べて、食べて…ひとつになって。
狼たちが鳴いていたね。
可哀想だから呼んであげたけれど…嗚呼。
ロランも、欲しかったんだ。
[まだ幼い妹が泣きじゃくりながら土を掘っていたのを、昨日の事の様に思う。でも、]
もう14年前、か。
[不幸な事故はもう遠い過去のことで、彼らの仲直りもとっくに終わっている。はずだ。
妹が外へ積極的に出るようになったのも、そう言えばあの頃からだったか。
自生している薬草を見分けるのは正直僕よりも上手いし、有難くはあるけれど何処か複雑だ。]
……戻るか。
[立ち上がり、腰を伸ばす。
改めて玄関に回り、誰もいない家の扉を開けた。**]
キミにそう思って貰えるなら
オリガも喜ぶだろう。
[キリルの言葉に淡い笑みを浮かべる。
彼女らと妹の仲は良かったように思う。
互いの家に泊まり一緒に過ごすのをとても楽しみにしていた。
一度、どんな話をしているのかと問うた事があるが
女の子だけの秘密、なのだと言われてしまった]
そういえば……
あいつはまだ知らないんだったか。
[キリルとイヴァンの二人を交互に見遣りぽつり呟いた]
[会話の交わされる中、篝火に目を移す。
狼たちの様子。
酒を酌み交わした旅人の死。
食事を終え、煙草をくわえて篝火に近付く。
マッチを擦り、火を点けて役目を終えたそれを篝火の中に投げ入れた。]
(用心さえしてりゃ…、何も起こりゃしねぇよ。
なぁ、そうだろう?)
[遠い日の、とある人物の顔を思い浮かべて、…眉間に皺が寄る。
煙草と篝火の煙が、空へと昇っていく様を見上げた。**]
[赤に染まるキリルの眸を、今目の間に居る彼女に重ねる幻視。
うっとりと目を伏せる様子に、喉鳴らす様子に
思い返すいろは鮮やかでない、どす黒い赤色で]
…ん。
でも俺はこんなだし、
この車椅子…音がうるさいから、無理かなって。
でも、狼が迎えに来てくれた。
彼らは、仲間だ。
[大きな背に掴まって、屍に辿り着いたのだ。
冷たく硬い肉だったけれど、まだ覚えている]
…ん。
欲しい。
[不意に繋がった感覚のせいか、赤い月近づくせいか。
きっとそのどちらものせい。
くらりと眩暈感じる中、本能の衝動は、強くなる]
柔らかくて、喰いでのありそうな、のが
イイ、な。
[告げる囁きの中、
無表情な人狼の方割れは間違い無く、目細めた笑みを返した]
――…そうか。
[左右に振れる烏色を映しながら男は相槌を打つ]
分かった。
伝えておくよ。
[ロランに確かな頷きを向けるが
手紙を認めるのはまだ先か。
長閑な故郷に起こった事件が頭を過ぎり
妹に文を書こうとする意思を鈍らせていた]
うん。狼は仲間だ──…賢くて、強い。
呼べばこれくらいの火、楽々と越えるよ。
だから大丈夫。
ロランも一緒に行こう?
……何かあれば呼んでって、言ったじゃないか。
[あの時は別の意味。
今度はまた別の意を添えて、ボクは薄く微笑む]
あげるよ。きっと、とびきりのを。
ボクたちも狼たちも、ちゃんと食べなくちゃ。
[蘇る血の味に、同族の聲。
近づく赤い月が少しずつ、本能を解き放ってゆく]
美味しい食事を…さ。
[目を細めた片割れに、ボクは薄く冷ややかに笑み返した]
[くい、とグラスに残る葡萄酒をのみほした。
ゆっくりとじんわりと、胃から喉から熱が広がり
目の周りがふわふわと暖かくなるのを感じる]
…ごちそうさま。
この葡萄酒、美味しい。
[ワゴンにグラスと皿を置き、ユーリーにも礼を告げ。
いつもより血色の良い貌で暫くはそこにまだ居るだろうが、
人がはけ始めれば自分も家に戻る心算**]
[洋梨の果実酒の瓶を空けたロランは
それほど酔っていないように見えた。
それとは逆に既に酒気を帯びてみえるのはキリルで
懐かしいという彼女が首を傾げれば
なんでもないという風に首を振る]
――…イヴァン。
余り飲ませすぎるなよ。
[誰にとは言わず幼馴染にそう告げた]
帰ってきたら真っ先にそっちに行くだろ。
[ロランの言葉に妹の幼馴染である彼らを流し見て]
余り似てなくて良かった。
懐かしまれてもどんな顔をしていいかわからない。
[悪態には軽口を返しクツクツと喉を鳴らした]
…ん。ボク、もう帰るね。
ちょっと効いちゃったみたいだ…あ、美味しかったよ。
食器は、ええと…うん。ごめん。
イヴァン、大丈夫。
[あまりの眠気に、ボクは長居を諦めた。
イヴァンの差し出してくれる手に掴まって、立ち上がる。
やっぱり傍らにある、この温もりは気持ち良かった。
彼の肩口に頬を預ける]
カチューシャ、ありがとう。
ユーリーも葡萄酒ご馳走さま。
…みんな、ゆっくりしていってね。
[言えたのはそこまでだった。家に帰れば布団に飛び込む。
ボクが酔っ払って帰るだなんて初めてだから、
兄貴はさぞかしびっくりしたことだろう**]
――美味しい食事。
にんげん、を、
[幼馴染を?その兄を?その恋人を?親友を?
解き放たれる本能の隙間、理性が警鐘を鳴らす。
揺れる眸に映す冷やかな笑み。
幼馴染が、 わらう]
………タベタ、い……
[紅い紅い色で意識が塗りつぶされる。
自分の口に作った笑みが歪み、また、笑み作られ。
未だ、赤い月は、*見えない*]
口にあったなら良かった。
[ロランの礼の言葉にふっと表情を和らげる]
こちらこそご馳走様。
[戻るらしいキリルに声を返して。
話が一段落すればサラダとチーズを摘みながら
男はマクシームの傍らへと腰を下ろした]
うん。だから──…
[揺らぐ烏色の双眸に、ふと意識が逸れた。
傍らにある温もりが心地良い。
幸せで幸せで、ずっといつまでも感じていたい──…]
…だから、食べなきゃ。
[うっとりと、温もりに頬預けて密やかに交す囁き。
甘く甘く、閉ざす瞼の裏に映るは葡萄酒よりも尚赤い、
理性狂わす真紅の、血潮の色───**]
[旅人に供えたと同じ白を傾ける。
暫くは何を話す出なく篝火を見詰めていたが
思案げな吐息を零すとマクシームを見遣り]
――…本当の所は如何思ってる?
[落とした音調で幼馴染に問い掛ける。
言わんとするは旅人が襲われた件]
噂が若し本当なら、……
厄介な事になりそうだ。
[男が父から受け継いだのは生活に必要なものと技術。
母から受け継いだのは古くから伝わる水晶玉と
其れを扱う為の、家族以外は知らぬ不思議な力だった]
何にせよ用心するに越した事はない。
これも効果があればいいな。
[篝火を顎で示す。
グラスの酒を飲み干して立ち上がれば
マクシームがユーラと愛称で呼び掛けた。
男は少しだけ驚いた風に瞬きして]
そんな風に呼ぶのはキミくらいだ、シーマ。
[笑みを形作る薄いくちびるが幼馴染の名を紡いだ**]
/*
占い把握。初回占いに当たらずに黒くなるのって案外難しそうな位置だった。まあいいか。初回白でて初回襲撃食らうのも悪くない。
狼2人で3手だと、無実吊り1回は挟みたいからなあ。
―― 回想 ――
[差し出された特別仕様の皿は、見目こそあまりよくなかったが、だからこそ嬉しかった。キリルがはじめてなのは知っていたし、これが自分のためだって自惚れないほど鈍くはないから]
美味しいよ。ありがとう。
あぁ、ほんと幸せだなあ……
[ソースの最後の一滴までパンで丁寧に拭って、満足そうなため息をついた。キリルの鹿肉料理にユーリーのワイン。幸せとアルコールにぼんやりしてきた所で自分の半身に感じる彼女の柔らかさと暖かさ]
[皿を脇に寄せ、少し大胆にキリルの肩に腕を回してた。
ほら、支えてあげないといけないからね。
男連中からの視線ともの言いたげな感じはほぼ気がつかない。気づいたところで、酒が照れを飛ばしているからいいんだ、別に]
[都会にいったオリガの話には楽しげに耳を傾ける。
快活な彼女とも仲は良くて。
女の子同士の夜通しの会話を偶にしたことを思い出した。
そのさい、マクシームが家に居づらくて幼馴染たちの家に避難してたとかは知らない話。]
―― 回想 ――
分かってる。
あまりやりすぎるとレイ兄に怒られるから。
[あまり飲ませすぎるなと友人から言われて、頷く。
彼女のワイングラスをさりげなく手で覆ってみたりもしたけれど、やがて送っていくことにした]
………………
[キリルの家の前。彼女の兄に引き渡す前に、一度足を止めていた]
キリル。今日は本当にありがとう。幸せだったよ。
大好きだ。――お休み、良い夢を。
[ふわふわと雲の上を歩いているような彼女に届いただろか。
さすがに広場では自重していたけど、肩に頬を寄せられたりなど可愛いことされてちょっと我慢はしきれない]
[一度だけぎゅっと抱きしめると彼女の頬にくちづけた]
―― 作業小屋 ――
[翌朝早く。
自分の家の裏手にある少し大きめの加工場で忙しく立ち働いていた]
[数々の道具の洗浄や修理、昨年残ったの紅餅の整理など、やることはこまごましたことがたくさんある]
……………。
[喉の渇きなど、軽く酒は残っていたが、記憶は飛んでない。
作業の合間、ふと自分の唇に指寄せた]
『愛は最高のスパイスだ。
愛しているからこそ狂おしく美味いんだ』
………あぁ、そう言ったのは誰だっけ。
[手を止めて古い記憶を呼び戻す。遠い町での退廃の記憶]
分からないなあ。あるわけない、か。
[首を一つ振った。
誰かに呼び出されない限り、ここでしばらく作業中**]
…駄目、だ、キリル。
誰かを食べる、なんて
[ぐらぐらと揺れる思考と視界の中、
小さく呟く囁きは、どんなに小さくても聞こえるのだろう。
うっとりと甘い囁きと対照的に、震えた囁きを返す。
未だ、理性は本能を塗りつぶしきることはなく]
…でも、……ッ
[苦しげに息を吐く、気配。
そっと手を自分の肩を抑えるように、力を籠めた]
/*
ログを読み込むのが遅いので最初にお話ししておこう。うん。
>どうやらこの中には、村人が6名、人狼が2名、占い師が1名いるようだ。
霊能者いませんっ!(きりっ)
不要だろうって思ったから…いや。それより 間違っても霊能者になりたくなくて…(そっ)
いやもうバレバレですけどね霊能者怖い無理。
なんで霊能者ないの!? ってうろたえた方がいたらすみません
単に役職的な苦手意識です。ごろり。
[ ふわり ][ とん ][ ふわり ]
[夜道を歩く足取りは、あたかも雲の上をゆくかのよう。
酒精の香りと、篝火の赤い炎にすっかり酔った。
ボクはイヴァンの肩に頬を摺り寄せる。
甘く甘く、春の風が香るような心地がした]
…どうして?こんなに甘く誘うのに、
[ボクの目の前に、ひどく魅惑的な獲物がある。
それが今や、葡萄酒よりも甘く甘くボクを誘っている。
嗚呼、その血はどんな味がするだろう。
その肉はどれほどまでに甘美なのだろう。
やさしい人が、この肩を抱いてくれている。
ボクは目前の恋人へと、そっと手を差し伸べた]
うん。 … 大好き。
[心から囁き返して、彼の頬に唇を掠めさせる。
触れたかどうかなんて確認をしていない。
顔を見ていられなくなって、殆ど逃げる勢いで家に駆け込んだから]
…ロラン、
[理性と本能の抗うらしきに、涙混じりに揺れる声が響く。
心臓の鼓動が早い。
これは酒の酔いか血の酔いか、恋の酔いであるのだろうか]
─ 自宅 ─
兄貴、ただいま!
っ、ちょっとユーリーの、葡萄酒貰ってね…っ
少しだけだよ。でも眠くなっちゃったから帰ってきた!
[家に飛び込んだ時のボクは、さぞかし不審だらけだったろう。
顔が赤いのは葡萄酒のせいだ。そう決め付けた。
微かに酒の香りを纏わせていたはずだから、きっと大丈夫。
大丈夫だったろうと思うことにした]
ボク、もう寝るね。兄貴おやすみ…!
[バタバタと寝室へと向かう。
布団に潜り込めば満ちゆく月を目に映すこともなく、
だからボクは、心穏やかな眠りのうちに深く沈んだ──*]
/*
この位置は なるべく早くに赤アピをしておくところ。
で、いいね?いいかな?
ソフト過ぎて分かりにくいだろうか。
そしてイヴァンは本当に赤希望だったんじゃないのと思ったりする。だとしたらごめんwwごめんw
イヴァンに食い殺されても結構よかtt(
─ 自宅 ─
[翌朝は随分早く目が覚めた。
顔を洗って少し考え、パンを焼くことにする。
昨日、カチューシャの指導を受けたやつだ。
…少しは上達をしているといい。
兄貴には昨夜のうちに、
カチューシャと一緒に調理した鹿料理も渡ったはずだった。
彼女はきちんと、兄貴の分も取り分けてくれていたから。
ボクはすっかり眠りこけてしまったから、
残念なことに、その料理への兄貴の反応は見れず仕舞い]
そういえば…咲いてないかなあ。
[ふと思い立って、手を止めて庭へと回る。
兄貴が薬草たちを育てている、その片隅に花はある。
つややかな緑の葉が、綺麗に朝の光に輝いていた。
小さなつぼみはまだ堅く連なって、あの香りを漂わせてない]
残念。
[それでもボクは、花を見るように屈みこむ。
可憐に咲く白い花。
ぼんやり眺めていると、喉が乾いたみたいに微かに鳴った]
でもボクはもう──…
ひとを 喰った。
[酔いが醒めれば理性の領分。
そうして狂おしいほどの本性が、己を駆り立てるを自覚する]
見せたいのに、な…。
[知らず、頬に指先を触れていた。
昨夜、恋人の唇がそっと触れた場所。
きゅっと眉根を寄せて、ボクは暫く、未だ咲かぬ花を見つめていた*]
/*
あとはユーリーのあれか。
水晶球の話を拾うのと、あとうちの両親の話が多分出ていない。
イライダとの接点をどうにかすべき。
兄貴と彼女の旦那は仲が良かった(メモ)
― 回想 ―
[少し外が静かになった頃、ようやく広場に行く。
なんでもないような顔で笑って、少し残っている料理があればもらったりして]
片付け、手伝いにきたのよ。
火は任せるけどね。
[そんな風に言って、使い終わったものはまとめたりする。
話をするなら、自宅での様子なんて出すはずもなかった。
外にいるのは長時間ではない。家に戻って今度こそしっかりと鍵をしめて、その日は終わった。]
― 翌朝:自宅 ―
[起きる時間に変わりはそうない。
身支度を整えて、形見を取り出して、食事を用意して。
それから、部屋の奥にしまったままの木箱を取り出した。
使っていないものも含めて化粧品がたくさんある。
住んでいた町ではこういう仕事をしていた、というのは、別に隠してはいなかったけれど、吹聴してまわるものでもない。
使われていない化粧品とは別、普段使うものはたまにやってくる商人にお願いしたりしているから、
この家にその類の物は多い。
目当てのものは一つ。軽い、石細工の白色ケースに入ったチーク。
開いて眺めはするけれど、やっぱりそれに手をつけることはなく、しばらくの間、花の模様の描かれたチークを眺めていた*+]
…俺も、
[食べた。
冷たい屍肉の味は、噛みしめた歯の奥に残っている。
それでも囁きの続き紡げずに、
掠れる声、肩を掴む手に力が籠る]
だけど、……、、
[息が 熱い]
――だって、食べるのは、誰を?
駄目だ、 だけれど、
あの、旅人のように…――ああ、でも、
[甘い、赤い、血のにおい。
乾かぬそれは、さぞ甘美だろうと、思う。
家へと戻りそのまま寝台へと横になっても。
眠りに落ちるその際まで、揺れる意識を囁き続けた]
……、食べなくても平気?
こうしていられると、ロランは思う?
[ごく小さなはずの囁きは、風の音より鮮明に耳へと響く。
否。耳ではなく、もっと直接響いているのだろう]
ボクは…──、ボクは、
/*
じかんさあああああ!!!
ごめん、ごめん。レス待てば良かったwwww
赤ログにptあるからって(…)ちょっと喜びすぎたねwwww
……また、あの赤い月を見て。
食べずにいられるかは、判らない。
[返す言葉は地を這う程に低く唸るよう。
同胞と囁き交す、それだけでもう体の奥が熱くなる]
だいすき……か。
[キリルの言葉を繰り返してみる]
― 昨夜の広場 ―
[篝火を見ながらのんびりしていた。
この場にいなかったレイスとイライダの分もとりわけておいて。
皆の話をききながら葡萄酒を口にしていた。
帰る人たちに手を降って見送り。
イライダが来る頃にほんのりどころか、かなり顔が赤くなっていた。
ユーリーと会話していた兄がきづいて、連れ帰られることになった**]
―― 朝 ――
[目が覚めると、汗をびっしょりかいていた。
酷い夢を見た気がするのだけれど、良く覚えていない。
ロランは頭を振り、ゆっくりと寝台の脇の車椅子へと移る]
…きもちわる……
[体を拭いたがいまいちすっきりしない。
飲みすぎたのだろうか?
口触りよりアルコールが高かったのだろうか?
ああ違う、体調がよくなかったのだ…と思いだした。
身支度を整えると一度家の裏手の革細工の作業場に行ってから、
車椅子を操って外へと出た。
雲ひとつない空、陽光が眸に刺さる]
誰、を……。
[知らず、頬にまた指先が触れる。
誰をだろう。
きっとあの時キスに驚かなかったら、ボクは恐らく、]
……っ
[息をつめる。本能の齎す熱とは別の、恐怖。
失うことへの恐れが、指の先を冷やしていく]
…ボクが。ボクが、あの人に言った。
あの人は、うんって言った。
────それなのに、
[そう。人狼などいないと、人狼のボクが言った。
人狼など知りたくないと、人のボクも言った。
どちらも正しくて、だからきっとあの人はそれを信じた]
ロランが食べたくないなら、食べずにいられるかも知れないよ。
ロランはまだ殺してないから。
だから平気かも知れないよ。
……でも狼は食べないと死んでしまう。
ボクらが森の鹿を殺して食べたみたいにね。
ボクは…、分かんない。
でも鹿もあの人も、今は…ここに。
[ボクは自分の胸元を手で押さえる。
親しく言葉交わした人を失い寂しいのは本当のこと、
けれど、より近しく大切に思うのも本当のこと]
…平気なものか。
[陽光の眩しさは、まるで責めて居るかのようにも感じて
視線を自身の膝へと落としてしまう。
長く息を吐いて、自嘲気味に囁き返し、頭を横に振った]
俺は、君が食べ残した屍肉を喰らった。
君よりも飢えてるのかもしれない。
[あの日の事は、覚えて居るけれど良く覚えてもいない。
本能に身を任せるのは、少し酔うに似て居る気がした]
…俺が、飢えに任せてイヴァンを喰ったらどうするの。
[彼女とは年の違いで、当初から親しくしていたわけではない。
けれど、兄がメーフィエと親しくしていたおかげで、
何となく姉さんと同じく呼ぶほどには馴染んでいった。
それでもどこか遠い存在であり続けたのは、気の持ちようか。
年上の彼女は女性らしい色香を漂わせていて、
それが、女の子らしからぬ自分とはかけ離れていた所為もある]
― 回想 ―
[昨夜、取り分けてくれていたことに気付けば、
カチューシャに笑顔でありがとうとお礼を言っていたりもした。
だけれど顔色に気付いて、お水を差しだしつつ、
仲良く話しているマクシームとユーリーの方に視線をやったりする。
気付いてやってくる少女の兄に、ちゃんと見ておかなきゃダメでしょうなんて叱ったりもした。
そのあとで、カチューシャを見て。]
それにカチューシャちゃんもね、
お酒、飲みすぎちゃだめよ。
[片付けの最中、ロランが見つめるのに気付けばにこりと笑い返していたりもした。
ロラン君も水飲む?とか、勧めたりもしたが、翌日の状態を想像できるはずもなく、カチューシャに渡すときよりもずっと押しは弱かった。]
…お参りまだしてないけど。
[本当は、この花の枝を持っていくべきはイヴァンのところ。
そうしてお墓へと向かうべきなのだろう。
けれども、今はまだちょっぴり彼の顔が見られない。
だから誤魔化すように、行き先を変更した]
─ 外 ─
[切り取った花の枝を抱えて、イライダの家へ通じる道を行く。
朝の陽は輝いていて、ボクは眩しさに目を細めた。
この狭い村のどこへ行くにしろ、ボクの家からは広場を抜ける。
だからきっと、ロランがこちらを見ていれば容易に目にもつくだろう]
[キィ、と高い音をさせて車椅子を操る。
広場は片付いて居たが、篝火炊く台が組まれた侭なのは
この噂が絶えるまでは毎晩炊く心算だからだろう]
マクシーム。
お早う。
[風に倒れたそれを組み直す姿を見つけ、声をかける。
出した声につきんと頭が痛み、微かに顔を顰め。
その向こうにキリルの姿が見え、小さく手をあげた]
[ボクはふと足を止めた。
傍目には空を仰いだようにしか見えないだろう。けれど]
……イヴァンを?
[ゆっくりと囁かれた名を繰り返す]
[キリルが、つまづくのが見える。
転んで擦りむいても、レイスのように薬を差し出すは出来ず
イヴァンのように、転ぶ前に駆け寄って手を差し伸べるも無い。
ただ、胡乱げな眸でそれを見て居る事しかない]
二日酔い?
[尋ねる横で、マクシームも顔をあげてキリルを見て居た]
― 朝 ―
[掃除して、整えて。
自分で今は手入れしている、ごく小さな家庭菜園的な場所を手入れして。
それから外に出る。
広場の片付けは昨夜したけれど、まだ何か散らばっていたりしないだろうか、と。
そこにマクシーム、それからロランとキリルの姿を認めると、小さく笑った。
転んだりするようなところは、ちょうど見ていなかったよう。
とりあえず近づいていき、誰か気付くようならひら、と手を振ったりもする]
…そう。
[動揺したのだろうか、と思うのは口にしなかった。
自分を食べる、と言われる事に対して感情は動かず。
衝動とそれを抑える理性と、今訪れるのは冷静。
自分の中で渦巻く大波が制御出来て居ない自覚がある]
そうしないと?
