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そして、物語は動き出す。
目覚めたものが何処へ向かうか、それは一人一人の思うがままに。
どうやらこの中には、村人が5名、占い師が1名、霊能者が1名、智狼が2名いるようだ。
アナスタシアが「時間を進める」を選択しました。
/*
おまかせ智狼。
あんなに胡散臭いキャラいっぱいなのに、何故。
(人の事言えない)
かなり久々に復帰したばっかだけど、人狼かー、頑張らないと。
相方誰かなー。
[でしょう、というようにくすくすと笑いを零す。
掃除を一時諦めた様子にそうそうと頷いて。
ヴィクトールとアリョールにそれぞれ紅茶を注いだ]
……ゼイタクだわァ……
[ほんとうに、としみじみ呟き。
今は人狼のことを忘れていようと思う。
厨房でテーブルを囲み、喉を潤した]
タチアナ、ありがとう。
[ ヴィクトールは席に落ち着き、
紅茶を受け取ると静かにカップを傾けた。
大いに賑やかではなかったが、落ち着いた、とても大事で幸せな時間だと感じる。
この騒ぎが終われば茶葉を持って帰るといいだなんて、今の空気が壊れそうで、ヴィクトールからは言い出せなかった。]
[ヴィクトールが2つの椅子を引く様を不思議そうに眺めた]
あ。そうか。
すまない、有難う。
[そこが自分の分だと一瞬分からなかったらしい。
お礼を述べて、椅子に腰掛ける]
美味い。
[タチアナから受け取った紅茶には、シンプルな賛辞を]
…これを味わって、帰るだけになると良いんだがな。
そうしたら、かなりの儲けものだ。
/*
今のト書きは少しヴィクトールらしくなかったですね。
どうやら智狼になれたようです。
5/3まで、宜しくお願い致します。
そう、このまま戻れるのなら、どれほど…。
[けれど、紅茶の潤いは、獣の餓えを満たしてはくれない。
もっともっと、緋いものでなければ――…]
どういたしまして。
[ヴィクトールに笑みを返し。
紅茶を口にして、ほう、と吐息を零す]
あら、それならサイコーだわね。
美味しいお茶を楽しんで終り、になりたいものだわ……
[ふふ、とおかしそうに笑ってアリョールを見る。
こんな穏やかな時間は今までだってめったになかった。
だからこれから先もない、ある意味奇跡のようなものだと思うから。
そうなるといいわねぇ、と小さく呟いた]
[ 森の旅人を襲ったのはヴィクトールではなかった。
ひりつく程の飢餓感はまだ感じられないものの、
確実にこの香は人狼としての食欲を煽っている。
ヴィクトールに人狼としての一応の自覚はあった。
だが、同時に村の一員としての想いも強かった。]
……やせ細っていたら、「人狼」に食べられたりはしないかしら。
なんて。
大丈夫、熱は引いているし。
それに、部屋に一人は怖いと思ったから。
[ベルナルトの言葉に首を振ってから]
ありがとう。
仕事しなくていいのだから、無理なんてするはずないわ。
[少しだけ笑って、それから階段の方へ。
一階へ降りると一度ぐるりと見回してから、広間以外の場所を探そうと歩き始めた]
ああ、落ち着く。
[厨房から紅茶の匂いが漂う頃、
男は2階の掃除用具入れの中に居た]
外の空気が吸いたい
今夜は月が綺麗なんだろうな。
[イヴァンとはじめてあった夜も月が綺麗だったと、
お望み通りの薄暗い場所でもの思う。
声を掛けられたときにはびっくりしたものの、
溢れる月光が照らし出す世界が美しくて、
同じ光りで照らされた彼になんだかとても安堵した]
[ タチアナに頷くように、ああと呟く。
ヴィクトールは、出来れば、こんな時が長く長く続けばと思ったが、紅茶と共に言葉も呑み込んだ。
何かお茶菓子を探しに行くのも惜しくて、後は二人の会話を聞きながら、黙ってこの時間に身を浸すつもりでいる。]
真夜中に、焼きたてのパンが並ぶ無人のパン屋。
あとは、――そうだなぁ
ひっそりと寝静まる本の並ぶ書架の間で、
寝てる本を起こさないようにそっとページをめくって
月明かりだけで本を読む。とか。
[掃除用具入れの中で思うは、他愛無い湖畔での会話]
そういうの、あったらいいなぁ
[好きなものとか、欲しいものとか。
沈黙の後に脈絡なくそんな話をしたのは、
さほど遠くないはずなのに]
[後から、フィグネリアに対してわりと無責任なことを
己は言っていたものだと気づく。
「ちゃんと食べて」と彼女には言ったものの、
自分の手では何の料理も彼女に作ることは出来なかった。]
せめて僕も、食堂の手伝いの仕事くらいは
多少やってみておくべきだったのかな。
[それから、幾つかの扉に目を向ける。
さっき扉が開いた音の方角なら判るが、それ以外に
何処の部屋が使われているか、見て判るものではない。
一先ず適当な部屋の扉をノックしてみた。
叩いた扉の先、既にイヴァンが先客として>>0:128
中に居たことには気づいて居なかった。]
[ この村に元々住んでいた父、
そして旅人の母の間に生まれたヴィクトールは、
人狼であった母より自分が何者であるかは教えられていた。
だが、亡き母とは違い、
人間をこれまで襲ったことはない。]
………。
[ この場に懼れながらも素直に来たのは、
殆どの理由はアレクセイが心配だったからだ。
一箇所に閉じ込め、人狼と人間の殺し合いを誘発させようとする今回の村の決定。
それに巻き込まれるアレクセイを案じていた。]
[足が重く感じるのは気が重いせいだろう。
扉を見つめたまま、動けずにいたが深呼吸をひとつして
部屋の扉に手を掛ける。
アリョールが扉を叩く音は聞こえなかった。
考え事をしていて気づかなかったというのが正しい。
それ以前に誰かに呼ばれる事態など無いだろうと
高を括っていた側面もある]
……ナイフは持っていかずとも良いか。
魚を捌く道具は厨房にあるだろうし。
[武器となるものを置いていったことを考えれば
そういった類のものを態々回収していくとも思えず
男は部屋の机にナイフを残したまま廊下に出ようとして――
今度は意識していたのもあり扉を叩く音>>13が聞こえた。
一拍置いて扉を引き控えめに開ける]
ベルナルト?
どうかしたのかい。
[穏やかな時間は過ぎるのも早い。
いつのまにかカップの中の紅茶もなくなり]
――残念、おわっちゃったわ。
[ゆるく吐息を零し。
名残惜しそうなアリョールと、ヴィクトールに視線を向ける]
何事もなく終われば、またお茶しましょ。
[あっさりと言って席を立つ。
使ったものは一応片付けるつもり]
―二階/客室―
[暫くの間、本を読んでいたが、その手はやがて止まる。
何も悪くないと言われても、そんな事はないと思ってしまうのは仕方なかった。
自分としては静かに暮らせればそれで良かった。
だから村人からの印象を良くしようとした覚えは無い]
……俺のせいだ。
[彼が捕まったのは、その足かせとなったのは、確かに自分のせいだろうと認識していた。
両親が死んだ時も、彼は同じように思っていた。
それを知るのは親しい間柄の人物だけだが]
[幾ら紅茶の薫りで紛らわそうと、この屋敷に焚き染められた香は強く。
酷く煽られる]
食べたばかり、なのだがね。
[旅人ならば後腐れは無い。
実際に、以前幾度か成功していた事だった。
起きてしまった事態は仕方ないと割り切れもするが]
それでもこれは、餓える。
―廊下→厨房―
[ふわりと、鼻腔を擽るように香りが漂ってくる]
紅茶? 誰か、いるのかしら。
[いれたての匂いと言うよりも、残り香に近い。
顔を覗かせたのは厨房らしき場所。
既に顔を見ていたタチアナがいるのを見ると頭を下げた。
もう二人は、知らない顔だ]
また直ぐ出来るよ。
任せても、いいかい?
