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ユーリー は、 イヴァン を占った。
次の日の朝、 マクシーム が無残な姿で発見された。
そして、消え行くもの。
運命の輪が回りだす。
紡がれるのは、如何なる結末への道筋か……。
現在の生存者は、 カチューシャ、 キリル、 ロラン、 レイス、 イヴァン、 ミハイル、 イライダ、 ユーリー の 8 名。
[抑えきれなくなる。
本能が、理性を凌駕する。
出来るだけひそやかに、できるだけゆっくりと息を吐く。
気付かれぬ様。
――そう、誰にも、気づかれぬ様]
[約束を乞う。
けれど、一体何に乞うというのだろう。
必死に唇を噛み締める。口の中に広がる鉄錆の味がひどく甘い。
少しでも、こうしていたいと思った。
───早く、帰って欲しいと願った。
…ああ。
彼の血と肉は、どれほどに甘いのだろう…?]
[それから、レイスへと近づいて。
困ったように、眉を下げた。]
キリルね。
……なんかすごく不安そうだったのよ。
[ロランは彼女と仲が良いのはよく知っているし
マクシームは害がないだろうと、声を落としはしたものの、困ったように告げて。
何があったのかはさすがにいわないけれど]
気にかけておいてあげてほしくて。
言われなくても、レイスなら大丈夫だとは思うんだけどね。
[イライダに、ちゃんと向かれて。
笑う表情が、華やかだと思う。
からかってるわけではない、と言われれば反論も出来ず
俯いて、膝の上に持ったクッキーを見詰めた]
……でも、
[精いっぱいの言葉。
困った風に眉を顰めてから、ユーリーが去るのを聞いたから
顔をあげ、おやすみなさい、と、渡りに船と言葉を紡いだ]
…俺も、かえる…
クッキー、ありがと。
[ぽつりと小さく小さく、呟いて。
顔をあげて、見える顔に小さく頭を下げた。
誰が篝火の番をするのだろう。
マクシームとミハイルが名乗りをあげていたように思う。
自身は邪魔にしかならないことを知って居たから、
悲鳴のような音をたて、車椅子を自宅へと向けて進めるしか無い*]
―広場―
[空を眺めるうちに、何となく思い出した。遠い昔に聞いた、赤い月と人狼の関係性。
ただ僕には朧気な記憶しかない。よく本を読んでいるロランなら知っているかと目を向けたが、すぐに問うことは躊躇う。
そんな折、イライダから笑み交じりに問いを受けた。]
……そうだな。
[短く肯定の言葉を紡いだ。
良い男に僕の名が挙がったのは聞き逃したけれど、少なくとも僕なんかよりはずっと。]
[耐えられそうにない。
口を開ければ、自身の犬歯は牙のように尖って居るかもしれない。
握った手の中、爪は酷く伸びて刃となって居るかもしれない。
そんな不安と飢えを渦巻かせ、熱くなる身を抑える。
掠れた声は、必死に呑み込んだ。
額に粒のように汗が浮いたのは、幸い自宅に入ってから]
……――ッ、
[胸元を掻きむしる。
治療をしてもらった肘の包帯が、やけに白い]
―― キリルの家 ――
[扉の動きが止まったことに少し安堵する。
彼女の震える声を聞いて、眉が情けなく下がった。
こういう声を出させてしまう自分自身に]
うん。また明日
……もちろん。キリルが望んでくれる限りずっとね
[彼女の指や服が挟まれないよう注意をしながらそっと扉を閉める]
お休み、愛しい俺のキリル
[そうしてその場を去っていく]
[紅い紅い空の月。
まるで母が称した通りの血吸い花に似ていると、そう思った**]
投票を委任します。
イヴァンは、 キリル に投票を委任しました。
─ 自宅 ─
ありがとう、イヴァン。
……おやすみなさい。また…明日。
[顔を上げられずに、どうにか別れの言葉を紡いだ。
だからイヴァンの浮かべた表情に気付くことも出来ずに、
再びもう一方の手をくっと握りしめる。
ことりと、薄い扉に額を寄せた。
そうして暫くの間、何かに耐えるように目を閉ざしていた*]
[玄関を閉めて、そのまま車椅子を進めて作業場へと入る。
大きな作業台に手をついて、荒い息を吐いた。
飢えが辛い。体中が痛い。理性が、苦しい。
息を堪え、声を出さぬ様全身に力をこめて机を握りしめる。
窓から入る風が冷たく、熱を奪って行くようだった]
……――、っ!、……!
