情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
少年 ネロ は、孤児 オーフェン を占った。
次の日の朝、占星術師 クローディア が無残な姿で発見された。
噂は現実だった。血塗られた定めに従う魔物“人狼”は、確かにこの中にいるのだ。
非力な人間が人狼に対抗するため、村人たちは一つのルールを定めた。投票により怪しい者を処刑していこうと。罪のない者を処刑してしまう事もあるだろうが、それも村のためにはやむを得ないと……。
現在の生存者は、自警団員 ガウェイン、烏賊 ラス、孤児 オーフェン、学生 エリカ、くの一 アヤメ、少年 ネロ、雑貨屋 フラン の 7 名。
[うとうとと]
[布団に招かれて]
[声をききつつ、浅い眠りの淵]
[まるで一本橋のよう]
[ゆめとうつつを、行き来して]
[りぃん]
[鈴の音]
[現れた神巫]
[その姿を認めて、今度こそ眠りへと]
[落ちたくないと]
[思っていたゆめは]
[こわくない]
[その言葉に、すこし救われて]
[それはだれか]
[夢の中でゆめを見る]
[真実を]
[ゆめは見せる]
[わずかな違いも赦さない]
[見ぬようにしても]
[見せられた]
[その姿は――]
[どうして、どうして]
[こぼれた言葉]
[夢の中だけで音を持ち]
[だけれども]
[のぞきみるゆめは]
[こわくはない]
[……いっしょだと口許がほころんだ]
[目を開ける]
[時間はあいまい]
[童子たちは働いている]
[その様子はやはりどこか異様で]
[まるでまたゆめに落ちてしまったようで]
水
川に、ゆこう
[かすれた声が*呟いた*]
[ふわと水面に泡浮かぶよに、途切れた意識が戻り来る。]
…やれ、またも気をやられたか。
天狗の業はようわからぬ。
[明けるも暮れるもなき里に、鈴の音リーンと三度鳴れば。
眠りの水底沈みゆく。
さても不思議や不思議やな。]
[眠りの前に現れし神巫へ、思い馳せれば眉が寄る。]
…不自由と言わば返したか。
さてもそのよなことあるまいに。
[水飴咥えるが当たりであったと、唇舐めれば苦い蜜。]
[ゆうるり辺り見渡せば、未だ眠りにあるだろか。
瞼閉じれば耳に甦る、おのこ唄いし低き声。]
ひとりはさみし…
ふたりはこいし…
…さみしは知れど、こいしは知らぬ。
[ぽつり落とした言の葉は、水面に揺れる波紋となりて。
親指ぐいと唇に、残りし蜜を拭い去る。]
ゆくももどるも…天狗の関は越えられぬ。
所詮、我など掌の上よ。
[親指舐めつつ眉顰め、一人ごちるは己への忌避か。
朱の弧を描くおなごの唇と、真逆のそれは色淡し。]
[朝餉もらえば館を後に、白き花の野を歩み往く。]
[やがて真白に囲まれて、取り出だすは舞扇。]
[波紋を鎮めんと無心に舞えば、*遠く雷鳴響こうか*]
学生 エリカは、一人舞う。雨濡れるまで*無我の境地なり*
[ゆるり、ゆるり―眠りの檻から解き放たれ、目覚めの時が訪れる―]
う…。
[未だに酔いが醒めやらぬか、起き上がるや額に手をやり童を呼び止める]
先に湯浴みだ―ちと飲みすぎた。
[そのまま童達に引かれ湯殿へと向かうか]
[―無論本気で二日酔いなどではない。仮にも天狗と呼ばれる者があの程度で翌朝にまで酔いを残すはずがあろうか?湯浴みはあくまで時間を得るための方便に過ぎぬ。誰を選ぶか選ばざるか考える時間の―]
[りぃん、と鳴る、鈴の音。
振り返れば、美しき。
笑みを湛えし、天狗の神巫]
……あ。
[霧へと進む、その姿。
それが消えゆく僅かな刹那。
紅緋は強き、力を見ゆる。
──ついで、意識は霧に落ち]
[ゆぅら、ゆぅらと夢を見る]
「……ではないよ」
[優しい声]
「風漣様は……などではないから」
[それは、言い含めるように、言い聞かせるように]
「お守りする故……案ずるな?」
[……それは、どちらに言い聞かせていたのか。
今となっては知る術もなく]
[ゆる、と開く、紅緋。
いつ運ばれたのかすら定かではないけれど、いつの間にか床の中。
腕には鞠、傍らには小さき獣。
童子たちのさざめきを、茫、と聞きつ。
しばし、夢幻の狭間を移ろいて]
ほんとに違うのだろか。
風漣は、いらぬ子だから、隠されたのではないの?
父様がいらぬと言われたから。
森に隠されたのではないの?
[問えど、答えは得られるはずもなく]
[目覚めど起きぬを案じたか。
仔うさぎ、そう、と頬に擦り寄り。
ぬくもりに、紅緋はす、と和らいで]
……大丈夫……だよ?
[お前もやさしいこ、と呟きつ、身を起こし。
朝餉をもらって、庭へと下りる。
てん。
音を立てつ、くるり、回る朱と金の華]
ひいや ふうや……
[仔うざき傍らに、鞠をつく。
てん、てん、てん。
唄と共に、くるり、くるりと回る華の紋。
それを追う、紅緋は微か、*陰ろうか*]
[ゆらり、夢より立ち戻り]
ああ、茶はいらないやね、水を一杯。
[応じて童子の差し出した、冷たき清水に喉を鳴らす]
[庭で鞠つく子供の声に、しばしは耳を傾けて、やがて遠雷の鳴るを聞けば、誘われるように*出かけていこうか*]
[ぴちゃ、ぴちゃり]
[川辺に足音]
[空は明るい]
[だけれど翳るのだろうか?]
[水を足に纏わせて]
[着物を脱ぎ捨て、川に入る]
[湯殿を使うより]
[これが良いのか]
[澄んだ水を掬って]
……きれいじゃぁ
[底には水草があおく踊り]
[ぴちゃり、ぱちゃり]
[水は遊び]
[やがて遠くの神が鳴けば]
[きょとんとそちらを見やる]
[童子からもらっておいた手拭いで]
[ぱさり]
[体を拭いては]
……ふるんかのぅ?
[*館の方へと歩き出す*]
[深き深き森の傍、静けき野に在りし里。
それは天狗の棲みし桃源の地なりや、
いやいや人の隠れ住まいし村なりや。
戦の法に隠るる術に奪ひ方を学びし所。
幼き娘は物心つく前に親兄弟とわかたれて、
誰の顔も覚えておらず人の情も知らざりけり。
人で在れど人成らぬものが生きし場所。]
[夢の中、霧の中に霞む、遠き思ひ出、
静寂の水底に波紋の立ちて揺らぐ記憶。
思ひ出してはならぬと云ふは誰たろか、
されどもゆうるりゆるりと少しずつ、
晴れてゆくよ、
乱れてゆくよ、
けれどもさてね、
迷い惑うか、
道を往くか、
其は己が心次第よ。]
〔澄みたる鈴の音はいずこより聞えよう、
低く轟きし雷鳴はいずこから聞えよう、
鳥も獣も虫もなくを止めて聞き入ろう。
小さき森の大きな樹、枝に腰掛け天仰ぐ。
一つ巾着袋の揺れて、緩く一度回りけり。
頬を濡らしゆくは気の早い雨垂れなるか、
肌を伝ひゆくは目覚めの遅い朝露なるか、
はたまた水底より跳ね上げられし飛沫か。
何れにしても見るものも知るものもおらず、
何れにしてもそれに如何様な意味があろう。
緑茂る森に沈む黒き衣の女は闇のやうであり、
花咲く野に舞う白き姿の君は光のやうであり、
唯ただ黙して紫黒の眼差しを遠く投げにけり。〕
[風の運びしは噂だけでなく天狗のささやきも、
たとい雷鳴が激しかろうともそれは聞こえよう。]
さぁて。
誰そ、望みの者は居るかな。
[問うようでもあり独り言ちるようでもあり、
かへりごとは期待しているや否や定かでなく。]
/中/
居るはする、て。居はするですね。
昨日の発言具合を見るに懸念事項がある訳だけれども。
……はてさて、まあ、48hだしまったりとゆこうかな。
[湯浴みを終える頃にはとうに昼餉の時になり。解いた髪もそのままに座敷へ戻るその途上、遠く雷鳴轟けばひたり、足を止め外を見やるか]
―こいつぁ一雨来るな。
[風に乗って紫黒の声が届かば此方も風に言の葉を乗せるか]
まだ決めかねるが―強いて言うなら揺藍かえいかのどちらかだな。
気に掛かると言うなら烏もだが―
[仲間云々と言うのではなく、底が知れないような―言外の意味は伝わったか]
―そちらこそ望みはないのか、妖女。
その中で云うのなら、
空の君だろうか。
まだ時はあるから、
早急に決める必要もなけれども。
誰その望みを聞く事はあれど、
己等の望みを言う事はないよ。
少なくとも、今は。
[空には薄く雲がかり、白き夜になったよう。
ぽつり一粒落ちたれば、それが合図であったよに、雨の帳が下りゆかん。]
[天も地も、その間さえ。全ては白く染まりゆく。]
[さああ……と。
音を立てつ、降る雨に。
慌てつ、鞠と仔うさぎを座敷へと。
しかし、自身は、何か思うよに。
降りしきる、雨の内に立ち尽くす]
中/
夏といえば雷雨だろうと勝手に降らせて申し訳ない。
じゃが昼も夜もなしゆえ、なにやら刺激が欲しいのじゃ。
人なき民家で雨宿りしたいのが本音とは言わぬぞ。
〔雨は森にも等しく降り注ぎて、
緑もまた滴に濡らされてゆく。
されども深き色は薄まらず、
ますます闇の中へと没するか。
女は嘆く空を仰ぎて紫黒を瞬かし、
音もなく地へと降り立たむ。
其はまるで黒き蝶が下りたやう。〕
[無我の境地のそのままに、白拍子は舞い踊る。
額に結びし玉の汗が、雨と混じりて散りゆかん。]
[白き衣は雨に濡れ、袖翻るも重くなり。
やがて手に持つ扇すら、しとどに濡れて用なさず。
――はたり、それは落ちようか。]
……ああ、ああ。
我は………
[濡れるに任せ立ち尽くし、琥珀は虚ろに天を見る。
頬を伝う涙は、空の流したものや否や。]
やはり我は……竜神に奉げられし贄。
天狗の治める地であれど、それは変わることなきか…
[呟きは雨音に消され、聞くものなどいなかろう。]
中/
白の衣ずぶ濡れにするなどとは、竜神とは助平じゃの。(*ノノ)
…というのは冗談じゃ。
我の白き衣には意味があるゆえ。
〔白き野から緑の森へと眼差し移せば、
その先に見ゆるは藁葺き屋根の家数件。
濡れる草々踏みて其方へと歩みゆくも、
そこには人の姿はとんと見当たらず、
小さき生き物の雨宿りをするばかり。
壁に立てかけられしは蛇の目傘が一張、
手に取りて天に翳し広げて見てみれば、
滅紫に白き輪が色鮮やかに満ちてゆく。
緩やかな足取りで緑の森から白き野へ、
その先に見ゆるは立ち尽くす白拍子か。〕
[白き野に立つ白にも、緑の森に下りつ黒にも、
庭にて物思いに耽る童にも、雨は等しく降り注ぐ。]
[琥珀はやがて瞼の内に、青く鈍る髪ふると振り。
ふらりふらりと白の影、何処へかと歩み出さん。]
風邪をひいたら、叱られてしまう……?
[滴と共に、零れ落ちるは小さき声]
あたたかくしないと、いけないね。
[呟いて、伏せし紅緋を童子たちへ。
さざめき笑うものたちに手を取られ、湯殿へと。
瑠璃紺の絎紐を解き、白花色の小袖を滑り落とせば。
現れ出でるは、何れでもなき性なき身体。
それを湯に沈めて温めて。
温もり取り戻したなら換えの衣に身を包み。
小さき部屋を童子に求め、鞠と共に*独り眠りに捕らわるるか*]
/中/
何となくネタが被ってそーな予感があるので、やったモン勝ち、という事で(^ ^;
しかし、占霊ですか、そうですか。
……すーくーりーぷーとーっ!
中/
ずぶ濡れふらぐを立ててしもうたのでいいかげん性別決めねばいかんのじゃが。
もしや風漣殿と同じく、揺藍殿も無性という落ちかや?
い、いまからおのこと言い張っても…無理じゃ orz
中/
性別おのこが無理な理由=だって竜神様の好みがだんs(ぺし
否、竜神様がおなごの可能性もあるではないか。
気を張りておのこじゃと…あああ迷い惑うのじゃ…!