[ 頷き、ここはタチアナに甘えてカップを渡そうとする。
暫くは余韻に浸りたいのか、椅子に座っているつもりのようだ。]
― 厨房 ―
あら、いらっしゃい、フィグネリア。
[顔を出したフィグネリアをみて緩く瞬く。
病に倒れた旅人の話は知っていたけど、ロビーであったときは思い出さなかった。
いまもまだ、きちんと一致しているわけではない]
そうだといいわねェ。
ええ、アリョールのも一緒に洗っておくわ。
[ヴィクトールに頷いて、洗い物をまとめて流しへと運ぶ]
そう、だな。
何事もなければ、また。
[こくり、頷いて。
タチアナに続き、立ち上がる]
片付けは手伝う――…、
[掛けられた声に振り向くも、知らない顔。
真顔で不躾な程まじまじ見たが、これと言った他意が有るわけでもない]
アリョールだ。
[シンプルに、名前だけ名乗った]
[ 人狼としては未熟でもあるヴィクトールが、同胞に気付くには、今暫し時間が掛かりそうだ。
"それこそ人間の血肉を喰らいでもして人狼として真に覚醒しなければ。"
相手からは容易く気付かれていても、ヴィクトールからは"誰が"同胞なのか気付くことは難しいだろう。
それとも、過去に既に、囁きでの強い接触が為されていたのであれば、緋色の聲もヴィクトールに容易く届いているのだが。]
君が旅人のフィグネリアか。
初めまして、ヴィクトールだ。
[ ヴィクトールはすっと立ち上がり、握手を求めるように左手を差し出した。
唯一、この村の人間ではない名前。
この旅人の名前は、役場の方でも耳にしていた。]
……貴方方も、そうなのね。
紅茶を飲んでいたの? 他にも、食糧があるみたいだし、何日閉じ込められるのかしら、ここに。
[魚の匂い。
知らない顔のうちアリョールと名乗った方にじろじろと見られて一瞬気後れする]
フィグネリアと、もうします。
[名乗られたのだから、ともう一人の男性へも兼ねて名を名乗る]
では。
[盥と布を持ち、フィグネリアの横をすり抜けるようにしていく。
自分がどんな印象を与えているか等、気にも止めず。
何事もなければ、自室に戻り掃除を始めるの*だろう*]
ええ、旅人、と言われると違和感はありますけど。この村にとっては、そうですね。
[ヴィクトールの差し出した手に一拍おいてから手を差し出し握手を]
この村を越えたら、次の街で落ち着くつもりだったの。
[そこまで行けば大丈夫だろう、と言う漠然としたもの。
髪を切って、名前を変えて、少し大きな街であれば。
借金はもうないのだから、そうまでして追ってくるとも思えなかった]
―二階―
[覗きこむベルナルトの見事な髪が揺れるをみる。
思わず目を奪われてしまうのも仕方のない容貌に思う]
いや、丁度出ようと思ってた所だから。
ああ、もう結構埋まってたりするのかな。
空きは人数分あるとは思うけど――…
[ベルナルトが身を引こうとする気配に
控えめだった扉の開きを大きくして廊下に出ようと一歩踏み出す。
留まる彼に掛けられた言葉には、はたと瞬きをして]
それは構わないけど。
丁度釣ってきた魚もあるし時間の都合があえば
一緒に料理してみるか?
あ、でも、怪我しないようには注意しなきゃなぁ。
手が傷ついたら絵も描きにくいだろうし。
[気軽に応じる声を返すのも、暢気といえば暢気な響き]
―回想―
[月の漂う湖面を眺めながら交わされた会話を思う。
あったらいいとニキータが零したものに
そうだなぁ、と相槌を打った夜。
竿を引く感触に話は途切れてしまったが
釣り上げた魚を手にしたイヴァンはニキータを振り返る]
真夜中に焼きたてのパン、かぁ。
パン屋のでなくていいなら、今度――…
[楽しい何かを見つけた時のような顔で男は笑い]
俺が作って持ってこようか。
月を見ながら一緒に食べるのも楽しそうだ。
[他愛ない話の続きにそんな事を口にした]
/*
不味いな。
赤ログで巧くやりとり出来ると良いのだが。
このままなぁなぁで進むと、アリョールの事に気付けないという事態に!
不憫だな。
[いつぞやと同じ言葉は、聲の届かぬ同胞へ向けて。
先代から、この村の同胞の存在は聞き、知ってはいるのだ。
――必要で無いのなら、目覚めさせること無く――
先代のあの言葉は、先代自身の願いだったのか。それとも或いは?]
一日で、帰れたらいいのだけど。
[一日で、そう言ったヴィクトールの右手が重なる。
温かさに少しほっとしたころ、その手が離れた。
すり抜けていくアリョールを一度振り返り、会釈をして]
なんだか、強そうな方ですね。
その、精神的に。
[ここに連れてこられて、動じていないように見えたから。
気付けばタチアナも厨房から出るところで視線だけを送る。
と、ベルナルトにちゃんと食べて、と言われたことを思いだし]
勝手に使っても良いのなら、何か作ろうかしら。
お腹がすいたわけではないけど。
体力をつけておくのは必要だと思うから。
[フィグネリア自身、それほど料理が得意というわけでもないのだが、簡単なものなら大丈夫かと]
[ 何処かに自分と近しい存在がいるのではないか、というのは薄らと感じていた。
それも、ヴィクトール自身は錯覚ではないかと思えていたが。]
………。
何故、
[もしも旅人を襲ったのが本当に人狼であるなら、その人狼に尋ねたかった。]
この状況では目覚めぬ訳にも行くまいよ。
不憫だが…、
[言葉裏腹に鋭い語気]
"俺"が彼を目覚めさせよう。
この甘美な世界へ――…**
― 2階廊下 ―
[廊下を歩いていると、隅にある用具居れでなにか物音が気がして。
覗き込めば夜中にしか見かけない男が寝ているのが見えた]
こんなところでナニやってんのかしら。
[酒場からの帰りだとか。
客を見送った後だとか。
そんなときに村の通りでたまーにすれ違う。
――生憎、声をかけても客にはならなかった男だけれど]
……人狼にやられるまえに、風邪ひくわよ?