いた…っ、た……
[どうにか花は守りぬいた。けれどはらりと、薄紅が散る。
花の枝を抱えていたから、余計にバランスを取り難かったのだ。
ボクは情けない顔で、幼馴染とマクシームを見た]
ちがーう。ちょっとよろめいただけっ!
[口を尖らせて言い返し、膝の辺りを払う。
じとりと、車椅子の幼馴染を見た]
ロランこそ、随分飲んでいたくせに。
もう平気なの?
―自宅(昨夜)―
[採ってきた薬草を種類毎に仕分けて小瓶に詰める。
「あなたのせいではない」そうは言われたけれど、棚に並ぶ瓶の数は、5年前から格段に増えていた。
それに救えなかったのは彼だけではないのだ。]
嗚呼、なんだ。
朝帰りじゃなかったのか。
[小袋の中の草を瓶に移し、棚に置いたところで、妹が帰ってきた。迎えの言葉は軽口の心算。
常にない顔の赤さに内心驚くが、ユーリーの葡萄酒と聞けば納得もする。どうもそれだけではない気もするが。]
おやすみ。
[慌ただしく奥に向かうキリルを見送った。]
[姿が見えなくなってから、薬草の棚の下の引き出しを開けて、薬の量を確認する。
それから足りない分を補充する為に必要な瓶を取った。此処にある分はもう本を開かなくても分かる。
作業の合間には鹿肉を頂いた。]
……美味い。
[表情が如何なっていたか、残念ながら自分では分からないが。
調理に妹も加わっていたと聞く機会はあっただろうか。]
嗚呼、戸締まりをしないと。
[ふと思い出して玄関に向かう。
ほんの僅かに開いた扉の隙間からは、満ちる一つ手前の月が見えた。
鍵を閉めて、それから眠りについたのはもっと遅い時間だった。**]
もー…。あ、イライダ!
[土埃を払い終え、顔をあげると目指す人の姿があった。
手を振る様子に手を振り返す。
ついでに手にした花の枝を翳したら、また少し花弁が舞った]
行こうかなと思ってたとこ。
イライダに勧められた水、
飲んでおくべきだったと思っている所。
[丁度見えた姿へと視線を向けて、幼馴染のじとりを逸らす。
ひねていない幾分か素直な言葉が零れたのは、
暴力的なまでに眩しい陽光のせいなのかもしれない]]
どうしたの?
何かあった?
[視線がキリルに向いていることに気付いて、そう尋ねる。
何を見たのか、と、不思議そうに。
それから、彼女の言葉に、笑って頷いた。]
それならちょうど良かったのね。
レイスに聞いた?
[いたずらっぽく笑ってキリルに問いかける]
そうしないと、ただ、いなくなっただけになってしまう。
一緒にいるのじゃなくて、ただ消えてしまう。
…そんな気がするから。
大好きだから、失くすくらいならボクは食べるよ。
[揺らぐ、揺らぐ。
これが人狼の本性なのか人としての情なのか。
既に旅人の命奪った人狼に、その区別はひどく分かち難い]
ううん。ボクは違うよ。
ちょっと…、その…。躓いただけ。
[歯切れ悪く返して首を振る。
マクシームに向けても重ねて、同じく首を振って返した]
[キリルへと向かう視線は、微笑ましいというよう。
表情に出ているのは、きっと誰からも明らかで]
キリルは素直ね。可愛らしいわ。
うん。
わかった、そういうことにしてあげる。
[大丈夫わかってるのよ、みたいな視線。
でもそれについてからかいの言葉は投げない。
差し出された枝を見て、微笑む]
ありがとう。
大切に飾らせてもらうわ。きっとあの人も喜ぶでしょう。
[夫も好きだったのは、レイスは知っていよう。
嬉しそうに、大切に枝を受け取った]
…一寸。
[イライダの問いに、少しだけ眉を顰めて肩を竦める。
それから、イライダとレイスの話しは知らないから、
彼女たち2人の会話を、いつもの顔で見上げる。
マクシームが抑えて居た丸太の手を離してしまい、
ゴロゴロと転がるのを見て]
…ぁ、
[声をあげた]
[転がる丸太を追いかけるマクシームの背が、
やけに、ふんわりしているように見えて、一度目を瞑る。
聞こえる囁きは、ひどく揺れて感じられたから、
逆に、冷静さを増す――烏色に光は無い]
…そう。
――じゃあ、本当は、一緒に居たいんだ。
[失くすくらいなら、なら、失くしたくない。
そう聞こえたから、囁き落とす声は低くなる。
言葉はまるで、自身の内の本能が理性に語りかけるにも似て]
―― 昨夜・広場 ――
[人も少なくなりお開きかと腰を上げた頃合に
イライダがやってくるのがみえた。
篝火をぼんやり眺めていれば
マクシームが妹を連れて帰ると言う。
火の始末を請け負って帰る者を見送った。
片付けが済んだ広場。
火の番をするかのように夜が更け空が白むまで其処にいた。
夜が明ける前に篝火の台はそのままに土を掛けて
一旦火の始末をすれば一人で住まうには少し広い家に帰ってゆく]
―― 朝・自宅 ――
[寝台に腰掛けた男が片手にすっぽり納まるほどの水晶を眺める。
長い指先が手遊ぶ其れに澄んだ光が注がれ煌いている]
――…ただの噂だ。
[マクシームに同意するように呟く。
もう一人の幼馴染は如何思っているだろう。
男の意識は、其方へと移ろいゆく]
二日酔いじゃないなら良いけど。
でも、そうしたら足元気をつけなくちゃね。
怪我をしたら、治るまで大変よ。
[キリルの答えには、苦笑がちにそう言って。
ロランの様子には心配そうな視線を向けなおした。]
レイスに二日酔いに効くお薬をもらいに行くところ?
あんまり飲みすぎちゃだめ……あ。
[ごろごろ丸太が転がるのにこちらも思わず声をあげた]
あっ!
あああ…もー。
マクシーム兄さん、大丈夫?ボクも手伝うよ。
え?力?だいじょーぶだって、ほら…!
[ごろごろと丸太が転がったのに、思わず駆け寄る。
端っこを押さえて声を掛けた。二人で直せば、早いだろう]
[キリルの様子は初々しくてかわいらしいもの。
赤くなってゆくのは、小さく笑って]
キリルはすごく可愛らしいわ。
もっと自信、お持ちなさい。
[にこにこと笑い。
そして転げていった丸太に駆け寄る姿に、良い子ね、なんて思わず呟いた]
ね、キリルは可愛いわよね。
[自分は丸太には駆け寄らず。その場でロランに問いかけて]
ボクは頑丈だから、大丈夫。
ほら…、ね?
[次は、さっきよりもまともに言えた。
丸太組むのを手伝って、幾分得意げにイライダを見返す。
そうして、視線流すは車椅子の幼馴染へ]
ん 二日酔い位大丈夫。
昼には無くなってる、筈。
[イライダの心配そうな視線には、思わず、目を逸らす。
いつもの事だから、不愉快な訳では無いと伝わるだろう。
ただ、心配げに見られる事に、居心地の悪さを感じるだけ。
キィ、と高い音を立てて車椅子を押そうと手に力を籠めたけれど、
いつものように自分より先にキリルが手伝いに駆け寄る。
その背を見て、車椅子の背凭れに体重をかけなおす]
…え。
[投げられた問いに、思わず顔をイライダへと向け]
…なに、
[烏色は深く、深く闇そのものように暗い。
光失った深淵のような双眸を、ボクは見返す。
喉がこくりと鳴った。あの赤い月のように思えた]
一緒にいたいよ。ずっと。
[丸太組立を手伝いながらの言葉に、小さく笑って]
うん。でも、心配かけるからね。
怪我はしないように気をつけること。
[誰に、とは言わなかったけれど、はっきりとそう言う。
ロランが目をそらすのは小さく笑って。
答えを聞けば、苦笑めいた色が混じった]
素直じゃない答えね。
可愛いって言っちゃえば良いのに。
――…ロランくんも可愛らしいわよ
[笑顔を向けた。子供扱いなことは否めない]
はあい…。
[幾分間延びした返事を大人しく返す。
反論出来ない。出来るはずがない。
完敗の様相で丸太を手にしていたら、マクシーム兄さんに笑われた。
もう!と睨んだら、更に笑われてしまった。
えいやと丸太を組み上げる]
これでいいんじゃないかな。
マクシーム兄さんもお疲れさま。少し休も?
[幸いにロランの声はここまで届いていない。
だからボクは、への字口を披露せずに済んだみたいだった]
…じゃあ俺がイヴァンを襲いそうになったら、
……俺を食べればいい。
[どうせ死ぬなら自分が最初。
つい最近言った言葉が、頭を過った。
きっとそれは、突き放した音色だと知っている]
…俺が可愛い、には賛同出来ない。
[少し憮然とした表情で、イライダを見上げる。
子供扱いに対してそう思う所は無かったが、
可愛い、愛でられる対象、というには反論したくて]
イライダはいつでも綺麗だね。
[少し大人びた声を出してみた、心算。
からかうではなく、大人な女性の空気に向けて
本当に思っている事をつげただけだけれど]
ロランともカチューシャとも。
兄貴とも一緒にいたいよ。だから…、けど、
けど…、だから……、
[問い交わす、木霊が鎖のように連なっていく]
良い返事ね。
[キリルの反論はなく、くすくすと笑いながら頷いて。
それからロランの否定の言葉には、面白そうに笑った]
素直に可愛いも言えないようじゃ、まだ可愛がられる一方よ?
[続く褒め言葉は、なんでもないように受け取った。
がんばった感もしっかり伝わったよう。くすくすと笑いながら答える]
ありがとう、若い子に言われるの、とても嬉しいわ。
[若い子、とか言ってる時点で、やっぱり愛でる対象なのにかわりはないようだ、ともいう]
好きな子に、格好良いって言ってもらえるような、良い男にならなきゃね。
[車椅子だから、手はとても簡単に届いてしまう。
避けられなければ、頭をそっと撫でようと]
[一緒に、いたい。
そんな言葉が、どこかとても遠くに感じる。
人成らず狼成らず、自分のその葛藤もまた別の所から見る自分も居る。
どこか、冷たい烏色で見下ろす、自分を、感じる]
――キリル、は、先に…死なない。
[聞こえた囁きに、返す言葉は短い。
彼女が望む答えじゃないだろう事も、知って居る。
だから、だからこそ、わざと低くゆっくりと囁いた]
…イライダは、若いよ。
[夫と小さな子。記憶にはまだ有る。
それでも彼女が老いたとは思えず――くすくす笑う彼女を
そっと見上げ、長い前髪の隙間から伺った。
伸びてくる手を拒む事は無い。
撫でられれば、そっと目を伏せて暫く考える、間]
良い男、にはなりたいけど。
俺には無理だ。
[自嘲めいた口調が零れるのと裏腹に。
俯いた顔は、少しだけ、ほんの少しだけ困った風に眉を下げた]
[年の功か。
自身の適量を理解している男が酒を飲みすぎる事はない。
普段どおりに朝食を作りそれを口に運ぶ。
彩りの良いサラダと少しだけ不恰好なチーズオムレツ。
そえられたパンは昨夜の余りを拝借したもの。
葡萄酒の酒気の代わりに漂うは紅茶の芳香。
長閑な村だからか男の性格ゆえか
ゆったりとした時間が流れる]
獣の仕業なら村の周りに罠でも仕掛ける、か。
それなら……
[ミハイルに相談してみるのも良いかと思う。
獣ならば多少の効果は見込めそうだが
獣ではなく噂の人狼なら――。
過ぎる思考にゆる、と首を振り窓の外へと視線を向ける]
どうして?
[ロランの言葉が、どこか遠い。
生きることを諦めてしまったような虚無が気になるのは、
あの時と変わらないよう。
あの時は互いに人として、今は同胞として問いを重ねる]
…どうして?
[ただ、今度の問いはただ静かにあった]
私にとってはまだまだ、ロランくんは子供だけど。
断言してあげる。絶対、無理なんかじゃないわ。
[うつむいた表情は、うまく読み取れはしないけれど。
慰めではなく、本心から強く言って]
色んな人を見てきたお姉さんを信じなさいな。
動くことだけが良い男の条件じゃないのよ。
メーフィエが良い例じゃない。
[正直情けない、と言われることが多い夫だったから。
そう思わない?なんて、ロランに笑みを含んで問いかけて]
それにキリルだって、マクシームだって、あなたが良い男になれないなんて言わないと思うわよ?
ねぇ
[その場の二人に同意を求めたり]
――どうしても。
[囁きに、目を閉じて静かに返す言葉は子供じみたものだった。
問いの静けさに、こくりと喉が鳴る。
イライダに向ける表情のままに、少しだけ唇が震えて。
気づかれぬよう、そっと、噛みしめた]
…食べたい、と、生きたい、と、共に居たい、と。
どれかは…選ばないと、だから。
[本能の奔流に逆らうが叶わなければ、
選ぶことすら出来ないのだけれど]
でも、
[紡ごうとした言葉を切り、唇を噛んだ。
大人の女性は、本当に苦手だ、と思う。
一生懸命繕い隠そうとする内心が、見抜かれる気がするから。
それが、心地よいと思えてしまうから。
笑み含めるイライダの声に、ゆっくりと顔を上げた。
僅かに、居心地悪そうな顔の血色が良く、なる]
…――、う、…ん
[それからまた、顔を背ける。
メーフィエ、との名が出て僅かに動きを止めるのは、
思い出させたのかな、と、不安になったからだ。
キリルの言葉にもまた、俯いてしまった。
膝の上に乗る手を見下ろす。きゅ、と握った]
[は、と、顔をあげる。
キリルがイライダの下へいこうとしていた、のを思い出して
…、あ、2人は用事がある、んだよね?
俺、邪魔してる。
[マクシームが余計な事言いやがって的視線を向けた気がするが
ロランはそれどころではなかったので、受け流すことにした]
…分からない。
[頑なな言葉に、イライダへ向けるのは少し困った表情。
きゅっと唇が噛み締められる動きは、より頑固な仕草に映る]
分からないよ、ロラン。
子供扱いなんてそんなこと
[してない、とはっきりと否定はしなかった。笑いながらの言葉である。
キリルの言葉も聞いて頷いて。もちろんマクシームも同意であり。
ロランを見る目は、困った子を見るようでもある]
良い男になれるわ。
なりなさいな。
[うつむいてしまったので、また頭を撫でる。
大丈夫、と安心させるように。手も震えてなんかないし、表情が崩れたりもしていなかった]
あ、そうね。キリルにあげる約束だものね。
[ロランの言葉にうなずいて、キリルを見る。来る?と問いかけつつ、話をするようなら都合の良いところまで待つつもりでもあった**]
それは、そう。だけど……、
ロランは、選べた?どれか選べそう?
[難しい選択と、既に良く知っている。
あの人が嫌いだったわけじゃない。その逆だ。
いなくなってしまって寂しい、そう思う自分もいる。
──…けれど彼を殺したのは、紛れもない自分自身。だから]
[既に予感がある。
一度赤い月に狂ったボクは、もう、本能に抗えないだろう。
いや。いずれ、月がなくても狂うのかも知れない。
昨夜、イヴァンをこの牙に掛けかけたように。
周囲の気温が少し下がるような心地と共に、厳然と思う。
自分は、紛れもなく人狼なのだと。
気温が下がるような心地と共に──…そして甘美なる記憶と共に]
それとも……、
人狼ってバレたら、ロランに食べても貰えないかも。
きっと、殺される よね。
[軽口の口調は、紛れもなく現実の脅威であろう。
ふるりと、寒さの所為ではなく肩が震える。
でもそれは、どこか現実感の薄い恐怖でもあった]
俺、川に行こうと思って。
[言って、2人から離れようと車輪に手を掛けた。
キィィ、と、いつもより高い悲鳴のような音があがる。
広場から辺りを見渡せば、料理等の煙上がる家もあり。
陽光の下、小さな村の営みはいつも通りだ]
〜〜、顔に書いてある…っ!
[笑い声を肯定と受け取って。軽くむくれた。
けれそもそれも、冗談の範囲内。
一緒に笑ってしまってから、幼馴染へと同じく目を向ける]
邪魔ではないけれど…、うん。
いいかな。イライダの話も少し聞きたいし。
その…色々と見たりしながら。
[要は縁がなさ過ぎて、化粧品と言ってもさっぱりなのだ。
流石に口にはしがたく、自然と歯切れは悪くなる]
選ぶよ。
俺は選ばれなかった、けれどね。
[少し皮肉めいた言葉を添えるのはまた自嘲めいた響きで。
つまり構って欲しいだけで、この幼馴染に甘えているのだと、
判って居るけれど、抑える事は出来なかった。
選ぶつもりは、有った。
冷たい屍肉の記憶を、暖かいものにしたい。
それだけは抗えないと思っていたし、
また、抗う気もそれほど今は――無い]
…生きて行く為に食事をするなら、バレるわけにはいかない。
夜に…皆寝静まった頃にすれば。
きっと誰がやったか、判らない。
[人狼が居ると判れば、皆はどうするのだろう。
――人狼の疑いある者を全て殺して行くのだろうか。
それは、少し、勿体ないないな、と、紅い眸が想う]
……ん。ロラン、気をつけて。
[何気ない調子で、幼馴染へと気遣いの言葉を向けた。
イライダに頷き返して、マクシームへと手を振る。
ガッカリした表情は、何だかとても分かりやすかった]
お勧めとか、教えてくれたら嬉しいんだけど。
その、あまりこういうのって良く知らないし…。
なるべく簡単な感じで、出来れば。
[男性陣と離れたところで、こそりとイライダへと囁いた。
華やかな彼女の笑い声を聞きながら道を辿る。
村の長閑な春の陽に、小鳥が一羽鳴いて過ぎていった*]
― 朝 ―
う、うぅ〜〜
[自宅のベッドの上でうなっている。
昨夜飲みすぎたせいでの二日酔いだ]
もうあんなにのまない……
[兄は妹を見捨ててとっとと広場に向かった。
昨夜のことはぼんやりと覚えている。
イライダにお水を渡されて諭されたときに回らないしたで意味不明な返事をしたような記憶もあるが、詳細が見事に不明だった]
――変なこと、してなきゃいいけど……
[見捨てていった兄はそれでも薄情ではなかったらしく、水差しだけは枕元に用意されていた。
コップ一杯、水を飲んでなんとか起き上がる]
[ベッドの上に座り込んだまま、ぼんやりと窓から見える村の風景を見る]
オリガは都会でがんばってるし。
キリルは恋人ができて可愛くなってるし。
……あたしも、がんばらないと、なあ……
[幼馴染の女性陣二人が輝いている。
それに比べてとわが身を振り返り一つため息。
もともと同い年のような年下のような、微妙な年齢差ゆえに二人に追いつこうともがんばっていたのだが。
結局追いつくことはできていない気がした]
――でも、恋って良くわかんない。
[オリガは都会で恋をしてるのだろうか。
届く手紙にはそういったことは書かれてなくて。
たまに出す返信にもそれを問うことはしなかった]
[両親が死んでからは生活することで必死だった。
兄はある程度親から仕事を引き継いでいたから、金銭面での苦労はなかったけれど。
知らなかったことや、やらなかったことなど沢山あって。
恋というものを意識したこともなかった]
まあ、べつに、困らない、かな……?
[イヴァンが帰ってきてからのキリルの様子を見ていれば、羨ましくもあるけれど。
羨んで焦ったところで手に入るものではないし、と、どこか冷めたことを考えていた]
[朝のお茶を飲んだ後。
身支度を斉えて外に出る。
向かう先は特に決めていないけれど、広場で手伝いをするような体調ではないし。
趣味で作っているポプリの材料を取りに行こうかと、小さな籠を片手に森の入り口にでも向かった]
…ロラン。
[彼が口にするのは、14年前の話だろう。
それが分かるから、声は少し弱くなる。
傍にいれば、眉が下がる表情まで見えただろうけど]
ボクも多分…選ぶ。選ぶよ。
もう止まらないって、分かる。でも、
[選ばれなかったという幼馴染に、言い募る。
このときは少しだけ、人狼でも同胞でもなかった。
遠い昔に白い花をねだった、幼馴染の顔が覗いた]
ボクは…、ロランも選びたいよ。
―― 川辺へ ――
[川へと降りる道はなだらかな坂道で。
何時も少し難儀するのだけれど、
祖父が川の底石で作業用のナイフを研いでいたから
ずっとそれを真似して、そうしていた。
川に入るから車椅子が錆びて悲鳴上げるのも知って居たけれど]
久しぶりの、仕事だから。
[呟いて細い道を行く。
左右に生い茂る木々と草葉が、緑の匂いを揺らしていた]
[駄々の応酬のようだった。
それでも言ってやって、口を噤む。
そろりと返すのは、続く言葉がごく冷静なものだったから]
…夜。月が、あるね。
[ならば狼たちも目覚めているのだろう。
幼馴染の足を思って、少し良かったと思う。
月を思い血を思うとき、銀灰の瞳も朱を帯びる]
おはよー、ロラン。
[いつもよりちょっと鈍い足取りで近寄る。
白いシャツにピンクのボレロと、薄紅色のフレアスカートはいつもどおりの姿だけれど、二日酔いの頭痛のせいでちょっと青ざめた顔色はごまかせない]
どっかいくの? 川?
[川へと降りる道の途中。
首をかしげて問いかけ]
カチューシャ。
…二日酔い?
[川、との問いには、ん、とひとつ頷いて。
それでも寄れば彼女の顔色が違うのが判ったから、
問いを向ける。
――自身にも今まさに覚えのある頭痛だ]
…ん。
[ありがとう、という言葉と。
そんな筈は無い、という言葉と。
どちらを続けようとしたのか、判らなかったけれど。
届く声音に、適当に誤魔化したくなかったから、
囁く言葉は飲みこんで、続けなかった。
パズルのピースのように合う言葉が見つからなかったから]
紅い月が…満ちる。
[烏色の奥と同じいろ。
血がざわめくのを、全身で感じる]
そっか。
あたしは香草を摘みに……
……う、ん。
そんなに、わかりやすいかなあ?
[頷きにはやっぱり、と笑みを浮かべ。
二日酔いを言い当てられて恥ずかしそうに頬に手を当てる。
鈍い頭痛が続いているから、ほんとはレイスのところに薬を貰いに行くべきなのだろうけれど]
まあ、ちょっと頭が痛いだけだから、ポプリでも作れば気分転換になるかなーって。
だって昨日。
……すごかった。
[はずかしそうに頬に手を当てる様子。
自分の頭痛は棚に上げて、表情少し和らげて悪戯ぽく言う。
回らない舌で話していた内容は、殆ど判らなかったから]
そか。
川の方?