[昼餉の最中表からさああ、さああと音がすれば粥を啜る手を止めて]
とうとう降ってきたか―
[声の色には外に出ているだろう者達への心配が混じるか]
/中/
主観的に見れば坊二人が占霊ラインなのだけれど、
客観的に見たらどうなのだろう。
天狗二人はそう見られていなさそう、
両方わかるものは居るまいな。
危惧があるから、身を明かすのは三日目の予定だけれど、
まあそれは臨機応変といきましょうかね。
はてな、どうかなされたかな。
天つ雨に水面が荒ぎにでもなられたか。
[眼差しは白の海に沈む舞扇を捉えるか]
迷い子になってしもうているよ。
[白にけぶる景色の中、紫黒のおなごは目を惹き付けて。
告げられし言の葉に、ややあって琥珀を朱の爪彩る手に向ける。]
…否。
[差し出す手に手を押し当て拒めば、冷えた身体が伝わろう。]
我には…もはや意味なきゆえ。
そなたが御身、冷やすしてはならじ。
[やや遅れて、言の葉付け足さん。]
…なにもない。
水面を鎮めんと…試みんと舞っただけじゃ。
[傘受け取らぬまま、舞扇の傍に腰かがめて掬い上げる。]
……そなたこそ、何故に。
[それは白き野に居ることか。
はたまた、天狗の招きに与りしことか。
琥珀は舞扇に注ぐまま、ぽつりと小さく呟いて。]
其方がなにもないと言うのなら、
此方にもなにもないと同じだね。
心はみえぬものなのだから。
[手は引けども先の言葉には応えず]
来たいと思ったからではないかな。
あるいは、居たくないと思うたがゆえに。
…我がないと言い続ければ、それはそなたの真になろうか。
それとも、心見えぬであれば、あろうとなかろうと変わらぬか。
[己に問うよに零した後で、はたと琥珀に光が戻る。
慌てふるると首振れば、髪から雫が飛び散るや。]
此方は其方の望むがままに。
それが此方の在る意味なのだから。
心なくば唯のひとがたに過ぎぬ、
心あるとは即ちいきる事。
全ては何を望むか、それだけよ。
[謎かけのような言の葉に真意は見え難い]
来たいと望むも、居とうないと逃げるも。
理通じぬこの地では、さても変わりはせぬじゃろか。
なれば理知るは天狗のみ。
やれ、用も意味も消えし神巫に問わねばわからぬか…。
[謎かけのよに紡がれし声に、出した答えは正か誤か。
傘掲げられれば、眉しかめ急ぎ立ち上がり。
そなたがが濡れると手を重ね押し戻せば、相合傘となるだろか。]
[囁くよな声は白の君の耳には聞こえまい、
いやいや届かぬと知るからこそだろか。
望みにこたえし異形の女はさて何をおもう。]
さぁて、
目的は違えど手段は同じ、
それを異なると見るや否や、
ただここにて何をおもうかが大切かな。
[手に手を重ねれば捕らえるように]
ゆきましょうか、かえりましょうか。
――おっと、今は戻るしか出来ますまいか。
[謎かけ深く噛み締める。
考え込みつ返す言の葉は、波紋を生むか、惑いとなるか。]
心無くば悩みもなかろうに。
されど、それこそが生きると言うか。
なれば、そなたもそなたたれ。
…我になど在る意味あずけてはならぬよ。
[最後の一つは苦笑と共に。]
[――けいじ、と。
ふと思ひ浮かびし名は、
さみしくてこいしくて、
さてはてなにゆえか、
未だ澱みし水底沈み、
澄まさずばわかるまじ。]
…そうじゃな、此処にあるは変わらぬか。
さてさて、何をおもうも我は迷いしばかりよ。
そが天狗の目的たれば、さぞかし歯痒う思われようて。
[捕らえられれば、琥珀を細め、]
ああ、ゆくもかえるもまだ出来ぬ。
なれば戻りてゆくもよかろ。
[朱唇震うに誤解して、はよ館へと促すか。]
さてなはてな、
此方は此方、其方は其方。
ひとりはさみしけれども、
ふたりはこいしきものね。
[くすくすと、声はわらうようでなくようで]
迷うもまたいきるがゆえにて、
せいぜい道を選びしその時まで、
今のままでおありなさいませな。
ひとりはさみし…
ふたりはこいし…
…我でも寂しさ埋められようか。
[それはどちらの寂しさか。
ふたりであればどちらもか。
わらうようななくような声に、琥珀は惑いゆら揺れる。]
ああ、我は我以外にはなれぬ。
それもまた……じゃな。
[紫黒と朱色弓なれば、僅か唇綻ばせよう。]
空は素直だね、
なきたいときになく。
[重ねていた片手を離して]
埋められようよ、きっと。
左様に望むのであれば。
[傘はそのままに歩み出す]
……素直になるは、あな難しいや。
[誰に言うでもなく呟いて、琥珀を伏せる。
離れぬように、衣触れて濡らさぬように、歩みを揃え戻りゆく。]
〔雨にますます白にけぶる野をゆきて、
二輪の花が並びて館へと戻り着けば、
童子ら笑みを浮かべつつ迎えよう。
傘を畳み差出される布を手に取るも、
深紫の髪にも藍墨茶の衣にも滴なく、
けれど尚も女は顔にそれを当てる。〕
[館に着けば童子たち、笑みつつ布を差し出して。
短く礼述べ受け取るも、衣から滴り落つる雫を見やり、申し訳ない顔になる。]
これでは畳を汚してしまう。
すまぬが、湯殿を借していただけようか。
……あやめ殿、傘ありがとじゃ。…またの。
[顔に布当てるおなごの様子に、かける言葉を探せずに。
口から出るは短き礼だけ。
ただ、再会のそれを付けたのは、ほんの僅かな進歩であろうか。]
[やがて湯殿で温もれば、部屋にてしばし*まどろもう*]
〔白を見送ることはなく、
言の葉返すこともなく、
音のみにて去りしを知る。
上げし面に浮かぶは常より柔らかき貌、
借りたる部屋の一つへと入り戸を閉めて、
帯を解きて纏いし衣を緩と地に落とす。
白き胸元に刻まれしは深紫の花一輪、
*朱爪にて花弁をなぞりて息を吐く* ]
[名の知れぬ幼児の胸にありし花の痣、
大人らはそれゆえあやめと名付けしよ。
あやめは菖蒲にて文目にて綾目なり。
されど女の所業は花の意を失はせて、
やがては人の心すら喪はせけむ。]
[てのひら]
[濡らした滴を掴む]
[珠はすぐに消えてしまう]
[雨足が強くなるのだろうか]
[館に向かっていたはずが]
[そこは森の中]
[黒と白が連れだって]
[時間はどれほど経つだろうか]
あすこに戻れるんかなぁ
[ちいさく欠伸]
……きっと大丈夫じゃぁ
じゃって、こわないもん
[濡れた掌が受け止める]
……じぃっとしとろうかなぁ
雨、やむとよかぁ
[だけれど子どもにそれは退屈]
[樹の下に隠れ雨宿り]
[その筈が]
[濡れるの構わず森の奥へ]
中/
ちょっとだけ戻ってこれたのじゃ。
さて、投票はいかがしたものか。
我以外に村人は一人しかおらぬ…恐らく他の方には投票してはなるまいて、そを探すはいと難しや。
…言葉少なき狼おれば、はよう言わねば間違えるぞ?
投票を委任します。
学生 エリカは、くの一 アヤメ に投票を委任しました。
[ぴちゃ]
[足元で水が跳ねる]
[濡れるの構わぬその様に]
[動物たちはあきれるか]
花、花、実
こげな実、食べられるんじゃろかぁ?
[ちいさな丈の樹の実を眺め]
[それから再び森の探検]
[着物はぴとり]
[肌に吸い付いて]
中/
夜は遅うなるやもしれぬので、はやめに委任しておこう。
あやめ殿は恐らく天狗の使いじゃろて。
して、大切なことを忘れておったわ。
誰そニヨろかな、天のスクリプト殿の言う通り。
ぽちっとじゃ☆ <<自警団員 ガウェイン>>×<<少年 ネロ>>
きっと、誰もこわないんじゃ
お守りもあるんじゃ
だいじょうぶ
[こぼれた言葉は望むよう]
[動いていても体は冷えたか]
[ちいさくちいさく、くしゃみして]
びしょびしょじゃぁ……
ちょっとやむん待ってよかなぁ
[*すこし大きな樹の下に*]
少年 ネロは、烏賊 ラス を能力(占う)の対象に選びました。
[遠く聞こえた神鳴りは、見る間に雨を引き連れて、ふらりふらりと森の中、彷徨う男の上にも届く]
やれ、降ってきたかい。
[足を早めて、木陰を探せば、濡れた子供に出くわそうか?]
[雨はなかなか降りやまず]
[いつしか根元に座り込み]
[口が動くは、数え歌か]
[と、視界の端に色を捉えて]
からすにいさまじゃぁ。
濡れてまうよー?
[声を掛ける]
[立ち上がってスペースをあけようと]
おや、ねいろ坊。
[呼ばれて木陰に駆け込めば、子供は既に濡れネズミ]
濡れてまうじゃないだろうよ。坊の方が、ずぶ濡れだ。
風邪ひいちまうよ?
[言いながら子供の前に屈み込む]
大丈夫じゃよ。
とつぜん降ってきたから、濡れてしもうたんじゃ。
[しゃがみこんだ大兄と目の高さが合う]
[にこっと笑って]
[だけど、やっぱり寒いのか]
[小さくくしゃみを片手で抑える]
きゃぁっ
[突然抱えられて、さすがに悲鳴]
か、からすにいさま!
おら、おもかぁ!
[あわあわわたわた]
[じたじたとその腕から逃れようと]
[だが子供の力は強くはない]
なんの、薬の箱より随分軽い。
ほらほら、暴れずに掴まっておいで。
俺も少しは濡れたけど、坊よりはまだ温かかろう。
[じたじたと慌てる子供を確りと抱きかかえ、泣きだす赤子をあやすよに、背をぽんぽんと叩いて笑う]
そんなことあらんよぅっ
あかんーっ
[じたじたじたじた]
[暴れはするも]
[怪我を負わせてはなるまいと、それは弱く]
[優しい手と]
[笑顔]
[それを見て、大人しくなって]
……うー。
からすにいさま、おら、歩けるんよ……?
[だけれど着物をくいと握るか]
[それはほぼ無意識に]
[大人しくなった子供の背をまた、ぽんとあやして、すぐには動かず、さらさらと降る雨を見上げる]
ねいろ坊は、何がそんなに怖いんだい?
やれさて、雨はまだ止まぬのか。
なにがかなしゅうてなくのだろう。
[呟き落として眼差しを内へと戻す]
ほぅら、そこゆく童子。
要らぬ布はないかな、少し使いたい。
[撫でられるのは温かく]
[きゅっと、その着物を握る手に力がこもる]
……おら。
…………もう、こわくあらんよ?
[今朝の夢を思い出して]
ちがうん、こわかったん。
じゃけん、今はこわぁないよ。
……みんな、いっしょじゃも。
[館の中の小さな部屋。
ふわふわと、ゆらゆらと。
夢現の狭間を彷徨いて。
きつく閉ざして隠れた紅緋は。
現映すを拒むよに。
確りと鞠をかき抱き。
ゆらり、ゆらりと漂いて]
〔くすくす、笑ひ声も消え去りて、
しとしと、雨の静かに降り続く。
音なく進めらる足が止まりしは、
幾つか並ぶ小さき部屋の一つにて。
傾ぐ首につられて揺れる深紫、
同じく揺らる戸に映る薄き影法師。〕
そうかい、そいつは良かった。
[ゆるりと目を細めて、応えた声は柔らかく]
人と違ったものが見えても、人と違ったものが在っても、そいつは坊のせいじゃない。
だから構わず、好きなひとと一緒に居ればいいんだよ。
[独り言のようにそう言って、子供を確り抱いたまま、銀糸の雨に駆け出してゆく]
[優しい声音]
[言葉に、きょとんとして]
からすにいさま……?
[しかし見上げると、かけだしていく]
[糸のような雨]
[しっかりと抱えられ、着物に捕まって]
[だけれど、濡れてしまうと思ったか]
[片手を伸ばして、大兄にしっかりとしがみつきなおす]
[せめてあんまり濡れないように]
[戸の向こうから聞こえた音。
それが何かはわからぬものの。
紅緋に映る世界と、それは何かで重なるか]
……っ!
[紅緋が開き、勢い良く跳ね起きる。
それに合わせて、転げた鞠が。
戸に当たっててん、と音を立てるか]
[子供を抱いて、駆けていく、その足元に跳ねる水さえ白かろうか?やがて、館の戸を潜り、ふう、と零した吐息がひとつ]
やれやれ、こちらがわでも、雨は雨。
ねいろ坊、大丈夫だったかい?
[上がり口に、子供を立たせて問いかける。やがて気付いた童子達が、乾いた布を持って来よう]
〔抱えし布が放り出されて宙を舞う。
落つる白を掻き集める童子を見つつ、
はたりはたりと瞬かれる紫黒の眼。
雨の日には気をつけねばいけないよと、
しゃがみ込み注意を促そうとした刹那、
ころころてんと小さな音が耳に届く。〕
おらは、大丈夫じゃぁ。
[とん、と足をついて]
じゃけん、からすにいさまが濡れてもうたん。
寒う、ない?