[声をかけても起きる気配はない。
やれ、とため息一つ。
肩にかけていたショールを寝てるニキータの上にかけて、その場を後にした]
[親が死んだのを自分のせいだと思った理由は単純だった。
自分はたまたま誕生日に熱を出し、その日に寝込んでいた。
両親は確か村から出て、隣町に行くと言っていたような気がする。
もうそれがなぜかは覚えていない。
だから翌日、村の近く、崖から落ちた二人の姿が発見されたと聞いた時、自分のせいだと感じた。
前日雨でぬかるんでいたのは知っていたのだから、とめればよかったのだ。
十年も前の話だった]
/*
アレクセイの過去。
釣り糸がゆらゆら見える気がする。
ゆら、ゆら。
でも此処は強縁故に任せるべき、か。
軽くひっぱってみてもいいのかいどうなのかい。
― 2階廊下 ―
[ニキータにショールをかけてやれば肩がむき出しになるけれど。
それを気にせず、自室としたところへと向かおうとして。
ふと、イヴァンとベルナルトに気づく]
……あら。
[二人のやり取りは聞こえなかった。
小さく呟きながら、ゆるりと首をかしげたのは、荷物を置いたのがイヴァンが居る扉の隣だった気がしたからだ]
[ 基礎体温より少し高い気がした。昨日の雨で多少体調を崩しているのかもしれない。
体調が崩れると、ふっとアレクセイのあの日の出来事をいやでも思い出す。]
ああ、彼女は。
先代の性格を受け継いだのではと思えるほど、
胆力があるかと。
[ フィグネリアから問い返されれば、
アリョールは墓守の仕事を普段していると付け加えた。
何か料理を作り始めようとするなら、厨房下の貯蔵室なども教え、どんな材料があるか簡単に教えただろう。]
[その日からずっと世話になっている。
だから彼に迷惑をかけるようなことをしたくなかったというのに。
先ほど置いたナイフを見下ろす。
いざとなったら。
そうならないようにと願うのは嘘ではないが、もし殺したり、殺されたりとなった時、
彼を生かさなければ、と、考えていた**]
[ ふっと、アリョールが出て行った方向を見た。
何故か唐突に、]
(何、だ……。)
[ 焦燥と高揚とざわりと肌が粟立つような、
*胸騒ぎがした。*]
[女性の声がしてイヴァンは視線をめぐらせた。
タチアナの姿を双眸に映せばふっと目を細める]
随分と艶っぽい格好だね。
[タチアナの肩の曲線を男の視線がなぞるように僅か動いた]
……絵を描けなくなるのは嫌だし、ね。
こんな場所じゃ、いまいち筆も進まないけれど、
月が映る夜の湖畔を描くのは好きだから。
[君を描くことも、とまで言わなかったのは、
夜釣りをする影を見ることはあっても、闇の中で
はっきりと彼の姿かたちまで見えている訳ではなかったから。]
……っと、そうだった。まずは部屋を何とかしないと。
君もこれから行くところ、だし――。
難点は何処が空いているか分からない事か。
ネームプレートでも用意するべきかな。
[一夜過ごすためだけに其れをする心算もない男は
ベルナルトに軽口めいた言葉を向けた。
さらりと流れる明るい色の髪に眩しげな表情が一瞬過る]
それなら快く応じよう。
[一拍分、遅れた返事の後]
絵の腕も確かだけど――…
モデルでもやってけそうだよなぁ。
[綺麗だ、と率直な言葉は小さく零された]
下拵えは俺がやれば問題ない。
怪我の心配も減るだろ。
[絵の話をするベルナルトにゆるく頷く]
あー、あの湖に映る月は見事だよなぁ。
描きたくなるのも分かる気がする。
俺にはそういう才能ないけどみるのは好きだから
今度、ベルナルトの描いた絵を見せてよ。
[気安い言葉は紡いで柔らかな笑みを浮かべる]
引き止めてしまったね。
荷物持ったままで立ち話も疲れるだろ。
じゃ、また後で、かな。
[ゆらり、手を掲げて]
[ アレクセイの両親が亡くなったのは、
もう十年も前になる。
その日は、アレクセイの誕生日だったが残念な事にアレクセイは熱を出して寝込んでいた。
その為、隣町に向かうという彼の両親に、ヴィクトールは看病をかって出たのだ。
当時は今より大した仕事はしておらず、休みは簡単にとれたろうか。とれなくても、仕事の合間に抜け出し、顔を見に行く事くらいは出来ただろう。]
[普段着と称するタチアナにクツクツと喉を鳴らす]
俺はその普段着も好きだけど
無闇に男を喜ばせる必要もない、だろ。
[もったいない、と揶揄を知りつつ返す声は普段と変わらない。
女性と深い仲になることを避ける男も
彼女の生業を知ればこそ誘い掛ける事も幾度かあり]
嗚呼、なるほどね。
邪魔をしたなら済まなかった。
[道を譲る心算で扉を閉めて壁際へと寄る]
隣も埋まっていたようだね。
[付け足す言葉は独り言じみてはいたがベルナルトに向けて]
[ あの日あの時、ヴィクトールがするべき事は、
アレクセイの看病をかって出る事ではなく、
彼の両親を同じく引き止めるべきだったと。
自らを責めるアレクセイの前で、
無力さを噛み締めながら、ヴィクトールもまた後悔した。
アレクセイの両親の葬式が終わると、その時のアレクセイの熱を今更引き受けるように、今度はヴィクトールが熱を出した。
病床に伏しながら、ヴィクトールはアレクセイを守れるようになりたいと、強く願った。
その結果は、芳しくない。
無力さを感じる。
ヴィクトールに今出来ることは、何事も起きないようにと願うことだけだった。]
[ もしも、殺す、殺されるとなった時、
自分はアレクセイを守るために、村人達にナイフを向けることが出来るのか。
ヴィクトールは、いまだ*決断し兼ねている。*]
ふふ、そうねェ……
この中では、そんな必要ないかも知れないわ。
[くすくすと、戯れるようにイヴァンに返す。
基本的に村人相手に誘いをかけることはしなかったから、イヴァンに初めて誘いかけられたときは驚いたけれど。
それでも断ったりすることはなく、幾度か夜を共にした]
あら、邪魔したのはアタシのほうじゃないかしら?
部屋が無いなら、泊まりにきてもいいのよ?
[ベルナルトへと声をかけて、扉へと近づき]
それじゃ、また後でね。
[答えを聞く前に部屋に中へとはいる。
答えを聞かないからこそ、ただのからかいであることはわかるだろうけれど。
本気にされてもきっと気にしない]
先代……? 何か、されているのですか?