[ポプリに使う花が、何処に咲いているのか知らない。
問いは顔を傾けて、前髪の隙間から彼女を覗き見上げた]
[食事を終えた男は手早く片付け地下へゆく。
葡萄酒の樽が並ぶ其処にただようは熟成された深い香り。
貯蔵庫の奥には眠り続ける葡萄酒の瓶がある]
あいつももうすぐ二十歳か。
[妹の生まれ年が書かれた瓶のラベルをそとなぞる。
二十歳の祝いに贈るようにと父に託されていたもの。
その日を迎える前に妹は家で出てしまったが]
今年は戻ってくるかな。
[そうでなければ会いにゆくのも良いかもしれない。
ただ、村の長閑さに混じる不穏な空気。
それが拭いきれるその日までは――]
分からないようにしよう、ロラン。
分からないようにすれば…きっと。
[もう一度、込みあげる寒気に肩が震えた。
今度は先のような現実感のないものではなく、切迫したもの。
人狼の本能だろうか、人の幼馴染の情だろうか。
ロランを失うかも知れないと思うと、急に体の芯が震えだした。
先の幼馴染の言葉は、そんな恐怖感がボクにはあった。
それを押さえるように、自らの腕を押さえる。
イライダにばれないように、必死に震えを押さえ込む]
そ、そんなに変なこといってない、はずだよ……
[ロランのからかいに弱く反論する。
なにせ記憶があやふやだから、言い切ることもできやしない]
うう、お兄ちゃんはお酒強いのになあ……
森のほうと、川沿いにも、ちょっと。
だからロランが川に行くなら、先に川のほうにしようかな。
[ため息とともにぼやいた後。
黒くて艶のある髪の間から見上げてくるロランにこくりと頷いた。
いつもつかうのは森の入り口に咲いている花と、川辺にある香草だった]
/*
でも普通にロランが強そうで困る。
困る!!!!ロランが強そう!!
※吊り競争です。先に吊られたほうが多分勝ち。
そうなんだろ?ロラン…くそーw
頑張るからね!!!(
…何。
[切迫した相手の空気が、伝わる。
カチューシャの前で、一度ふるりと肩を震わせ手で押さえた。
聞こえる囁きに、目を、眇める]
――分らないようにする。
ああ、勿論。
[屍肉を想う。おなかが、鳴った。
ああ、朝食も食べていない。
…あれから、何を食べても物足りなくて、自分で食事を作るのをやめてしまった]
…………キリル、
[続いた言葉に、
視線を一度目の前のカチューシャから地面へ落とす。
喉が小さく鳴って、握りしめる手に力が入り]
ん。
[吐息のような小さな返事]
うん。
そんなには、かな。
[焦る様子が少し面白かったから、追いうちをかけておいた。
川に、という言葉を聞いて、頷いて車輪を回す。
小石が多い道は、カタカタと良く揺れて、少しだけ危険なのだ]
…オリガが元気そうなのは、良かった、な。
覚えてるか?
[昨日のユーリーとの話し。
自分より二日酔い酷そうな彼女はどうだろうと、
小道進みながら問いを置く]
[ロランが川に行くというのを止めるわけもなく、いってらっしゃい、と笑顔で見送る。
見送った後、ふとキリルを見て]
あの子二日酔いって言ってたけど大丈夫かしら。
[ちょっと心配そうに問いかけた。
まぁ、大丈夫だろうと結論づけるのもすぐあとだったけれど。
マクシームにもひらひらと手を振り(もちろんそこに名残惜しそうな振りなどはなかった)、キリルの言葉を聞く。
家へと向かいながら、そうねぇ、なんて話しつつ]
キリルは可愛いし、まだ若いもの。そんなにたくさん必要はないと思うの。
チークとか、アイシャドウとか、マスカラとか。
大丈夫よ、とても簡単。
[囁く声に返すのは、こちらも小さく落とした声。
それでも少しからかいも混じる]
あとは口紅とか、グロスとか。
キス、しちゃいたくなる感じ?
うぐ。
……うー、何言ったんだあたし……
[追い討ちをかけられてうなる。
思い出そうにもふにゃふにゃとした言葉しか思い出せなかった。
ロランが操る車椅子の隣をゆっくりと歩く]
あー……オリガの話がでてたのは覚えてる。
元気そうだっていうことぐらいまで、だけど。
[小石を車輪がはじく音を聞きながら答える]
都会でがんばってるってすごいよねえ……
[家にたどりついたら、広間にまずはもらった花を飾る。
そこで待っていて、と言って、木箱をもってきて、
まずはいろいろと説明するのだろう。
使ってないのがほとんどの化粧品は、けっこうな量がある。
聞かれたら使用用途を全部答えたり。]
でもほんと、もともと可愛いから、どんな色も似あうわね。
好きな色はある?
あなたのでも良いし、可愛いって言ってほしい人の、でも。
[最終的にそんな風に問いかけるのだった**]
…秘密。
[大した事は言っていないけれど、面白いので。
たてた人差し指を口唇の前に持ってきて見せた。
無表情な中に微かに混じる楽しげは、きっと彼女には判るだろう]
うん、すごい。
…カチューシャには手紙とか、来てる?
[自分には来ていないけれど、女の子の繋がりとは濃いものだろうと思うから、ふと、問い投げつつ。
川が見えれば石が少し大きくなって、車輪回す手に力が入った]
カチューシャは、出たいと思った事、ある?
[ぽつり、落とす]
うぐぐ。
……こんなことで楽しむなんて、ロラン性格わるくなったんじゃない?
[秘密ですなポーズをするロランに、恥ずかしさ半分悔しさ半分でうなる。
楽しそうな様子が見て取れるのはいいが、自分のネタで楽しまれるのは複雑なのだった]
手紙は、たまーに来るよ。
季節に一回、あるかないかってところだけれど、ね。
[川を流れる水の音が大きくなるにつれ、砂利も大きくなり。
車椅子が難儀しそうな石が見えれば、ちょい、と蹴り飛ばしたりする]
んー――
[聞き逃しそうな問いかけに、一つ瞬きをしてロランを見た]
あんまり、ない、かな。
都会にいってみたいとは思うけど、住むならやっぱりここがいいし……
あたし、きっと都会じゃ暮らしていけない気がする。
[しばらく考えたあと、ゆっくりと首を振った]
……ん。
[ごく短く、吐息のように返るこたえに、
こちらも返すのは、ごくごく短い返事。
彼と違って、食事はしている。兄がいるからだろう。
目の前にいれば、お腹を鳴らす様子に眉のひとつも上げただろうが]
良かった。
[それでも続ける囁き声。
それに少しの笑みの気配を乗せたのは、
人としてか人狼としてか。
どちらにせよ、分かち難くある存在から片割れたる者へと向け]
… やくそく。
[短く口にする、震えはいつしか幼馴染の声に収まっていた]
ん。酷いようなら兄貴に薬をお願いするけど…
[緩く首を傾げて、幼馴染の車椅子を見送った。
よもやその先に、更に酷い二日酔いの主がいるとは思いもよらず]
?チーク?マスカラ……??
[イライダが口にしたのは、早速の謎の単語の数々だ。
説明を受けて、なるほどと思う…が、不安が過ぎった]
ボク、変な風にしちゃうんじゃないかな…。
[睫に色を乗せると言われれば、最早想像の外の話だ]
…俺はもともと性格悪いよ。
[カチューシャの言葉に、また口の端をあげる。
手紙が来る、には そっか、とだけ返して。
ちょっとだけ、また、幼馴染の男女の疎外感を感じたりした。
石を蹴飛ばしてくれるのを見て僅かに表情和らげて。
瞬きの後の視線が絡むのに、首を傾けた]
そう?
料理も出来るのに?
[暮らしていけない気、というのはそちらの心配なのかと
問いを重ねた。
小道を抜け、水音が目の前に広がる。
陽光跳ね返してキラキラ光る澄んだ水は、きっとまだ冷たい]
世話、かけると思う、けど。
[それでも今は、自分の念が狼の群れを動かせるを知って居る。
一緒に行こう。
言葉が、頭の中で木霊を返した]
─ イライダの自宅 ─
[イライダの案内で家にお邪魔して、
ちょっと落ち着かない気分のまま、そわりと辺りを見渡した。
訪ねるのは初めてじゃないけど、でも、こんな用件で来たのは初めてだ]
え…、これ全部化粧品なの!?
すごい。ええと……
[箱から取り出されたカラフルな色の洪水に圧倒される。
目を白黒させたボクが、彼女の手解きの上で手にしたのは、
淡いピンクが春らしい可愛らしい色のリップだった]
似合う、かな。
[恐る恐る唇にリップを引いてみる。
薄化粧の鏡の中の自分は、何だかちょっと別人のよう。
うっかり恋人の顔を思い出したボクは、
何も言われないくせに、鏡の前で真っ赤に*なった*]
開き直られたっ。
く、昔はもうちょっと優しかったのに……
[大袈裟にショックを受けて見せる。
オリガから手紙を貰っていないことを知らないから、疎外感には気づかなくて]
料理が、とかじゃなくてね。
きっと都会に住んでも村が気になって結局すぐ帰ってくる気がする。
あ、あたしの目的はアレ。
ロランはなにを?
[こぼれた本音をごまかすように言葉を重ね。
指し示した目的の香草はちょっとした群生地をつくっていた。
穏やかな水の流れの川べりは涼しいというよりすこし寒い]
[大袈裟なカチューシャの仕草に、思わず頬をあげる。
なんとなく気恥ずかしくて、口元を手で隠した。
都会へと向けた言葉に、ん、と喉を鳴らす。
気になって、というのは、料理を持ったた彼女の母を思い出したりもして]
ん。
…此処は、知ってるひとしかいない、からね。
[ぽつりと落とされた小さな声に、同じように小さく。
水音にかき消されない程度の言葉を重ねた]
[続く言葉に、香草へと視線を向ける。
そか、と頷いて自身は川の縁へと視線でさして]
俺は川底でナイフを研ぎに。
昨日の鹿皮、なめす為。
[香草の方へ向かうなら、気を着けてと声を重ね。
自身は川の端の流れ弱く浅い所へと、車椅子を進める心算**]
ロランの方が頭いいから。
頼りにしてる。
[ばれないようにするなら、大切なこと。
目を細めて囁き返す。けれど]
……ロラン?
[消えた語尾に、こちらは僅かに語尾が上がった。
憮然と低くなった声の理由が己の気配にあるとは思わず、]
[気恥ずかしそうなロランの様子に、やったとでもいうようににやりと笑う。
けれど小さく重なる言葉にちょっと視線を外らし。
知らない人を怖がるなんてまるで子供みたいだとも思う。
死んでしまった旅人にだって、話を聞くようになったのは滞在した最後のほうだったのだから]
――うん。
[それでも、そんな怖さを認めてくれるような気がして小さくうなずきを返した]
そっか。
ロランこそ、気をつけて。
[香草のほうへと足を向け。
車椅子で川に入る幼馴染を案じる言葉を向ける。
川の傍の群生地だから、作業をする幼馴染の姿を視界にいれつつ、香りの良い香草を積み始めた**]
[名を重ねられても、返事は返さなかった。
同胞であり幼馴染である彼女の声が、心地良く感じてしまうから。
意識を集中させるとともすれば紅く染まる烏色伏せ
薄く浅く、喘ぐように呼吸を繰り返す]
…努力する。
[約束に、二度目は囁きを返せなかった。
守るのが怖くて守られるのが怖く。
そんな事に怯える自分と、それを隠せぬ弱さと。
痛い程に感じ始めた飢えが、思考を苛むから]
―― 川辺 ――
[何時もの大きな岩へと車椅子を寄せ。
その脇の岩に体を移して、寝そべるようにして川底へ手を伸ばす。
底の石へと手を伸ばし、作業用のナイフを研ぐ。
似た石を持って帰って家でやっても駄目なのだと、
祖父は言っていた。
実感できるほどの腕は無いから、愚直に従うだけ]
…ん、
[川の水は冷たい。
肘までつけて、浅いその底でナイフを研ぐ。
革の入れ物に入れて来た数本を順番に手に取り、
器用にそれらを入れ替えて行く。
視界の向こう
カチューシャが見えれば濡れた手を振ってみせたりした]
[冷たい水は、理性をより引きもどす。
陽光の下、川面が弾けばそれは二倍の眩しさで。
どす黒い自身の内を照らされる気がして、目を眇める。
バレるのではないかという不安は、
バレたら殺されるに違いないと言う想いから。
そう、それは、昨日ミハイルが背負っていた鹿のように。
バレなければいいという想いは、
痛いほどの飢えが求める甘い血肉への思慕から。
暖かく甘いそれを、口にしたい。
物足りなさを埋めてくれるのは、きっと、それしか無いから]
[食べなきゃ、と言う声を思い出す。
駄目だ、と答えた。
村の優しいひとたちを食べるなんて。
涙混じりの呼ぶ声を聞いた。
ぎゅ、と、眼を閉じる。
ナイフを研ぐ音は川の水音に溶けて消えた。
短い息を吐く。
冷たい水の感触が理性を強める。
陽光の裏側、紅い月は必ず昇る。
眩暈を感じて、唇を引き締めた]
― 川辺 ―
[趣味で作るポプリだから、それほど量は必要ない。
乾燥させるとさわやかな良い香りを出す草をひとつひとつ丁寧に摘み取り。
ふと視線を上げれば、手を振るロランが見えて小さく笑む]
あぶないよー。
[川で刃物を研ぐ理由はよくわかっていない。
それでもロランの祖父もやっていたから、なにかあるのだろう程度で深くは気にせず。
足が不自由な幼馴染が一人で川に行くのは心配だったから良くくっついてきてはいた]
だいじょうぶ。
[良く付いてきてくれていたカチューシャには
水音にかき消されるかもしれない声は、口の形だけ。
それでも少し表情和らげて手を水から引きぬいた]
ん、終わり。
[そこそこ長い時間をかけて、全てのナイフを研ぎ終わると
腕の力で半身を起こし、置いてあった車椅子へと移動する。
先にナイフおさめた革袋を椅子へと放り、体を乗せようとした時
つきり 目の奥の頭が痛んで眩暈に耐える。
車椅子の手摺を掴み、体重をかけた]
ガシャアアン!
[高く、大きな音が響く。
車椅子が石の上、ひっくり返った。
支え無くしたロランは、そのまま石の上に尻もちをつき。
ばしゃんと大きな水音がして、動かぬ足が水に落ちた]
[水音にまぎれるような声はかろうじて届く。
和らいだ表情までは見えなかったけれど、にこりと笑みを返して香草摘みに戻った。
小さな籠が三分の一ほど埋まったところで手をとめて立ち上がる。
ロランのほうを見れば彼も終ったところのようで]
大丈夫かなあ……
[車椅子へと戻るときはどうしても心配になる。
そして――]
っ! ロランっ!
[大きな水音と車椅子が倒れる音が響いた。
それはきっと森へと近づいている人たちの耳にも余裕でとどくほどで。
足元に置いた籠はそのままに、あわててロランのほうへと駆け寄った]
大丈夫?!
…ん。
[当のロランは少し呆然といった表情で目を開き。
濡れた足を見て、ぱちぱちと目を瞬いた]
あ、…ん、ごめん、ちょっと、眩暈。
大丈夫…うん。
[痛い、等よりも驚いた、という感情が先に立つ様子で
そのまま、カチューシャへと顔を向けた]
…――吃驚、した。
[息を吐いて、肩を竦める。
車椅子から落ちる事など日常茶飯事だが、
ここ暫くはずっと無かったから、驚いてしまった]
車椅子、こっちに寄せて貰っても良い?
世話かける、けど…
[告げて、そこでやっとチリと痛む肘に気づき。
腕を持ちあげて見ると、どうやら擦り剥いた様子で。
薄い白いシャツの肘が破れ、赤が滲んで居た]
[そしてその甘美な酔いの向こう。
感じる事のない、濡れた革靴の重みと冷たい水の温度。
光無き烏色の奥、深い深い闇を渦巻かせて見下ろしていた]
眩暈って……、大丈夫なの?
[重ねての問いには大丈夫、とびっくりした、という言葉がかえり。
川の中、特に酷い怪我をしている様子には見えないからほっと吐息を零した]
ほんと、びっくりしたよ。
よかった、ついてきてて。
[しみじみと呟きつつ、倒れた車椅子を起こし]
うん、というかそれぐらいしか出来ないけど……
[川の中の幼馴染を抱き起こしたりとか車椅子に移動させたりなんてできるわけがないので。
車椅子をおさえるのが精一杯。
ロランが肘を気にする様子に視線を向けて]
あらら……痛そう……
[滲んだ赤に、痛そうに顔を蹙めた。
そんなやりとりのうちにユーリーとかミハイルがくるかもしれなかった]
―自宅―
[子供の頃から遅くまで起きていることが多い僕は、朝が苦手だ。
起き出すのはいつも、食事の準備が整う頃になる。
妹が食事を作り出した頃はそれはもう酷いものだったが、回数を重ねる毎にまあ食べられる様になり、それからも少しずつ上手くはなってきている。
けれど今日は良い意味でいつもと違っていた。パンもふっくら焼けていて、いつもより数段美味しいとさえ思う。
何かあったのだろうかと思いながら顔を上げると、]
……?
[何故だかまじまじと見られていた。
何だろう。とは思いながらも、問われなければ味の感想を話すことは無い。
ただ見ていたなら、パンを口にした瞬間に少し目を瞠ったのは分かったかも知れない。]
そう言えば昨日、イライダ姉さんに会った。
今度お前に化粧品をあげようって。
[思い出してそう言えば、何となくそわそわしだしているのが分かった。やはり興味はあるのだろう。
もう19だし、よく見せたい相手もいる。]
折角だ。やってみたらいいだろう。
[迷う素振りのキリルにそう勧めた。半分は面白がってだが、半分は真剣だ。]
何人分必要になるかしら…
[二人の二日酔いが出会うことになるとは知らず、少し苦笑気味だったりもした。
チークもマスカラも、アイシャドウも。色々と説明をし、不安げな様子に、慣れるから大丈夫よなんて笑う。]
自分からしちゃっても良いのよ?
背伸びして、ちゅってね。
[赤くなる様子にからかいの言葉も。
家に戻って化粧を出しながら、驚きの言葉に笑う]
こういう商売だったから、ね。
それに此処に戻ってきたら、向こうのものは手に入れ難いし。
捨てるのももったいないから全部持ってきちゃったのよ。
[そんなことを言いながら、色々と教えて。
春色のやわらかいリップをつけた彼女に、笑って頷いた]
うん、とっても可愛い。
[それから、ふと、ちょっと待ってねなんて言って他の小箱を取ってくる。
白い小花が幾つかついている銀色のピンを、取り出して]
これもつけてみる?
きっと驚くでしょうね。
――もともと可愛いのに余計なことしなくていいって、後で私、怒られちゃうかしら。
[そんな風に言って、笑い]
お茶、飲んでいく? それとも早く見せに行きたい?
[からかい混じりにたずねた**]
……あ。
[そう言えば足りない薬草があった、と思い出したのは、妹の姿が見えなくなってからのことだった。
出掛けるついでに頼めれば良かったのだが、仕方ない。
目的のものは森に向かわなければ取れないから、簡単に支度をして家を出た。]
…実は、二日酔い。
[さっきあれほどからかっておいて、と肩を竦め。
ぐい、と身体を腕の力で川から引きあげた。
ぽたり、肘からの血が膝に落ち、眉を少し顰めてから、
カチューシャが車椅子を起こしてくれるのに小さく礼]
世話かけてごめん。
助かった。
[あ、と、顔を向けるのは彼女が居た香草の生える場所。
籠が置き去りなのに、指を指した]
[村のはずれ。
木々生い茂る森が目前という場所まで来ていた。
奥へと足を踏み入れようとして、高く大きな音が遠く響いた。
微かに水音も混じる。
音のした方へと自然と足が向いた]
―― →川辺 ――
[駆けつけてみれば車椅子から落ち水に濡れるロランと
車椅子を押さえるカチューシャが見える]
何があったんだ?
[肘に滲む赤が見えたから
大丈夫かとは聞かずロランの方へと歩み寄る]
……二日酔いって、もう。
そんなんで川に入るとか……ほんと、一緒に居てよかった。
[まったく、とため息をつく。
さんざんからかわれたことよりも、心配のほうがつよかった。
ごめんという言葉には小さく首を振って]
え? あ、ああ……
ロランが車椅子に戻ったら取りに行くね。
[ロランが示す方向にちらりと視線を向けて、大丈夫というように言葉をかえす。
やってきたユーリーに、ほっとしたような顔を向けた]
ユーリーさん、よかった。
ロランが転けちゃって……
―回想・篝火そば―
へぇ…思ったより、……ガキじゃねぇんだな。
[ロランの眉間にうっすらと皺がよる>>35。
そう、見えた。
篝火のせいで少しの変化も浮き彫りにされたのだろう。
「ガキじゃない」と言い張っているよりも、自分の至らなさ、未熟さや無力さを認めている方がよほど大人だ。
諦めているのであれば、また別の話ではあるが。]
『煙草なんざ、覚えてもいいことねぇぞ』
[何年か前に強請られた時には、まだまだ子どもだと思っていたのに。
いつの間にか彼も自分も、結構な時を重ねていたことに気付く。
二年前に集落を出たオリガ…ユーリーの妹も、ここにいる三人と同様に年を重ねているのだろうなと、煙を吐き出しながらふと思った。
彼等のような年頃は、数箇月で全く違った表情を見せるのだから。]
[広場を抜ける。篝火が未だ組まれたまま其処にあるのを、目の端に収めた。
そうして森に向かおうとしていた時だった。
静かな集落にはよく響く、大きな音。]
何だ……?
[あまり良い予感はしない。
方向転換して、そちらに向かうことにした。]
…でも、手だけ、だし。
[カチューシャの溜息は、少しだけ眉と肩下げて。
俯いて、上目で彼女を見上げた]
ん、大丈夫。
…ユーリーも何か用事があったんじゃないの。
[歩み寄る姿に、ふると頭を横に振る。
それでも助け起こしてくれるなら、
カチューシャが起こしてくれた車椅子に身を収めるのに
手を貸してもらうのを遠慮する理由は無い]
[転んだ、と応えるロランに少しだけ困った顔をする。
二日酔いなどと聞こえれば軽く肩を竦めて]
仕方ないな。
[自分が差し入れた葡萄酒もまた要因の一つだろう。
ならば言うべき言葉を失ったかのように呟いて
ロランの横で濡れるのも厭わず膝をつき、肩を貸す心算]
ほら、つかまれ。
[ロランへと声を掛けて。
カチューシャの顔に安堵の色を感じ取れたなら
ふ、と目許を和ませた]
もうっ、そう云う問題じゃないの。
もっと酷いことになってたかもしれないのに。
[だけ、とかいうロランに叱るような言葉をかえす。
それでも、上目遣いで見つめられれば仕方無いなあと肩をすくめた。
ユーリーがロランへと肩を貸すのをみながら、不安定な川原で車椅子をささえる役をする。
音を聞きつけたレイスの姿が見えれば、ユーリーが来たときと同じように安心した顔をみせた]
そろそろ木苺がなっているかと思ったんだが
まだ少し早かったみたいだ。
[用事と言えるか如何かもしれぬ答えをロランへと紡いだ。
少し奥へ行けば実っているものもあるかもしれぬが
さすがこんな時に森の奥へ入るのは躊躇われたよう]
――嗚呼、いいところに来たな。
[レイスが現れれば、
足場の悪い場所で車椅子を支えるカチューシャを目で示し]
そちらに手を貸してくれると助かる。
力仕事は男の役目、だろう?