[童子の持ってきた布を、自分ではなく、大兄の方に]
[しばし、茫、と座り込む。
夢、夢、現。
現すらも夢と言えそなその場所で。
紅緋は数度、ゆるとまばたき]
……ゆめ?
[零れ落ちしは、小さき呟き。
それから、戸の向こうから投げられし声。
それが、紅緋に現を見さすか]
……あやめの、ねえさま?
寒くはないさね。
[笑って布を受け取ると、そのまま、ねいろの髪をくしゃくしゃと拭いて]
早く着替えて…さてさて、その前に湯を使ったほうがいいだろうかねえ?
[冷えたままの頬に手を当てて、思案顔]
からすにいさまも拭かなぁ!
[ムゥっと膨れた顔]
[そして続いた湯の言葉]
[あんまり好きではないという表情が浮かんだか]
[しかし目の前の大兄も、湯にあたったほうが良い]
からすにいさまが一緒ならお湯に入るけ、一緒はいろ?
[自分ひとりじゃ入らないだろう、と]
[大兄について思ったのか]
[いやな夢。
問われし事は正鵠を射て。
答えに迷うよに、紅緋はゆる、と伏せられる]
……うん。
[しばし、時を経て。
零れたのは、消え入りそうな肯定の言]
一緒にかい?
[ねいろの言葉に、驚いた顔。はてと首を傾げはしたが。すぐに笑って頷いた]
たまには悪くないかもしれないねえ。
[それじゃあ、ゆこうか、と、子供の手を引いた]
うん。
あったこうなるよ!
[にこっと笑って]
[手を引かれ、二人、濡れたまま湯殿へと]
おせなか、流したるけん。
風邪ひいちゃ、あかんもん
そうかい。
[歩み寄り傍にしゃがみて首傾げ]
悪い夢は人に話すと好いと言うけれども。
坊の好きにするといい。
[風漣の手に朱と金の色彩を差し出す]
話すと……良いの?
[おずおずと、紅緋の瞳を上げ。
差し出された華の紋を両手でそう、と受け取る]
……前にあった、やな事は、悪い夢に、なるのかな?
[零れるのは、問うようにも、独り言のようにも響く、かすれた呟き]
それじゃ、俺は、ねいろ坊の背中を流してやろうかねえ。
[笑みを零して、湯殿へ入る。熱い湯に怯んだ子供に、ふざけて湯を跳ねかける顔は、己も子供に近いかもしれず]
[穏やかな言の葉。
紅緋は華の紋を見つめ、迷うように揺らぎ]
……夢……かなしい夢だから……悪い夢?
[小さく、呟き]
いなくなってしまった夢。
よくしてくれた子が。
それで。
『いらぬ子』に関わったから……て。
皆が言う夢……。
[ぽつり、ぽつり、と。
途切れがちに、言葉を紡いで]
からすにいさま!
[あつくて手をひっこめたのに]
[ぱちゃっと湯をかけられ、抗議の声]
[膨れ面]
あついん、いやーじゃ!
[だけれど気はすまないのか]
[手をつけて、あつい湯を掬って]
おかえしじゃぁ!
[手はあわく色付いて]
[ぱしゃっ!]
[昼餉の後から仔兎と戯れていたが外に居た者が戻って来た気配でも感じたか視線を湯殿の方角へとやり]
―たんと温まってもう休め、風邪など引くのではないぞ?
[湯殿まではとても届かぬ呟きを聞くは童と*仔兎のみか*]
うん。
それはかなしいね。
愛しくて、哀しいね。
いなくなってしもうたことも、
いらぬ子と言われたことも。
[眼を細めつつ紡ぐ声は緩く柔らかく]
かなしいときはおなきな、
なけるときになかねば、
なけなくなってしまう。
[障子窓越しに降る雨を、琥珀は映せど見ぬままに。]
さて、我はなにゆえ怯えるや。
何処へ置き忘れたなれど…何処そは此処であるじゃろに。
[頬にかかる髪を手で払い、障子を閉めて立ち上がる。
しとしと雨音に背を向けて、座敷へゆうらり歩を進め。]
[髪に触れる、手の感触。
童は僅か、身を震わせ]
いらぬ子といわれるのはよいの。
風漣はいらぬ子、隠されなければならない子だから。
[それは、自身に言い聞かせるかのよに]
……でも……泣いてしまうと。
舞弥のにいさまが案ずるから……。
[そのひとは今ここにいないと、わかっていても。
そう、呟くことは止められず]
誰そにはいらぬ子でも、
誰にでもいらぬ子は居らぬよ。
[髪を柔らかに梳いてから手は離れて]
なかぬでも、左様な貌をしていたら、
心配してしまうのではないのかな。
……そうなの?
[紅緋の瞳をやや、上げて、そう、と問う。
確かに、かの人は。
露草色の若人は。
いらぬとは、一度も言わなかった、けれど]
……心配……させて、しまう?
[続く問いは、どこか不安げに]
こらこら熱いよ、ねいろ坊。
[跳ねかけ返されれば、逃げ出す素振り。けれど隠れて手桶を掴んで、今度は、ばしゃりと頭から]
ほうら、だいぶ、ぬくいだろう?
[届かぬ呟き小耳に挟めば、僅か首を傾け湯殿を見やる。]
はてさて、他にも濡れたがおったか…しもうたの。
…ほんに我は気がきかぬ。
[呟きは小さく、夕餉の支度にさざめく童子にかき消されよう。]
それにしても、よう懐いたものじゃ。
我にも怯えはせぬじゃろか…。
[座敷の片隅、邪魔せぬところに、ふわり被衣揺らして座し。
躊躇いがちに、仔うさぎを手招く。
新たに来たに興引かれたか、仔うさぎその手に擦り寄った。]
[ばしゃーっ]
[頭から掛けられて、思わず目を瞑って]
[ふるふるぷるぷる]
……からすにいさまっ!
[温かさに顔は赤いか]
[それとも怒りで赤くなったか]
[湯気の向こうの大兄の体にぽかり]
[ぺちぺち]
いじわるっ!
はっはっは、悪かった悪かった。
[怒って向かってくるねいろに、笑いながら、気が済むまで、ぺちぺちと叩かれるままに任せて、頃合いを見て、湯船に沈む]
ほら、肩まで浸かって、十数えて。
そうさ。
[返す言の葉は事も無げに]
無理にわらうことはなけれども、
無理になかぬのもまた宜しくない。
素直でいるのが一番なのだけれども、
はてさて、難しいね。
[白布を持つ童子を中へと呼ぶ]
さて、ここにあるはもう要らぬ布、
けれども此方にとっては要り用だ。
なにゆえかと言えば、これから晴れを呼ぶためにね。
[湯気だけでか、動いたからか]
[既に体は薄紅に]
[だけれど呼ばれて、むぅと膨れたまま]
[こくり]
[うなずいて、おそるおそる]
……あつぅない、あつぅない……
[呪文のように繰り返して、そっと足を湯船に入れる]
[ゆっくりゆっくり、ゆっくりと]
……よく、わかんない……。
[ぽつり、呟く。
それは、どの言葉に向けられたものか、定かではなく]
……晴れを、呼ぶ……ため?
[つがれた言葉の意をはかれず、紅緋はきょとり、とあやめを見つめ]
てるてる坊主、というてね。
雨の日にはよく作ったものさ。
[丸めた布の上から別の布を被せて]
これに顔を書いてやって、
出来上がった人形を軒先に吊るすと、
明日には晴れを呼んで来てくれるのだと。
[紐で括ればそこには小さな坊主の姿]
きちんとこの子らにも役目があるのさね。
てるてる坊主……?
[不思議そうにまばたきつ、作られたそれを見て、わあ、と声を上げ]
晴れを呼んでくるのが、このこの役割なのだね。
[初めてみた、と。
感心したよな声を上げる様子は、やや、陰りも薄れ]
好きなんじゃぁ……
[こくり]
[頷きは、後半に]
からすにいさまは物知りじゃぁ。
じゃけ……天狗さまは、かなしいんかなぁ……?
[ぽつり]
[それは大兄へと投げた言葉ではなかったかもしれない]
[ちいさく、口唇から落ちて]
/*
......ここで赤で続きを歌えれば格好もつくんだろうにorz
雅「漸く喋ったと思ったらいきなりそれかよ...まあ確かにそうなんだけどな(溜息)」
薬屋は、物知りでないといけないからねえ。
[物知りという言葉には、そんな風に返して。続く呟きに目を細める]
天狗は…かなしいのかい?
そりゃぁ、大変じゃぁ……!
[薬屋はそうでなければいけないのかと]
[驚いて、目をぱちくり]
なんだか、かなしう聞こえたんじゃ
……よう、わからんけど。
歌も、踊りも、一人じゃのうて、みんな集まるものじゃろう?
みんなで集まりたいんかのぅって、思ったん……
[小さく、もごもごと]
[自分でもよくわかっていないのか]
そういうことさ。
この子も要らぬ子ではないのだよ。
ほぅら、風の坊が顔を入れてみるかい。
筆と墨とを借りて来なければいけないね。
それにそろそろ小腹も空く頃かな。
ああ、そうだねえ。そうかもしれないねえ。
ねいろ坊は優しいな。
[微笑んで、湯船の外に抱いて出る]
さて、そろそろ夕餉だ。お腹が空いたろう?
[さあ、と手ぬぐいを差し出した]
いらぬ子では……ない。
[その言葉を、小さく繰り返して]
風漣が、かくの?
やったこと、ないよ?
[てるてる坊主を見つつ、どこか心配げに言い。
小腹が、との言葉に、今更のようにそれを思い出す]
……そういえば、ずっと、食べていない……。
おらぁ、優しうなんてなかよ
からすにいさまの方が、優しかぁ
[今度は抱かれても抵抗せずに]
[手ぬぐいを受け取って]
ありがとうじゃぁ。
じゃけ、からすにいさまも拭くんよ?
[背伸びしてその体に当てようと]
……おなか、すいとる
[しながら、こくりと頷いた]
[撫でる手止まれば仔うさぎは、ぴょこりぴょこりと離れゆく。
琥珀はその背を追うだけで、撫子色も元通りのまっすぐに。]
[ややして膳が運ばれて、夕餉を口に運び出す。
茄子の煮びたし、はくはくと無言で食べているだろか。]
やったことがないのなら、
やってみるのが一番さ。
やってみてもいないのなら、
出来るか出来ぬかもわからぬからね。
[にこりと頬笑めば白布を抱いて立ち上がり]
それではゆこうか、腹の虫が騒いでしまう。
それに折角なら皆で作る方が好いだろうさ。
はい、ありがとよ。
[ねいろの手を取って、自分でも身体を拭いて、濡れた着物の代わりに童子達が持ってきたらしい山葵色の着流しに袖を通す]
やってみるのが、一番……?
[その言葉は。
前にも言われたような気がして。
ふい、と紅緋は陰るが、それは僅かな刹那のこと]
うん……風漣、やってみる。
[小さく呟きつ。ゆこう、との言葉に、こくり、と頷き立ち上がる]
早く着ないと湯冷めをするよ?
[迷うねいろの様子に笑って、ふわりと着物を着せかけ、帯を締める]
ほら、出来た。
[ゆこうかい、と手を差し伸べる]
[考えているうちに、着物を着せられて]
……えと、良いん?
おらの、と、違うよ
[だけれど手を出されれば]
[じいっと見上げて]
[小さく頷いて、その手を取った]
着物が乾くまで、貸してもらえば良いさ。
天狗の里には、着物もたくさんあるようだからねえ。
[ねいろの手を引いて座敷へと向かう。今夜は酒は口にせずに*夕餉の膳へと向かうだろう*]
[湯葉を口に運んだ辺りで、童子がなにやらさわめいて。
何事やと思うも口は塞がっており、もごもご動いてみせるだけ。]
[こくりと嚥下し問おうとすれば、足音耳に届くかや。]
……そうするんじゃ。
[大兄にこくり、頷いて]
[一緒に座敷へと歩いていく]
こんばんはじゃぁ
[酒は頼まない大兄に]
[なんだか不思議だと思ったかもしれないけれど]
[あやめと共に、座敷へと。
たどり着いたなら、取り残された仔うさぎが。
どこへ行っていたのかと、とわんばかりに擦り寄るか]
……あ、ごめんだよ、置き去りにして。
[わずかに笑みつ、小さな頭をそう、となで]
[琥珀の眼差しやや柔らかく、戻りしものを迎えよう。]
ああ、そなたらか。
…先にいただいておるぞ。
[されど言の葉短くも不躾なまま。さてさてなんとも。]
えいかねえさま、おらもごはん食べるんじゃぁ
[膳をのぞきこんで]
[献立はなんだろう]
[と、仔うさぎが]
[その先に、小兄の姿]
ふうれん、さまじゃぁ
ご飯け?