[ヴィクトールのことに首を傾げて墓守と聞くと感心したように彼女が出ていった方を見る]
スープにしようかしら。
[左手を庇うようにして教えられた貯蔵庫から野菜を手に取り]
こんなに準備までして、村の方達って本当に怖いんですね。
お金に糸目をつけないって言うか。
あぁ――作ってみるのは手かもしれないね。
[真顔でイヴァン>>40に返す言葉は軽口とも本気ともつかないもの。
それからややあって、彼が率直に告げた言葉に対して、
傍から見ても判る程度に、返答に間が空いた。
応じよう、と彼が答えた時、その目を見ていたから、
一瞬の表情の変化には気づいていたし、その意味も今、ある程度察していた。]
僕を描こうという人が居るのならば。
モデルになるのも良いのかもしれないけれど、ね。
[ふっと目を伏せたのは一瞬のこと。
魚料理の件になれば、顔色はまた涼しげなものになる。
下拵えはしてくれるという彼に、ありがとう、と頷いて]
[人恋しさに一夜を共にする事を望んだ相手。
戯れるようなタチアナの声に、どうだろうね、と首を傾げて笑う。
ベルナルトへの誘いの言葉にも軽く片眉を上げるだけで]
邪魔された覚えはないよ。
[部屋へと戻る彼女の背に一つ声を返しおく]
暇を持て余したら、かな。
[ネームプレートに関してのベルナルトの言葉に
少しばかり驚きを表に出しながらもそう付け足した。
聡い彼の視線に、男の双眸が揺れる。
ささやかな動揺も瞬きを挟めば消え失せて]
それは――…
絵が描けない事を嘆くべきかな。
[残念、と告げる声にも軽さが戻る]
礼には及ばない。
じゃ、俺もいくよ。
[ベルナルトへとひらり手を振り男は階段へと足を向けた]
[絵を見せてくれるらしい絵描きに頷く男の表情は
嬉しそうにも見えるものだった。
タチアナのからかいへのベルナルトの反応。
その表情までは見えなかったが声が聞こえ小さく笑声を漏らす。
こうしていれば容疑者であることを忘れてしまいそうだった]
[階段を下りながら過去を思う。
両親の死に自責を抱くアレクセイ。
イヴァンは彼とは対照的だった。
彼の後悔を垣間見れば、責任を感じる事はない、仕方なかったと
慰めようともするのだが――。
イヴァン自身は両親の死に対して責任を感じる事は皆無。
泣きながらこどもの首を締めた母親の姿がちらと過る。
幸か不幸か息を吹き返したこどもが目にしたのは
互いにナイフを突き刺して血の海に息絶えた二人の姿。
何が理由でそうなったかはこどもだったイヴァンに知るよしなく
祖父もまたそれを知らぬと言い続けたから真実は闇の中。
女性と深い仲になる事を避けるようになったのは
首にかかる細い指先が与える圧を拭いきれぬせい。
情を求め他者と関わりながらも
相手に深く踏み込むことも踏み込ませることも躊躇う]
[野菜を手に皮をむき始めると、一度ヴィクトールを見て、全員分作った方が良いのかと野菜の個数を増やし]
みんなの分も、作っておきますね。スープくらいですけど。
[そう言うとジャガイモの皮をむき始めた**]
[ ヴィクトールは額に手の甲を束の間あてた後に、フィグネリア>>48への返答にこう切り出した。]
……不安なんだよ。
[ フィグネリアの左手に視線を留める。
布が巻かれた様子からすると怪我をしているようだ。
握手の時に顔をしかめた様子はなかったので深くはないのだろう。]
山間の100人程度の村。
人も情報も物も中途半端に入ってくるから、
昔からの保守的なところは変わりにくいんだ。
母も随分苦労した。
[ 子供の頃にヴィクトールの母は亡くなった。村々を回り行商ごとをしていた母は、見聞が広かった分、村の外の話も知っていたし、こういった村の話も客観的に話してくれた。
フィグネリアに母も旅人だったという話をすれば、ヴィクトールが村の人間でない相手にも好意的な理由が分かるだろうか。]
何でも揃えているのは、
罪悪感もあるだろうね。
[ もしも何かあった場合、自分達は安全な場所にいられることと自分達の手を汚さずにいること。
何もなかった場合は、食糧の豊富さと嗜好品の豊富さを逆手にとって何とでも言えるだろう。
ヴィクトールは、村人達への理解があった分、複雑な感情を出すまいとするかのように、事実を努めて話そうとした。]
そうだね。
頼めるかい。
何なら……
[ フィグネリアがじゃがいもの皮を剥き始め人数分作ると申し出れば、ヴィクトールも手伝いをと申し出ようとしたが、その時扉が開き、イヴァン>>61が現れた。]
専門家の登場だな。
茶葉は結構種類があるようだよ。
[ ヴィクトールと同じく、イヴァンがフィグネリアの左手に視線を送り、手伝いを申し出るのを見て自分は再び水だけ汲んで来ようと考える。]
不安に感じるのは、わかります。
でも、その不安だけでここまでするなんて。
[首を振る。皮をむくのは手慣れていた。左手の怪我は、怪我というのは小さくてもう痛みも殆どない]
こういった村だと、外から来た人はすぐに判ってしまうんでしょうね。
通り過ぎるだけの旅人ならまだしも、暮らすとなれば。
[苦労したという話に、僅かに頷いて。
ヴィクトールが言いかけたところでもう一人男性が訪れる。
邪魔という言葉に顔を上げた]
いえ、邪魔では。
むしろ、勝手にここを使ってしまって良いのかしらとは思いますけど……自分一人の分だけ作るのも変だし……手伝って貰えるなら。
[首を傾げる様子に他の野菜を示す]
[ やがて、ヴィクトールは鍋に水を汲んで来る。
甕もあるはあるが、今はそれで事足りるだろうとの判断だった。
イヴァンが料理を手伝い始めれば、果物や焼き菓子を見つけてきて、焼き菓子の分は包丁で切り分けて皿に盛った。
後で彼らが摘めるようにと考えての行動だった。
左手で扱った包丁を片付け、]
魚を釣ってきたのは君かい?
タチアナと、それと僕が料理を楽しみにしてるよ。
[ イヴァンに微笑み、フィグネリアにも会釈して厨房を後にする。
だが、直ぐに一度厨房に引き返すこととなった。]
すまないが、
広間にあったナイフは誰か回収したかい?
僕の分ごとなくなっているようだ。
[ 広間に一度戻ったところ、机の上にナイフが一本も置かれていなかった。
それを見たヴィクトールの心情は、重圧が薄まり拍子抜けした代わりに、誰かが殺る気になっているのではとアレクセイの無事が気がかりとなった。]
お名前を伺ってもよろしいですか?
私は、フィグネリアと申します。
[剥いていた手を止めて名を名乗る]
専門家って調理師かなにか……?
私が手伝う側に回った方が良いのかしら。
[首を緩く傾げてると被っていたスカーフが後ろに落ちる。背まで伸びた金糸がふわりと揺れた]
[ヴィクトールの言に目を瞠り]
えー、何の専門だろ。
匂いだけで茶葉を当てられたりとかはしないよ?
[軽い調子の声は何処かおどけたような仕草と共に紡がれる。
彼が鍋に水を汲みに行くのをみとめ、女性からの応じを聞いてから
玉葱とキャベツを取り出し下拵えを始める]
手伝ってご相伴にあずかろうって魂胆だから。
軟禁してるのはあっちだし使っても問題ないだろ。
[相変わらずの調子のまま屋敷の備品を使う事に躊躇いは見せない]
―回想―
「「人狼」という恐怖は、
それだけでここまで怖がらせてしまうんだ。
ここは大きな町でも皆で事に当たる小さな村でもない。」
[ フィグネリアの疑問>>65には、
目を伏せながらそんな返事をした。
連鎖的に恐怖が感染した現場>>0:43>>0:44に、ヴィクトールはいた。
一度人狼だと思い込めば、獣が食べて偶然目が閉じた可能性などは省みられなかった。
旅人については、ヴィクトールから返事が返らなくても、フィグネリアにはどんな返事が返るかは想像がついただろう。
水を汲みに出る直前にイヴァンへは、]
「料理の専門。」
[ と、イヴァンの仕草から、さらりとフィグネリアにバラすのも心が引けたが、指を立てて戯けてみただろう。]
[果物や焼き菓子が切り分けられるのをみて
思わず己の腹部へと視線を落としてしまうのは空腹だから]
結構いいものおいてあるんだなぁ。
[そんな感想を漏らしヴィクトールからの質問に答える]
そうそう。
今日のメインメニューにと思って釣ってきたんだけどさぁ
容疑者なんて言って営業妨害されちゃ店を開ける事も出来なくて
仕方なくこっちに持ってきたんだよねぇ。
へぇ、タチアナとヴィクトールさんが楽しみにしてくれてるなら
腕によりを掛けて料理しなきゃね。
[へらっとゆるい笑み顔を見せてはいたがナイフに関しては
わからない、と首を振った]
ああ、名乗ってなかったっけ。
俺はイヴァン。村で食堂をやってるんだ。
よろしくね、フィグネリア。
[玉葱の皮をむき微塵に切ればツンと特有の匂いと刺激が目鼻にくる。
食材から目を逸らした拍子にフィグネリアの背に揺れる金糸が映り込んだ]
そんな大層なもんじゃないよ。
――女性の手料理の方が俺としては嬉しいかな。
スカーフ、外していた方がいいね。
見事な髪を隠してしまうのは何だかもったいない。
[ヴィクトールが水を汲んできたのを見て、頭を下げる。
果物や焼き菓子が切り分けられていくのを、音だけで聞いて。
魚と言われるとそう言えばと視線を向ける]
イヴァンさんは釣りをされているのね。
お魚は余り捌いたことがないから、後で見ててもいいかしら?