[気配届かぬ様、力いっぱい眉を顰め、目を瞑った。
冷たい空気を吸って吐くと、少しだけ現に戻る。
ぐるぐると回る視界は、二日酔いなんてものじゃなく。
熱に浮かされるように開いた双眸は、
血程に真っ赤に染めあげられていた]
―自宅前―
――ギィィィ…、パタン。ガチャッ
[念のため、危険物の多い自宅に鍵を締めた。
どうするか迷ったが、一晩火の番をするなら何か…と思い。
ロランに借りた本も結局携えている。
扉から向き直り、頭上の赤い月を仰ぐ。
不吉な赤い月。]
……なにも、おこりゃしねぇよ。
[ガシガシと頭を掻き、再び広場へと向かった。]
[ロランから否定の言葉がまた出そうなのに苦笑して。
うつむいてしまったのを見れば、手を伸ばしてまた頭を撫でようとした]
うん。ゆっくりで良いのよ。
ゆっくり、自信を持っていきなさいな。
レイスだって、そうだって言ってるんだから。
おやすみなさい。
[クッキーへの礼には首を横に振って。
笑って見送った。]
兄貴は、まだ向こうかな……
[ふらと扉から額を外して、小さく呟く。
眉を顰めて額を押さえた。
片隅にはカチューシャの摘んできてくれた薬草がある。
あかりも灯してあるから、既に帰宅していることは知れるだろう。
夜空を一度振り仰ぐ。
赤い月を暫し見上げて、ボクは自室へ続く扉を開いた*]
―篝火そば―
[そこにはまだ、誰かいただろうか。
自分が名乗りをあげた後も、「自分も残る」と言っていたマクシームの姿を見つけ、ふぅと溜息を吐く。]
こういう時にはよ、年長者に格好つけさせろよ。
[ポンポン…と、子どもをあやすように軽く頭に触れる。]
『あんただから心配なんだよなぁ…』
[そんな軽口を叩かれたなら、]
おまえしつれーだな。
[じとっとした目でマクシームを縫い止めたか。]
ロランは、 レイス を投票先に選びました。
ロランは、 キリル を投票先に選びました。
ロランは、 レイス を投票先に選びました。
…喧嘩なんてしてたの?
[心底不思議そうに、レイスとマクシームを見る]
だって家に来た時は、ずっと嬉しそうだったわよ。
私が気にしてるのは……
[もっと声を落として、レイスにだけ聞こえるように]
いきなり泣き出しちゃって。
不安なんだって言ってたわ。
――旅人さんのこととか、あるし。
多分、疲れてるんだと思うの。
[礼には、ううん、と首を横に振って]
[うっとりと、どこか熱に浮かされたように紅い月を見上げる。
昨夜の酒精の酔いのよう、それよりも尚甘美な血の誘い。
こくりと喉が鳴った。
先まで己を押し留めようとしていた理性の糸は、最早ない]
…ロラン、
[同じく月に刺激されただろう同胞を呼ぶ。
喉は飢えていたけれど、それは大きな期待をも伴っていた]
月が昇ったね───…
[見る者のいない唇が笑みを刻む]
ぁ、ぁ、あ、ア、ア、ア"、ア"……ッ
[聞こえた同胞の声に、堪えていた声が零れた。
作業台にあがって身を捩り、喉の奥から漏れる声。
人の言葉というより、それは最早獣の吼え声に近く。
それでも何処か残るロラン自身は、自分の声に少し驚いて
冷静に見下ろす自分もまた、感じていた]
…タベタ、い
月が…昇ったかラ、
…赤い月が、呼んでいる…――カラ
[熱に浮かされたような声。
壊れた蓄音器のような、冷静に何か教える時のような、
入り混じる其れが 囁きに染みるよう零れる]
───ふ。ふふふ…っ
[喉奥から笑いがこみ上げて来る。
同胞の吼え声に刺激される、灰銀の瞳も朱に染まっている。
彼のように咆哮することはなく、
けれど浮かぶ表情は、もはや常の面影を失ったもの]
食べようよ、行こう?