[にこにこと]
[もう一匹の兎のように]
てるてる坊主だよ。
臙脂の童も知らぬかな。
雨は天の恵みだけれども、
ずっと居られては少し困ってしまうから、
この子らに晴れを呼んで来てもらうのさ。
[不思議そうな小兄に]
[きょとん]
[何かおかしなことを言ったろうかと]
ごはん、食べよう?
おらぁ、おなかすいたけ
[膳を見てにっこりと笑ってみせる]
てるてる坊主。
知ってはおるよ!
じゃけん、そんなに立派ではあらんかったんよ。
[あやめねえさまの言葉に、にこと笑み]
晴れるとよかね。
虹もかかるかのぅ?
うむ、今晩和じゃ…よき顔色じゃな。
[烏とねいろの挨拶に頷けば、あやめと風漣も現れて、]
やあ、そなた達もか。
夕餉の匂いに誘われたかの…さても賑やかなことじゃ。
[仔うさぎ待ちかねたよに擦り寄るを、目を細めて見やろうか。
あやめの抱く白き布には、顔押さえるを思い出し。
琥珀はやや揺れつ見上げるも、軽く笑む姿に口は出さぬ。]
お湯にはいってきたんよ。
あつかったんじゃぁ
[えいかねえさまに答えながら]
[大兄をにらみつけるか]
皆、同じ。
きっとそうじゃけど、気になったんじゃも
[むぅっと少しふくれて]
[*自分も席につこうか*]
今……呼び方……。
[今までと違った、と。
しかし、きょとん、とした様にそれを口にして良いものか、わからずに]
うん、お食事、いただこう。
風漣も、お腹すいたし。
[にこ、と笑みつ、こう返すに止め。
仔うさぎを傍らに、*夕餉の膳へ*]
[膳の前に座りかけて、ねいろと風漣の様子に、少し首を傾げる。しかしそのまま何も言わずに箸をつける]
いいお湯でしたよ。こんな日には、御酒より身体が温まりますやねえ。
[えいかの言葉には、そう応じて、笑む]
[烏が御酒を飲まぬを見れば、琥珀はきょとりと驚き示す。
見咎められれば、慌ててふいと逸らさんと。]
[あやめが白き布指し話すを聞けば、琥珀隠すよに瞼伏せ、]
晴れを呼ぶ…か。
我には縁がなかったな……
[嬉しげなねいろを見守りつつ、零すは小さき独り言。
はぐと大きめの茄子噛み付いて、しばし咀嚼し黙り込む。]
おや、可愛らしい小坊主さんだ。確かに虹でも連れてくれれば、空も少しは華やぎましょうかね。
[あやめの手にする、てるてる坊主に目を向けて、次いでえいかの言葉には、首を傾げる]
お天道様は、呼ばずとも、星を呼ぶのは、舞い手の役ではありませなんだかねえ?
やれ、それほど熱くはなかったような…。
[冷え切りすぎて感覚鈍っておったのか、首傾げつつ言葉を返す。
頬膨らませる姿には、心惑うよに眉を寄せ、]
…すまぬ。
[ばつ悪そうに琥珀が逃げた。]
ああ、きっと晴れるだろう。
虹もかかれば好いね、綺麗だろう。
[風漣と音彩とを見遣るも言葉は重ねず]
白の君もお作りになるかな。
なるほど、星を呼ぶか。
伝承曰く天狗が隠したのだったかね。
なれば舞い手の役目は、
天狗を喜ばさんがためかも知れぬね。
白の夜も悪くはないけれども、
黒の夜に煌めく星も懐かしきかな。
[とおに「ねえさま」と呼ばれるを諦めたがゆえか、
風漣への呼びかけ変わるを、さりとて不思議と思わずに。]
…ああ。うむ、そうか。
[御酒より風呂との烏の笑みには、心読まれたかのよに瞬いて。
なんとも言えぬ面返したか。]
[烏の問いには首を振り]
否、我には星は呼べぬじゃろ。
たとい星を呼べたとて…雲の上では呼べぬと同じじゃ。
[舞い手であるは否定せぬも、面に浮かぶ笑みは仄かに苦く。]
…晴れも虹も良いが、我は雨を好きなのじゃ。
童に作るは任せよう。
[あやめに作るかと聞かれれば、ゆると首を横に振る。]
なるほど、左様にて。
[心得たとばかりに頷いて手を進む]
晴れには晴れの、
雨には雨の趣があろうな。
此方は何方も好みはするけれども、
雨に濡れるが好きな御仁ばかりでは困ろうからね。
我よりもほれ、そこな揺藍殿が相応しかろう。
空のよな髪をお持ちじゃ。
[剣舞は見てはおらねども、立ち振る舞いにそう思えたか。]
天狗が星を隠したか。
さてさて神巫がいらしたものを、真か否か訊き損ねたの。
星もそうじゃが、我は夜も懐かしいかな。
[ふいと座敷の外、白き夜を見やり呟く。]
雲もいつかは切れましょうさ。
それに雨もまた、生きるに欠かせぬものですよ。
[えいかに言って、あやめに、視線を戻す]
天狗が隠した星ならば、天狗になれば戻せましょうかね。
[口調は軽く、冗談事のように]
中/
もし晴れなかったらと訊きたき誘惑が。
晴れなかったらくびちょんぱ。
…いかん、そのようなこと風漣の前では言うてはならんっ!
夜と言えば暗きもの、
ゆえに今がその刻と言われても、
慣れぬ身たれば実感湧かぬだろうね。
[眼差しは同じように外へと向かう]
天狗にとりてはこれが夜であろうかな。
雨にばかり…
…ああ、傘売りが困ろうな。
[あやめへ冗談とも本気ともつかぬ声返し、手を進むるを見やる。
赤と白の手は、器用に小坊主作りゆこうか。]
ああ、いつかは雲も切れようか。
されど…否、なんでもない。
[烏にゆると首振れば、ぱさりと髪が乱れて肩に。]
…そなた、天狗になりたいか。
[あやめへの冗談めいた言の葉を、真に受けて問う。]
[外に向かった眼差しを、内に戻して横顔を見る。]
夜といえば暗きものと信じておったでな。
慣れるには時間がかかるであろ。
じゃが…白き夜こそ天狗が夜なら、天狗は鳥目であるや否や。
[いたって真面目に呟くか。]
〔食事を終えた童らと共に坊主作れば、
軒先へと向ひてそれらを吊るそうか。
白き衣服を纏ひし可愛らしき顔の子ら、
静かに涙を流す白の夜空を真直ぐ仰ぐ。
その傍らに立ちて見上げる女は何を思ふか、
眼を伏せれば朱唇を震わせて音を紡がむ。〕
[朝靄は川を白く埋めて、その前に立ち尽くす青い姿すら白に染めてしまうかのごとく。
日が上ると同じに漸く目をさませば、曙に染まる世界を求めて足は自然と外へと向かった。
地には空が泣いた蹟があり、自分の記憶には空が泣いた覚えはなかったから日を跨いだのだろうとは何となく]
……美しいの…。
[ぽつりと呟き、そのまま川辺りを日が高く上っても離れようとする気配は*なく*]
[何もかもを暴くことを強要する目]
[逆らっても聞かず][ただあちらこちらに]
[暗闇に]
[その足跡がいくつもついて]
[すべてがあいまい]
[目が覚めても]
[それは変わらずに]
[否]
[もうすこし酷くなるか]
[ふわふわと漂う意識を持ったまま]
[童子に果実をもらうと]
[ふらり]
[*白の花を見に行く*]
[雨降る夜に見る夢は、遠き日のこと見せようか。
されど霞がかったかのよに、知りたきことは見せやせぬ。]
[ゆくか、かえるか。そは誰が選びしや?]
[天狗であったか、己であったか。
いずれであれど、なにゆえかを夢にも知ることは適わず。
睫毛震えしその陰の、琥珀ゆらゆらゆめうつつ。]
天狗であれば、なぜかえしや。
我であるなら、なぜかえりしや。
[かつての幼子。かえりたいと願うたやも、そは覚えなく。
はたまた――天狗の里に置き忘れたか。]
[目を覚ました時には雨は上がっており、琥珀はぼうと空を見る。
ふらり座敷へとゆけば、軒先でてるてる坊主が揺れたろか。]
さても働きものの坊主よな。
童の想いが通じたか。
…それとも、金の鈴欲しゅうなったかの。
[朱唇紡ぎし歌思い出したか目を細め、答え返らぬ問い投げる。]
[一面に白い花]
[しとしと]
[小降りになったろうか]
[ちいさな傘を借りて]
[館のそば]
[口ずさむはどちらの歌か]
[どちらにせよ]
[ちいさい]
[やがて雨はやんだのか]
[薄霧のよう]
[白い光]
[花びらにひとしずく]
[ふるえて弾かれた水が]
[土の上に落ちた]
[立つ手の傘は閉じられぬまま]
[何巡か]
[どちらのうたも口にして]
[新しい着物を見る]
……こげな良いもん、良いんじゃろうか
[だけれどかわかずば仕方ない]
[傘を閉じると、水が散り]
[やがて小さな声は絶え、静寂あたりを包もうか。]
ひとりはさみし…
ふたりはこいし…
[節を真似してぽつぽつと、思い起こしつ歌紡ぐ。]
ここであはずは………
[その先は知らず、声途絶え、]
あはずは…あはずはかなしやこいしや…?
[ゆうべの烏の笑み想い、またも*返らぬ問い投げた*]
中/
戻され組?ゆえか、烏が気になる様子じゃの。
…神巫に敵いはせぬじゃろし、あやめ殿にも敵うまいに。
それ以前に、おなごや否や… orz
ひとりはさみし、ふたりはこいし、みえぬかなしみ、よるもおわらず…
[朝餉も取らず縁側に腰掛け歌を紡ぐ。思うは幼き時の事、己を兄と慕いしおのこ―]
烈琥―
[ぽつり、囁きし名は溶けて消えるか―]
/*
雅「あー、向こうからは完璧に誰が俺か分かってんだろうな…こっちからは相棒か仮決定現状脳内弟分かの半信半疑だっつのに…しかも理由が『寡黙』だからとまで余裕で推測出来るのがすっげぇ悲しいんですけど?(背後睨み)」
[縁側で歌紡ぐ雅詠の背には、眼差し向けれど言葉なく。
朝餉貰えば、ふらりと外へ。
水かさ増えしか気にかかり、川辺あたりを歩み往く。]
やれ、不思議や。
あれほど降っても溢れはせぬか……
[川渡らんとした、ねいろを思うたか。僅か安堵の色浮かべ。]
何故―
[―不意に紡がれし言の葉を、聞くは昼餉の誘いの童。
それに気付く事も無きまま、次から次へと言の葉が舞う―]
―何故こうもあやつの事が気に掛るのじゃろうな。
[眼裏に鮮やかに浮かぶ紫苑の髪。飄々とした風体の、そのくせ人一倍食えそうにあらぬ奴―]
[泥濘に足取られぬように、気を払いつつしばし歩み。
朝霧うすれるその向こう、青い姿を見つけきょとり瞬いた。]
…ああ、揺藍殿であったか。
[声をかけつ近寄れば、蜜色は何を見ていよう。
くしゃり乱れるくすんだ空色は、雨に降られた猫にも見えん。]
やれ、もったいない。
梳いてやれば美しかろうに。
[手を伸ばせばその髪を、手櫛で梳こうとするだろか。]
[―そこでふる、と頭を振り]
―いや、そのような事あるはずもない―ん?
[―と、漸く童に気付いたか、笑みを浮かべて頭を撫でる]
すまんな、待たせてしまったか。
[そしてゆるりと立ち上がり、昼餉の席へ向かおうか]
〔晴れし青空の下を歩む女は黒を纏ひて、
手にはのっぺらぼうの白き坊主がひとり。
濡れし土は野を進まむとすものを遮るやうに、
まとはりて足を絡め取るは誰そを引き留めしか。
露を含む白花はゆくなかへるなと希うやうに、
重き頭を垂れつつ滴落とすもまた涙と見ゆか。〕
[あてなく川辺をそぞろ歩き、やがて空腹覚えたか。
踵返して館へと。門をくぐれば昼餉の匂い。]
ああ、いただこう。
[昼餉を問う童子に頷き、座敷へと。
先に座したるおのこには、頭を僅か下げて膳につく。]
…やれ、みなは何処へ行ったやら。
[誰にともなく呟いて、箸を口に運び出す。]
〔小指へと紅を移して面なき坊主に与えしは、
円き眼と弧描く口、女にどこか似た笑みの貌。
次には巾着の内から取り出しは小さき瓶、
中身を法師の頭より振りかければ酒精漂う。
朱唇が緩く動きて零れし言の葉は感謝を紡ぐ。
坊は顔を貰ひ受け酒を飲めば機嫌も好かろうか。〕
〔辺りを取り囲みし川を流れるならば、
回り廻れどゆくもかへるも出来るまじ。
しかして姿は清流の内に消え失せて、
後に残されしはせせらぎばかりなり。
これもまた神隠しにでも遭うたがゆえか、
それとも天命を全うして彼岸へ向いしか。
何方にしても真を知る者は居らざりけり。〕
[戻りし琥珀に会釈を返し、常よりゆるりと箸を繰る]
さあて、何処におるやらおらぬやら―
[やはり誰ともなしに呟き返し、髪を払いて粥を啜る]
こわいとおもうかは心次第。
悪しを想像するならこわかろう、
好きを想像するならこわくはなかろう。
何をおもうているかは知らぬけれども、
後に悔やまぬ選択をと願おうか。
[粥を一口二口食うて、かりりと音立て漬物齧る。
呟き返れば琥珀を上げて、象牙の髪が払われるを見やり。]
何処へもゆくもかえるも出来ぬ。
なればいずれは戻ろうか。
…されどいつまでこの地にて、我を留めるつもりやら。
[吐息を零し、撫子色に清水寄せ、]
…そなたはどうじゃ、雅詠殿。
ゆくかかえるか、はたまた何かを望まれるや?