[ジャガイモの皮をむき終わると、大きめにカットして他の野菜へと手をつけて]
でも、料理はされるんでしょう?
私のは、そんなにたいした物じゃないから……。簡単な物しか、作ったことがないの。
[スカーフをと言われると垂れた金糸に気付いて少しだけはっとする。目立つ髪は逃げるには邪魔で、切ってしまいたくもあったけれど。
結局スカーフで隠すだけに留めていた]
ありがとう、でも、今は料理を作っているからやっぱりまとめておくわ。
[はぐらかそうとした直後にすかさず齎されたヴィクトールの声>>69
指たてて戯けた様子を見せる彼に困ったような顔をして肩を竦める。
玉葱キャベツと切り揃えてからフィグネリアに顔を向け]
ん、魚を捌くのも慣れてはいるけど、……って、
綺麗な女性に見詰められると緊張しそうだ。
[軽口めいた返しだが尋ねに応じる頷きを一つ]
簡単なものでもキミの手料理が食べてみたい。
――…なんて言ってもダメ?
[甘えるような態で彼女にねだる。
髪をまとめようとする様には名残惜し気な視線注ぐも
料理中なら仕方ないと一旦引き下がり]
俺はパンの仕込みでもしておくよ。
[調理時間を考えながら魚を捌くは後に回した]
[ヴィクトールの切り分けた菓子を其々の手に摘む。
片方をフィグネリアの口許へと差し出し]
キミも一つどう?
[あーん、と促す響きをのせてにっこり笑う。
それから己ももう片方の手にある菓子を己の口に運び
甘く豊かな味わいに幸せそうな表情を浮かべた**]
[ イヴァンのゆるい笑み>>70には、ヴィクトールは嬉しそうに微笑んでいた。
困った様子>>73には、指立ては似合わなかったかとか、一回りは年齢が違うのだから邪険にされるのもとか、ゆるっとした笑顔の時に焼き菓子を口に放り込んでいたらもっと困った顔をしていたろうなどと弱気な事を内心考えていた。]
そうか。
もし誰かが持っていると言っていたら教えて欲しい。
僕の部屋は、
[ 気にはなるが何事も起こってはいない。
イヴァン>>70とフィグネリアがナイフの行方は知らないと言えば、緊急性は低いので話題を流した。
厨房での料理は託し、部屋の大体の場所を教え戻っていっただろう。]
[ アレクセイの隣の部屋に戻ると、机の上に置かれた鞄はそのままに、寝台に腰を下ろした。
扉は締めたが鍵はかけられていない。
昨日、柔らかいが雨に触れたからか、日頃の疲れからか、気怠さを感じたために上着などを脱いで寝台に横たわる。
埃っぽさが気にかかったが束の間眠ろうと目を閉じる。
アリョールのように、掃除をした方が良さそうだと微睡みの中、思った。]
緊張して、魚が駄目になってしまったり?
そんなに褒めても、何も出ないわ。
[くすっと笑みを零して、その後のおねだりにはどうしようか思案した後]
じゃあ、スープは私が。
元々作る予定だったものだし。
[髪をスカーフで一つにまとめて、甕の水を掬い手を洗うと人参をむき始めた。
パンの仕込みをするらしいイヴァンが視界から消えて、戻ってきたらしいヴ行くトールの声が響くと]
いえ、人数分あるとアレクセイさんに聞いたくらいで、ヴィクトールさんの分がないんですか……?
部屋に行った後は広間には顔を出していないから。
わかりました。二本持っていった方がいるのかしら……。
[と言うことは、もう人数は揃っているのかと思う。
ヴィクトールが部屋を教えて出ていくと、またまな板へと向かった。
と、イヴァンの手が菓子を持って口元に差し出される]
え? あ、ええと、その。
[思わず口を開けそうになってしまって言い淀んだ。
常客が菓子をくれるときがあって差し出されてつい口を開くのは癖のようなもの。
けれどイヴァンの幸せそうな表情に、無碍に断るのも気が引けて]
ありがとう、ございます。
でも、その、後で戴きますから。
[礼と断りを口にする。
照れてしまって少し頬が赤く染まった]
[ 体温が普段より高い。
人狼としての体温に上昇しているのだろうか。
フィグネリアの小さな切傷から香るのは、これまで感じたことのない香りだった。]
(大丈夫だ。)
[ 唾液を呑み込み、眠りに全てを委ねる。]
[人参を切り終わってから火の燻る竈に薪を追加して、少しの水を張った鍋を火にかけた。
沸騰すれば調味料と野菜をいれてから蓋をした]
じゃあ、一つだけ。
[お菓子を一つ手にとって口に運ぶ。
甘みが体力の落ちた体にじんわりと広がっていくような、気がした。
火の加減とイヴァンの手際を見るために、近場にあった椅子へと腰掛ける。
こんな状況だというのに、初めてとも言える落ち着いた時間に気付いて、苦笑が*浮かんだ*]
[ 世の中には、不思議なものがある。
人狼の食欲を増進するという香>>0:#1もその一つだろう。
ヴィクトールは、ベルナルトの前>>0:101で人狼を炙り出す為に使われていたもの>>0:78だと話したが、聞いた話はそれだけではなかった。
"人狼の自覚がないものを目覚めさせる為に使われる"
そんな良くない話も聞いていた。
炙り出せる事には違いはない。
だが、その話を口にすれば、見知った相手同士の間でも疑いの火種になるだろう。
昨日まで自覚がなかった相手が一時にして変貌してしまう。
だから、何事もないのであれば、ヴィクトールは話を口にするつもりはなかった。
あの時のベルナルトの曖昧な様子から、
ヴィクトールが知るこれら以外の全く別の話を、*彼は知っていたのかもしれないが。*]
[陣取った部屋の掃除に幾許かの時間をかける。
いつしか硬く絞った布で擦る度、キュキュ、と小気味よい音が床から響くようになった。
先程まで埃の溜まっていた事等、ぱっと見には解らないだろう。
そこで漸く満足して掃除を切り上げ、汚れた水を捨てるため厨房へと戻る]
おや。
[先程とは、面子が入れ替わっている。
フィグネリアとは先程入れ違ったわけだが、タチアナとヴィクトールではなく、其処に居るのはイヴァンで]
――…今、作っているものは自分用か?