[悪戯な笑みをレイスへと向けた]
…ん。
[ユーリーの肩に掴まり車椅子へと戻る。
鍛えられた腕は、自分の細腕よりずっと太く感じた。
酷く安堵を感じそうになって、頭を横に振る]
…ごめん。
[カチューシャの叱るような言葉に、小さく言葉返し。
レイスの姿が見えれば、更に少しだけ眉を下げる。
情けない姿だ、と、思って。
白いシャツの肘の部分はじわりじわりと赤を広げ
破れたそこから、ぽたりとまた、落ちた]
[落ちる赤に、口唇を添えてみたいと思う。
舌で掬って舐め取れば、どんな甘さが身を浸すのだろう。
だけれど、今そんな事をして何を言われるか判らない。
ただその誘惑に耐える、飢えに耐える気配だけ。
烏色を少し濡らして、熱く荒い息が、漏れた]
/*
赤組喋りすぎだよね……
飴貰いすぎだよね!!!
wwwwwwwwwこれで赤ログ使ってるんだぜww
ばかだあああ!!!!www
[それでも、春色の薄化粧は心が踊る。
ちょっと、自分の格好がそぐわないような気も少しした。
けれど今更スカートをはくのも、ちょっと恥ずかしい]
そうかな…。
[可愛いと言われて、否定しなかったのは化粧の所為。
恐る恐る鏡を覗き込んでいたら、ふと光るものを当てられた。
きらきらと輝くのは、優しい小花の髪留めピン]
───…あぁ。
[春色の化粧に、白い小花の髪飾り。
優しい、優しい色合いに心がふと引き戻される。
鏡の向こう、自分と一緒に映る優しい人。
彼女も食べてしまうのだろうか。
彼女も殺してしまうのだろうか]
……わかってくれれば、いいから。
[なんだか落ち込んだようにも見えるロランが、ユーリーに支えられて車椅子に戻ってくるのにそうとだけ告げて。
レイスが車椅子を支えるのを手伝ってくれるのに]
ありがとう。
[そう小さく告げた。
幼馴染の怪我から流れる血を見て、レイスへと視線を向けるのは、やはり薬師としてのレイスを頼る部分もあるからだった]
[肩につかまるロランの身体を片腕で支え
車椅子へと彼を下ろした。
彼の肘から滲んでいた赤が滴り落ちるが見える]
肘の怪我は――…
レイスに診てもらうといいだろう。
ついでに酔い醒ましでも調合して貰うか?
[カチューシャと車椅子を支えたレイスへと眼差しを送る]
……っ、イライダ。
[じわりと、鏡の向こうの自分とイライダの像が揺らいだ。
不意に込み上げた涙を、どう説明していいのか分からない。
吐く息は言葉にならず、ただ、鏡越しに彼女の瞳を見つめた。
驚いたようなその表情を見つめる]
……。
[ボクは何の説明もせずに、振り返る。
彼女に縋るように抱きついた。
髪に差された小花のピンが、その存在を微かに伝える]
…ごめん、なんでもないの。ごめん。
[ごめんと繰り返した。
突然の振る舞いは、さぞかし不審だったろう。
けれどなんと言っていいか分からないから、
ボクはそのまま口を閉ざす]
[車椅子に着地し、持ってきた革の袋も確かめて。
濡れた革靴を脱ごうと手を伸ばす。
ぽたぽたと膝に落ちる赤。
半身屈めるのはやめて、肘を持ちあげて覗きこんだ]
……っ、
酔いは、もう覚めた。
[ユーリーの言葉に、ふると頭を横に振り。
ユーリーとカチューシャに遅れてレイスを見上げたのは
同じようにやはり無言で、傷薬があるだろうかと
問い強請る態]
…嬉しかったから。だから、つい。
こうしていられるのかなと思ったら、何だか…
急に、悲しくなって。
[ぽつ、ぽつと言い訳じみた言葉を継いだ。
柔らかな温もりと優しい匂いが、心地良い]
[こうしていたいと、ボクは思う。
甘い甘い、優しい香りだ。
こうして優しい時を過ごしていたいと心から願う。
……ああ。
この柔らかな肉体の血と肉は、どれほどに甘美だろう──…?]
[じっと、見てしまった。
赤に、見惚れてしまった。
きっと、気づかれていない。
気付かれていない筈。
気付かれていないと…いい。
揺れる。
迷う。
――惑う]
[ロランの傷を覗こうとはしないが
目に留まる赤に少しだけ痛そうな表情が過ぎる。
酔いは醒めたと聞こえれば頷いて]
春と言ってもまだ水は冷たい。
風邪を引かないように
はやいとこ着替えた方がいいだろうな。
[線の細い年下の彼にそう告げて
膝から下を濡らした男は香草の生える其方へと歩み
置き去りの籠をひょいと持ち上げると
カチューシャへと差し出した]
いや。
[不安定な車椅子を支えつ、カチューシャの小さな声には首を振る。
それからロランの方へ目を遣ったなら、赤い色が見えた。
それが分かれば、僕に向けられるそれぞれの視線に含まれる意味は理解できる。]
薬は、一度取りに帰らないといけないが。
……見せてみろ。
[そう断りを入れて横側に移動し、怪我をした方の腕を取ろうとした。]
酔って落ちたのか。
[酔い覚まし、などという言葉が聞こえれば、僅かに呆れの色も浮かぶのだが。]
ごめんね…?
[もう一度謝罪を置いて、イライダから身体を離す。
彼女がお茶を勧めてくれるのには、ん。と頷いた。
少しだけお化粧を直してもらって、ハーブの香るお茶を頂く。
揺れる心が、少し、穏やかになるような気がした]
…あ、ユーリーも
[濡れてしまった。
色濃くなった彼の足元を見て、少し声音を上げる。
どうしよう、と視線泳がせた後、
キリルの声に振りむいて、素直に手を上げる。
白いシャツが破れ、赤く染まる傷。
切り傷と違い擦り剥いたそれは、赤く生々しかった]
…飲んで無い。
昨日の、二日酔いがちょっと、と。
[普段から笑み見せない男の呆れた声に、
少し小さくなって俯いて視線だけ、あげる]
[ロランが車椅子にちゃんと戻れば、支えていた手を離す。
レイスが傷を見ようとするのを邪魔しないように一歩離れたところで、置いてきた籠を思い出し――]
え、あ……ありがとう。
[目的の籠をユーリーが差し出すのに、はにかんで答えた。
頭痛とロランの騒動で青ざめていた顔にちょっとは血の気が戻る]
ありがとう、ご馳走さま。
…また今度、色々と話を聞かせてね。イライダ姉さん。
[微笑む彼女の背後に、薄紅色の花が咲いている。
淡く淡く薫る春のいろ。
それへもう一度笑み返して、ボクは彼女の家をあとにした]
─→自宅─
[レイスの紡ぎに男ははたと瞬きして]
まだ若いんだからそういうこともあるさ。
ロランも経験を重ねて
何れ僕らを追い越してしまうかもしれない。
[軽い口調で紡ぐのは
自分たちの“若い頃”を思い出して。
ロランの上げた声にはふっと目を細め]
これくらい大丈夫。
帰れば着替えくらいはある。
[心配するな、と言う風にさらと声を返した]
―― 畑 ――
[小屋での作業が終わると、薄い皮手袋をして花を摘む。
自分と家族と、それから村に分ける分。
加工用でなく食用にするため花を摘む]
……………
[この花には小さな棘がある。
花畑の畝の中、指に挟んだ刃でぱちんぱちんと摘んでいく]
[血の香りと対極にある、ハーブの香り。
それがボクの心を、人の世界に引き戻す。
食べたい、食べたくない。
食べてしまいたい、──…なくしたくない]
……ロランも、
[きっと同じく惑う幼馴染のことを思う。
きっと彼も、今、同じ迷いの中に居るのだろう]
――ん、………どうして、だめなんだ…?
[目の前の男の顔は見えない。]
『無理だよ。俺は人狼だから。話くらい、聞いたこと…あるだろ?』
まだ幼かった自分にとって人狼なんてただの噂で、目の前の男は人にしか見えなかった。
狩猟に出る父の後を無断で尾行け、まんまと森の恐ろしさを目の当たりにし、その上半べそをかきながら歩いていて、急な斜面から滑り落ちた。
そして、通りかかった見たことのない男に助けられた。
男は「安住の地を求めて」と冗談めかしながら、旅をしていると語った。]
『俺んとこの集落に住めばいいよ』
[何も知らない自分の言葉に、男は頭をゆるりと横に振り、笑った。
顔は思い出せないけれど、確かに笑ったのだ。
…すごく哀しそうな顔で。]
ロランもカチューシャもいい子だな。
[二人にそんな感想を漏らし
はにかむカチューシャの眸を覗く]
如何いたしまして。
キミも無理はしないようにね。
マクシームが心配する。
[幼馴染の妹に案じる言葉を掛けた]
―朝・自宅―
[ゆっくりと、瞼を開く。
自宅の天井…ベッドの真上の見慣れた光景だった。]
――夢、か。
[久々に彼の夢を見た。
自分を人狼だと語り、頑なに集落に住まうことを拒んだ男。
彼と出会い、別れたその日からしばらく経って、「遠くの集落で人狼が出た」との噂を耳にした。
単なる噂だ。本当は狼や熊辺りの仕業かもしれない。
そう思いながらも、無意識に…脚に残る傷に手が伸びた。
通りすがりの旅人にからかわれただけ。
自分に言い聞かせようとするが、彼の哀しい笑顔が、…顔も思い出せないくせに胸を締め付けるのだ。]
─ 自宅 ─
ただいまー…、兄貴?
[帰った家は、無人だった。
元より少し立ち寄るだけのつもりだったから、問題ない。
すぐに裏庭に回った。薄紅色の花の枝を、一枝二枝]
……。ただ見せに来たって言っても、だし。
[墓参りが完全に口実化している。
若干の後ろめたさを感じながら、もう一度家に戻って鏡を見た。
花の枝と同じ、春の色を纏った顔がそこにある]
よし。
[髪に飾った白い小花のピンも確かめて、
ボクは、意を決してイヴァンの家を目指すことにした]
/*
ミハイルさんとも絡みたいよね。
てかその人狼ネタ拾いたいよね。
人狼だからね!!!ww
・ユーリーさんの水晶玉
・ミハイルさんの人狼話
今のところ拾うべきはこのくらい かな?
森の人口密度すごいな。
大丈夫だ。
[あの篝火で狼は集落へは寄って来ないだろうし、万が一入り込んでも、戸締まりをきちんとしていれば家の中まで入って来られるはずがない。
こちらから…招き入れなければ。]
…………ばかか。
[わしわしと頭を掻き、ベッドサイドに置いてあった煙草に火を点ける。
ふぅ…と、煙と共に大きな溜息を吐いた。
大丈夫だ。もう一度、言い聞かせるように胸中で呟く。]
[いいこ、と子ども扱いされても、兄と同い年の友人ならしかたがない。
青い瞳を覗き込まれて、ユーリーと視線を合わせたまま小さく頷いた]
はぁい。
――もう、あんなことはしないもん。
[昨夜のよっぱらい状態はユーリーにも見られていることは覚えている。
恥ずかしそうにしながら、素直にこたえるのだった]
[ロランの腕を取る。屈んで、傷を見た。
傷跡は痛々しいが、然程酷いものでもなかった。]
……まあ、薬を付けておけば大丈夫だろう。
先に着替えるか?
[そう言って立ち上がる。
着替えるのなら、その間に薬を取って来ても良い。
そう言えば先程熱醒ましの話も聞いたことを思い出す。]
悪いとは言わないが。
なるべく仕事は増やさないでくれると有難い。
[ユーリーの言う“若いうち”には、心当たりがないわけでもない。
ただ、相変わらず笑顔を作るのは不得意だ。
今だって軽口のつもりだけれど、ロランの目にはどう映ったか。]
[ふと、道端を行くボクの足が止まる。
一瞬のことで、また何事もなかったように行くのだけれど]
…ん。なんとなく、感じたから。
何かあった…?
[迷うような惑うような、酔うような。
揺れる感覚を、ただ感覚のみとして幼馴染に問い掛ける]
[再び広場の脇を抜けて、イヴァンの家を目指す。
家が見えたところで、一度立ち止まった。
髪に手で触れて、乱れていないかをチェックする。
それから、そうっと家を覗き込んだ]
イヴァン、いる?
[いつもより声が小さくなるのは、緊張の所為]
…俺は、いい子なんかじゃない。
[ユーリーには低い声で反論を返すのは小さくて。
はにかみ、恥ずかしそうにするカチューシャを横目で見て、
レイスの言葉には、俯いたまま上目で頷いた。
自身も無愛想である自覚はあるが、
レイスは別格だと、こっそりと思う]
…ん、もう、用事は済んだから。
帰って着替える…それから、そっちに行くよ。
[手間を増やして居るのはまさしく自分であったから。
彼の言葉が軽口に聞こえる訳も無く、
きゅ、と、両側の車輪を掴む手に力を入れた]
――ン、良い返事だ。
[カチューシャの頷きに
花色――薄い藍色の双眸が緩い弧を描いた]
怪我や病気が増えると心配だ、って
そう素直に言えばいいだろうに。
[なるべく仕事を、と言うレイスの其れが
軽口だと付き合いの長さで分かりはしたから
そんな風に言葉を返して男はわらった]
―― 畑 → 自分の家 ――
[収穫した小さな花びらで満ちた籠を背負い、一度戻ることにした。
少しだけのつもりだが、それでもまだ水分を含んだままの花びらの山はそこそこ重い]
[作業でだいぶ汗にまみれた姿と作業着で、でも自分の家の近くに人影を見つけると破顔した]
そこにはいないけど、こっちなら。
やあ、キリル。酒は上手く抜けた?
墓参りの準備が出来たとか。
[そそくさと寄って行ったので、ふわりと風に小さな花弁が舞った]
だいじょうぶ。
[囁きだけでなく、感情も漏れるものかと同胞を想う。
俯いた侭に小さく呟く言葉は、そっけない。
自身の血で酔いそうだなんて、言えるものか。]
そう。なら、いいけど。
[揺れる感情、溢れるままに気配を感じたとはいえ、
流石にその理由までは思い至ることはない。
素っ気無い口調に、僅かに案じる気配が滲む]
いい子な訳ない。
だったら――僕は、どうして二度も捨てられたんだ。
[ユーリーの言葉に、少しだけ鼻の奥に熱を感じたから
俯いた顔は、あげられず。
背中のままで、頭を振ることすらできなかった]
わ…、畑だったんだね。
花を摘んでいたの?お疲れさま。
[花篭を背負った恋人の姿に、少し照れた笑みが浮かんだ。
風に乗って、ふわりと汗に混じった花の香りが届く。
そちらへと駆け寄って、首傾げて花篭を覗いてみた]
うん。花を持ってきたから。
行けたら行こうかなって…イヴァン。重くない?
[降ろすなら手伝おうかと、彼の負う籠に手を添えてみる]
[薄い藍色の瞳が笑みのかたちを作るのをみて、えへへ、とユーリーに笑いかえす。
花のような色だと、昔兄がからかったのを聞いたことがあるけれど。
綺麗な色だと思った]
あ、ロラン。無理しないようにね?
[帰る、というロランの声に視線をそちらに戻し。
レイスの軽口は軽口には聞こえなかったけれど、ユーリーのツッコミを聞けば納得できるものでもあった]
―― 自分の家 ――
[彼女が振り向いた。
少し目を見張る。幾度か瞬いた。可愛らしいピンと化粧]
………わぁ
[少し呆けたように口が開き、すぐに浮かべる満面の笑み]
キリル。可愛いな。すごく素敵だ。
似合ってる。どうしたの?
[彼女が花かごを覗く。花の香りに混じって化粧品の香料が幽かに届いた。ほう、とため息ついてまじまじと眺める]
本当に綺麗だ。
ああ、いや、大丈夫。ありがとう。
[花籠を下ろす気もそぞろ。手伝ってくれるのは嬉しいけれど、汚してしまってはと思わず断っていた。何か体は動いていても、視線は彼女から離れない]
ごめん、俺、こんな格好だ。これを置いたら少し時間が空くからいいよ、行こう。嬉しいな
[不器用な一面をみせるレイスとロランを交互に見遣り逡巡。
僅かな間の後、帰るらしいロランの方へと駆け寄る]
ロラン
帰るなら途中まで一緒に行こうか。
[車椅子へと手を遣り
ロランを手伝おうとするのは怪我の件があるからか。
それは言葉にこそせず、ついでを装い]
カチューシャも気をつけて。
マクシームによろしく。
[昨夜あったばかりの幼馴染の名を紡ぎ言葉を掛ける]
[一人で帰るロランは心配だったけれど、きっと一緒に帰るのは嫌がられる。
だから言い出さなかった。
そしたらユーリーがロランと戻ると聞いて]
うん、気をつけるね。
ロランもユーリーさんも、またね。
[兄に、といわれて頷いた。
手を振って二人を見送り]
レイスさんはなにか森に用事だった?
あたし、ちょっと入り口にある花を摘みに行くから、ついでに行って来ようか?
[ロランの治療をするなら森での用事を肩代わりしようかと申し出てみる]
/*
とりあえず、死ねない気がしてきた。
死にたがりが多い気がするぞう。
もうちょっと他の人と絡みに行こうぜ。
あと1往復かなあ。
え…っ。あ、変じゃない?
あのね、イライダにお願いして教えて貰ったんだけど…
おかしくなってないかな。
[イヴァンの笑顔に、ボクの心臓が跳ねた。
まじまじと見つめられて、ますます視線が下に向く。
けれどやっぱり気になって、もう一度顔を上げた。
本当に大好きな笑顔が、そこにある]
ほんと?……良かった。
本当は、イヴァンに一番見て欲しかったから。
[頬が熱い。きっと、耳まで赤くなってしまっている。
手伝いは気遣うように断られてしまったから、
何だか落ち着かない気分で、おろりと役立たずになってしまう。
そわそわと、落ち着かない手で髪に触れた]
…あ、
[ユーリーが駆け寄るのに、小さく声を上げる。
少し表情が崩れていたから慌ててむすりと眉を引き絞り
口元を覆うと膝にまた、ぽたりと血が落ちた]
――俺、今、血の匂いしてる。
[菜食主義の男は、厭じゃないのだろうか、と
少し眉を寄せて手の内から、言葉を零した。
幼馴染が手伝うと言えば一人で大丈夫と我を通しても、
年上の者達に言われて通す気は、無い。
それは幼馴染だけに見せる甘えなのかもしれないけれど。
小石落ちる小道を行く車輪は、ガリガリと硬質な音。
重なるキィと高い音は、少し先の広場近くまで響いた]
/*
みんな死亡フラグ立てすぎ。
みんな死亡フラグ立てすぎ!!!噴くわwww
イヴァンも吊られフラグですよね…
畑の死体とかそうですよね…。
ミハイルさんは襲撃寄せですか。どうなんだ。
吊られたいww
[幼馴染の同胞に言った、あれは嘘じゃない。
傍にいたいと思う。一緒に過ごしていたいとこんなに思う。
けれど多分。
本能に抗う術を覚えなければ、今日か明日かいつの日か、
────ボクは、彼のことも喰らうのだろう]
誰でも怪我をすれば血の匂いだってするさ。
[血も肉も、口に入れる事が出来ないだけ。
実際は食べてみれば平気かもしれない。
けれど、亡き母がそう育てたのだから
今更、食に対する主義を変えようとは思わないだけ。
背後から車椅子を押す男にはロランの表情は窺い知れず]
流石に、まだ痛むだろう。
[案じるように言葉紡ぐのは厭でないという証か。
広場へと差し掛かる頃、
ミハイルが何処かへ向かおうとするのが見えて
挨拶がわりに軽く片手を掲げた]
―― 自分の家 ――
変じゃない、変じゃない
すっごく綺麗で可愛いよ。もともとキリルはすっきりした顔しているから、すごく映えるんだ
[彼女の視線が下を向いてしまうと彼女の顔が見えなくなるから少し残念。それでも再び目が合って、すぅっと目を細めた]
一番のりか。ありがとう。うん
[囁かれた言葉に、たまらなくなった。
昨夜、アルコールに外されてしまったリミッター。
きっと2回目からは外れやすくなってるんだ]
[賛辞の言葉は止まらない。
言葉だけでは足りなくなって、彼女が自分の髪に滑らせた小さな手に自分の手を伸ばした]
[避けられなければ、その手の甲に唇を寄せようとする]
― 少し前:自宅 ―
[否定のない「かわいい」に、ほほえましいと彼女を笑って見つめる。
似合うだろうと持って当てたピンは予想通りで、鏡越しに目を合わせた。
だから、涙に気付いたのは鏡を介してで]
キリル?
[少し、驚いたような声。
抱きつかれて、驚いたままではあったけれど、そっと抱きしめる。
あやすように片手で背を撫でて]
うん、大丈夫。大丈夫よ。
[謝る彼女が落ち着くまで、ゆっくりと。手を離したりもせずに、そのままで。]
不安になっちゃったのね。
[言い訳のような言葉に、そっと、そんな風に言葉を返す]
今が、幸せだとね。簡単に不安になるものよ。
でも、大切な人と一緒に居て、不安も全部話して。
そうしたら、きっとすぐ、今までよりずっと幸せになるわ。
不安がどこかにいっちゃうくらい。
[小さく笑いながらそう言って。
彼女の再度の謝罪に、そっと頭を撫でた。
離れた顔を見て、少し笑いかけて。
それからお茶をして、化粧を直して。
使った化粧品と、化粧落としを渡したりして、彼女を見送った。]
いつでもいらっしゃい。
キリルなら、何時だって歓迎よ。
夜が明ける前には戻って寝たよ。
流石に徹夜は堪えるからね。
[この歳になると、と軽く付け足して
続く言葉には驚いた風に瞬き
ロランの烏色を後ろから見詰める]
さあ、如何かな。
この歳にもなって伴侶もいないンだから
「良い男」にはまだまだだろうけど……
キミにそういわれるのは悪い気はしないね。
[小さく笑う気配だけを滲ませた]
うん。あの…、良かった。
けれどイヴァン。もう照れてしまうよ。
[だから。と、困ったように口にする。
嬉しくて顔は綻ぶけれども、心臓はやっぱりドキドキしていて、
つまりは、呼吸は速くなるし大変なのだ]
……ね?