あぁ…ほら。あの子達も呼んでいる。
狼が、来るよ──…
[遠く、森から狼たちの声が聞える。
人には未だ聞えない、微かな遠吠え。
その音を捉える耳もまた、既に常人のものではない]
[にんまりと笑む気配は、きっと何時ものロランとは対照的。
荒い息を、定期的に着く気配は簡単に届くことだろう。
ひどく機嫌良さげに作業台に上り、仰向けに横になってわらう]
……、来イ…
俺の足に、なレ。
[くすくすと喉奥から、愉しげに喉を鳴らし。
遠く聞こえる声に、耳を傾けるところりと窓へと視線を向けて。
闇にぽかりと浮かぶ、赤いあかい月をみあげた]
[朱い月を烏色の双眸へと落とすと、奥までじわりと紅に染まる。
上から濡れた睫毛が影を挿し、半分伏せた気だるげ。
赤い舌が、自身の弧浮かべた口唇を、円を描くように舐めた。
すいと震える背を逸らし、喉奥を震わせる。
奥底で知って居る、何処の筋肉を使えば良いのか。
人ならざる意識が教えてくれる。
小さく窄めた口唇から細く、息と共に聞こえぬ音が迸る。
森の奥で、狼達がぴくりと頭を擡げる。
暫くそのまま動きを止めて、やがて疾風となり駆けだした。
木々の間をすり抜け、風の如くの速さで集落を目指すのを感じる]
[作業場の窓は換気の為もありとても大きい。
寝そべったまま細く吼える声が、獣に届くを知る。
ピクリと、足の先が動いた気が、した。
窓の外、まだ少し遠くに、獣の荒い息が多数あるのを聞く。
不意に、開いた窓から黒銀の毛並みもつ一頭が、
音もなくしなやかな跳躍で踊りこんだ。
イヴァンの畑の隅に行く時にも背に乗せてくれた子だ。
細い腕をあげて圧し掛かるように跨るその狼の首へ回し、
黒銀の長い毛並みに顔を埋めると、緑の匂いがした]
……、何処にいるのかナ…
[そっと窓から広場を見ると、人影は複数。
複数相手に暴れる気は今は無いから、そっと息を吐いた]
[同胞の鳴らす喉奥の笛の音。
人の耳に届かぬ音を、この耳も確かに捉える。
それに心地良さげに、笑みを浮かべた。
朱に染まった瞳には既に躊躇いの色はない。
沸きあがる飢えさえも甘美に喉を鳴らし、ちらりと舌で唇を舐めた]
…ねえ、そこから見えるかい?
[ロランの家からは広場が見える。
そう知るから未だ動かず、寝室の窓近くに立った。
カーテンを引かぬ窓辺には、紅い月明かりが降り注いでる。
庭が見えた。片隅には、かの白い花の蕾が揺れている]
……多分、レイスにも心配かけたくないんだとも思うし、
私が言っていたなんて、言わないでね。
[少し心配そうにして]
喧嘩したんなら、なおさら、参ってるかもしれないわね…。
[でももう、後は任せる、とお願いして]
ミハイル、気をつけてね。
マクシームは……うん、二人でやるといいと思うのよ。
何もないとは思うけど…気をつけて。
[希望を含んだ言葉。
マクシームにも、最後の言葉は向けた。
そうして手を振って、お皿を回収して、家に戻ることに**]
…見えル。
でも、ミハイルとレイスが居る。
[イライダの姿は少し影になっていて、いるかいないか判らない。
黒銀の毛並みに手を滑らせながらじっと外を見詰める]
弱っタな。
――あまり、時間が無いのに。
[それは人ならざる力を使える時間。
赤い月満ちた今、全身に満ちるそれは、
朝にはきっともう、理性に抑えられてしまうのだろうから。
きゅ、と、狼の首元の毛に顎を埋めて唸り]
…ミハイルは、銃を持ってル…
[少し、睨んだ]
…───ミハイルが銃を?