[こくり白き喉を清水が通りゆく。]
俺は―
[箸を下ろして思案顔、果たして己が望みしは―]
―俺は、ゆくもかえるもどうでもよい。ただ―ひとつ、確かめたい事がある。
[ゆくもかえるもどちらでも、二度と会えはしないだろう、ならばここにいるうちに―]
―烏の兄さんにな。
自警団員 ガウェインは、雑貨屋 フラン を投票先に選びました。
[思案する様子を見つつ、三日月に欠けた漬物口に放る。
返る言の葉噛み砕くよに、かりりと音を立てようか。]
確かめる…烏殿に?
[その名を聞けば、琥珀は驚いたよに見開かれ、]
――何を、
…否、よい。
我が…聞くべきではなかろうて……すまぬ。
[問い詰めかけるを飲み込んで、琥珀逸らして小さな謝罪。]
皆の前で、たやすく聞けるであれば訊いておろう。
…ほんに我は気がきかぬ。
天狗も何を思いて我を留めるのやら…
[吐息零して、一人ごつ]
[唇濡らして湯飲み置き、躊躇いがちに眼差し向けて、]
…そなたこそ、謝らずともよいのじゃ。
我が先に問うたのじゃから。
[ふるり頭を横に振る。]
そのようなこと申されるな。
そなたが気にかけるであらば、つまらなくなど――
[眼に浮かぶ光を見れば、言の葉途切れ口噤む。]
[席を立つその背を見送って、何言うでなく湯飲みを傾ける。
やがて膳を下げられれば、立ち上がりて縁側へ。]
…そなたもこなたも、迷い惑っておるのじゃろか。
なあ天狗よ、何を考え我らを呼んだ…?
[梁に背預け座り込み、*青空見上げ呟いた*]
[ぼんやりと思い更ける合間、現れた白の舞手に蜜色をかすかにゆらす。
伸ばされた手には貸すかな戸惑いも見せたけれど、かといってその手を払い除けるわけでもなく、ただその指先が髪を調える様子をまるで猫のように機嫌良さげにされるにまかせよう]
[礼を音にしようとした唇はわずかに揺れるのみ。
音にはならずただ幽かに空気を揺らし、そして行く背を見送るのみ]
[小さな音に振り向けば、童子が茶請けを運びしところ。
傍に置こうとするを琥珀が見つめれば、首を傾げて見返す瞳。]
ああ、すまぬ…否、ありがとの。
[迷いながらも手を伸べて、ようようぎこちなく頭撫でてやる。
童子にこりと笑み返し、ささめきながら何処へか。]
[再び川霧に黄昏ておればくう、と鳴いたのは知らぬ獣か己の腹か。
するりと薄い腹に手を添えれば音はもうひとつ聞こえたから漸く川辺りを下がり館へと。
童子に案内されるままに縁側へと姿見せればえいかと雅詠に幽かに頭もさげようことだろう]
…大丈夫じゃ、恐ろしゅうはない。
我はもはや童ではなく、此処に居るは天狗に係わりしものばかり。
怯えて震えてばかりでは、ゆくもかえるも出来はせぬ…。
[童子と共に現れるその足音と衣擦れに、振り返れば色あであやな海藍が目に入ろうか。]
…ああ、どうもじゃ。
[頭下げられれば瞬いて、魅入られし琥珀をついと逸らす。
白き袖持ち上げる陰にて、口元ついた餡をこそりと拭おうか。]
[さららと整えられた髪を揺らして薄い礼をすれば遠くもなく、といって近すぎもせぬ間合いを持って腰を下ろす。
それを見計らったかのよに童子が茶粥の膳を持ち現れたなら礼をのべるか]
…先ほどは失礼致した。
呆けておったゆえ…十分な礼も申せず…。
[袂から梔子の布を取り出せばゆるく首の裏で髪をまとめ。
口元の案をそろりとぬぐう様子にはほんの少しだけ笑みもこぼれようが、見なかったとばかりに膳に手を合わせ木の匙で茶粥をすくい、よく冷ましてから口へと運んだ]
[海藍ふわり翻り、座すは遠くも近くもなく。
月白ゆるく引寄せて、礼述べる姿へ琥珀を向ける。]
否、こちらこそ…失礼いたした。
どうも我は不躾でいかん。
[袖を下ろして首を振る。指先に髪の柔らかさが蘇ろうか。
ほんの少し零されし笑みには、見咎められたと朱が差して。
琥珀は逃げ場を探すよに、揺れて梔子へと移りゆく。]
[そろりと甘くゆれる蜜色はくすんだ空色の髪とともに。
粥の匙を加えたまま、琥珀のさま様子をしばしほほえましいとばかりに眺めてはいたけれど不意の問いに蜜色はわずかに瞬きながら最後の一口を飲み込んで]
…星?
[膳が運ばれ、薄荷茶の椀と干果の盆が変わりにおかれれば童子たちの手際のよさに少し肩もすくめよう。
微かにすうとする茶を一口飲んでから、やや少しためらいつつ]
…定かではないが。
我の記憶はこの地に招聘される前で途切れておる。
……我は、星に捧ぐために舞っておった。
[ぽつりとつぶやいて、もう一口]
そう、星じゃ。
我は呼べぬが、そなたは呼べるかと…そう思うての。
[甘くゆれる蜜色を、空色の髪を視界の端に。
琥珀は半ば伏せるよに、ぽつりぽつりと言の葉紡ぐ。]
この地には星がない。
星を呼べば…あるいはと、そう思うたのじゃ。
…そうか、途切れたままであったか。
[申し訳なさ気に琥珀をあげて、蜜色を見つめ。]
そなたは…「ほしまつり」の舞い手であったのやもしれぬな。
[記憶のよすがになるであろうかと、小さく呟いた。]
[森の樹のうえ]
[起き上がる]
[つるつると濡れて滑る樹に]
[器用にのぼったのだろう]
[行きと同じく帰りも楽に]
[するするする]
……おなかすいたけ、館に戻ろ
[ふわり]
[最後にちょっと宙にういて]
[膝を曲げていきおいを殺す]
[意識は今ははっきりと]
[正しきことを理解して]
[望む望まぬは変わらなく]
[正しいもので塗り潰された]
[だからこその恐怖もあったのだけれど]
[なってしまえば]
[もう無き事か]
どうであろうの、そちに呼べぬものを我が呼べるとは思えぬ。
それに…星があろうとなかろうと、我らには成す術等ないようにも思うが。
………ただ…ただ、我は。
我は…「その舞」を舞えば聖と同じ定めと知っておったから──それゆえに舞ったことを覚えておったのかも知らぬ。
[ふ、と小さく苦笑をこぼしながら髪の結わきを解いて、そして瞬きひとつしようか]
…ほしまつり。ああ、そのような名であったかもしらぬ。
名などどうでもよいと思っていたのも、覚えておるよ。
[梔子のきれを指先に絡めてほつりとつぶやき長い瞑目をひとつ。
ゆるりゆるりと吐き出されるその息は自らを鎮める韻を微かに含んだだろうか]
ひとりはさみし
ふたりはこいし
[歌うというより語るような呟きを零しつつ]
みえぬこころに
よるもおわらず――
[伏せし眼開けば臙脂の色が見えようか]
[つんつんと花をつついては]
[やがてちいさな声きこえ]
[そちらを見やると、にこりと笑う]
あやめねえさま!
どこか行くん?
[立ち上がって]
[ぬかるむ地も軽々と]
[ねえさまのそばへ]
それは買いかぶりというものよ。
我は「ほしまつり」に招かれたわけではないゆえの。
…じゃが、そなたの言うように。
何をなそうと、天狗の手の内には変わりないのやもしれぬ。
[俯くように吐息零すも、続く言葉に瞬いて。]
聖と同じ…そは……?
[零れる苦笑見れば、問うは小さかろう。
解かれた髪が揺れるに合わせ、琥珀も揺れる。]
[布切れ絡めるその仕草を、息吐く様子をただただ見つめて。]
役目をおえた……?
[何をさすのかわからずに]
[きょとん]
あ、おらぁ、森さ行ったんよ!
葉っぱがきらきらしとって綺麗じゃったん
雨やむのもみとってん
[片手に掴んだちいさな傘を見せて]
……あ!
てるてるぼうずがどっか行ったん?
中/
それにしても。
利き手の手首がやられて、打つのが遅くてかなわん。
せっかく揺藍殿と絡めて嬉しいのに、返しおそうて申し訳ないのじゃ…。
なるほど、雨露に濡れる緑も好いものだね。
久しゅう潤いを得て気持ち好かったのだろうさ。
[心得た様子に浮かべる笑みを深め]
そういうことさね。
きちんと晴れを呼んでくれたから、
ご褒美をたんとあげて、
川を流れてゆくのを見送ったのさ。
…招かれたとて、招いたとて、我らはこの場に留めおかれている。
それはどうあがいたところで天狗の気が変わらぬ限りはこのままであろうよ。
[指先でくすんだ空を絡めとる仕草は少女のようであり、蜜色の瞳は膝の上へと落とされよう]
…そちはてるてる坊主というものを知っておろう?
あれらは日を知る者よ…ゆえに聖──日知り。
生み出されしのち。
晴れたなら顔と甘酒を頂戴し、雨であれば──首を切られるであろう?
[視線を上げて少しだけ唇がゆるく微笑む]
気持よさそうじゃったよ!
きらきらしとったし。
動物もおったん
[楽しげな様子]
[それからの言葉に、また、きょとんとする]
川をながれたん?
ごほうびってなんじゃろぅ?
あやめねえさまがあげたん?
[てん、てん、とん。
てん、てん、とん。
小部屋の内に、乾いた音が響き行く。
くるりと回る、朱と金は、壁に当たり、床に跳ね、そして童の手に返る。
それを幾度も繰り返し。
てん、てん、とん。
てん、てん、とん。
紅緋は静かに回るを見つめ、傍らの仔うさぎ、案ずる瞳を向けようか]
……ひとりは、さみし……。
[零れ落ちるは唄の一節。
紅緋は伏せられ、ただ*華の紋の回るを追うか*]
そうかい、
それは見てみたかったね。
足を伸ばしてゆけば好かったかな。
[訊ねられれば細められし眼には悪戯な色]
そうさ、
ぱしゃりぱしゃりと、
泳いでいずこかへ旅立ったよ。
ご褒美は確かに此方があげたものだけれども、
童は好かぬものかも知れぬね。
…そは天狗様のいうとおり、か。
[少女のような仕草に瞬いて、蜜色落つるの先を琥珀も見やる。]
…………ああ。
よう…よう知っておるよ。
[蜜色に琥珀が絡み、写し鏡のよに緩く笑む。]
……我が乞うは、日ではのうて雨じゃがの。
[意は言わずとも通じよう。]
樹もようすべっとっての
あ、ねえさまが行くなら案内しよか?
[楽しげに]
[しかし次いだ悪戯に]
[気付かず]
泳いで!?
あ! 天狗さまが何ぞしたん?
ごほうびに泳げるようにしてもろたん……?
[むぅと唸り]
ねえさまは何をあげたんじゃぁ?
また今度にするよ、
坊は腹が減っておるのではないかな。
[その後の様子にはくすくす笑うばかり]
酒だよ。
坊主もあれで、酒が好きらしい。
うん!
おらぁ、おなかすいたん
今度行こうじゃ
[にこにこ笑うも]
[なぜ笑われたなんてわからずに]
お酒はあかんよぉ!
おらぁ、きらいじゃぁ!
てるてるぼうず、溺れんかったかのぅ
[想像するのは]
[酒の川に溺れるその姿]
[心配になってしまう]
やも知らぬ。
[指の下ろされた髪はほろりと解けて]
どちらにせよ川へと流されるであろ。
あれらは生まれたときから命の終わりが決まっておる。
──我も同じよ。
命の末は、「揺藍」と名をいただいたときより決まっておった。
[雨を望むという言の葉、少し瞬いた蜜色はゆるりとくすみ]
…それゆえに白、と?