[問い掛けはフィグネリアとイヴァンの両方に。
必要か問われれば、欲しいと答えもするだろう]
―回想・2階客室―
[一人、部屋に籠った折に、唇を指で叩く。
少しの逡巡。
――…けれど、決断は早かった]
ォ――…、
[歌の様に。遠吠えの様に。
高く低く唇から音が零れる。
同族でなければ気付く事のできない其れは、この場の香と共に覚醒を促して行く]
[今直ぐに目覚めるのでは無くても、其れは其れで構わなかった]
食事の頃には、来て欲しいものだがな。
[呼び声に誘われてくれるのなら、他は瑣末な事だ。
例え其の時、彼がどの様な決断をしようとも]
[以前にタチアナの誘いを歯切れ悪く断ったから
冷やかしだと思われてしまうだろうか。
「今は胸がいっぱいだから、いい」
なんて、失礼な返事だったろうか――]
―2階物置―
[己の微かな呻きで、男はゆっくりと目を覚ます。
身じろぎにさらりと零れた女もののショール。
彼女の特製煙草の移り香なのだろう。
屋敷の閉塞感か、例の香か、精神的なものか
重く籠った空気の中にすっとした匂いが混じった]
ああ、なんか…息が楽だ
[ふわりと空気に香りを混ぜるよう掬い上げ、
軽く握ったショールに鼻を埋めて深く深呼吸をした]
[厨房の二人とは、多くの言葉を交わさぬままに場を辞して。
2階の物置へと戻り、掃除用具をしまおうと]
――…。
[人が居た。
しかも、あんな狭い隙間に]
何故?
[思わず思考が声に出る]
…え?
[不意に開かれた物置の扉。
薄暗さに慣れた目を眇めた男は、
女物のショールに鼻先を埋めたまま静止した]
…
落ち着くから ?
[薄布越しで声がくぐもった]
…そう、なのか。
[じ、と無遠慮にニキータを見詰める。
指先は、こつこつと忙しなく自身の唇を叩く]
…。
落ち着いているところ、すまないが。
これを片付けさせてはくれないか。
[表出する感情は淡いが、これでも驚いてはいるらしい。
色々と指摘したくなる箇所はあるのだが、有り過ぎて何も言えなくなったらしい。
自身の目的のみを端的に伝えた]
…そう、なんだ。
[女の視線を感じ、男の視線は横に逃げる。
こつこつ唇を叩く微かな音らしきものは秒針を思わせる]
すまん。
[彼女が手にした用具を見てのそりと這い出る。
あまり清潔でない男の匂いがむわりと漂ったかもしれず。
本人は気づいた様子もなく、
ショールを抱えたまま廊下の隅に所在無さげに佇んだ]
…
[収まる場所がなくなってしまった]
[ヴィクトールの茶目っ気ある仕草には和んだのだが
はぐらかしたものをズバリ言われた事に困惑しての表情で
それに対し弱気な考え>>75を抱いているとは露とも知れない。
菓子差し出されていたら躊躇うことなくぱくつくくらいの
一見軽薄にも見える行為をイヴァンは抵抗なく行う。
フィグネリアの礼と断り>>78にもあっさり引き下がり
白い肌が染まるのを愉しげに見つめながら差し出した菓子をぱくり。
スープが一段落し彼女が椅子に座る頃にはパン種も寝かせる段階。
容れ物の中の魚へと手を掛けた所でアリョールからの声>>81]
一応人数分はあるはずだよ。
[ゆると頷き気さくな響きを返した]
―2階物置部屋―
[素直に退いてもらえたので、ひとまず持ち出したものを元の場所にしまう]
ケホ――…、
[その際に咳き込んだのは、確実に掃除用具の為では無く、眉を顰めた。
潔癖症めいている彼女以外ならば、そう気になる事もないのかもしれないが、少なくとも彼女にとっては不快だった]
…行く場所が無いなら、少し水を浴びてきたらどうだ?
[物置部屋から出て直ぐ。
遠慮も何も無く、寧ろ棘すら有る様な響きで言葉を投げる]
[菓子を一つ食べた後、果物にも手を伸す。
新鮮な果物など、余り食べたことはなかった。
一つ二つ口にしたところで、アリョールが部屋に入ってきた]
アリョールさん……。多分、人数分は作るつもりですけど。
お腹が減ったならここのお菓子とか、果物とか摘まんだらどうかしら?
[と、皿を勧めて。
イヴァンが魚を捌き出せば椅子から立ちあがってその様子を横で見ることにした]
―2階物置―
[咳き込みに身を竦めた男は
物置の中に居た時よりも肩身狭そうに]
…水
[言われて連想するのは湖畔の冷たい水。
しょんぼりとうな垂れてから、
ようやく何を言われたのか気づく]
申し訳ない…
[なるべく彼女と距離を取ろうと
廊下の壁に背をべたりとつけたまま
ずりずりと遠ざかっていった]
その、なんだ。
こちらこそ、すまない。
[しょんぼりと項垂れる様子は、何処か叱られた小動物を思わせた。
が、不快なものは不快であるし、苦手なものは苦手なのである。
遠ざかるのを確認すると、一つ息を吐き、自身の荷物を置いた部屋へと向かう]
そう言えば、あれは…タチアナのものだったような…?
何故、彼が?
というか、そもそも彼の名前は何だったか…。
[今更な事柄を幾つか思い返しつつ。
墓地に関わりの薄い相手は、名前も出てきにくい。
ニキータという名前を思い出すまでには、少しの時間を要した]
― 個室 ―
[鍵のかからない個室のなか。
思い返すのは古いお伽噺。
夜の間に見えるもの。
そんな話を思い出したけれど、小さく吐息をこぼして考えないようにした。
ふと気づけばそれなりに時間はたっていたようで、ベッドから立ち上がる]
あら――そういえば、貸したのだったわね。
[ショールを探して、首をかしげ。
小さく呟いた。
断り文句が面白くて覚えている。
その後、パンと葡萄酒を聞かれたら、ちゃんと美味しいものを教えたのだった]
[ どれ程微睡んでいたのか。
一瞬だったかもしれないし随分時間が経ったのかもしれない。
上半身を起こすと、やや乱れた髪の毛を撫でつけた。]
んん。
[ ヴィクトールは緩く拳を作り、
口元に近づけると咳を堪えるように呻く。
埃っぽい。
寝惚け眼で立ち上がると、上着を掛けた椅子に手をかけた。]
いや、気にしてない。から、だいじょぶ だ。
[去り際の謝罪へは、彼女ではなく壁の方を向いてした。
そのままずりずりと横歩き、階下へと向かう足は重い]
…誰も いませんように。
[個室に浴室がついている可能性も考えたが、
空き部屋が判らない。
水場は台所と隣接しているのが定石であるが、
近づくほどに良い香りがする事が人の居る証明で。
厨房の前の廊下で心が折れかけた]
本当、綺麗におろせるのね。
[身と骨に分けるのをじっと見て、それから野菜スープの鍋を見ると、弱くなった火に薪をくべて、鍋を火から少し遠ざける。
こしょうを振るとさらに煮込むために又蓋を]
そのお魚は焼いてしまうの?