面倒くさいな……、
…兄貴はまだ帰ってきて、いないから。
このまま固まられると今夜マクシームは狙えない。
[冷静に事実を整理する態で囁いた。
時間がない。その言葉に、頭上の月を振り仰ぐ。
この月が没してしまっては、この力は使えない]
…全部を相手には出来ない……
[声に苛立ちが滲んだ]
[きゅ、と、毛並みに両手を回した侭に同胞の声を聞く。
レイスがイライダと離れる様子は見えたけれども、
ミハイルはどうやらやはりそこに居るようで]
…面倒くサい。
2人いっぺんは、難しい…かな。
[マクシームを襲ううちに銃で撃たれたら厭だし、
ミハイルを襲ううちにマクシームに逃げられても厭だ。
聞こえた言葉に同意を零し、息を吐く。
赤い月は、ゆっくりと夜を巡る]
まァ、少し待とう。
居眠りをするかもしれないシ。
―自宅―
ただいま。
[家に帰り着いてまず目にしたのは、カチューシャに頼んでいた薬草。一応手に取ってみたが、確かに違いなかった。
妹が一緒に見ていたのだから当然だけれど、僕はそのことは知らない。]
キリル。
[その妹の姿は、近くには見当たらない。
灯りは点いていたから部屋にいるのだろうと当たりを付け、扉の外から小さく声を掛ける。
返事はあっただろうか。もう寝ていたかも知れない。]
[声を掛けてはみたけれど、その後何と言っていいか分からずに、少し黙り込んだ。
もう夜も遅いし、何があったか聞くのも憚られる。それにそんな事をすれば、イライダから聞いたと言っているようなものだ。]
…… 無理するな。
[結局そんな当たり障りのない言葉しか言えなかった。
返事があってもなくても、小さく息を吐いてその場を離れる。
その後は集めて貰った薬草を仕分けただけで、いつもより早めに部屋に戻った。**]
[部屋は既に、しんと静まり返っていた。
兄の呼ぶ声に応えは返らない。
ただ、先に灯したあかりだけが、
帰りを待ってゆらゆらとテーブルの上に揺れている]
[それから先、少しの間沈黙が落ちた。
それを明かりをつけない部屋の中で、ボクは聞く。
ドアを開けるつもりはなかった。
開けるなら容易に開くだろうけれども、
そんな兄ではないことも良く知っている]
────…。
[響く声をただ聞いた。
気遣いだろう、それへその場で言葉の返ることはない]
―篝火前―
[どれだけの時間が経っただろうか。
不意に立ち上がるマクシームに気付き、]
んぁ?どした?
[「ちょっと」と言うのを聞いて、察する。
家まで戻るのかと思っていたが、繁みの方へと向かって行き。]
おいおい…。あんま遠くまで行くなよ!
(見えるとこでされても困るが…。)
[暗闇に消えて行くマクシームの背を見送った。
ほんの少しの間だ。
そう思って、一人ロランから借りた本を読み耽った。
あまりに遅いようなら様子を見に行くつもりで。**]
…兄貴が、帰ってきた。
広場はあと──…ミハイルとマクシームだね?