[首を傾げる。
照れ隠しに髪に添えた手は、無防備だった。
もう片腕には花の枝を抱えているから、避けようもない]
っ、〜〜〜イヴァン!
[不意に引き寄せられた手に甲に、柔らかな温もりが落ちる。
振り払うなんて考えの外で、だからボクは真っ赤になってしまった。
何かを言おうとして開いた唇も、上手く言葉を紡げない]
[照れる彼女も可愛かった。彼女の手に唇を落とす]
[彼女の手からわきたつ甘い香り]
[ 『愛は最高のスパイスだ。
愛しているからこそ狂おしく美味いんだ』 ]
[何故なんだろう。
ふと昔聞いた誰かの言葉が脳裏を掠めた]
……………
[気がつけば、彼女の手の甲に軽く歯を立てていた]
[ただ口付けを落とすだけのつもりだったのに。
かりっとした感触ではっと正気になった]
あ、
ごめ。
ごめん。
痛かったよね。あぁ俺何やってるんだろ。ごめん。
[ばっと身を起こし、自分の手を引いた。血を出させるほどの力ではなかったように思うが、少し跡にはなるのかもしれない]
[キリルを見送った後、少し表情が曇った]
……不安ね。
[彼女は大丈夫だろうかと、心配が立つ。
あとでレイスにもこっそり言っておいたほうがいいのかもしれないと、少し悩んだ。]
/*
人間ですや。
狼じゃないですや。
言い訳のしようもない感じになってきたけど。
一応、言い訳としては、血を出すほどじゃないってところと、普通に性欲なのです。はい。
有難う。……気をつけて。
[ロランたちに向けたのと同じ言葉を、カチューシャにも向ける。
礼のついでに笑顔でも浮かべられたら良いけれど、やっぱり上手くいかないのだろう。
以前に一度だけやった作り笑いは誰だかに怖いと言われたので、それから無理はしないようにしている。
ともかく、カチューシャの姿が見えなくなるまではそこにいて、それから自宅へ向かうことにした。]
…なら、良いけど
[この歳、と続けられるのには、そう変わらないと思う。
実際に自分がその歳になればそう思う事は無いだろうけれど、
今のロランにはそう思う事はできなかった。
小さく笑う気配には、少しだけ身を捻って見遣る。
烏色の双眸は胡乱げだが、微かに不思議そうな色。
が、ミハイルが小走りに近寄って来るのを見て
その勢いに、そちらへと体ごと向け]
ちょっと、へましただけ。
[心配されている風に聞こえたし見えたから、
僅かに肩を竦めたのは、レイスの言葉も思い出して]
イヴァン、あの……
[手に口付けた、彼の動きが少し止まったように思う。
さすがに居た堪れなくなって、声を掛けた。
───その時、不意に]
────痛…ッ
[かりり。と、肌に食い込む感触がある。
思わず小さく悲鳴をあげる、
その声にハッとしたように彼の顔が上がった。
ボクは思わず、ひどく驚いた顔のまま彼を見返してしまう]
…イヴァン?
[不安定に、声が細く揺れた]
[暫くして、家を出る。
向かう先はいつものように墓地だけれど、
誰かに会ったなら、いつものように挨拶をして、話をしたりもあるだろう**]
はーい。
それじゃあいってきます。
[レイスの表情を読むのはうまくない。
幼馴染のロランの表情なら大体わかるけれど、10歳ほど離れているレイスとは、キリルを通しての接点だけだからだったかもしれない。
見送ってくれるレイスに手を振って、森へと向かって歩き出す]
→ 森の入り口
―― 広場への道 ――
[ミハイルの言葉に一度目を伏せてから
彼と視線を重ね]
少し水浴びを、ね。
年甲斐もなくはしゃぎすぎたみたいだ。
[軽口に似た口調で返す。
へました、とロランの声が聞こえれば
それ以上の軽口は重ねずに]
怪我の手当ては一応レイスに頼んであるけど……
そっちは?
[何か用があるのだろうか、とミハイルに問う]
[これは一体何。驚きの中で考える。
……彼も仲間なのだろうか、人狼なのだろうか。
否。と、魂の奥底がこたえを返す。
ならば囁きの通じぬはずはない。
遺体は彼の畑にあった。当然だろう。
旅人を喰らったのは、あの近く。
ならば手近なところに死体を隠す、それがたまたま畑であっただけのこと。
それではこれは何なのだろう。
赤の滲まぬ手の甲を、凝然としてボクは見つめる]
―― 自分の家の前 ――
[不安げな呼びかけ。俯いた]
……ごめん。
ちょっとどうかしてた。
怖がらせたりするつもりはなかったんだ。
ごめん。ほんとに。薬、いるかな。
[ちょっと色々とやっちまった感で顔が上げられない。
片手で首裏を押さえ、ただ頭を下げた]
う、ううん。大丈夫。血も出ていないから平気。
…ちょっと、びっくりしただけ。
[ふるりと頭を振った。
痛みよりも気にかかるものがある。
首を傾げて、じっと俯く恋人を見つめた]
……どんな味がするか、気になった?
[怯えたともまた違う問いを、彼へと向ける]
…、気になる?
[誘うように、ボクは再び手を差し出す。
一歩、二歩。足を踏み出した。
ごく間近に、頭を下げる恋人がいる。
その顔を、覗き込むようにした]
────試してもいいよ。
[彼が本当に齧りついて来たら、どうなるだろう。
彼も人狼になるのだろうか。
そうしてボクは、彼に喰らわれるのだろうか。
その一部になるのだろうか。
…ならばそれも良いかもしれない。甘い、誘惑]
[ヤンチャなどと言われればクツと喉を鳴らした。
ミハイルの用がロランにあると知れば微か首を傾けて]
話があるなら僕は失礼するよ。
[後はミハイルに任す心算か。
ゆら、と手を振り家に戻ろうと歩みだす]
―― 自宅前 ――
ならよかった。でもごめん。
[自分の足先見つめてた]
[そこに向けられた、問い。
おそるおそる顔を上げて彼女を見やる]
………………
[少し血の気が引いていた頬にぼんやり朱が乗る。
ちょっとの間唇をふるわせて葛藤を見せた後]
ええと、うん。はい。ちょっとだけ
[視線が気まずそうに斜めにずれて、もうちょっと酷い理由はなんとか喉に押し込めた。けれど、誘われるように差し出される手。踏み込まれる足。顔が一気に赤くなる。詰められた分だけ後ずさった。目が合う。今度は瞳を逸らせない]
えっ
あ
― 森の入り口 ―
[レイスと別れて一人向かったのは、狼たちが落ち着かない森の入り口。
目的の花は黄色の花で。
優しい香りをしている。
それは村からも見えるような位置に咲いていた]
……えーっと、レイスさんのは、もうちょっと入ったところ、か。
[目的の花を摘んだ後。
レイスから頼まれた薬草の場所を思い返して、森を見る。
朝とはいえもう日は大分高い。
木々にさえぎられていても森の中もそこそこ明るかった]
まあ、大丈夫だよね、きっと。
[よし、と一つ頷いて、森の中に入る]
………ごめん
[とん、と背がさっき下ろした籠に当たる。
情けないことに、そのままばっと背を向けた。
ふらふらどこかぎこちない足取りで逃げるみたいに離れようとする]
……勘弁して。そんなことされたら止まれないよ
傷つけたくないんだ
[追おうと思えばそんな情けない囁きが聞こえるかもしれない**]
[ユーリーを振り返ると、彼は車椅子から離れた所で。
ゆらと振られる手をその眸に映し]
――ありが、とう。
[告げる声はとても小さかったけれど、届くと好い。
ぽたぽたと落ちる血は随分少なくなってきていて、
膝の上の水玉も、少しずつどす黒い色に変化していた]
/*
ここは怯えてあげるべきなんだと思うんだけどww
疑ってあげるべきなんだと思うんだけど!!!
ごめん赤なんだ。どうしようかなああああ!!
…それは、吸血鬼か…屍鬼。
[御伽噺でも、増えるとは見た事が無い。
だが、イヴァンが齧ったと聞けば、眉を寄せる。
――そして思いついてしまった事に、更に、視線を落とした]
…キリルと同胞になりたい、とか。
[人を食べればなれると思っている、とか。
それは詰まり、キリルを人狼だと思って居れば、だけれど]
[小さな声が風にのり届いた。
歩む足が止まり、振り向いて]
――…早く治るといいな。
[ロランを流し見てそう告げる。
男の顔には淡い笑みが灯っていた。
そうして何事もなかったかのように帰ってゆく]
…「人狼」は、治らないよ。
ユーリー。
[見えた男の柔らかい笑みに、胸の内へと言葉を落とす。
それは想いだけでなく、思わず囁きに乗ってしまったけれど]
え…、イヴァン?
[ボクは、大きく灰銀の瞳を瞬いた。
見つめる先に、大好きな恋人の姿がある。
気まずげな様子に、特に理由が思い当たらなくて首を傾げた]
なら、どうして、
[くるりと背が向けられて、びっくりした。
先までの落ち着かなさとはまったく逆だ。
分からないから、追いかけた。それなのに]
吸血鬼か屍鬼…人狼とは、別のものだね…?
[あまり良く知らないボクは、首を傾げる。
車椅子の幼馴染は、だからでもあるのだろう。
ボクよりもずっと物を良く知っていた。
だからこそ頼るところも大きいのだが]
ボクと……、同じに、
[こくりと唾を飲み込み、背を向けた恋人を見る。
もうばれてしまっているのだろうか。
そんな素振りはない。ないと思うけれども]
[森の中をあるくとか、そんなに得意ではない。
というかどっちかというと、あまり森に入らない生活をしていた。
きてもせいぜい入り口あたり。
そんな状態だから森の中ではちょっと慎重に歩いている]
……やっぱり、ちょっと怖いかなあ……
[歩きなれていない上に、狼のことがあるから、些細な物音にびくりとしてしまう。
薬草のある場所まではそう遠くない。
ゆっくりと歩いていても15分もかからずにたどり着く]
――うわあ。
[薄暗かった。
薬草が好む場所のせいなのだろうけれど、木々がぎっしりと枝を鬱らせていて、かすかな木漏れ日が届くぐらい。
そんな場所の足元に、そこそこ生えている草が目的の薬草だった]
……早く終らせて、帰ろう。
[きょろりと周囲を確認してから、しゃがみこんで薬草を採り始めた**]
[ユーリーの言葉に、烏色でじっとその淡い笑みを見た。
それから被さるミハイルの言葉に、ん、と頷いて]
暇なら来てもらっても、と思ったけど、
ユーリーも着替えたいかも。
怪我は多分、してないと思う。
[自分が把握する限りでは、だけれど。
それからミハイルが口を深く笑み刻むものだから、
少し、口角を上げてしまう。
そして彼に車椅子を押してもらい、自宅へと戻る。
広場からほど近いロランの家は古く、玄関も軋む音を立てた*]
[ミハイルの声が男の背に届く]
僕はこの通り、大丈夫だよ。
[二人の方を向き答えた男はそのまま後ろ向きに歩んでみせた。
歩調は軽く澱みなくあれば怪我はないと知れよう。
笑みをみせてから、再び背を向ける。
ユーリーがこの村を離れぬのは
この村と村に住まう隣人との関係を好ましく思っていたから]
…皆が人狼になれば、殺されたりはしないかも。
でも…
――それでも、飢えて死んでしまう。
[隣の村までは、どれくらいだろう。
ふと、この集落全員が人狼になり村を襲いながら遊牧する、
そんな夢想を描き、微かに苦笑めいた気配を浮かべた]
……誰かを、襲う、とき。
齧って暫く様子をみてみようか。
[そんな事は無いと思うけれど。
もし可能性があるなら、価値はある気はした]
…え?
[キリルの切迫した言葉に、驚く声を返す。
そんな心算は無くて、ああ、漏れていたのか、と思い至り]
ああ、ううん。
怪我を、治ればいい、って言われて…
――まるで、人狼が治ればいい、って言われた、
みたいだった、だけ。
…気付かれていないと思う。
御伽噺の…「見分ける者」、だったかな。
そういうのじゃない限り、すぐには、判らないと思う。
―― 自宅 ――
[濡れた衣服が気になるようで足元へと視線を落とす。
人の居る場所では微塵もそんな素振り見せずに居たが
肌にまとわる冷たさには少しだけ参っていた]
水浴びには少し早かったなぁ。
[微か苦い笑みを浮かべ廊下で濡れた衣服を脱ぐ。
其れらを摘むと洗濯籠にほおりこみ
手早く着替えを済ませた。
ふと、廊下をみればぺたりぺたりと濡れた足跡]
そのうち乾くだろ。
[ぽつと零しそれはそのままにしておいた]
皆が人狼に?…ふふ。
そうなるなら、もう少しは気が楽かな。
[それでも飢えると言われれば、そうかとも思う。
その一方で、この小さな村を食べつくしてもとも思う]
───…ん。
その可能性があるなら、やってみるのもいいかな…。
[若干口調が曖昧になるのは、血に酔った時に止まれるか、
その自信があまりないせいでもある]
…夜になる前には、相談をしよう。
紅い月が天に昇ったら――
こうして話も出来ないかもしれない。
…食い散らかすよりは、
一人を食べ尽くす方が
バレない事に関しては良いと思える。
[血の匂いが身体の芯から湧きおこる飢えを呼ぶ。
ものたりない、じゃ済まない。
――足りない、飢える、――]
……駄目、なのに、
[今はまだ陽光見えるその空に、月が忍び寄るを感じる。
自身を制する理性の声は、もう、蚊の鳴く、*程の*]
怪我を、…人狼が治ればいいってみたいに?
ユーリーが?
[語尾を上げる調子。
続く言葉に、ボクは眉を顰める]
見破るもの。いるのかな。
人狼がいるのだから、いるのかな……。
[残念ながら、オリガからは何も聞いていなかった。
彼女の兄には幸いであったろう。
人狼の天敵たるもの。
その存在を知られることがなかったのだから]
行くね。
イヴァン、ごめん…ありがとう。
[別れの言葉みたいに告げた。
先に口付けを受けた手を、もう片方の手で握り締める。
きゅ。と唇を噛み締めて、踵を返し駆け出す。
駆ける頭上、夜の好天を約束するような青空が広がって*いた*]
晴れてるうちに洗濯しとくべきかな。
[窓の外には澄んだ青空が広がっている。
男は独り言ちて悩むような素振りを見せた]
――…、ん。
[急ぐことでもない。
ならば気が向いた時にすればいい。
そんな風に考えて、其れを先延ばしにする**]
いる、と思うのがいいと思う。
用心するに越したこと、無い。
[低い囁きは、揺れる心中表すように少しだけ震えた。
もしそれが先程車椅子を押していてくれた彼だと知ったら。
どうするのか…――未だそれは知らぬ事]
― 森の中 ―
[どこか遠くで狼の声が聞こえる。
その度にちょっとびくついて手がとまった。
それでもなんとか薬草を採り終わり]
さて、かえろ……ぅ……
[振り返った、道を見た。
――どちらから来たのか、森の中でよく分からなくてちょっと冷や汗]
……たしか、こっちだったはず。
[ぐるぐると周囲を見渡し。
木々が薄いほう――つまり明るいほうへと歩き出したが。
迷子になる可能性は82%だった**]
―― 自宅 ――
[玄関の扉を開けると、少し湿った屋内の空気。
机に昨夜貰った齧り掛けのチーズと硬くなってしまったパン。
すぐに見える台所は長く使っていない事が知れる有様だった]
そっち、作業場だから行ってて。
着替えてくる。
[示す扉の先は中庭に繋がる広い作業場。
大きな水槽や飴色に使いこまれた足踏みミシン、
それに油満ちた樽などが並んでいる。大きな窓は、換気の為。
中央には大人の男が大の字になってもまだ余る程の大きな机]
[濡れた服を着替え肘の傷は洗ってから清潔な布で拭いた。
作業場へと向かう。
鹿の皮を受け取ると、斜めに立てた板に打ち付ける。
鋭いナイフで内側の皮下組織に残っている脂肪と肉を削ぐのだ。
手袋をして、研いだばかりのナイフをゆっくりと動かす。
赤く白い皮の内側が、小さく削られてぽたぽたと床に落ちた]
…ね。
ミハイルは、人狼…信じてる?
[作業進めながら、ぽつりと問いを置く。
視線は手元に落とす侭に、神経は年上の男へと向けて]
俺、あの旅人に本を貰ったんだ。
人狼についての伝承を綴ったものがあって、
[サリ、サリ、と手元から音はなる。
開けた窓から外の風が入りこむのは、少し、さむいけれど
換気の為に閉める事は出来ない]
…、
――いや、やめる。
何でもない。
[そこまで言ってから、手をとめて顔を向けて少し動きを止め。
ふると頭を横に振り、からすの色の髪を揺らした]
― 森の中 ―
……あれ?
[明るいほうに向かったのに、見えたのはぽっかりと木々が隙間を開けて燦々と日が降り注いでいる空間だった。
どう見ても村ではない]
えーっと……きた道を戻ればいいのかな。
[後ろを振り返った。
歩いてきたあとは下草がつぶれていてかろうじて分かるけれど、それで帰れるかどうかは不安なところである]
……まあ、大丈夫。
[おじけ付く気持ちを隠すように呟いて。
来た道を戻る。
時々狼の声が聞こえて足をとめるけれど、近づいてくる気配はない]
……早く帰らなきゃ。
[急ぎ足で木々の間をぬけて行く]
/*
展開にうんうんと唸りつつ、そういやなんか、イヴァンの畑は丘の上にありそうなイメージがある。なんでだろ。
紅花畑いいなあ。紅花茶とかイライダさんが飲んでいるといい。
見破る、もの……
[声が不安定に震えた。恐怖の所為か、それとも]
用心、しないと…そうだね。そうだね、ロラン。
ごめん。
[昼は理性の時。
人としての情が、心をどこか不安定にする。
けれども夜の時間は、もうじきそこまで迫りつつある]
[走る。背後から追う声は、あっただろうか。
走りながら目元を手で拭ったから、
せっかくの薄化粧もまた崩れてしまう。
走って、走って。人の居ないところを目指した。
気がつけば、ボクは森の端まで来ていた。
構わずがさがさと踏み入る。森の中なら人もいないだろう。
薄暗い木陰が、心細くもありがたかった]
今。イヴァンから逃げ出してきちゃった…
おかしく思われる、かも知れない。
[それでも戻る選択はない]
傷つけたくないって、言われたけど。
傍にいたら危険なのはボクの方だ。だから、
…用心しなくちゃダメなのに。
――ひゃっ!
[風が木を揺らす音と、時折まじる狼の声。
そんな中、不意にがさがさと大きな音が聞こえて怯えたように立ち止まった。
びっくりして開いた瞳に飛び込んできたのは――]
…でも、手を齧られたんだろう?
なら、人狼を怖がる演技としては良い。
[イヴァンを、人狼だと恐れる演技を。
それは、彼女にとってとても酷い事かもしれないと思う]
─ 森の中 ─
……えっ?
[誰もいないだろう、そう思っていた。
なのに聞えた細い悲鳴。その声に、ボクも思わず立ち止まる。
がさり。草の音が響いた。
柔らかな、見慣れた髪がまず視界に飛び込む]
…カチューシャ…?
[掠れた、我ながら酷い声だった。
慌てて一度、手で鼻を啜り上げる]
人狼を、怖がる演技。
[鸚鵡返しに繰り返す。
その意味が胸に降りて来るまでに、こくりと唾を飲んだ]
…ボクが?イヴァンを、人狼だって怖がった?
そんな風に、
[見えたかも知れない。
それでは彼は、どう思ったろう。
先とは別の恐怖に、また指の先が冷たくなる]
[恋人から人狼と疑われるかも知れない。
恋人を人狼と疑ったと疑われるかも知れない。
どちらがどちらとも、思えば心が恐怖に冷える。
ならば人を喰らわなければ良いのだろう。
血に酔わなければ良いのだろう。
けれどもうじき、紅い月は天へと登る]
― 森の中 ―
び、びっくりした。
[人の姿にほっとして。
そしてキリルである事を知って力なく呟き。
けれど、キリルの擦れた声と、泣いたような顔に別の意味で吃驚した。
彼女が泣いているところなんて、あまり見たことがない]
キリル? どうしたの?
[森の中で迷子になっていたことも忘れて、あわてて幼馴染の傍にちかよった]
[惑う気配に、落とすのは苦笑じみた吐息。
彼女の事だから、きっと目いっぱい驚いたのだろう。
それは、そう取られたと見てもいいと思う。
そして、そう気づいたら彼女がどう思うのかまで、思考して]
イヴァンが人狼に、憧れているのなら。
キリルの同胞になりたいと願っているのなら…
――キリルが人狼だと知っても庇ってくれるかもしれない。
[ふたりで、生き延びたいと願うなら。
そう難しく無い事なのかもしれない、とも、思う]
[すん。と、鼻を啜る。
慌てて顔を整えたつもりだけれど、
あまり上手く行っていないのは明白だった]
ちょっと…、あの。考えごと、しようと思って。
……。カチューシャは?草摘み?
[心配げに曇る表情に、慌てて言葉を捜す唇が空転する。
辛うじて話を逸らすけれども、多分ばれてしまうのだろう]
[幼馴染の薄化粧はすこし崩れていたけれど、普段とちがって可愛らしくしているのは見て取れた。
考え事、と紡ぐ人を心配そうに見つめ]
そう。あたしでよかったら、聞くよ。
[話をそらそうとするから、言いたくなったら、とはつけぬまま相手を見つめて。
そらされた話題に乗った]
あたしは薬草を採りに。
薬草は取れたんだけど、ちょっと迷ってたから、キリルが来てくれてよかった。
[えへ、と情けない事を笑って告げる。
キリルが泣いているなんて、原因となりそうなのは一つしか思いつかないけど、恋に関しては聞くしか出来ないからそらした話題に乗るほうが楽で逃げたとも言える]
[呆然として、慌てて表情を取り繕う。
今は目の前に、もう一人の幼馴染の顔がある]
もし、そうなら。
言えばロランのことも庇ってくれるのかも知れない。
そうしたら…一緒に、いられるかな。
……。怖がるのじゃ、ないのかな。
[惑う。これは人狼を知る人の情]
…俺の意識が有る限り、呼ぶ、から。
怖くない。
[怖い、と言う幼馴染には、低く囁きを返す。
本当に怖いのは、見破られる事か本能に流される事なのか
それも今は良く分からない。
――朱い月が、近づいて、血が熱を持つから]
…ん、ありがと。
ちょっとね、イヴァンと…、
[少し考えるように首を傾げる。
口元に手を当てて、思う間少し]
……。けんか。
[一番、当たり障りのない言葉になった。
逸らした話、そのままにしなかったのは幼馴染の気遣いを感じたから]
ん。薬草?ならちょっと見るよ。
あれ…、これひょっとして兄貴が頼んだ?