[椅子に座ってからイヴァンへ声をかけた]
[すっかり綺麗になった部屋に戻り、荷物から1冊の本を取り出す。
以前にアレクセイの店にて買ったものだが、繰り返し読んでいる為、既にかなりよれている]
食事が出るのなら、下で待つか。
[深く考える事もなく階下へ向かい、広間の椅子に陣取り本を開く]
―二階/自室―
[ベッドの上で身動ぎすると、微かに埃が舞う。
深呼吸しようとは思えない、未だ埃っぽい空気の中
それでも吸い込む空気の色に思い寄せるのは、
広間のあの紙の記述のひとつを思い返したから。
「人狼の食欲を増進する香」。
ヴィクトールがその話題が出した時、曖昧に振る舞ったのは
確かに胸の内、過っていたものがあったからだったが――。]
…………何か食べた方が良い、な。
[備え付けの鏡を見て身なりを整える、などということもせず
ナイフも鉛筆も何も持たずに部屋を後にしようとして――、
そうだ、とスケッチブックの一ページにベルナルトの名を記す。
扉に張り付ける為のテープは備品の一つを見繕ったもの。
といっても仮に全員が既に部屋を見つけているのであれば、
確保済みであることを記す必要もないのかもしれなかったが。]
[ 上手くタイを締められない。
香による酩酊と、
歌のような呼び声と、
残る理性が、もどかしく普段通りの指の動きを行わせようとしているが、
何度目かの試みの後、漸くタイを締める。]
―2階個室―
[思考の海から戻った後は読書の続きを。
没頭すると他からの声も聞こえないほどになるのは、恐らく書店にやってくる人ならば知っているだろう。
親を亡くすまではそういったことは無く、外に出る事も多かったが。
ふと小腹がすいていることに気付いた時、漸く戻ってくる]
……あぁ。
[読みふけってしまったと目頭を押さえて、本に栞を挟む。
それからしっかりと立ち上がり、扉に手をかけた。がちゃり、と音が響く]
慣れ、だよ。
[微かに照れた様子でフィグネリアに返す。
問い掛けには少し考えて]
チーズ焼きにでもしてしまおうかと思ってたけど、キミも使う?
[運んできた釣果の大半は捌いてしまったが
容れ物の中にはベルナルトとの約束用に二尾ほど残る。
捌いた分を示しながら彼女に問い掛けて]
―1階廊下―
[階上の物音が増えた事に、男は天井を見上げる。
人の気配を探るように周囲を見回してから、
廊下の奥の暗がりに、なんとなく身を隠した]
タチアナは、 ニキータ を能力(占う)の対象に選びました。
[なんだか廊下を歩く足音が増えた気がして、部屋の中で立ち止まる。
階下へとおりていく足音が小さくなった頃に、扉から部屋の外へとでて。
その時に2階廊下に誰かいただろうか]
[広間、一人きりのタイミングを見計らい、]
ォ――…、
[歌の様に。遠吠えの様に。またも繰り返す。
そう言えば、この遠吠えを教えてくれたのは、と。
ふと懐かしいことを思い出す]
―回想・在りし日―
["彼"は、先祖還りだった。
少なくとも、父も母も人狼と呼ばれる存在ではなく、何も知らぬまま"彼"に喰われた。
"彼女"は父へも母へも愛着を抱いていたけれど、"彼"にとっては父も母も獣の衝動をどうしても呼び覚ます相手だった。
夜、月に誘われ、"彼"が獣になったあの日、あの時の恍惚も。
翌朝の、緋に塗れた"彼女"の悲しみも。
薄れることなく、未だ、心に在る]
―2階個室→廊下―
[部屋の扉には何も貼っていない。
これは混乱するだろうか、と廊下に出て少し悩む]
……。
[部屋の戸を開けたまま、中に入り、さらさらと紙に自分の名を書きつける]
、 アリョール。
[ 広間へ入るとアリョールが一人居た。
掃除も既に終わっているのだろう。
辺りには、イヴァンやフィグネリアが調理していると思しき料理の良い匂いが漂ってきていた。
ヴィクトールは、ソファに座り、自室でと同じように手をあて咳を殺そうとする。]
["彼"が詳しい事情を知る事になったのは、孤児となった後。
身元を引き受けてくれた先代の墓守に教わってのことだった。
今はもう亡くなった其の相手もまた、人狼だった。
例えば、人の中で生きて行く為に、限りなく都合の良い職が墓守という事。
心近しい相手であればあるほど、餌にしたときは深く苦しみ、けれど同時に、其れは何にも代え難い甘露の味がするものなのだという事。
仲間を呼ぶ為の聲の事。
――…本当に、幾つも]
[幾つもの事を教えてくれた先代ではあったが、一つの身体の内で、重なり、けれども合致しきらない"彼"と"彼女"の意識についてだけは、解らないようだった。
けれどそれも今となっては、"彼"も"彼女"も「そういうものだ」と割り切ってしまった為にさして問題は無いのだった]
―回想・終了―
私は、見ているだけで良いわ。
魚は良くわからないから。
[イヴァンの問いに首を振ってから、見ているだけに留める]
チーズ焼きはおいしそうね。
[時々鍋の様子を見ていたところで、イヴァンがパンを窯に入れるのが見えて、面白そうにそれを見る]
―広間―
[名を呼ぶ声に、顔を上げる。
本は閉じずに膝の上に開いたまま、唇を人差し指で叩く]
――…具合でも悪いのか。
あまり顔色が良くないな。
[本当に心配しているのかは読みづらい声音で、言葉を投げ掛ける]
[ それよりは、ざわざわと、ざわつく。
屋敷内の音も料理の匂いも雑然としたノイズの様だ。
如何して、ここまで来たのか無意識では半ば分かりつつも、理解りきれていない。
口元を抑える様子が、アリョールに怪しまなければ良いがと思う。]
――…いっそ、気付いてしまえば楽だろうに。
[本当は気を遣う必要も無いのだから、と、そう"彼"は思う。
気付いてしまえば、別の苦しみに耐える必要があるだろうと"彼女"なら、そう考えもしたのだろうけれど]
スープもいい匂いがしてきたね。
[クンと鼻を鳴らし鍋に目を遣る。
見ているだけというフィグネリアにゆると頷いた。
塩で臭みを抜き、香草と塩胡椒で下味をつけた白身魚を器ぶ並べる。
削ったチーズで切り身を覆い周囲にトマトを盛り付けグリルして]
そろそろ良い頃合いかな。
順に広間に運んで皆を呼んでくるか。
[焼きあがったパンを窯から取り出し
既に人が集まりつつあるとは知らぬままそんな言葉を漏らした]
―1階廊下、奥―
[息を殺し身じろぎもせず居る事は慣れていた。
薄暗がりにじわっと染み出るような錯覚に陥る、
指摘された自分の匂いも、すぐに浴びれない水の事も。
じっと時をやりすごせば耐えられることだ。
けれど、ふんわり漂いはじめる
パンの焼ける匂いだけは、堪らなかった]
――…
[胃のあたりがきゅうとするのは空腹のせいか。
なんだか少し、鼻の辺りが熱い。
片腕に抱えた借りたままのショールを、空いた片手で触れる]
[ すまないと呟き、はぁと小さく溜息をついた。]
どうも、埃っぽくてね。
君が先程掃除していたのは正解だったみたいだ。
[ そうして、掃除道具の場所を尋ねてみた。
両手の指を組み合わせ、アリョールが読んでいる本に一瞥は向けたが、この角度では内容は見えないだろう。]
俺もそう思っていたところだ。
喉が渇いた。
そういえば小腹もすいた。
[階段の方へと一度視線を向けてから、タチアナの方を見て頷く]
行こうか。
ふふ、なら一緒にいきましょう。
[ね?と、ベルナルトに声をかけ、彼の腕へと手を伸ばす。