[いっそと思えば、獲物までの距離は近い。
いいや。今日は既に目標をマクシームと定めた。
情ではなく、ただ、それだけを赤く沈む思考の中思う]
[広場を見詰めていた烏色が、人影動くのを捉えた。
鋭く、小さく、囁きを落とす]
動いた。
今なら、マクシームは一人で…茂みに。
[きゅ、と黒銀の毛を握る。
告げるが早いか、「彼」は前足を少し屈め
捻るようにして身を起こし、
ポイと投げるようにして、ロランをその背へと身を乗せて
窓縁を音も無く蹴っていた]
キリルも、おイで。
[告げる言葉は、柔らかい]
/* 襲撃描写なかったらどうしよう。
発見はあたいがする流れよね…これ。
メ、メモで訊いてもいいのかな…。もうちょっと待つるるるる
―― 自宅 ――
[住み慣れた家に戻ると入浴を済ませ清めた。
飴色の髪は湿り気を帯び常より色濃くある。
額に張り付く其れをかきあげて男は寝台に腰掛けた]
――…。
[チラと見遣るは机に置かれたクッキーの包みと
その向こうにある手の平サイズの水晶玉。
今は触れる事せずただ眺めるのみ]
人狼がお伽噺の存在なら
僕もお伽噺になってしまうな。
[あの水晶を扱っていた母もまた同じ。
は、と深いも短い息を吐き出した]
[自室から広場の篝火は見えない。
外には闇色が広がるばかり。
深い深い森の奥から遠く獣の声が聞こえた気がした]
――…シーマ、大丈夫かな。
[ぽつり零し案じるのは幼馴染の一人。
平気そうに振舞ってはいても
対策として篝火を焚いてみたりと
彼が一番其れを意識しているように感じた]
後で、見に行ってみるか……
[ぽふ、と寝台に身を沈める。
仰いだ天井もまたいつもと変わらない色]
[少しだけ、と思い目を閉じる。
前日の火の番が堪えたのか眠りが訪れるのは早かった。
す、と落ちてゆくような感覚を覚える]
………、
[目を閉じるだけの心算が
眠りへの誘いは拒みきれなかったらしい。
僅か開かれるくちびる。
それは音を紡がぬまま閉じられて
篝火の番をしているはずの幼馴染には会えぬまま――**]
ああ…!
[やっと。と思うと歓喜に朱の瞳が輝いた。
ことりと窓をあけ、紅い月明かりをいっぱいに受ける。
気持ち良く夜風を吸い込んでから、飛び出した。
常ならぬ脚力が、軽々と窓から庭へと越える]
今、いく。
[返す言葉はごく短い。
軽やかに走る向こうに見えてくるのは、黒銀のしなやかな狼と]
───ロラン。
[狼に跨る同胞の姿]
[キリルの姿を、広場見える茂みに見着ける。
口を耳元まで引っ張るようにして、笑みを浮かべた。
視線で、茂みに向かうマクシームを示す。
時間は無い。音立てればミハイルに見つかってしまう。
月灯りの下に遠く響く狼の遠吠えは小さく、
雑音としてはあまりに頼り無い]
…浚って、しまオうか。
[用を足すのだろう、その完全に油断した一瞬を狙って]
口を覆って、奥ニ…?
…齧って生かスのは、無理かモ。
[理性吹っ飛んだ今、目の前の血詰まる肉に興奮しか無い。
冷静に見下ろす自分が苦笑を形作っていたけれど、
気にする事すら出来なかった]
[ニイ。と笑み浮かべる姿に、同じく笑み返した。
ひどく愉しい気分だ。こんなに浮き立つことはない]
浚ってしまおう。
ミハイルの銃は、面倒くさい。
…ならばやっぱり、仕留めてしまう?
騒がれたら邪魔だから。
[齧って生かせないという同胞に、事も無げに口の端を上げてみせる。
茂みに向かったマクシームが足を止めた。
それへと朱に染まる目を細める]
…いいよ、ロラン。
”これ”はあげる。ロランのものだよ。
[未だ熱い血潮滴る獲物にありついてない同胞へと囁いた。
獲物の柔らかな喉に牙つき立てる時の愉悦。
その悦びを思えば、喉が鳴る]
そう?
俺は遠慮しナいよ?
[言葉の侭に。
狼はロランの意の侭に、マクシームへと踊りかかった。
だがその爪も牙もかの男に掛けられる事は無く、
ただ押し倒すだけにとどまる。
人の身が草に倒れる大きな音がした。
ミハイルが気付くかもしれない、そう、思う事は既に無く。
狼の背から身を投げるように彼の口へと爪添えた手を突っ込み
もう片方の手は肩へと掛けて――大きく、口を、開いた]
[めり、と歯から骨を伝わる音がする。
めり込んだ牙の隙間から、暖かい血が勢い良く咥内を潤す。
マクシームは声ひとつ、上げられなかった]
[その場に居続ければ、ミハイルが来るかもしれない。
それを考える事も出来ず、夢中で暖かい赤を啜る。
ごくり、ごくりと喉が何度も鳴る。
口を離すと零れてしまうから、それが勿体無くて嚥下し続ける。
マクシームの口に突っ込んだ手は、喉奥の柔らかい肉を破り
奥へと更に押しこまれ、内を抉る。
糸引く手を引きぬいて、爪の間に挟まる桃色を口に運ぶ。
恍惚とした表情で、その柔らかい肉を何度も食んだ]
―篝火―
おせぇ…。
[本を読み耽っていて、どれだけの時間が流れたかは把握していなかった。
けれどあまりにも遅いので、マクシームが消えた方向へと足を運べば。]
お、………い…ッ
[まだ辛うじて体温を残していた彼の姿を見つけたか。
茂みから引きずり出すと、しばしの間、…篝火の前で放心する。
我に返ったなら、一人住まいで歳の近い男、ユーリーの家へ報せに走っただろう。**]
──いいよ。減っているんでしょう?