[ほつりとつぶやく]
さぁてね。
流れゆきしその後の、
如何なるは己等も預かり知らぬこと。
[紫黒の眼に映り込むは様々の光の煌めき]
これもあの子らが運んでくれたかな、
はてさてわかりはせぬけれど、
美しきものよな。
無事につけたらよかぁ
[されどその目は虹を見て]
はこんでくれたんよ、きっと
きれいじゃぁ……
根っこに、てるてるぼうずがおるんかなぁ…
虹の根元には宝があるなどというね。
夢の終わり着きし場所なるかな――
さぁて、戻るとしようか。
見るなら皆で見る方が好かろうて。
たから。
じゃけ、きれいなんじゃなぁ
ゆめも眠ってまうんじゃろぅなぁ
[うれしそうにこくり]
[うなずいて]
みんなで見よ!
ご飯食べたら、もっときれいかもしれん!
[*はしゃいで彼女と館へ戻るか*]
全ては選ばれし時より決まっておるか…
[はらり空色が解けるを眺め、ふわり月白を頭に被る。]
選ばれしは、望みしゆえではないであろうに。
選ばれなくば、なんと呼ばれたのであろうの…
[衣覆うその刹那に、慈しむよに琥珀は蜜を見つめたか。
されど衣はゆるり面を隠し、僅かに唇動くが見えようか。]
着替えの手間がいらぬであろ?
…さて、我はゆくとしよう。ではな。
[声音はいささか不似合いか。
ふわり衣翻して立ち上がり、*すいと廊下を滑り消ゆ*]
〔晴れし空には幾重にもかさなる光の帯、
幼き童の手を引きて黒衣の女は野を歩む。
日が暮れども闇の訪れねば夜無きやう、
刻の移ろひをいずこかへ忘れ置きしやう。
館へと戻れば変わらぬ童子らの出迎えて、
雨露に濡れし小さき傘は庭にて干されるか。
臙脂の子が夕餉をと座敷へゆくを見送りて、
女は緩く歩みを進め縁側の方へと向かふ。〕
[こぼれそうになった息は薄荷茶とともに飲み込まれよう。
澄んだ月の白の残像に蜜色をはらりと揺らしながら]
…さぁ、のう。どうであったのか。
[椀を静かに置き、つぶやく。
薄い朱鷺色がゆれるのは蜜色にも確かに見えて]
…淋しいことを申すの。
ああ……またな。
[ほつりとその白を瞳で追いかけ*薄荷茶をもう一口*]
〔紫黒を細めて零せし声は誰へのものか、
たとい答のかへらずとも気にする風もなく。
空の君の声に眼差し移せば見ゆる白衣、
口を閉ざして笑みを象りそれを見送らむ。
童子の運びし茶に朱唇つけ喉を潤して、
されど言の葉交えるでもなく唯静かに。
空を仰ぎ広がりし七色を静かに見つめ、
*耳に届くはいずこよりかの鈴の音のみ*〕
[くすくす、くすり。
妖女さま、妖女さま――
笑ふ童子らは館の全てを知るがゆえ、
そこにて語られる全てを見聞きするよ。
それを伝へられし天狗の女は何をおもふか、
弧を描く紫黒の眼と朱色の唇からは読み取れぬ。
唯ただ望まれしままに迎へも送りもするだろか。]
[いつの間に彷徨い出たものか、いつからそこに居たものか、さやさやと吹く風に髪を嬲らせ、男は独り、白き花の野辺に立つ]
[見上げる空には、七色の帯、眩しげに目を細めて、手を翳す]
[てん、てん、とん。
幾度目かの繰り返しの後。
ふと、小窓より差し込む光に顔を上げ]
雨、止んだのだね。
[独りごちつ、小さく見える空見上げ]
……外にゆこうか?
[お前も外を走りたいよね、と。
小さく呟き、部屋を出る。
人の気配のある場を避けるよに。
足音忍ばせ、館の外へ]
[外へと出でて、空を見る。
広がる色彩は鮮やかに。
紅緋細めつ、それを見て]
……あ。
[駆け出す仔うさぎ、その姿に。
しばし、悩みて後を追う]
[うざきを追って、駆け行く白の内。
やがて、そこには異質な色彩が見えようか。
白の内に、佇む紫苑]
…………。
[何故か、ぴたりと足を止めるも。
仔うさぎが先に進むのを見れば、後を追わねば、と再び足を前へと進め]
[夕食を手早くとって]
ご馳走様じゃぁ!
[座敷から出たなら]
[縁側にたたずむ人たちの姿]
お食事、美味しかったんよー
[にこにこぱたぱた]
[笑いながら手を振って]
[再び外に出てゆくのは、子供の性か]
[水をまだ含む土]
[空には高く橋が架かる]
[橋の根元は宝とゆめ]
きれいじゃぁ。
ほんま、きれい。
[嬉しそうに]
[その視界]
あ。ふうれんさまじゃぁ
[隠された真実は]
[最初からそうであったように]
[不思議な様子にきょとんとする]
[それはまったく己の呼び方に気付いておらず]
虹、見にきたん?
消える前に、ねっこを見に行きとうならん?
[にこにこと話しかけて]
[探し人は見つからず、夕餉の時が近付いて、夕餉の席なら会えるかと、戻る道行その途上、真白き花の只中に、探す紫苑を見かけるか]
なんだ、こんな所におったのか―
[そのまま近付かんとするその途上、臙脂と濃色の童を見つけ、ぴたり足を止めたるか]
ええと、確か風漣と―音彩だったか?
[自信の無きは人伝に聞いたのみ故か]
[新たに呼びかける声に。
遠くへ向けし紅緋をそちらへと]
雅詠のにいさま。
お散歩なのですか?
[雅詠に問うは、いつもと変わらず。
しかし、もう一方からの問いには。
なんでもないよ、と短く言うばかり]
[問いかけに、ゆる、とまばたく。
どこか虚ろな面持ちは、呼びかけ方によるものと。
その呼び名されても笑めるのは。
露草色の若人だけと。
言にして語るはできず、ただ、ゆる、と首を振り]
……なんでもないよ?
俺は―と、風漣が先に言っちまったか。
[苦笑を浮かべ]
まあそう言う訳で宜しくな、音彩。
[散歩かと言う二つの問いに]
まあ散歩といやぁ散歩か―ちと烏の兄さんに用があってな。
ほんま?
[何かを感じ取るも]
[それが何かはわからず]
[……というよりも己の違いを感じてはいないからだが]
なぁんもあらへん?
[尋ねて]
ふうれんさまが元気のうと、おらぁいやじゃぁ
よろしうね、がえいにいさま。
[心配そうな眼差しと一転]
[にこにこと笑顔をにいさまへ]
からすにいさま?
[ちょっとぼうっとしていたらしい大兄を見て]
[きょとん]
烏のにいさまに?
[雅詠の返事に二人を見比べ。
それから、仔うさぎが烏の近くに留まるのを見つければ、そちらへと。
それは、何かから逃げるようにも見えようか]
なんでもない、よ?
風漣は……元気。
ああ、そうだねえ。
けどねいろ坊の願いだから、てるてる坊主も聞いてくれたのかもしれないよ。
[言いながら、仔うさぎを追う風漣に、ふと目を向ける]
[草食む仔うさぎの傍らへ。
紅緋は小さき獣へと]
元気だよ、風漣は。
[短く答え、ついだ問いには答えずに。
目を向けられるのに気がつけば、紅緋はそう、とそちらを見るか。
微か、不安を浮かべし色彩で]
[大兄に撫でられる小兄に]
[やっぱり心配そうな目を]
ふうれんさま。
……あっ。
[はたと何を思いついたか]
[あわあわと小さな鞄を探り]
[取り出したるは、さくらんぼ]
握り飯ほどおなかにはたまらんよ。
じゃけん、あまいん。
[にこにこと]
[差し出そうとして]
天狗の願いか。ああ、そうだねえ。
あの七色の橋は天狗とて、美しいと思うだろうからねえ。
[ねいろの言葉には、やはり優しげに答えよう。空に虹はまだ消えず]
[撫でられる感触に、ひとつ、まばたいて。
それは、何か思い起こさすのか。
紅緋の不安は──まだまだ残りはするものの。
微かなれど、和らぐか。
それでも、差し出された物には。
ふる、と首を振り、大丈夫だから、と呟くのみで。
注意深く、見たならば。
微かな怯えも読み取れようか]
[様子はやはり違い]
[きょとんとしたまま]
……ほんま、どうなさったん?
[小兄が]
[心配で]
[かなしそうで]
[ただ、見て]
[それはどこにもおかしさなど無い行動]
[似てるかと問われれば首を振り]
いや―何分俺が幼き頃の事なのでな―
[恐らくここで無くとも憶えておらぬよと、寂しき笑みを浮かべ言う]
[ふる、と、また、首を振る]
なんでも……ない、よ?
[繰り返されるのは、その言葉だけ。
それ以外に、術はなく。
ただ、鞠抱く腕に力を入れるのみ。
声にできぬ、言葉にできぬ、不安。
昨日、まどろみの内で見た夢は、ただ無為にそれを募らせて]
[夢]
[夢に食われる]
『揺藍様──揺藍姫様。あとり様がお探しですよ』
『…私だけ?』
(我が呼ばれる、はずもない)
『…行くとよい、そなたの姿が見えずご心配なのであろう』
『……でも』
『早よう顔を見せて差し上げるといい』
(我のことなど気にせず)
『…今、行くわ』
[少女は、こちらに申し訳なさそうな顔をして]
(早う、いってしまえ)
だって……。
[わらわん、と言われて。
紅緋は深く伏せられる]
……だめだから。
[そう呼ぶものは、近くに寄せては、と。
こぼれた小さな呟きは、唐突か。
だが、その意を説く術は見つからず]
左様で。
[寂し気に見える男の笑みには、声音も和らごうか]
消えたと言うが神隠しなら、心当たりはございますよ。
俺が以前に、天狗に呼ばれた子供の頃に、他にも二人同じ年頃の子がおりました。
そのうち一人は男の子。名は確か…
[はて、何と言ったかと眉を顰める]
[何が駄目なのか]
[判らずに泣きそうな顔のまま]
おらぁ……
ふうれんさまに、笑ってほしかよ
好きじゃもん……
[駄々をこねるようにか]
[小さな声で]
[泣き出しそうな声で]
―烈琥―
[「以前呼ばれた」―その言を問うのも忘れ呟くその顔は、一種人形の様であるか―]
れく―と。そう―呼んでおった―
(かあさま)
『何故』
[半狂乱のまま、泣き喚く女]
『何故揺籃なの。どうして。
どうして私のかわいい揺籃なの』
(かあさま。──泣かないで、かあさま)
『どうしてお前ではないの。どうして揺籃なの。
何故天狗などに私の可愛い揺藍を──』
『……かあ、さ──』
[紡ぎかけた言葉を遮るよな派手な音、頬には痛み]
『煩い…!』
[汚らわしいとばかりに、掴み掛かる手は何度も、何度も頬を打つ]
[ぐるぐると、ぐるぐると。
言葉が回る、意識の淵で]
……だめなのだよ。
約束、したのだもの、舞弥のにいさまと。
にいさまのほかに、風漣を、さまと呼ぶものは寄せてはだめ、と。
[なくしたから、消してしまったから。
いらぬ子に沿おうとした、やさしいこ。
誰も、同じにしてはならぬから、と。
露草色の若人と、そう、約束したのだから]
[雅詠の紡いだ名に、ああ、と頷き]
そうだ、その名。
子供心に変わった名だと、そう覚えておりましたよ。
あの頃俺には、教えてもらった字も読めず…
大事な御方でしたか?
[静かに、そう尋ねた]
[周りの誰もが静止できぬ空間であった]
[ばしり、ばしりと何度も何度も音が響いた]
『――何故、どうしてお前ではないの。
どうしてあの子なの。
必要ではないお前ではなくて、必要なあの子なの』
(…やめて)
『お前など産みたくなかったのに。
私を蹂躙した、どこの骨ともわからぬ汚らわしい男の子など』
(…やめて。やめて、母さま)
『お前など生まれてくる前に死んでしまえばよかったのに―――!』
(やめ、て───)
[微かな転寝]
[けれど唇を揺らす強い否定]
やめ、て───!
[自らの声の大きさ故に目を覚ませばぽたりと頬を伝うしずく]
[肩で大きく息を繰り返して]
[その言葉に]
[きょとん]
[首を傾げて]
やくそく?
[何故それが駄目なのか]
[それはわかるわけがなく]
ふうれんさまを、呼んではならんのけ?
なら。
おらぁ、ええと。
ふうれんって、呼ぶけ。
笑って?