振り払われなければ細い指先がベルナルトの肘に絡んで、ともに歩くつもりで。
振り払われたら残念と肩をすくめるのだけれど]
美味しいもの食べて、終るのが一番だものねェ。
[くすくすと笑いながら、階下へと向かうために歩き出す]
[順に、と言った矢先に片隅にあるワゴンに気付く。
濡れた布巾で埃を拭いそれに料理や食器をのせてゆく。
籠に盛った色づくライ麦パン。
鍋ごと運ぶのは野菜のスープ。
こんがりと焼き目のついた白身魚のチーズ焼き。
取り皿にナイフやフォーク、スプーン、水差しにグラスを人数分揃え]
こんなもんかな。
[フィグネリアに尋ねつつ、広間へと促す。
食事をのせたワゴンを押すのは無論イヴァンの仕事]
[魚が焼けた頃、野菜スープの方も火から鍋を外して]
スープも頃合いだわ。
素朴だけど、割と味はしっかりしているのよ。
[スープ皿を取り出して台の上に置くと、先に鍋を運ぼうとして]
広間でみんな食べるのよね。
あそこに運んでしまっていいかしら。
―広間―
掃除用具なら、2階の隅の物置にある。
――…物好きが、落ち着くからとそこに嵌っているかもしれないが。
[先程の匂いを思い出して、軽く眉を顰めた]
余程、具合が悪い様ならば、私が代わりに掃除をしておくが。
[珍しくも、そんな事を呟く。
返された様子、表情にはその目を見て]
どう見ても、本調子とは言い難そうだしな。
あぁ。大事さ。
ちゃんと食べてないと、身体にも悪いし――。
勿論、一緒に来てくれるなら喜んで。
アレクセイも、ね。
[彼女>>110から視線外しつつも、顔色や声色には特に変わった色は滲まない。
己の肘に触れる手の感触には、触れられてから気づいて。
流石に大きく瞬き、髪から覗く耳元も少し赤くなる。
それでも、しなやかな腕を振り払いはしなかった。]
……でも、さっきみたいな冗談は、
あまりしないでくれると嬉しいよ、タチアナ。
[それでもふっと、少し前のこと>>47に触れて低く零してはいた。
足はそのまま、階段を踏んで階下へと。]
間違えて入られても困るからな。
金目のものなんて無いけど。
[ベルナルトの言葉に、そんな風に返して。
タチアナがベルナルトの腕に手を伸ばすのを見て、そのベルナルトの反応を見て、くくっと笑みがこぼれた]
あぁ。
[一緒に行こうというのに頷いて、階段を下りるのは二人より後]
[ワゴンをイヴァンが出してくるとその上に鍋を載せて、皿も一緒に乗せる。
他の準備もされているのを見て]
手際がいいのね。
それにこれ、やっぱり以前はたくさんの人がここに泊まっていたのかしら?
ワゴンもあるなんて。
[イヴァンがワゴンを押すのを見て、その前で扉を開いて歩く]
[向けられた視線と見返す眼差しが合わさる。
声と聲も、また]
どう見ても、本調子とは言い難そうだしな。
[それは、人としてもであり。狼としてもである]
――…仕方あるまい。
人としての食事を終えたなら、狼としての食事もしよう。
[先程の様子に、呼べば来るという確信が有った。
真っ直ぐに同族を見つめ、聲が落ちる]
それでも、食事をするか否か、決断するのは君だが。
[この聲が届いているのかは、"彼"には解らないが。
それでも"彼"にとっては呟かざるを得ない一言でもあった]
[綺麗な髪の間から見える耳朶が染まっているのにくすくすと笑みを深め。
肘に触れさせた手はそのままに、必要以上に寄り添うのは刺激が強そうだとやめておいた。
低く告げられる言葉に態とらしく瞳をまたたかせて]
あら、ほんとにきても大丈夫なのに?
――まあ、ベルナルトはからかわれるのに慣れて無さそうだから、やめておいてあげるわ。
[ゆるりと肩をすくめて、ふられちゃったかも、と後ろにいるアレクセイを振り返って軽口をたたく。
階段を下りて1階廊下へとたどり着いた時に、ふと物陰からショールの裾が見えた気がして]
――アタシちょっと、用事。
[するりと気紛れな猫のようにベルナルトの傍から離れて、二人に先に行ってと手を振った]
[イヴァンの声に、
犬がぴんと耳を立てる時のよう顔が上がる]
〜〜〜っ
[飯の時間だ。
なんだかとても普通の響きで。
なんだかとても安心をして。
明るい場所も人の集まる場所も
手が震えるくらい苦手なのを忘れて足を踏み出しかけて]
…
[ぼろっと、目元から何か零れた。
鼻孔のあたりに鼻水がじわっとおりてきた]
[タチアナの言葉を聞きながらも、笑みは止まらない。
ベルナルトに向ける視線は、とても楽しんでいるのが丸判りで]
お前も振られることがあるんだな。
まぁ、ベルナルトを苛めるのは程々にな。
[そして、1階の廊下、彼女が用事というのには怪訝そうな顔でその後姿を見送り]
……飯だな。
[イヴァンの大声に、思わず笑みを零した]
―広間―
[扉が開く音に、ヴィクトールに向けていた視線を動かす。
フィグネリア。イヴァン。ワゴン。
待っていたものが来たらしいというのは、ワゴンからの薫りと大きな声で直ぐに解った。
す、と、ヴィクトールに視線を戻し]
ああ、わかるな。
もし疲れているのなら、食事をして、ゆっくり休むことだ。
[また、すぐにワゴンの方へ視線を向け]
作らなかった分、配膳くらいは手伝おう。
[ワゴンの近くにいたフィグネリアへと声を掛ける]
― 1階廊下 ―
[広間から出てきたイヴァンと視線が合えばくす、とおかしげに笑いを零す。
隅のほうからショールがひらひらしているのが見えて、先にいくのなら邪魔しないほうがいいのかしら、と首をかしげた。
けれど位置的にニキータの姿が見えればあらあらと瞳を瞬かせて]
……なんで泣いてるのかしら。
[不思議そうに瞬いて、イヴァンがニキータに声をかけるのを見守った]
[ 気のせいか。
二重音声のように、声が飛び込んできたように思えた。
視線を外し、束の間瞑目した。
煽られている。
人の血肉を口にしたことがない分、
聲に喚び起されれば、ふつりふつりと、細胞の一粒一粒が要求しているようだ。
震えるように熱せられた息を溜息に胡麻化して吐く。
無意識の中では、聲は理解出来る形ではないが伝わってはいる。
まだ、理性が繋ぎ止めているかのように。
まだ、意味の理解は出来ない。]
[金目のもの、とアレクセイ>>124が口にしたことで
自室に残してきたもののことをふと思い出す。
その中にはナイフも含まれていたが、
楽観が幾らかでもあったためか強い不安は覚えないまま。
そんなアレクセイの笑い声が聞こえた気がして、
また少し居たたまれなさが過ったのも。
そしてタチアナ>>127の軽口にほんの少し目を伏せたのも、
まだ平穏な証とはいえたのだろう。]
………あぁ。そうしておいて。
[階下からのイヴァンの呼びかけ>>126が、再び気を取り直させてくれるよう。
だから道中、タチアナが用事と告げたことには瞬きつつも。
離れていくのを引き留めることは無く、少しの間だけその背を見詰めるだけだった。]
[イヴァンが広間を出て行くと代わりにスープや魚を皿に盛りつけて配膳しようとして]
ああ、ありがとうございます、アリョールさん。
じゃあ並べていただいていいですか?
[器に盛りつけた物をアリョールの方へと差し出した]
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