[カチューシャの抱えた籠を覗き込む。
見慣れた草が幾つか見えて、瞬いた]
…ん。
[低い囁き声に、またじわりと涙が目尻に浮かぶ。
ひどく感情が揺れやすく、不安定になっているのかも知れなかった。
旅人を襲った、一時の熱狂は通り過ぎた。
白々とした昼を通り抜ければ、人の理が己を見つめる。
そうして再び熱狂の時が近づけば、その理を知る心が怯えた]
………ん。
[それでも頷くのは、その囁きに心が安堵を覚えるから。
そうしてじわりじわりと、囁きは本能を呼び起こしていく]
[続いた言葉には、やはりまた苦笑めいた気配だけを返す。
自分が庇われる事は無い。庇われるべきではない。
キリルだけが、庇われる、べきだ。
少し意固地に思うのは、まるで拒絶の気持ちのように
相手に伝わってしまうかもしれない。
ん、と喉だけ鳴らして。
皮の内側削ぐ手を、止めた
イヴァンさんと喧嘩……
何があったのか、聞いても……?
[考える間があっても、伝えてくれたことが信頼されてるようでくすぐったい。
首をかしげて問いかけた]
あ、うん。
薬草見ただけで分かるなんて、キリルすごいね。
あたしも入り口で花摘むつもりだったから、ついでにっていったの。
[どうして肩代わりしたのか、とかはロランの怪我の話になるからそれは言わずに。
しかしそれを言わないことでレイスが悪者になる可能性は考えていなかった]
そうだね。ボクも…呼ぶよ。ロラン。
バレないように、きちんとやってみせる。
大丈夫。やり方は覚えているよ。
喉を狙うんだ。声立てられないように。
……、ロラン?
[伝わる、頑固な気配がある。
思考の中身までは伝わらないから、ボクは首を傾ぐ。
苦笑めいた気配だけが、漣のように伝わってきた]
ん。本当にちょっとしたこと。
イヴァンが、ええと…。
ボクを傷つけたくないって言うから。
ボクも傷つけたくなくて、だから、その……
……分からなくて逃げて、きた。
[最後の言葉を口篭る。
口にしてしまうと間抜けなようで、視線は自然と地面に落ちた。
そのまま緑の下草を見るともなしに眺める]
別にすごくないよ。慣れているだけ。
…兄貴はそれでカチューシャだけ行かせたの?
まったく。仕方がないな。
[殊更に明るく、常の口調へと戻す。
地面から籠へと視線を流す、目は幼馴染の顔を見なかった]
…喉を裂いたら、死んでしまうよ?
[人狼がうつるものなのか、齧ってみると言っていたから。
キリルの言葉に返す囁きは、少しだけ高い]
[続いた、名を呼ぶ囁きに目を伏せる。
ミハイルの前でおかしな様子は見せないように
そっと、本当にそっとだけ、息を吐いた]
ん。
なんでもない。
[思い話せばまた、泣きそうな声で怒られるのかもしれないと思う]
…なんでもない、よ。キリル
[本人が良く分からないというものが、聞いているだけのカチューシャに分かるわけがない。
それでもなんとなく思ったのは]
どっちも、相手を大事にしすぎてる、のかなあ……
自分の心が分からなくなるのは怖いね……
[ポツリ、と呟き。
何があったのかは知らないまま、キリルが口に出す事で落ち着けばいいと聞いているだけ。
最後の言葉には小さな同意を返した]
その慣れてるところがすごいんだって。
あたしが代わりに採ってくるって言ったんだもの。
レイスさんが一緒にきちゃ意味がないよ。
[しかたがないというキリルにぱたぱたと手を振った。
目をあわそうとしないなら無理にあわせる事もなく]
ね、キリル。
ついでだし、森の中でなんか良い香りがする草がある場所、知らない?
[唐突に思いついたというように口にする。
きっとまだ村には戻りたくないだろうしとの思いもあった。
キリルを探しにイヴァンがきているかもしれないとの思いもあった。
もしもイヴァンが来て二人っきりのやり取りになるのなら、きっと村に戻る途中よりは森の中のほうが心をさらけ出せるんじゃないかと、そんな余計な気を回した結果だった]
あ……。
[視線は下に落としたまま、少しだけ息が止まる。
見開いた目、それは未だ朱に染まってはいないのに]
でも、そうしたら。人が…来てしまう。
ばれてしまうよ。
…うん。
[名前を呼ばれると、少しほっとする。
宥めるような響きに少しだけ安堵するのだけれど]
うん、ロラン。
[本当に?と、問いかけた言葉を胸に飲み込む。
微かな不安残るのは、二度目の約束に声返らなかった記憶のために]
……悲鳴をあげさせなければいい。
口の中に布でも入れて。
[齧って、観察する様子を想像する。
なんて酷い事――
――なんて甘美な事――。
血と脂肪残る動物の皮の裏に目を落とした侭、
自分が考えた事なのに、ふると一度、震えた]
そう、なのかな。……分からない。
[ふるりと首を振る。
視線は緑をやはり見つめたままだったけれども、
優しく耳に響く幼馴染の声は、心地良かった]
…うん。怖い。
[ふ。と、息を吐くようにして一度目を瞑る]
ずっとやっているから。
カチューシャも知れば慣れるよ…、ほら。
これは乾かしてお茶にしたら疲れが取れる。
持って帰って、兄さんに飲ませてあげたらいいんじゃない?
[ひょいと籠の中の薬草を取り分ける。
ちょっとくらい減っても、兄貴は気にしないだろう。
そう思うことにして、少しをカチューシャの花の方に取り分けた]
良い香りがする草のある場所?
それならもう少し向こうの…
[顔を上げて森の向こうを見る。
川へ向かう道の、それより少しだけ逸れた場所。
そうして何気なく幼馴染へと目を向けた。
優しい気遣いが、彼女の口調の中に滲んでいる]
―― 広場 ――
[男はふらりと再び外に出る。
山から吹く風に肌寒さを感じた。
広場まで出れば、マクシームが篝火を準備しているようだった]
やあ。
[手を掲げて声を掛ける。
同じように手を掲げた幼馴染の掌をそのまま軽くたたいて
二人、にっと笑いあった]
僕も手伝うよ。
二人なら暗くなる前に終わるだろ。
[薪を運び小さな枝に火をつけ移してゆく。
パチパチと爆ぜる音がして篝火が灯ってゆく]
―― 広場・篝火の側 ――
[篝火の側は熱が伝わりあたたかい。
近くに腰掛けたマクシームの隣に男は腰を下ろした]
――…もう、何事もなければいいな。
[ぽつ、と呟き幼馴染をみる。
彼が頷くのが見えて男は頷きを返した]
旅人が襲われたのは残念な事だ。
不幸に見舞われた旅人を悼む気持ちは無論ある。
けれど、同時に――…
シーマやイヴァでなくて良かったとも思った。
[控え目な声は炎の音に所々かき消される]
人狼――…か。
[御伽噺の中の存在。そう信じ込みたいと思いながら柳眉をよせるは
存在を否定するだけの要素がみつけられないから。
考え込むように顎に手を宛がい俯く]
人の血肉の味ってどんなだろうな。
――…僕は鹿や牛、肉や魚の味さえ知らないけど
うまいと思うから、食べるんだろうか。
それとも必要だから、食べるのか。
[菜食主義の男はぽつぽつと考える事を言葉にした。
ユーラは、と問う幼馴染に男ははたと瞬く]
僕の場合は、そうだなぁ。
野菜もパンもチーズも美味いから食べるし
食べなきゃ生きていけないし、なぁ。
[マクシームと語り合えど答えは出ぬまま
そのうち黙り込み二人で篝火をじっと見詰めていた**]
[それからミハイルと話しは続くかもしれない。
ふと顔を外へと向けると、
あんなに地面を照らしていた陽光はピンクと紫の空。
窓から見える広場で、篝火の準備をしている人影が見えた]
…今日は、此処まで、かな。
次の作業は乾かさないと…だから
[くる、とお腹が鳴る。
机の上にあった食べかけのチーズに手を伸ばして齧る。
ミハイルにも食べる?と差し出してみるが、
乾いたそれは、きっと最初よりも味が落ちて居ることだろうと思う]
頭で考えても分からないってよく言われるし、ちょっと考えるのやすんだら良いんじゃないかな。
[わからないという幼馴染をせかす事も諭す事もなく、のんびりと答えて。
彼女が落ち着くのを待った]
へー、そうなんだ。
お兄ちゃん、広場で作業してたし、後で作ってあげようかな。
[キリルがより分けてくれる薬草に、なるほどと頷いた。
森の中に詳しい幼馴染が示すほうへと視線を向け]
あっちのほう、か。
ね、一緒に行こう。
[一つ頷いてキリルを見る。
見つめられて首をかしげ]
あは、ありがとう、はあたしのほうだよ。
だって、迷子だったんだもん。
キリルが来てくれてほんと良かった。
[感謝は受け取ったけれど。
それよりもこっちのほうが助かったといわんばかりに笑みを浮かべて。
キリルの手をとって感謝した]
悲鳴を上げさせない。
押さえつけて、口を塞いで声を殺して?
ん。でもそれなら、イヴァンに言ってみたら…
…どうなるんだろう。
[もしも本当に彼が人狼になるを望むなら、と。
けれど変化しなかったら。その先はどうしたらいいんだろう。
───自分は血の味に止まることなんて、出来るのだろうか]
言い出したのは、ボクなのにね。
[苦笑する。悲鳴を聞きたいわけではない。
ただ食事がしたいだけだった。
だから喉を狙う、そのやり方はあまりにも変化には向いていない]
……言えるのかな。
[彼に、自分が人狼だとばらしたら。
どんな風に反応をするのだろう。どうしたらいいのだろう。
ふと、そんなことを夢想する独り言が落ちる]
ん。そうかも知れない。
[落ち着かせるような、穏やかな声。
幼馴染のアドバイスに声はないけど、仕草だけで頷いた]
いいの?
カチューシャが使うなら、摘んであげるけど、
[言っても、この誘いそのものが彼女の気遣いと気付いてる。
だから殊更に拒絶することはせずに、足を向ける。
気がつけば、気分も幾分落ち着いていた。
案内するように、彼女の先へと立つ]
迷子だったの…?危ないよ、そんな。
帰れなくなったら、倒れてしまう。
[狼がとは言わない。
手を取られる、その仕草に頬が自然と綻んだ。
きゅ。と、昔したみたいに幼馴染の手を握る]
それじゃ早く行こうか。明るいうちに。
あまり遅くなったら、今度は二人で迷子になっちゃう。
[少し冗談めかして唇の端をあげる。
どうにか笑顔の形にはなっただろう。そうあるといいと思った]
[頷く仕草ににこりと笑みを返し]
もちろん。
キリルといっしょに草を摘むの久しぶりだし、ね。
[ともに歩きながら、握り返してくる幼馴染の手の暖かさににこにこと微笑む]
帰れなくなったらどうしようとは思ったけど……
でもほら、こうやってキリルに会えたし。
[だから問題ないといわんばかり。
明るいうちに、といわれてうんと頷き]
二人で迷子になったら大変だ。
早くすませちゃおう。
[キリルの顔に笑みらしきものが浮かべば安心したように瞳を和ませた。
そして良い香りのする草のところに行って[13]本ほど草を摘むのだった]
[イヴァンは少なくとも今、彼が人狼でない事は確かだから、
知ったらどうするのだろう、と想像する。
頬染めて、嬉しそうにする、恋人といる時の彼を思い出す。
ぼんやりと窓の外を見る。
篝火の下で語るユーリーとマクシーム。
視界の中、自分よりずっと逞しいシルエットが動く]
…――イヴァンじゃない人で試せばいい。
[聞こえた囁きに揺れを感じたから、
人に順位をつければいい。と。
告げる囁きの温度は、自分でも引く程にひどく冷たかった]
[考えるのを休んだら。本能のままに動いたら───
目の前に、幼馴染の髪がふわふわと揺れている。
ああ。こんな風に、二人きりにはなってはいけないのに]
言う……、
[言えるのかな、と零すのには僅かに戸惑いの色。
万が一イヴァンが其れを知って、キリルに恐れを抱いたら。
そうして告発でもしたら――
自身が告げた可能性と、別の可能性の狭間。
でも、と言いかけて、言葉は飲んだ]
キリルが…したいようにすればいい。
[それでもその不安は告げる事無く]
うん、良かった。
[ほんの少し、ぼうっとした。
森の奥を見つめた目を引き戻して、幼馴染に向ける]
…もう。いつもとは限らないんだよ。
だから気をつけなきゃダメ。
[明るい声に向ける叱責は、本気ではない。
小言めいた口調はいつも軽く交わされる程度のものだ。
明るい笑顔に困ったと言わんばかりに肩を竦めて、
そのいつもの空気に、今度はもう少しくすりと笑った]
ん。このくらいでいいかな。
料理に使うなら……あ、そうだ。
今朝、カチューシャに教えて貰った通りにパンを焼いてね。
兄貴が少し、驚いた顔をしていた。
[必要ないのにこそりと声を低く落とす。
目配せして、また少し笑った]
イヴァンじゃない人で、試す…。
[冷たい響きの言葉を反芻する。
それに引くということはなかった。
そも言い出したのは自分、喉噛み切ると言ったのも自分。
体の奥からざわりと、知らず目覚めてきているものがある]
誰が──…、いいと思う?
人狼になっても良さそうで、
[躊躇うではなく言葉を切る。
期待に、微かに喉が鳴った]
…なれなくても良さそうな人がいいね。
はぁい。
次はちゃんと気をつける。
[どこかぼうっとした様子には首を傾げたけれど。
軽く向けられる小言には素直に頷いておいた。
一人で森の中をうろうろするのは怖かったからでもある]
うん、ありがとー。
レイスさんが? 驚いた顔見てみたいかも……
[声を低めて告げるキリルの言葉にきょとりと瞬き。
くすくすと笑い返しながら、いつもの調子に戻ってきていることに安堵もして]
キリルがもっと上手になったらレイスさんもっと驚くね。
……、ん。
まだもう少し、…考えてみる。
[すぐに言うとはいわずに、頷いた。
告発より拒絶を恐れる心は、
ほんの少し危惧とは違えど根は同じこと]
ロランも危険に晒したくは、ないし。
[選ぶといった言葉のまま、自然と思考は浮かんでくる]
ん。それで宜しい。
[いつものように、偉ぶって冗談めかす口調。
笑って、微かに首を傾げると髪に差した小花も木漏れ日に揺れた]
兄貴の表情も、慣れれば読めるよ。
あ…ほら。薬草の見分け方と一緒。
[酷い言いようだが、声には親しみが篭もっている。
ただ、最後の言葉にはふと、草に触れる指の動きが止まった]
もっと上手に…なればね。
[視線をその指先に落とす]
…お腹が、減ってて。
喰いでがありそうなひとが…いい。
[視界の中、映る男が、ふたり。
ユーリーの鍛えられた体と、マクシームのぽっちゃりした体。
血肉へと思考を向ければ、舌舐めずりしそうになり
思わず、喉を鳴らして誤魔化してから]
俺の危険は心配しなくていいよ。
[唸るようにして、最後の言葉に返す]
あ、かわいい。
[いつものようなやり取りがおかしくてくすくす笑う。
キリルの髪を飾る小花が燦めいて、ようやくそれに気づき。
思ったまま、小さく呟いた]
レイスさん、薬草と一緒くたにされてる……
そっかあ、慣れるぐらい話しかけにいかないとだね。
[ひとくくりに扱われた様子におかしそうに笑った。
視線を落としたキリルの様子に瞳を瞬かせて]
――キリル?
[そっと案じるように名を呼んだ]
…ん。ボクも少し、……減ったな。
[森の向こう、木々の陰を透かし見れば狼の姿の見える気がする。
彼らも腹を空かせているだろう。
そう思う、瞳は同胞を思って和む]
そうはいかない。
[低く返る声に、頑固に返す。
どうやらここは、人であろうと人狼だろうと変わらなかった]
…もし、本当に「人狼」が伝染るなら…
マクシームで試しても、いいかも。
上手く伝染せたら、カチューシャに伝染せそうだから。
[眇めた視線は、マクシームで止まる。
窓から斜めに入る、橙色の光。
もう、うっすらと月はその顔を空に出し始めている気がする。
力が満ちる、予感がするから]
あ、これ?
…イライダ姉さんに貰ったんだ。
気に入ったなら、カチューシャもつけてみる?
丁度、二本つけて貰ったから。
[言って、自分の髪に指を添える。
嫌がられなければそのまま、幼馴染の髪に差すつもりで]
………あ。
今のは兄貴にナイショね。気にしないとは思うけど。
[カチューシャに指摘されて気がついた。
しー。と、人差し指を口の前で立てるのだけど]
……いや。大丈夫。
ちょっとね。
こんな風に、カチューシャに料理を習って、
兄貴に腕を披露して。
そんな風に、これからもずっといたいなと思っただけ。
[案ずる様子に、笑顔をみせて何でもないと首を振った]
…ああ。
カチューシャに伝染せるなら、いいね。
[目の前の優しい幼馴染を目に映しながら囁く。
もしも彼女も人狼になったなら。
こんな風に綱渡りをするかのように、二人でいることもない。
…きっと楽しいことだろう]
───…それに、
[その先は言わない。多分思うところは同じこと]
[カチューシャに伝染せそう、なのに
カチューシャに手をだそう、と言わなかったのは。
イヴァンの代わりに、と言ったのと同じ理由]
イライダさんの見立てかあ。
通りでキリルに良く似あってると思った。
え、いいの? でもあたしには似合わないんじゃないかなあ。
[白い色の花飾りは、艶やかで濃い色をした髪のキリルだからこそ映えて。
きっとこの色素の薄い、ふわふわとした髪では埋もれてしまってよくわからなくなるだろう。
嫌がったわけじゃないから、キリルが髪飾りを一つ、差し込んでくれるのはそのままに、どうかなと首をかしげた]
うん、内緒だね。
気にしないふうに見えて気にするかもしれないよ。
[くすくすと笑いながらからかい。
もっとも妹のいう事なのだから多分気にしないのだろうと認識した]
そ?
そだね、うん。
皆でこれからも仲良く過ごしたいね。
[大丈夫といわれてそれ以上問いかけず。
笑顔を浮かべての言葉には素直に返した**]
…――、
[きっぱりと告げられる続きに、柳眉を顰める。
反論はしないけれど、やはり、困った気配は届くだろう]
――………おなか、減ったな……
[空腹を通り越して、飢餓を感じる。
そっとお腹を押さえると、虫が鳴いた]
…皆が寝静まってから、かな。
[月が昇るにつれ、思いだしてくる。
どうやって狼を呼んだのか。
どうやって肉を食いちぎったのか。
きっと満たされるのだろうと思う心と腹に
ぞくりと 背筋に何かが走り小さく身を捩った]
[レイスが薬携えて訪れてくれれば、家の鍵は開けっぱなし。
声も聞こえるだろうから、そちらへ向かう事になる。
擦りむいた傷に薬草宛がわれれば痛みに少し顔顰め、
告げる礼は彼に届くだろう。
笑わぬ男を見上げる顔は、少しばかり眉を下げる]
今日も、お祭りみたいになってる。
手伝わなくて、いいの?
[マクシームとユーリーが篝火を焚いている様子を指して、
ミハイルを―レイスが居れば彼も―振りかえった。
それから、此処に来てやっと、何も無いとは言ったが
お茶のひとつも出していないと気がついたけれど。
今更な気がして、黙っておいた]
そうかな。似合うと思うんだけど…可愛いし。
[色の取り合わせなど、気にしてもいなかった。
ただデザインが可愛いなら、可愛いカチューシャに似合う。
そう考えるだけで、彼女のふわりとした髪に差す。
確かに随分と髪に埋もれてしまったけれど、
時折ちらりと光を跳ね返す花は、彼女の雰囲気に良く似合った]
それに、ほら。お揃いだ。
[カチューシャの髪を指して、他愛もなく目を細めた]
…ん。
[兄のからかいには曖昧に笑んで、目を伏せる。
幼馴染の素直な同意に、すぐには口を開かず]
そうだね。
[ただ、短い言葉を同じく返した]
[困った気配は感じるけれど、反論がないので良いことにした。
幼馴染の頑固さは、ロランとて良く知るだろう。
或いはそれは、同胞となったことで、
強化されてしまっていたのかも知れないけれど]
…そうだね。月が良く見える頃合がいい。
[こくりと、喉が鳴る。
こんなに飢えているはずがない。朝とて食べた。
それなのに何故、こんなに喉の奥が飢えるのだろう。
俯いて、今はまだ早いその衝動をそっと押し殺した]
―― 回想 自宅近く ――
[あの衝動のきっかけはふとした好奇心。
それでも燃料になったのはまた別の欲望だった]
…………っ
[愛でたい。口づけたい。
そうした淡い花の背後にちらつく昏い昏い炎]
[背後からキリルが追ってくる気配がした。思わず漏れてしまった呟きに、彼女の足音が止まる]
ごめん。頭を冷やせば収まるから。
ほんとごめん。
[顔を見られないまま何度か謝った。でも、彼女に謝らせてしまった。はっと振り返る]
―― 。
[ぐっと奥歯を噛み締め、彼女の背中に向かって息を吐く]
落ち着いたらまた迎えに行くよ。
許してくれるなら、一緒に花を供えよう。
[後悔ばかりしかないけれど、このまま終わりたくはないから。無理矢理次を紡いでた]
赤い月が…真天に昇ったら。
[肩を手で押さえるのは、欠片残る理性で押し留めたいという意識。
もう、きっと無理な事は何処かで知れている。
だって喉すら、乾いてきたのだから]
―― 川べり ――
[とにかく頭と全身を冷やしたかった。
暖かくなったといってもまだ水は冷たい川へ]
[ふらふらしながら水辺に近寄ると、腰まで流れに浸けてざばりと頭から水を被った]
……………
[波紋が川面に広がっていく。
ゆらゆら揺れる歪んだ自己の像をしばらく凝視して]
16のガキか俺は。馬鹿すぎる。一度死ね。
[深く嘆息して、自己嫌悪に浸ってた。
木陰の間から青空を見上げる。深くもう一度ため息をついた]
────…、
[落ち着いたら、と彼は言った。
その言葉の響きに、ボクは唇を引き結ぶ。
込みあげるものを堪えて、ぐっと自分自身の腕を掴んだ]
…大丈夫。
[気遣わしげな幼馴染に、ごめんねと謝罪を添える。
向けた笑みは、きっとちょっと情けなかった**]
/*
あー、どうしようかなあ。
幼馴染縁故を取りつつユーリーとあまり絡めてないので、絡みに行きたいが今行ったら割と占われる気がするのね。
初回無罪吊り狙ってる身としては、それだとまずい気がしつつ。
[月が昇る時が、近づいている。
自らの腕を掴む手は、高まる衝動を押さえんがため]
そう…、したら、
[その時に、一体何をするつもりなのか。
この優しい幼馴染の兄に、牙突き立てるつもりなのか。
そんな理性の声は次第に次第に細くなりゆく。
代わるのは期待。甘い血と肉への甘美なる期待だ]
───…行こう。
[伏せた顔、その唇は間違いなく弧を描いた*]
…返り血の処理が出来る準備も要るから、
布が…要るかな。
食べつくす、って事は出来ないだろうし…
[塗りかえられていく思考は、計画へと推移する。
時間が経つにつれ、飢えが酷くなるのを感じていて]
―― 川辺 → キリルの家 ――
[しばしの後。のろのろと川から上がると自宅に戻る。
そこには花かごとそこからこぼれた花弁が残っているだけだった]
……いないか。
[いるわけがないと分かっていながら呟く。
首を振って後片付けをすると、のろのろと身支度整えた]
[彼女が森の中にいるとは知らない。
もう家に戻っているものだとばかり思い、彼女の家に足を向けた]
……………
[そこには人の気配がなかった。
がっくりと肩を落とす]
―― キリルの家 ⇒ 篝火 ――
[キリルに対して持つ衝動の炎はいつも何とか抑えてる。
瞬間的に大きくなった炎は、冷たい水でまた裡に篭らせる]
[ゆらりと諦めたように首を振った]
馬鹿だな。彼女も少し落ち着きたいだろうに。
[いつでも自分勝手だ。
キリルの家の扉に、小さなポプリの香袋を提げ、少し青ざめた面持ちで広場に向かう]
[窓から見る外、篝火の方にまた歩み寄る人影。
開いた窓縁に手をつき、目を細めて見た。
昨日の、祭りみたいだとはしゃいだ様子と
足取りが違う気がして、首を傾け。
窓を大きく開くと、車椅子と似た音がする]
―― 広場 篝火の傍 ――
[篝火の傍に隣り合って座っているのは幼馴染二人。
黙ってそちらにちかづいた]
………………
[途中、金属のきしむ音がして、どこかの家の窓が開いた。
ちらりとそちらを見やる。
けれど、「軽く笑んで片手を挙げる」などの常の動作は出来る気分じゃなかった。目を細めてのろりと動くものを認めるばかり]
…………
[マクシームが軽く片手を挙げる。
そちらには動作だけ真似ると、深いため息と共にユーリーの隣に腰を下ろした]
…?