[子供ながらの考えか]
[さまがだめならと]
[そう尋ね]
[浮かびし表情は悲しみと安堵―]
―ああ、大切な―
―大切な存在だった―
[烈琥が居なければ今頃自分はここにおらなかったのだと―]
[名で呼べばよいかと。
問われても、答えようはなく。
それは、なくしたものと同じ言葉で。
だから、答えられずに。
ふる、と首を振って俯くのみ。
仔うさぎ、いつか草を食むのを止めて。
なだめるよに、その足元に擦り寄るか]
……風漣は……ねいろの御霊など、みたくはないよ……。
[そのぬくもりに、心やや鎮まりてか。
間を置いて、零れたのは、掠れた呟き]
ならば、旦那がここへ来たのは、そのせいなのかもしれませんねえ。
旦那が、れくを探したなら、いや、思い起こしてでもいたのなら、鈴の音に呼ばれたとしても不思議はない。
[得心がいったという風に頷いて]
なんとなれば、あの日、俺は戻って、あの子は去った。天狗の里へと現世を逃れて。
[ぽたり]
[ぽたり、と───]
………、…っ……ぅ…
[ぽたぽたと、それは雨粒のように]
[海藍の袴の上にまあるい水跡がひとつ、ふたつ──]
[小さな声にこたえるは]
[小さな声]
[呟く言葉に首を傾げて]
みたま?
みたま……?
[首を傾げて]
[だけれどはっきりしているのは]
おらぁ、ふうれんを、悲しませるようなこと、せんよ。
絶対せんよ。
ふうれんに笑ってほしいんよ
[にこにこと]
[笑って]
じゃって、好きじゃもん
そう―かもしれぬな―
[頷き返しまつりの時を思い出さんと―しかし次の言葉に顔を上げる]
それは、本当なのか―!
[浮かびしは―困惑]
ほんまよ。
おらぁ、好きじゃ
[にこにこと]
好きってすごいんよ
ぜったい悲しくさせんって思うん
だから笑ってぇ?
わらうかどにはふくきたる
って
かかさまがいうとったもん
/*
まあパターンには入れてたけどねー。
雅「なんのだ。っつーかどこまで俺を弄り倒すつもりだ」
んー、逝くとこまで?
雅「その「いく」かよっ!」
…わからぬ。
我にも、わからぬ。
[ほろほろと落ちる涙をそのままに微かにつぶやく]
ただ……さびしい。ひどく、さびしい──
[ほつりとつぶやいて蜜色は瞼の裏へ。
伸ばされた手を遮る様子はなく]
…あ、め…?
/中/
つーか、好かれて追い詰められるキャラ多いよな、自分(とってもとーいめ/中の特性だろ/ぁ)。
ていうか、なんでそんなに楽しげに地雷踏みまくるかにゃー、もう。
そんな―そのような―
[なにやらぶつぶつ呟いていたがやがて―]
俺は―
[ふらり、視線は虚空を彷徨い、肉体の方も彷徨わんと―]
[ふる、と首を振る。
言葉は既に、届くかどうかも怪しきか。
力抜けたよにその場に座り込み。
ぎゅ、と唇をかみ締める。
紅緋が見つめるは不安げな、小さき獣の円らな瞳]
わからぬか。
わからぬ事は多きものよの。
[白き指は頬へと触れて、伝う涙を掬い取る]
ひとりはさみし、ふたりはこいし。
なれば如何すれば好いものか。
[続いて落ちる言の葉は、独り言ちるようで]
雨は空の流す涙、海は涙の流れ着きし場所。
そう言うたのは其方だったと覚えているよ。
けれども、雨が時には恵みであるように、
涙にもうれしきはあるね。
其方の流す涙がそれであれば好いと思う。
雅詠――?
[天狗の心の乱れに応じて風も惑おうか、
彷徨う眼差しと同じに揺らぎも伝はらむ。
投げかける声は不思議そな響きを帯びて。]
[座り込んでしまったのにあわて]
[自分もあわててしゃがんで]
ふうれん、ふうれん
なんも心配なんてなかよ!
こわいのあらんって
ふうれんが教えてくれたんじゃよ!
わからぬ──わからぬよ。
何ゆえに涙が止まらぬのか。
何ゆえ、我はさみしいのか。
[頬に沿う指の温かさ、微かなそれでも安堵を覚えてほろりほろりとまだ涙は落ちよう]
…ああ、言った。
我は確かにそう言った。
けれど…我に空でも海でもある資格はないのだよ。
我は──ただの日知り。
[嬉しい涙などながれようもないと首を横にふる]
ぁ――――
[肩に伝わる感触に振り向きし顔は呆然としておるだけでなく―
そう、まるであどけない幼子の如く―]
―からす?
[それだけを呟きてふっ―と*崩れ落ちた*]
こわいのではない……よ。
[ようやくこぼれた声は小さくて]
ただ……嫌なだけだから。
[何が、とは言わず。
紅緋は頑な。
踏み込むのは許さぬと、そう、言わんばかりに。
思わぬ言葉が呼び起こせし遠い刻は、その頃の。
実父にいらぬと言われた頃の、頑なさまで呼び起こしてか]
いずこにても、みえぬはこころ。
己にても、他にても、それは然り。
[隣に腰を下ろせば紫黒は蜜色を覗こうと]
空の君。
それは人の世にての話だろう。
ここは天狗の隠れ里、現世の理は通じぬよ。
其方が望むがままにあれば好い。
空でありしも、
海でありしも、
如何様にも在れよう。
こわないの?
[だけれど続いた言葉にこくり]
[頷いて、わらう]
いやなこともさせんよ!
おらぁ、絶対にせんよ!
おらを怖いんから助けてくれたんはふうれんじゃ
じゃけ、おらがふうれんの嫌なことをどっかうっちゃるよ!
ふうれん、笑ってなぁ
おら、ふうれんが好きじゃよ
ふうれんが笑うてくれたらほんまにうれしいん
なぁ、ひとりでくるしまんで…?
おっと!
[崩れ落ちた男の身体を、地に落ち切る前にようよう支えて]
旦那?…ちょいと、旦那?!
[肩を揺するが答えは返らず。途方に暮れて辺りを見回す。子供等に助けを期待するわけにもいかず]
やれ…是非も無し。
[苦笑と共に、肩にその身を背負い上げる]
…望む、まま…?
[微かに問いかけの言葉は細く]
…望みなど、叶うのだろうか。
叶わないからこそ、望みなのではないのか?
[傍らに座る姿に諦めの色濃い声音で尋ねようか]
…望んだところで叶うわけもない。
我の望みなど、叶わぬ。
我は…我、は、「本物の揺藍」になりたかった。
叶わぬ夢とわかっていても、それでも───
[ひどく表情をゆがめれば、それこそ風連や音彩と変わらぬ年のころの子供のように、うつむいたまま、ただ、泣きじゃくる]
[風漣と音彩の様子が、気にかかりはしたが、二人の心は二人にしか解らぬと、静かに目を逸らして]
俺は旦那を運んでゆくから、坊達も、遅くならないうちにお帰り。
[ただ、そう声をかけて、歩き出す]
どして……。
やぁだ、て……いって……。
[投げられる言葉は、無垢であるが故か。
痛みすら伴う、響きで。
それは、いつか向けられた露草色の若人の言葉と良く似ていて。
似ているからか。
それでも異なるとわかるが故か。
他には沿わぬとの誓いがもたらす、小さな錯乱。
それに弾かれるよに。
跳ね上がって駆け出して。
鞠は抱え、仔うさぎは置き去りに]
烏賊 ラスは、自警団員 ガウェイン を投票先に選びました。
空の君、心次第だよ。
叶わぬと思うて望むなら、
叶うはずもあるまいな。
[返す女の声は淡々として、鈴を転がすようで]
本物とやらになる必要はあったのかな、
此方に其方の事はわからぬけれども。
人の世にては叶わじとも、
妖の世にては叶う願いもあるかも知れぬね。
[ゆるり、伸ばした手は、そうと、その髪を梳こう]
[幼すぎる言葉に]
[小兄がどう思ったかなどもわからずに]
あ!
ふうれんっ!
[走り出してしまった小兄を]
[止めるなどできず]
[慌てて立ち上がって]
[仔うさぎにも目を留めず]
まってっ!
まって、ふうれんっ!
[その後を追って、走り出す]
[白い花が、そよそよゆれて]
[白い仔うさぎは、ただ見ているか]
投票を委任します。
少年 ネロは、烏賊 ラス に投票を委任しました。
/*
雅「しかし毎度の事ながら独り言及び赤(墓・緑・青)での内面描写をすっ飛ばすのは悪い癖だぞ?正直やってる俺もついていけねぇ部分があんだが」
分かってるつもりなんだけどねぇ…面倒臭くてつい。
雅「(溜息)まあ良い。それじゃ解説頼むわ」
はいはい。えーと、烈琥については『人であった頃の友。弟的存在。神隠しから帰って以降両親にすら疎まれていた雅詠を唯一兄と慕う少年。雅詠が家族を亡くし寺に引き取られてから逢っていない』と言う基本設定(弾かれ村人になった時用)がありまして。
雅「思いっきり平○だな」
うるさい。で、烏の経験者COを受けてパターンを3つほど考えたと。
/*
1.烏=烈琥。まあよほど誘導しないとこれにはならんだろうと思ってた訳ですが。
雅「そんなのに無条件で飛びつく行き当たりばったり人間はお前だけだ。ってか何事もなかったかのように続けるな(長すぎたので途中で分けたのである)」
(無視)2.烏と烈琥が知り合い。こっちの流れで普通にいくかと思ってたら…。
雅「3に行ったと。ってか2は明らかに後付けに見えるんだが」
(無視続行)でその3…普通に村人なら生まれなかったパターン。
雅「良いからさっさと言いやがれ」
【 雅 詠 = 烈 琥 】
雅「…………はぁぁぁぁ?!」
(耳塞ぎ)いや、大好きな雅詠兄ちゃんが自分を庇って村を追われたショック+雅詠兄ちゃんから聞かされ続けた天狗の里への憧れから里に呼ばれ天狗に選ばれる→今回呼ばれた時記憶の混乱から自分を雅詠と思い込むと言う流れ。
雅「…………とりあえずその元ネタかSNSのメモを見ないと微妙に分かりずらいのをなんとかしやがれ…」
[鎮守の森で笛を吹く。誰そ聞かせるためだろか。]
[ピィー…ヒャララ…ピィー…ヒョロロ…]
[否、人影は他になし。
濃い緑の木の上に、白の衣が揺れるだけ。]
[駆けて、駆けて、ただ駆けて。
足元はおぼつかぬよで、確りと。
それは、森に隠れ住みし暮らしの賜物か]
……いらないのにっ……。
[振り絞るような呟きは、恐らく誰の耳にも届くことなく。
駆けに駆け、目の前に館を捉えれば、白の内。
紛れるように、身を翻して違う方へと。
巡り、駆け、求める先は、慕わしきものと暮らせしその地に良く似た場所か]
[時間をかけて、館へと辿り着き、雅詠の身体を上がり口へと座らせる]
誰か…
[と、声をあげる前に、わらわらと駆け出て来た童子達が、軽々と男を抱えて行く様に、ぽかんと口を開け、見送った]
やれやれ…今も昔も…天狗の里には不思議が多い。
[吐息をついて、肩を竦めた]
[その姿は白の花に紛れ]
[一瞬見失えば]
[はたと立ち止まる]
[目前に館]
あかんよぅっ……
みんな、かなしいの、やじゃぁ……!
[きょろきょろと]
[あたりを見回して]
[どちらにいったのか]
[あの仔うさぎならわかろうか?]
[視界の端に先にわかれた大兄をとらえども……]
[ピィー…ヒャララ…ピィー…ヒョロロ…]
[面は被衣に隠されて、僅か覗くは飴色に寄せる撫子色。
さあ、と木の葉揺らして風吹けば、音色を乗せてゆくだろか。]
[ピィー…ヒャララ…ピィー…ヒョロロ…]
[緑の帳に駆け込んで、はあ、とひとつ息を吐く。
数度、ふるふると首を振り、気を静めれば]
……笛……?
[そう、遠くなき場所より響く、静かな音色。
それに惹かれるよに、ゆらり、深き緑の闇の奥へと踏み込んで]
……だれか、いるの?
[梢に向けて、そう、と問いを投げようか]
/*
雅「…要するに『共に天狗になったのに再会した記憶がないのはおかしい』と言う訳か」
お、立ち直り早いねー。
雅「そりゃあ散々鍛えられてるんでな…(ジト目)」
なんか言った?