イヴァン?
[此方を見たと思う。
けれどのろのろと動く様子に、頭上にはてな。
家の中に人いればそちらにも可笑しいな?と声を掛けて
玄関へと回り、車輪回して外へ出た。
キイキイと高い音と共に、3人の人影へと近寄る]
今日も、お疲れさま
[労いは篝火へ。
前髪の隙間から、そっとイヴァンの事は伺い見た]
―― 篝火そば ――
[ロランの家から人影がこちらへやってきた。
一人だったろうか、誰かと一緒だっただろうか。
ぎこちなく口元に笑みを作って、片手を上げた]
……………
[石畳の隙間からしぶとく生えている雑草をぷちっと引き抜いて炎にくべる]
でもきっとキリルのほうがよく似合ってる。
[差し込まれた髪飾りが似合っているかどうかは、鏡のない今は確かめられないけれど。
おそろいだというキリルが可愛かったからうん、と頷いた]
えへへ、キリルとおそろいとか嬉しいな。
[にこにこと笑みを浮かべ。
目を伏せて短い同意を返すのには、特に問うことはない。
きっと、またなにか考えてるのだろうとそっと案じる視線だけを向けて]
― →墓地 ―
[広場のほうに人影を見た気がするけれど、向かう先は墓地。
特に何を持っていくわけでもなく。
辿り着けば、夫と子の墓に手を合わせるのが最初。
それから旅人の墓を見て]
……人狼、なんて、居ないわ。
昨日だって、何も起きてないじゃない。
[小さく呟いたけれど、答えが返るわけもない。
ため息を吐いて、森の方を見た。
狼の鳴き声が聞こえる気がした]
えー、なにが?
[大丈夫、の後に続く謝罪には不思議そうに返して]
そろそろかえろっか。
ほんとに暗くなってきちゃうし。
[森の中で話しこんでいる間に、空は夕暮れ色に姿をかえはじめていたから。
森の中ではさらに暗くなってしまう。
いこう、とキリルに手を差し出した]
[雑草引き抜く様子。
いつもと違うのは明白だったから]
…イヴァン、何か、
[あったのか?と、続く言葉は語尾消えた。
話したくないのに迄聞く気は無かったから]
―― 篝火近く ――
[マクシームが片手掲げる気配に顔を上げる。
視線を追えばイヴァンの姿が見えた。
同じように手をひらと掲げるは常の挨拶代わりの所作。
溜息の気配と共に座る幼馴染を一度流し見て
再び篝火へと視線を向ける]
――…如何かしたか?
[常より元気がなくみえるイヴァンに尋ねる。
無理に喋らせる心算はないのか
人の気配が増えたからか言葉を重ねることはせず]
ロランもお疲れ。
腕の具合は?
[自らの肘に触れて怪我の具合を問う]
[イヴァンが抜いた雑草が火にくべられる。
瞬きしてから少しだけ苦さの滲む笑みが浮かんだ]
足しにするなら抜いたばかりのじゃなく
落ちてるものにするといい。
瑞々しいのは、燃えにくいからな。
[乾いた枝を篝火へと落とせば高く乾いた音が鳴る]
―― 篝火そば ――
あー……うん。
[ユーリーに尋ねられ、がり、と石畳を引っ掻く。
どこまで何を言えばいいのか考えて]
年甲斐のないことを、ちょっと。
[形に出来たのはそれだけ。その先を続ける前に人が増え、ロランの問いかけには首を振る]
いや、大丈夫。辛気臭くて悪いな。
あぁ忘れてた。酒は今日は持ってこなかった。しまったな
[声は小さいが、喋っているうちに表面は取り繕えて来る。
ユーリーとロランのやり取りを聞き、ロランの肘に目をやった]
[枝のはじける音がする]
…そうだな。
[ユーリーの言葉に頷いた。ぷちりと別の芽を抜いた]
[篝火にはあまり関心のない瞳で投げ入れる。
この試みにあまり積極的ではない様子がありありと]
[マクシームに文句を言われた。肩をすくめる]
年甲斐ない、ねぇ。
そう思ったならもう同じ事は繰り返さないだろ。
これでまた一つ成長できたと思えばいいさ。
――…ま。
誰かに迷惑かけた、とかなら
早急に今の気持ちを正直に伝えるべきだとは思うが。
[間をあけて紡がれたイヴァンの言葉に
深くは問わず己の意見を幼馴染に伝える]
酒はほどほどに、な。
[ロランへの言葉には嗜める響きをのせた。
大丈夫とロランがいうならふっと表情を和らげ]
なら良かった。
痛むならレイスをこき使うといい。
何だかんだで頼られるのは悪い気しないと思うから。
[別の芽がイヴァンに摘まれる。
マクシームが文句言うを聞いて男は苦笑した]
イヴァン。
そんなに草むしりがしたいなら
僕の家にくるといい。
そろそろ庭の手入れをしたいと思ってたんだ。
[軽い口調でいってみせた]
[しばらく墓地に居たけれど、だんだんと日が落ちてくるから、と。
小さなバスケットに入れたクッキーを、たまにはね、なんて言いながら置いて]
また来るわ。
[そう言って、来た道を戻ってゆく。
もう少ししたら、月も昇ることだろうけれど、
今はまだ、太陽の時間]
―― 篝火 ――
[年甲斐、の台詞にロランの視線を感じる。
ただ黙って頷いた。
ユーリーの説教を神妙な顔で聞く。
視線はゆらゆら揺れる火から話さないが、少しその向こうを見ているようだった]
もう二度とするつもりはなかったんだよ。
いい大人ってのはいつ成れるんだかね。
ロラン、20すぎても多分大人になった気はしないぜ。
[そうして、迷惑を現在進行形でかけているだろう彼女を思って自分の膝を抱え込んだ。そうしながらロランの肘の話について大体を察してた。片眉上げて]
……お大事に。
狼避けな。分かってる、分かってるよ。明日は手伝うって。
別に火がすぐに消えるって訳でもないんだ。いいじゃないか。
[今日は色々あった。多分疲れてすこしざらざらしてる。
それこそ子どもみたいにマクシームに言い返してみたりして]
[けれど、フォローのように入ってくるユーリーに]
………最近、実はやり飽きてる。
でも、分かった。収穫期が終わったらな。
[イヴァンの応えに男は微か柳眉を寄せる。
悩ましいといった風情で篝火を見詰め]
難儀だな。
[ぽつと零して]
じゃあ今度こそしないと大事なものに誓ってみる、か?
……、……いい大人、ねぇ。
[自分は如何だろうと考えて吐息を零した]
――…獣を警戒するなら。
広場で火を焚くよりも
夜は家から出ない事を徹底した方が効果はあるだろ。
マクシームも、……不安だったから
こうして集まりたかっただけじゃないのか。
[イヴァンとマクシームを交互に見遣り
最後は揶揄るような響きを乗せてマクシームへ]
飽きてるなら無理にとは言わないさ。
動かないと身体が鈍るし……
ああ、けど、イヴァンが手伝ってくれるなら有り難い。
オリガが何か育ててたと思うんだが
どれも同じ草に見えて、さ。
流石に全部抜いてしまったら戻ってきた時、大変だ。
[草むしりに関してはイヴァンにそんな風に言って
再び爆ぜる炎を花色に映した]
[キリルと手を繋いで森から出てくる。
森と村の境のところで一度足を止めて]
あたしは薬草をレイスさんに届けに行くけど。
[一緒に戻るのか、それとも、とは口に出さぬままに、そんな風に告げる。
どちらにしても、途中までは一緒なのだからと歩き出し。
広場で篝火が焚かれているのが遠目にも確認できた]
―― 篝火 ――
大事なもの、か。
[真っ先にちらつくのは、今日傷つけてきた恋人の顔]
今はキリル以外にないんだが、もう近寄れないかもしれない。
[背を丸めて腕の中に口元をうずめながら]
ユーリーは少なくとも俺よりは大人だ。補償する。なぁ?
[周囲に同意を求めてみた]
[酒はほどほどに、という言葉に少しだけ憮然とする。
だって、今日は飲んじゃいない。
論点はそこじゃないと判って居たから、言葉にはしなかった。
レイスを、との言葉には少し頭を横に振る。
彼をこき使って、笑いもせずに文句を言われるかもと思うと
とてもそんな事は、自分には無理だとおもうから]
…20過ぎても?
――じゃあ、幾つになったら、大人なの。
[もうそれは間近だったのに。
憮然とした表情のまま、呟く様に告げてから、
お大事に、という言葉にはこくりとひとつ頷いた]
/*
某ウィルスバスターさんからお手紙が届いて(某の意味がない)
何かと思ったら、払い込み票だった。
普段使っているアドレスじゃ違うやつになるし
これはいったい…って思ってお問い合わせしてたのでした。
どのPCのもちがうよなーっておもってたから伺ったら破棄しても良いとのことでしたので、破棄しましたががが。
あーびっくりした。勝手に買い物したかと思っちゃったじゃない…
契約可能なところに送りつけてるらしい。。。
…キリルに、何か。
[ユーリーが大人かどうか、という問いは、花色伺って頷く所だった筈だが。
その前の言葉にひっかかり、それは叶わなかった。
幼馴染の彼女に近寄れない、という言葉。
片方の眉を少しだけ持ちあげ、声は低まった]
―― 篝火 ――
一理ある。
[ユーリーとマクシームのやり取りを聞く。ユーリーに同意した]
こんな風に不安をもたらすなら、申し訳ないがあの人を畑から掘り出さなければ良かったよ。知らないままだったら皆、幸せだったろうに。
そうだな。
今回は派手に獣が集まっていたが、もし俺が一人で見つけていたらきっと誰にも知られないよう埋めていた。
[炎をじっと見つめながらまた一つ草を投げ入れた]
了解。
取っておいて欲しい草がありそうなら手紙で聞いといて。
多分返事がもどってくる頃には体が空くだろうから。
――…ン。
[イヴァンの声にちらと彼を流し見て]
友達甲斐のないヤツだ。
其処は幼馴染の名も入れておくべきだろ。
[揶揄るように呟いてから、吐息を零す]
さっきの話。
キリルとの間にあったことなら
早いところ彼女に会って謝ってこい。
悪い、と思っているんだろ?
[幼馴染の丸まる背に手を伸ばし
ポンポンとあやすように軽く叩く仕草]
大人、ね。
ふ…、褒め言葉と受け取っておくよ。
[広場は通らずにキリルとレイスの家に向かう。
途中でイライダにあったら手を振ったりもした]
レイスさん、戻ってるかなあ。
[呼び鈴を鳴らしてみる。
広場に誰が居るのか確認してなかったから、レイスが広場にいたのかどうかもみていない]
畑に遺体をそのまま置くのは……
さすがに気になる、だろ?
[イヴァンの言に苦笑して首を傾ぐ]
誰にも知られぬままじゃあの旅人が浮かばれない。
それに――…旅人が殺された事実さえも知らないままじゃ
また犠牲が出ることも考えられる。
――…あれで終わり、と言い切れない、だろう。
危険が迫るなら、其れを知り、警戒をしたほうが良い。
獣が集まってた、か。
イヴァン、よく襲われなかったな。
手が必要な時は声を掛けるといい。
こういう場合は僕よりもミハイルの方が頼りになるだろうけど。
[訥々と語り、もっと頼れと暗に言う。
手紙に関しては、軽く頷いて]
嗚呼、今度聞いておくよ。
……そうだな
[獣を警戒するユーリーに頷く。
けれどやっぱりそれはどこか真剣味が薄かった]
[丸めた背に、ユーリーからの励ましの手。
やっぱり子ども扱いされてるなあと思うが、昔からしんどくなったときにはこうして励まされてたことも多かった]
…………
[言い訳探して、けれどやっぱりそうする自分が情けないとは知っていた。彼女を前にして、またやるんじゃないかという怖れ。それを分かっていて前に進む決意をしたから得られた幸せだったのだけど]
……分かった。行ってくる。
[ユーリーと共に、マクシームからも少し手荒い応援の声]
ありがとう。
大丈夫、キリルとは別次元でお前らも大事だよ。
愛してるさ、わが幼馴染殿
[ゆるりと立ち上がる。キリルの家の方を見た]
ロランも。じめじめしていて悪かった。
………キリルに怖いことなんて、
[無いだろ。
なんて言う言葉は、慰めにもならないのだろうか。
ロランには割と精いっぱいのそれだったのだが。
責める気が浮かぶわけでもなく、悲しいでもなく。
ただ、イヴァンへと向ける視線は胡乱げ。
獣が、という話題については触れなかった。
ただイヴァンとユーリーを、語る端から交互に見遣る]
/*
ガチ喧嘩案は封印した。
吊りを引き寄せるには他にどうしたらいいんだろう。
ロランからのヘイトは稼いでるんじゃないかと思ってるんだけど。
占われたら、どうしようね。どうしようね……(すごく考えてる
…がんばって。
[行ってくる、というイヴァンを見上げる。
行ってらっしゃい、ではなくて。
頑張るべきところなのだろう、と思うから、そう告げた]
[常より覇気のない幼馴染が分かったと言えば
男は手を下ろし、彼へと一つ頷く]
嗚呼、いってこい。
[マクシームの応援にはクツクツと喉を鳴らした]
……ん。
其れは嬉しいね。
僕も、大事な幼馴染の幸運を祈ってるよ。
[立ち上がるイヴァンにそう声を掛ける]
…イヴァン、
[見上げる爽やかに見える青年へと思う言葉が、漏れる。
大丈夫。だよ、と。
告げたい言葉は、言葉にするわけにいかなくて。
そっと、胸の内側へと、仕舞ってしまう]
[しばらくして。
頼まれた薬草はキリルとレイスの家に残して家に帰るところ。
広場に通りかかれば、何人か集まっているのが見えた]
……なんか、
[立ち上がり行くイヴァンの力に少し圧倒されたかのよう。
その背を見送って、近くのユーリーへと視線を向けるが
言葉が出ず。喉だけを、鳴らした]
[イヴァンとはすれ違ったので広場であうこともなく。
川と森で摘んだ草花の入った籠を手にしたまま篝火のほうへと近づけば、兄に「一日ほっつき歩いて」というような言葉をかけられた。
ついでに「朝、宿酔で死んでたくせに」とまでばらされた]
ちょ、お兄ちゃん酷いっ!
[散々からかわれたロランはともかく、ユーリーや、他にもいる人に聞こえるように言った兄には盛大に抗議するのも当然だった]
[両親がいなくなった年、僕は集落を訪れた商人から1冊の本を買った。
元々外で遊ぶよりも部屋の中にいることが好きだったから、それ自体は何も珍しいことではない。ただ読む本の種類が変わっただけだ。
その後も新しい本が入る度に購入し、食事もそこそこに読み漁った。時には知識ある老人に教えを請うこともあった。
実際に薬草を調合し始めるのは、それから少し後のことになる。]
―ロラン宅―
[熱冷ましと傷用の薬、それと手当に使う道具を幾つか持って訪れた家には、主の他に先客がいた。
軽く挨拶程度は交わしたか、それからロランの傷の手当てに取りかかる。
手当てと言っても傷口は綺麗にしてあったから、後は薬を塗り、傷口を覆うだけだ。
礼の言葉は向けられたけれども、こちらを見上げたロランの表情を見るに、やはり笑えてはいなかったのだろう。]
[広場には後から行くことにした。
道具の後片付けをすると言って。熱冷ましは本人に尋ね、言われた通りの場所に置く。]
……如何にも、な。
[ロランが部屋からいなくなった後、ぼやくように呟いた。
上手く笑えないのは昔からで、何が原因というわけではない。
でも両親が居た頃や、メーフィエが居た頃には、もう少しだけ笑えていた。そんな気がするのだ。
単純に理解してくれる人が多かっただけかもしれないけれど。]
[礼を言うイヴァンに笑みを返す。
彼の背が小さくなれば、つ、と視線を外して]
――…マクシームは告白しないのかい?
[もう一人の幼馴染の意中の人が誰であるかは分かる。
反応がとても分かりやすいから
誰とは言わぬまま小さく問い掛けた]
ん……?
[圧倒されたようなロランの声に片眉を持ち上げて。
その向こうからカチューシャがやってくると]
おかえり。
[迎えの言葉を彼女に掛けるが
マクシームの言葉には拳で口元を隠し微か肩を震わせた]
妹が可愛いからってあんまり苛めてやるなよ。
マクシームだって昔は――…
[思い出話をしようとしたら
マクシームが慌てて声を張る。
続く言葉はその声に遮られてしまった]
[マクシームがカチューシャをからかう声が聞こえる。
仲の良い兄妹だ。何時ものこと。
その明るい雰囲気に、目を、眇めた]
…んん。
[ユーリーが片眉持ちあげるのに向けた顔は表情無く。
カチューシャが此方を見れば上げる手が何時もより少し高いのは、
レイスに治療をしてもらった肘を見せる心算もあって。
少し愉しい気分になった気がするけれど、顔は笑えなかった]
[肩を落とすカチューシャの言葉に顔を上げて]
――…可愛いなぁ、と思って、ね。
その調子なら宿酔はもう大丈夫かな。
[窺うように彼女へと視線を向ける]
キミには葡萄酒は少し重すぎたかな。
次はもう少し優しい酒を用意しよう。
イヤでなければ、だけど。
[酒に懲りたと言うなら無理にすすめる心算はなく
淡く尋ねるような声を響かせた]
[飢えが、苦しい。痛い。
――自分の奥が、芯が…熱い。
皆が寝静まるまで、耐えられるのだろうか、と不安になる。
手を伸ばす。
誰か、癒してほしい。
…誰も手を掴まないで欲しいと願う。
だけれども――――
苦しげな、息の気配は、必死で殺す。
だって、イヴァンが、キリルの元へと行く筈だから。]
…うん。
[カチューシャが笑み向けてくれるのに、頷く。
小さく首を傾げる様子に、同じ方向に自分も首を傾けてみせた。
口端は上手く上がらなくて、少し歪んでしまったから]
…香草、見つかった?
[少し眉をあげて、森で別れた後の事を問う]
[ロランの様子に、ちょっと心配そうな視線を向けるけれど。
別れた後の事を問われれば心配は口にしないまま]
うん、ちゃんと見つけたよ。
あのあと、ちょっと迷ったけど、キリルとあって新しいのも見つけたし。
[ほら、と片手に下げた籠を軽く持ち上げてみせた]
― →広場・篝火そば ―
[イヴァンとすれ違ったりもしたかもしれないが、
今は特に何か言うわけでもなく。
広場へとやってきて、賑やかな様子に頬を緩ませる]
賑やかね。
あ、カチューシャちゃん、大丈夫だった?
[昨夜の様子を覚えているから、よもやそれでマクシームにからかわれていたとはしらず、問いかける。
視線はついでロランへと向かい]
ロラン君も楽になった?
[ユーリーとマクシームは、二日酔いの心配の対象外だったので何も問いかけない]
[マクシームがカチューシャに突っ込みを入れるのに、
ほんの少し、淡くだけ表情を緩めるのは、気配だけ。
持ちあげられた籠に視線を向けて、ん、と首を傾けた]
キリル、が?
じゃあもう家に?
[イヴァンが向かった、と小さく添えて。
ぼんやりとカチューシャとユーリーが酒の話をするのを見る]
[ふわりと揺れる淡い色の髪に目を細める]
……そうかな。
僕は、可愛いと思うけど。
[可愛くないというカチューシャに言葉を重ねた。
大丈夫と返事が聞ければ安堵したように頷いて]
同じ葡萄酒ではあるんだが
少し熱を加えて発酵を止めたものなんだ。
酔いにくい代わりに他より甘い。
[マクシームあたりならば熟成されたものを好むだろうが
カチューシャには其方の方があいそうな気がした]
――…は、は。
相変わらず仲がよくて妬ける。
[兄妹の遣り取りに男の表情が和らぐ]
…ん。俺は、大丈夫。
[イライダの問いに、あまり表情浮かばない侭の顔を向けた。
同時、くる、とお腹がなって。
目を少し開いて、俯いた。
…ミハイルと話しこんで、食事を取っていなかった]
[イライダの姿が見えれば、軽く手を掲げて迎える。
ふ、とロランに視線を向ければ
表情が微かに緩むのが感じられた。
気のせいかもしれないと思いながらも
そのことに少しだけ安堵する]
―広場―
[僕が片づけを済ませて広場に出る頃には、イヴァンの姿は無かった。様子がおかしいと聞いてはいたのだが、直接目にすることは無く。
代わりに他の人影が2つほど増えている。]
戻ってたのか。
[そのうちの一人は、先程森で頼み事を引きうけてくれた少女。
まさか森の中で迷子になりかけていたなんて知らない。]
― 広場/篝火そば ―
[イライダがやってくるのが見えれば小さく手を振り]
イライダさんまで……
もう大丈夫です。ほんとです。
[「朝は死んでたけど」と入る兄の突っ込みは気にしない。
イライダがいれば兄も余りからかってこないから、こちらが突っかかり返さなければきにならないというものだ]
[兄とのやり取りでロランの表情が緩む気配に、からかわれたことは腹立たしいが仕方がないと言わんばかりのため息ひとつ。
キリルへの問いには、ちょっと首をかしげて]
イヴァンさんに会いにいったかもしれないけれど……
上手く途中で会えてると良いね。
[イヴァンも向かったと聞けば、そっか、と頷き一つ]
マクシーム。
たまには酔いつぶれるまでのんでみるか
酔いつぶれるふりをしてみるとよいかも知れない。
[イライダがロランやカチューシャを案じ声掛ける様子に
男はマクシームにひそりと囁く]
[レイスが現れたのに、
きっと薬箱をきちんとしてくれたのだろうと視線を向けて。
小さく、烏色の双眸だけで礼を示した。
少し上目で見てしまうのが、卑屈に見えないと良いと思う]
…ん。
[カチューシャの頷きに、頷き返す。
もう空を紫色に染めていた陽光は落ちてしまい。
見上げる雲ひとつない空に、赤い月が昇り始めていた]
[ユーリーにあわせるように、こちらも手をあげる。
マクシームの様子も見てはいるが、特別何か話しかけることもないのだった。
カチューシャの様子に、くすくすと笑みをこぼして]
だって、昨日は大変そうだったもの。
もう、お酒に負けちゃだめよ。
ロランくん、さっきは大変そうだったし。
[大丈夫、なんていうのを聞いたくせに、ね、とロランを見る。
それから、レイスの声にそちらを向いて、笑顔を向けた]
さっき、キリルが来てくれたわ。
伝えてくれてありがとうね。
それで…後で話があるんだけど、大丈夫?
[少し困ったような笑みになった]
[なにかこそこそと話をするユーリーとマクシームに、
ろくでもないことを話してるんじゃなかろうかと、ちょっと疑いの視線が飛んだりもした]
そういえば、皆、食事は取ったの?
つまみになるかはわからないけれど、紅茶のクッキーを焼いたのだけど、食べる?
[甘くないのはいつも通りだから、わざわざ言うこともない]
[白い肌に朱がのぼるを眺める花色が弧を描く]
――…そういう所も可愛いと思うけど
[マクシームが“妹を口説くな”と声を上げた。
其の声に続く言葉を言いそびれてしまう。
渋かったとカチューシャが言えば一つ頷き]
わかった。
今度、キミに贈るよ。
[ふっと笑みを浮かべて約束する。
カチューシャの複雑な心境は残念ながら知れなかった]
[疑いの眼差し向けるイライダに先に気付くのはマクシームだった。
隣にいる幼馴染の顔がゆるんでいるのは
憧れの女性と視線が交わったせいか]
――……。
[其の様子に軽く肩を竦める。
イライダからの問い掛けには顔を其方に向けて]
そういえば朝食を食べたきりだったな。
紅茶のクッキーか。
もちろん、食べる。
[素直に頷く]
……、
[冷静になれ、と自身の内に思う。
素数を数えれば良かったのだったっけ?
違う、そうじゃなく。
今夜の算段をたてよう。
篝火の番は誰がするだろう。
判らないけれど、もう、ターゲットは決めている。
返り血を浴びても大丈夫なよう、血の痕残さぬ様、
布を沢山持って行って…まず、口に含ませて。
まず、肩口を齧ってみようか。
それで暫く眺めて…それは、どれくらい?
どれくらい待ってから…諦めればいい?]
[花色の瞳が笑みの形を作るのを見つめ。
続けられた言葉にさらに頬が染まった。
兄の抗議には]
〜〜っ
[なにかいろいろ言いたいが言葉にならずに、そんなわけないというように兄を睨むだけだった]
――、はい。
ありがとうございます。
[気を取り直すように小さく息をついて、笑みを浮かべての約束には、
まだ頬が赤いもののちゃんと笑みを返して頷いた]
無理に大丈夫って言ったって、格好良い、イイ男にはなれないわよ?
[ロランの様子に、思わず笑ってしまうのは仕方のないこと。
カチューシャがしょんぼりするのには、首を横に振った]
迷惑なんて思ってないわ。
でも、変な風に酔っ払っちゃうと、いろいろ問題よ。
カチューシャちゃんも可愛いんだから。
[本心から言った。
その兄が嬉しそうなのに気付けば、口元が苦笑に変わる。
それでも声をかけずにクッキーを食べるというユーリーを見て]
じゃあ持ってくるわ。
ちゃんと味についての感想もよろしくね。
――料理、昨日おいしかったから、またご馳走してね。
[用意を気にする少女に、笑ってそうお願いしつつ]
[カチューシャの表情を見詰める男の口許が緩む。
幼馴染の可愛い妹。
何年か前であれば撫でているところであるが
彼女もまた年頃の女性だと思うからか手は動かない]
いつも美味しい料理を振舞って貰ってるから、ね。
ありがとう、は此方の台詞だよ。
[笑み浮かべる彼女の姿に男は一層笑みを深める。
けれどマクシームに腕を軽く抓られて苦いものが混じった]
[一度家に向かう時に、先にレイスに近づいて]
ちょっと、キリルちゃんのことだから。
皆の前で言うわけにいかないのよ。
[そんな風に言い訳めいたことを、小さく告げる。
それから一旦自宅に戻り、器にクッキーを移して、また戻ってくることになった]
[カチューシャの顔が赤く染まるのを見る。
胡乱めいた烏色に映るそれに、、目を、眇めた。
口端を引き結び、眉を中央へ寄せたそれは、
少し前にもしたことがある表情。
言葉は無く、ただ、目を背けた]
[底の深い、大きなお皿に、クッキーはたくさん入れられている]
……飲み物も必要よね。
[好きに取ってと、とりやすい場所に置いた後にそう気付いて、苦笑した。
何が欲しい、なんてたずねてみたり]
─ 自宅 ─
ただいま。
[誰もいない家に、声を掛けた。
暗くなりゆく中にランプの明かりを灯していく。
ぽつ、ぽつと、橙色の暖かな光が仄かに揺らいだ。
窓の外を見遣れば、雲ひとつない空に浮かぶ紅い月]
あたしが酔っ払ったって、問題はないとおもいますけど……
[皆、知っている人ばかりだ。
そんな心配はかけらもしたことなくて、イライダの言葉に首をかしげた]
うん、料理はいつでも。
また今度、お花見用のつくりますし。
[料理を褒められれば嬉しそうに笑って頷いた]
―― キリルの家 ――
[広場から出て、キリルの家の方へと向かう。
空にはいつのまにか月が出ていた。
畑に咲く花が黄色から紅に変わるように、赤い光を湛える月が]
………………
格好が悪いことだけど、正直に言おう。
[歩きながら自分の手を見て呟く。
目的地の家にはぼんやり灯がついている]
………こんばんは、キリル
[しばらく戸口の前で逡巡した後、静かにノックしてみた]
[昔はよくユーリーにも頭を撫でられていた気がする。
最近はなくなったそれが、なんだか大人として扱われている気もしてちょっと嬉しい]
料理は趣味みたいなものですし。
じゃあ、お互い様、ってことですね。
[にこにこと笑みを返したところで、兄が見えないところで何かした様子。
ちょっとばかり睨んでみるがマクシームは視線をそらすだけだった]
―回想・ロラン宅―
[ロランの家に来たのは初めてではないはずだが、久しく来ていなかったように思う。
台所が目に付き、幼馴染が食事の世話をやいてくれているのだろうな、などと。
ロランに促されるまま>>257]
あぁ、
[短く返事をして、扉の先の作業場へと足を向けた。
勝手に空いていた椅子に腰掛け、脚を組む。
子どもの頃、ロランの祖父の作業を見させてもらったこともある。
まだ、ロランがこの世に存在しなかった頃の、遠い記憶だ。
今腰掛けている椅子にロランの祖父が座り、作業台に向かっていた。
記憶と重ね合わせるように、ぐるり、と作業場を見渡した。]
/*
とりあえず。
キリルが狼か否かで動き方が変わるなあとか。
ミハイルとイライダからヘイト買うにはどうしたらいーんだろーとか。そういうことに悩んでいる。
―回想・ロラン宅作業場―
[車椅子の音が響き、着替えを終えたロランの姿>>258が。
早速皮を手渡し、彼の作業を見学させてもらうことになる。
気が散っては、と、黙って作業を眺めていた。
丁寧に脂肪や肉を削ぐのをじっと。
集中していたという訳ではないが、こちらに投げられた問い>>258にピクリと少し肩を揺らした。]
さぁ、な。わかんね。
[「大人」としては、「子ども」の不安を拭う為に「いる訳ない」と答えるべきだったろうか。
けれど、目の前で作業する彼が、そんな言葉で安堵する気もしなくて。]
俺は…実際見たものは信じるさ。
人狼に関しちゃ見てないからな。
だが、いないと信じ込むにゃあ、噂や伝承が多いとも思う。
現状、いる、とも…いない、とも言えねぇ。
─ 自宅 ─
……、
[あかりを灯す手を止めて、ふと月を見遣る。
震えるように息を落として、自分の腕をぎゅっと掴んだ。
鏡の前に置かれてあるのは、イライダから貰った化粧品。
やわらかな春の色を映したそれは、いかにも紅い月に不似合いだ]
───…、え?
[ことん。と、音がした。気の所為かと思った。
それでも再びコツコツ。と響く音に、戸口へと歩み寄る。
けれど、響いた声にふと手が止まった。
恐れるように扉を開く、手が動かなくなる]
イヴァン…?
[だからそっと、喉から声だけを押し出した。
隔ててあるのは、鍵も掛からぬ薄い木の扉一枚だけ]
[深い皿に入れられたクッキーに手を伸ばす。
口に運ぶ]
…美味しい。
[空きっ腹に染み込む。
素直な感想は、ぽつりと、心情関係無く落ちた]
もしいたとして、人狼がどんな存在なのかもわからねぇ。
本当に、噂通りのヤツ等なのかも…な。
[こんな話をして、不安を煽ってしまっただろうか。]
(マズったか…。)
[反省しかけた時、旅人から譲り受けた本の話>>259を聞くこととなった。
その本を読んでロランが何を抱いたのか。
語られるのを無言で待っていたせいか、
すぐに、「何でもない」とロランは口を結んでしまって。]
なぁ、その本。後で貸してくれないか。
[それだけ言って、後はロランの作業を見て時間を過ごした。
無意識にだろうか。
それ以降は、人狼の話を避けて世間話のような会話を交わしただろう。]
[イライダが持ってきた深皿に手を伸ばしクッキーを一つ摘んだ。
さくりと一口頬張れば紅茶の香りが口腔に広がる。
甘みが薄い代わり紅茶の味が引き立つようだった]
良い香りだね。
こうばしくて、美味しいよ。
[残りを口にほおりこんで一枚食べきれば
ぺろりと指についた欠片を舐めとり目を細める]
どうしてそう思うのかしら。
[ロランの言葉には、苦笑してそう言って。
一度、クッキーを取りに戻る時に、そっと頭を撫でたりもしよう。
カチューシャの言葉を聞くと、視線はこの場の男性陣(兄を除く)をちらと見て]
――…まぁ、大丈夫だとは思うけど。
でもね、いつ何があるかもわからないんだから、カチューシャちゃんはかわいい女の子だから、だめよ。
[すごく真剣に言った。
さすがに此処に住む人たちだから、そういう信頼はしているけれど、という意味だが、完全な安全パイ扱いしたことも否めない。
料理については嬉しそうに頷いたのだった]
―回想・夕方ロラン宅―
あぁ、もうこんな時間か。
[ロランにつられて窓から外を眺めた。
ここから見える広場には、昨晩同様に篝火の準備をする人影があり。]
働き者だねぇ…。
[そう言い終わるが早いか、ロランの腹がか細く声をあげて>>282、差し出されたチーズを一欠だけ貰い、口に放り込んだ。
その後レイスがここを訪れるまでは、また少しの間、他愛もない話をしたか。
傷の手当が済んだ頃、ロランに言われて>>297]
じゃー、俺も手伝いに行くか。
昨日も来たら終わっちまってて、晩メシと酒をもらいに来たようなもんだったからな。
[広場に出ようとして、ロランの疑問のような声>>308に首を傾げる。
[誘われるように窓から広場を覗き見、先程はなかったイヴァンの姿>>306を認めた。]
―篝火そば―
[ロランがイヴァンに声を掛けるのを見て、自分は遠慮した。
気にはなったが、ユーリーやイヴァンと軽く挨拶を交わし、]
今日は間に合ったか?
[などとマクシームの肩にぽむ、と手を置いたりして。]
/*
みなさん本当にありがとうございます過ぎる
そして今、篝火会話を読んでそわそわするね…
そわそわ。イヴァンが、もう!!!ww
―― キリルの家 ――
[扉の向こうからキリルの声がする。
けれど扉は開かない]
キリル
[名前を呼んだ。もうノックはしない。
開かなくても仕方がないかなあと思っている。
扉に掌を当てた]
怖かったら開けなくていいよ。
この時間だ、それが普通の対応だし。
迎えに来たわけじゃないんだ。ただ知って欲しくて。
キリル、好きだよ。とても好きだ。大切なんだ。
――…飲み物、か。
ン、……僕はそろそろ戻るからクッキーだけで十分だよ。
[飲み物は遠慮するらしくイライダにはそんな言葉を返した。
チラと目を遣るはミハイルの方]
今夜も飲むなら、何かもってくるけど。
[ぽつと呟く]
今夜は冷えそうだから余り長居しない方がいい。
風邪をひいてはかなわないからね。
[獣への警戒は別の言葉となって紡がれた]
[わかったと頷いてくれたレイスに、ありがと、と小さくお礼を言った。
それから戻ってきてクッキーを食べる皆の言葉に、嬉しそうに笑う]
お口に合ったようでよかったわ。
そうね、じゃあ一緒に。お願いしてもいい?
[カチューシャが手伝いを申し出てくれたから、一緒に、と誘いかけて]
[今日の食事は朝に一度取ったきりだった。
だから程なく運ばれてきたクッキーは有難く頂くことにする。]
頂きます。
[さくりと一口齧る。
いつも通り甘くはない。]
……何だか、落ち着くな。
[落ちるのは味の感想、と言っていいものかは分からない言葉だった。]
/* みんな大集合だった。追いきれない内に発言落とすもんじゃねぇな…。
みんなぁぁぁ、ミハイルは今空気と同化してるんだよぉ?
見えなくてもいいんだよ?
ミハイルも考え事してるんだ、多分。
またログの海へ(ザブン
[イライダとカチューシャ。
女同士の会話には口を挟まない。
安全パイ扱いには微かに苦い笑みが過ぎるがそれも一瞬。
ほろほろと口腔でとけゆくクッキーが気に入ったのか
また一つ、手に取り口許を緩める]
[宿酔でからかわれたときのミハイルの反応はちゃんとみてなかったから、ちらりとそちらに視線を向けたりもしたけれど。
お茶とクッキーの時間が終れば籠を手にして]
それじゃ、あたしは帰りますね。
また明日。
[火の番をする人には後で差し入れでももってこようとは思いつつ、みんなに手を振って、家へと帰っていった**]
…イヴァン。
[名を呼ぶ声に、震える息をそっと吐き出す。
片手を木の扉に添えた。知らず、恋人と対象の形となる]
ううん、
…ううん、違うんだ。
[上手い言葉が見つからない。ことりと、扉に額を預けた。
薄い扉に、恋人の声がくぐもって響く]
[怖いわけじゃ──…ない。
そう続けかけて、喉奥に飲み込んだ。
怖いのは本当。けれどイヴァンが怖いのじゃない。
……本当に怖いのは、自分自身]
[クッキーは口の中で、ほろりと崩れる。
甘く無いそれは、美味しい、と思った。
思ったのに、どうしても、物足りないと思うのを止められない。
平静を装って、無表情をつくる。
それでも、熱いものが背を昇り来る。
必死で、漏れぬ様。
身体を抑えるように手を回す事すら、出来ず。
ただただ、強く、口の内側を噛んだ。
口の中に広がる血の味が、少しだけ飢えを和らげてくれる]
……違うの?
でも、いいよ。一番気楽な形で聞いて欲しい。
[木の扉を一枚挟んでいる方が、落ち着いて話せるかもしれない。それでも少しさびしかった]
好きで、大切で、俺はたまに君を、君の意思を無視して無茶苦茶に手折りたくてしょうがなくなるときがある。さっきやりかけたみたいに。この欲求は俺だけのものじゃないのかもしれないし、でもだからと言って正当化していいもんでもないだろう。
それは嫌なんだ。
きちんとキリルとゆっくり関係をつくって、レイ兄にもきちんと義理を通して、幸せになりたいんだ。
年ばっかりくってる癖に、いつまでもガキみたいな事を言ったり辛抱が効かなくなったりしてごめん。
[ゆっくりと話してく。
都市での生活は自堕落で享楽的すぎて未だ誰にも懺悔できていないくらいのものだった半面、ここまで大切に思う人は初めてだった。だからこそどこか過敏すぎるほど怯えている]
……。
[紡ぎかけた言葉は、上手く音にならなくて消えてしまう。
扉の向こうの気配を、息を詰めるようにして探った。
扉に添えないもう一方の手を、強く握り締める]
……、イヴァン。ボクも、大好き。
[だから本当に大切なことだけを言った]
/*
動かしてて思ったけど、イヴァンはガチで倫理観がどこか摩滅してるな。うん。
人狼騒動のこと、「なんか面倒くさい仕事が増えた。もっと上手くやれ」くらいにしか思ってないぞこいつ。
帰るのなら、ユーリーも気をつけるのよ。
こんなに明るければなんにも起きないとは思うけれど。
[自分にも言ったのだから、と、ユーリーを見て言う。
飲み物は一緒にカチューシャと運んで。
それから、ロランの不思議そうな声色に、困ったように笑った]
ロランくんは、自分が思うよりずっと、格好良いと思うわよ?
今でも、ね。
[火の番をかってでる幼馴染に苦い表情。
先に戻るらしいカチューシャには軽く手を振り]
おやすみ、カチューシャ。
[声を掛けてその背を見送る。
マクシームへと向き直ると]
さっきも言ったが……
火はいいから、しっかり戸締りして家で寝ておけ。
[嗜めるように言ってはみるが幼馴染の返事は曖昧だった。
やれやれと肩を竦める]
…え、
イヴァン……?
[この扉をあけてはダメだと思った。
なのに僅かな力が、手に篭もる。
キイと、扉の軋む音かが高く細く響いた。
それにも気付かず、ボクは息をつめる]
それはどういう、
[混乱した頭は、言葉の全てを理解しない。
扉が再びきしりと音を立てた。僅かな隙間が外と繋がる。
ひやりとした夜風が頬を撫でた]
/*
都市ではどんな生活してたんだろね。
狼引いたときは、堕ちるところまで堕ちてたイメージだったけど、今動かしてる感じではわりと頭が固い田舎モノがちょっと熱に充てられたくらいな感じがしっくりくるんだけども。
[お茶の時間が終わり去ってゆくカチューシャに、ひらひらと手を振って。]
うん。おやすみなさい。
また明日ね。
[笑顔で見送った。
クッキーへの賛辞には嬉しそうなのにかわりはない]
…イライダは、少し意地悪だ…
[イライダの言葉に、眉を少し寄せて見上げる。
指先が車輪を弄り、キィ、と音を立てた。
マクシームの視線がちょっと痛い気がしたけれど、
敢えてそちらは見ない事にして]
子供を、からかう。
[都合の良い時だけ子供になって。
良い男、ってのは、ユーリーとかミハイルとかレイスとか。
と、マクシームを態と抜いて、低く唸るように言った]
イライダも気をつけて。
――…女性は特に、と。
言うまでもないか。
[イライダから掛かる声に応え]
ごちそうさま。
夜食に少し貰っていくよ。
[断りをいれてからクッキーを数枚手にして立ち上がる。
広場に残る面々に空いている手を掲げ、揺らして]
お疲れさま。
良い夜を――。
[そんな挨拶を残して男は家に戻っていった**]
/*
土壇場でPC強制終了を喰らったのだが、あれはびびる
イヴァンお待たせしてすまぬ、すまぬ…( ノノ)
ぷつん。って、切れたん だ。こわい。
/* うん、ユーリーとすれ違ってもた(´・ω・`)
マクシームは俺が帰らせる!!
年上にいいかっこさせろやい!!とか言って。
―― キリルの家 ――
[知らず自分も話しながら思いが募って掌に額をつけるような姿勢になっていた]
!
[掌の向こうで扉が揺れる。身を少し離すと細く扉が開いて、中の花が白く見えた。目を細める]
だからダメだよ、キリル。もう月が高く出てる。
どういうって、そういうこと。
[細い隙間から彼女が見える。そのことに頬がゆるんだ。
これ以上開かないように、扉に手をついた]
今日は怖がらせてごめんね。
明日か明後日、仕切りなおそう。
おやすみ。
[ささやかなお茶会は終わり、やがて解散して行く其々を見送る。
僕はと言うとイライダとの約束もあったし、何となくだが未だ帰る気にもならなかった。
目配せをして一旦家に帰るミハイルもまた見送る。いつの間にか随分と暗くなっていた。]
今日は満月か。
[見上げた空には赤い月が掛かっていた。]
大丈夫、大丈夫。
騎士がいるからね。
[ユーリーの言葉にくすくすと笑って頷き]
いえいえ、どうぞ好きなだけもってって。
おやすみなさい。
[ひらひら、とユーリーに手を振った。
ミハイルが一度戻るというのも、見送って。
それからロランの方をちゃんとみて、笑う]
意地悪なんて。本当に思っていることを言ったのよ。
からかってるわけでもないわ。
レイスも、ロランは良い男になると思わない?
[笑み含んだ声で問いかけつつ]
[落ちる光にいろを感じて、空を仰ぐ。
…きっと、皆知って居た。
紅い朱い月が、大きく照らしていることを。
目を眇めて、烏色に映す。あかい――]
…、
[本にも書いてあった。
赤い月は、人狼の本能を刺激する。
ロランはそっと、自分の細い肩を、手で摩った]
―自宅―
[手に馴染んだ猟銃を眺め、じっと。
「彼」がまたこの辺りに帰ってきた…ということは無いだろうか。
それは彼が噂通りの人狼であったなら…という考えから。
もしそうであったとして、彼は自分を覚えているだろうか。
自分もまた、彼を覚えているだろうか。
もしも噂のように獣の姿で現れたなら…
分かるはずもない。
この集落に危険が及ぶなら、例え彼でも撃ち殺さなくては。
そう、思っているのに。
あの哀し気な笑顔がまた胸を締め付け、太ももの傷がズクンと疼く。]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新