「んにゃ(真顔スルー)まあそれは兎も角こりゃ確かに俺が村側なら何も問題なかったな。むしろエピで「俺も連れてってくれ!」とか叫ぶ布石になる」
まあ実際は全然意図せぬ所に別の布石が出来てた訳だけどねー。
雅「ああ、>>1:*17の事な…」
あん時は村人時設定使う気無かったんで普通に今回2度目想定にした訳だけどあの設定使う時点で3度目になる訳でー。
雅「ってかほしまつりの頻度が分からないから別に良いんだが…最初の実年齢不詳バージョンならそれこそもっと来てる可能性もあんだろ、なんで今回で2度目3度目なんだよ…」
――おや。
言の葉が返らぬと思えば。
[童子ら笑ひつつ、何ぞありしか告げようか。
その声はやはり天狗の耳にしか届かずに、
ひそひそ、くすくす、ないしょのはなし。]
[ふいに届くは幼き声。笛はぴたりと歌うをやめる。]
誰そ? 我は我…ゑゐかじゃ。
そなたこそ、誰そ。
[声の主を探すがごとく、身を乗り出して下見やる。
緑の中で月白は、ふわりゆらりと風吹かれ。
幽玄のごとく見えようか。]
[梢に投げた声、それにこたえるように笛の音が止まり。
返るよに、誰何の声が降ってくる]
えいか……?
[のねえさま、と。それは寸前で口にせず]
ええと……風漣……。
[自身の名を告げつつ、上を見る。
緑の帳、その内に浮かぶ色彩に、ひとつ、まばたいて]
……邪魔をして、しまった?
[続く問いは、どこか不安な響きを帯びるか]
[ゆると首を振り]
[どこへいったかもわからないけれど]
[小兄のあとを追おうと]
あ。
うさぎ
[あの仔ならわかるだろうかと]
[元いた場所に戻り始める]
…ああ、そなたか。
[風漣と聞けば僅か安堵したように、視界遮る被衣を肩へと落とす。
表れし面には、涙の痕も笑みもなく。
いつものように愛想のない――表情乏しきままだろう。]
…否、なにも邪魔などしてはおらぬよ。
我こそ…邪魔をしてしもうたか?
[上からではよく声が聞こえぬのか、笛を仕舞いて身を空へ。
とん、と地へと降り立てば、首を傾げてみせようか。]
[戻った場所で]
[うさぎは草を食べ]
……ふうれん、どこいったんじゃろなぁ
[小さな声で呟いて]
どこだか、わからんかなぁ……?
[仔うさぎは首を傾げる]
[子供も同じく首を傾げる]
元気にのうて、
笑うてくれたら、
みんながそうであったら、良いんに……
[ふわりと降りる、えいかの姿にわあ、と声を上げ]
ううん、風漣は……ただ……。
[逃げてきただけだから、と。
小さく呟き、ふる、と首を横に振る]
[雅詠が運ばれていくのを見送り、ひとつ息を吐いて、座敷へと入る。縁側に並ぶ二人の様子に、僅かに首を傾げて、少し離れた場所に腰を降ろした]
なんも違わんに
[それはそうだと信じたいと]
[願いが多く含まれて]
みんなわらっとったら、きっと幸せじゃに
[呟きと、草を食む音]
……やっぱり、 。
[返りし答えに、琥珀はひとつ瞬いて。
首振る姿にあわせるように、ゆらりと揺れる。]
逃げて……そうか。
…怖いものでもあったのか。
[怯えることなきように、そうと目線合わせてかがみこむ。
優しく触れもせず、宥める笑みもない。
されど琥珀は真摯に紅緋と向かい合おう。]
あ。待って!
[うさぎがぴょこぴょこと跳ねていく]
[その後を追う]
[だけれど、どこかそれはゆっくりと]
[やがて兎は草葉に隠れ]
[そばにあった樹に登る]
[館まで戻るのも可能なのに]
[*あまり戻る気にはなれずに*]
〔髪を梳く手はいつしか背へと下ろされて、
撫ぜるは母が子をいつくしむのと同じやう。
朱唇から零れしは懐かしきこもりうた、
風に乗りて聞こゆ笛の音も途切れれば、
微かな鈴の音と合わさりて静かに響く。
涙零す蜜色が閉ざされれば眠りに落ちしか、
身体を離して童子らに寝床の用意を頼む。〕
[真直ぐに向き合う琥珀に。
紅緋は揺れて。
労るような様子がない事が、逆に、安堵を呼び込んだか。
ほろ、と。
紅緋から雫がこぼれ]
……逃げるものでは……たぶん、ないの。
こわがるものでも、きっと、ないの。
[でも、と。
掠れた声が、こぼれ]
風漣には……こわいことなの。
やさしいものは、こわいこと。
くの一 アヤメは、雑貨屋 フラン を能力(襲う)の対象に選びました。
/*
............家では條が持って来るんかな。
雅「久々に『ビーバップ!ハイヒール』見てるかと思えば何カミヨミネタ妄想してんだよってかそのジョエルらしき名前は一体誰に対応していて他のメンバーは誰なんだよいや前者は顔及び番組内容(カレー)で分からないでもないっつーか寧ろ前村で口説いておいてそれかよと言いたい所なんだが」
おー、見事なノンブレス(拍手)
雅「誤魔化すなっ!」
…涙零せるならば、泣くが良い。
心の澱を流してくれよう。
[紅緋から雫がこぼれるを、琥珀は静かに見つめたまま。
拭うことなく頬伝うに任せて、擦れた声に耳傾ける。]
…そうか、そうじゃな。
冷たいは怖いが、優しいも怖い。
[想うことでもあったのか、琥珀はどこか遠くを見やる。
ややあって紅緋へと視線戻せば、琥珀は僅か潤もうか。]
ただ冷たいなれば、こちらも心凍らせよう。
されど、優しゅうされれば情移り、離れられれば…何をやいわん。
…我も、未だ優しいは恐ろしきかな。
[ぽつりぽつりと言の葉零すも、涙の雫は零れはせぬ。]
[泣くが良い、と。
言われるまでもなく、というところか。
紅緋からは、先ほどまで堪えていた雫が零れ続けて。
それは、既に抑えるには至らぬ様子]
うん……つめたいの、かなしい、けど。
やさしいのは……あったかくても、いたくて……だからっ……。
だから、いらないのに……たくさんは、いらないのに……。
[ほろほろほろろ。
雫と共に、止め処なく。
零れ落ちるは、押さえしこころか]
くの一 アヤメは、自警団員 ガウェイン を投票先に選びました。
ああ、まあ、ちょいとね。
おかげで、身体が痛い。
[くす、と笑って、首を回す]
坊達も、何やら困っているようでしたがね。
[視線は、未だ虹佩く空へと移る]
それは御疲れさんだね。
[手の甲を口許に当てて真似するように笑いを零す]
皆、惑い、迷っているのだろうね。
ゆくもかえるも、心次第とは言えど、
己があり、他がある以上、心揺れずには居られぬ。
[言うまでもなきことであったか。
雫はほろほろと零れ、ぱたぱたと藍白の小袖に沁みてゆく。]
あったかくても、そなたには痛いであったか。
なれば…つらかったの。
くれるというを拒むは難しや…。
[零れ落ちる涙も、こころも、琥珀はただ見守るのみで。
その場を動くことなく、零れ落つ言の葉に耳を傾ける。]
烏賊 ラスは、雑貨屋 フラン を投票先に選びました。
……なにも、かえせぬから。
やさしいことばにも、あたたかさにも、なにも。
風漣は……何者でもない子で。
ただ、あやかしの力を持つだけの子で。
[だから、と。
その後に言葉は続けられず。
ふわり、被せられた月白の陰。
ただ、ほろほろと雫を零して]
昔は、ですかい。
[答えを期待してはいなかったのか。ただ、そうとだけ繰り返して、男は童子の運んで来た茶に口をつける]
お前さまに惚れられる男は、そうそうざらには居そうにないやねえ。
[大人の丈であるそれは、風漣が被ってもまだ踝まであるだろう。
そは赤子を包むがごとく、母が子を抱くがごとく。]
こわいであれば、傍に居よう。
…我は、優しゅうはないからの。
[傍にあると言うた時点で、矛盾しているやもしれぬ言葉。
されど本人はいたって本気で口にしておる様子。]
……じゃがの、そなた返せと言われたか。
言われたでなくば、返さねばならぬではなかろ。
無理にかえそとしても、いらんと言われるやも知れぬぞ。
[紡ぐ言葉に耳傾けて、言うはどこかがずれたこと。
されど、それもまた真の一面やも知れぬ。]
…風漣は風漣じゃ。何者でもなくはない。
あやかしの力持つなれば、なおさら何かを出来る者であろ。
そう、居た――
けれど、
[はてさて、どうしたのだったか。
想いは潰えてしまったと、その覚えはあれども、
どのようにして終わったのだったかは記憶になく。]
俺ですかい?
さて、惚れる女子は多けれど、所詮しがない旅烏。
添うてくれるような物好きな方には、ついぞ出会ったこともなし。
[けらりと笑って謳うよに]
[傍に、という言葉に、ひとつ、まばたきつ、えいかを見つめ。
ほんとに? と、微かに震える問いを投げる]
……かえさなくても、よいの?
風漣には……よく、わかんない。
[小さく呟き。
最後の一言に、紅緋はまた、まばたいて]
風漣は、風漣……。
[それは誰かに言われたか]
あやかしの力……御霊や、力を見るだけだよ?
[それだけで、何かできるの? と。問う声は不思議そで]
ああ、いつしか我に心配りてもおったな。
我はそなたに優しゅうなどしてはおらんかったはずじゃが。
そなたは母上殿に良い言葉をもろておる。
それを大切にして生きておる。
…なれば、今のままで優しくもあたたかくもあるじゃろ。
口の軽きおのこと思われるが常かい。
それも損な質だねえ。
ふらりふらり、
つかみどころのないように、
逃げゆくように見えるのかも知れぬけれど。
さあて、損かどうかは、存じませんが。
口の軽いは、真実ですしねえ。
つかみどころのないように、見えますかい?
試しに掴んでみてはいかがで?
[ふざけるように、腕を差し出す]
母様の、お言葉……。
[そう言えば、いつかえいかに言っていた、と。
今になって、思い出す。
最後の言葉、別れの間際。
それは決して忘れまいと。
抱えた鞠に、そう誓いをかけていて]
……今のままで……。
[小さく小さく、繰り返す。
零れる雫は、*いつしか止まりて*]
/中/
ま、真面目に眠いです……orz
そ、それにしても、なんか気がついたらこっちに懐きフラグがたってるようなー(^ ^;
うーん。
色々と予想外……っつか、なんなんだろね、この地雷っ子は(はてしなくとおいめ)。
そうしてみようか。
[戯れに細腕を伸ばして触れてみようか]
何方も、気を楽にしてゆかれれば好いのだけれどね。
はてさてどうして、そういうわけにもゆくまいか。
[触れた手に目を細め、続く言葉には、さて、と首を傾げる]
気を楽に生きるが出来る人ならば、そもそも鈴には呼ばれぬのではないですかねえ?
[リーン、リーン、と今もまた、遠く鈴の音は聞こえよう]
[瞬き、見つめてくる紅緋を、琥珀は応と言うよに見返して、]
はてさて、返せと言われたならばわからぬがの。
少なくとも、我は返してもらう要はない。
[ゆえに傍に居るも構わぬことと、言わずとも通じたろうか。]
[名を繰り返す様子には、しばし静かに見守って。
問いにはやや思案するよに首傾けて、言の葉ぽつりぽつりと紡ぐ。]
御霊や、力見る…そうか。
体離れし御霊には、会いたくとも会えぬものじゃから…何か出来るやも知れぬ。
力を見れるのであれば、力も貸してもらえよう。
やれ、我にはすぐには出てこぬが、なんなりと試みるも良かろうて。
/*
ってかマジでわっぱーずが能力者...。
雅「なんだそりゃ。ってかいいかげん寝ろ信がどうとか言ってないで。そもそもカミヨミ軍人ネタのキャラに現時点で二人も12宮が居る理由を星影セット縛り等を除いて述べよ。
っつか俺と烏、ひいてはれくとの年齢差をとっとと補正しやがれ!」
[大事に鞠を抱く姿を、琥珀は静かに見つめやる。
小さく呟く童の心には、何か思うものがあるのだろうと。]
[さあと涼しい風が吹き、さやさやと木の葉が鳴る。
鈴が鳴るにも似た虫の声も聞こえたろうか。]
[やがて、風漣が戻ると言ったなら、連れ立って館へと戻ろうか。
もし森を抜ける途中で仔うさぎに呼ばれたならば、緑に目立つ臙脂を見つけ、*眠る子背負うやもしれぬ*]
[ゆらりと腕を降ろし、あやめの言葉に、僅か目を伏せたろうか]
もう一度、と、思ったことなら、ありましょうかねえ。
[その言の葉は、ぽつりと零れ落ち]
へえ。
[短く返した言の葉は其の先を促すよう]
誰そ、逢いたきものか、
何ぞ、見たきものでも。
[藍墨茶の袖の内にて腕を組み相手を見る]
中/
眠る前に投票せねば…話の流れであれば天狗の友に会いたいであろう雅詠か。
されど、襲撃と被るやも知れぬの…。
ひとりはさみし…天狗に任せるか。
逢いたいと言えば、逢いたいか…
見たいと言えば、見たいものか…
ですが、俺の思ったものと、見えるものとは違っているのやもしれません。
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新