[飢餓は無論、裡にあれども、恐らくは彼の方が強い。
そう思うのは既に先日、旅人を喰らったからこそ。
狼たちが、乱れぬ動きでしなやかに獲物へと飛び掛る。
それを制して、ロランがその牙をマクシームにつき立てる。
鮮やかな狩りの光景に、笑みが零れた。
その匂いに惹かれるように、身軽な動作で獲物へと寄る]
…分けて。
[紅い瞳に笑みかけて、獲物の腕を取る。
がり。と、腕のやわらかい内側へ牙を突きたてた]
[ ぐちゃり ][ ずる ][ ぴちゃり ]
[獲物を咀嚼する音が響く。
浚うと言いながら、血の匂いに抗えなかった。
ぴちゃりと飛んだ血を、舌でぺろりと舐め拭う。
甘かった。うっとりと味わって、もう一度口に含む]
……は、
[満足の息が零れる。
狼たちに目をやれば、頃合を見て足に喰らいつくようだった]
[結果的に、ロランがミハイルに本を渡したのが功を奏したのは、
皮肉な事だったのかもしれない。
指で抉った目玉を口にしたまま、キリルの言葉にやっと顔をあげる。
顔や口、胸元までべっとりと赤が付着し、
草木にも落ちる赤い月の光は妖しくうつしていた]
…ん。
おいし、……
[赤く柔らかい固まりを引き千切り、手から啜る。
満たされる。
ぺたりと床に座ったまま、キリルが食事をするのも眺め。
腹が満ちれば、狼達にも食べさせてやるだけの質量を、
マクシームの体は持っていた]
…御馳走様でした。
[こんなに満ち足りたときは無い。
満面の笑みを浮かべ、手を合わせて頭を下げた。
見上げると、赤い月は未だ真天。
狼達の食事の間、そっと広場の方を伺った]
…血の痕残さないように、帰らないとね。
[傍らの黒銀の毛を撫でつけると、赤がべとりと着く。
勿体無いな、と、舌で舐め取ると毛が口に入り。
少しだけ眉を顰めて、ぺ、と舌を出したのだった]
[声立てぬ獲物を、影たちが喰らう。
夢中になって暖かな血を啜り、肉を食んだ。
もう既に手にも顔にも、とろりと赤い色に塗れている。
戯れに指で肉を引き千切って、自らの指についた血を舐めた。
行儀悪くぺろりとやって、満足の息をつく]
…美味しかった。
[未だ狼たちは、ガツガツと獲物の身体を揺らしている。
手をあわせる仕草がおかしくて、少し笑った。
真似して同じく、ごちそうさまの手を合わせておく]
…ああ。身体、朝までに洗わなくちゃ。
[勿体無いけど。と、もう一度ぺろりと唇を舐める。
狼の毛を舐める仕草に、もいちど小さく笑みを零した。
その様子を眺めながら、もう一方の手も舐める]
試し損ねちゃった。
[軽く残念と言う獲物の姿は、もう酷く無残な有様になっていた]
…無理、だった。
[とてもそれどころじゃなかった。
くすり、笑みは愉しげに刻まれる。
狼から少し身を離し、キリルへと身を寄せ。
彼女の赤い指先を、一度、ペロと舐めてみた]
――急いで帰ロう。
長居してミハイルに気づかれると厄介だ。
[彼を今見て銃を向けられて。
飛びかからない自信がとてもないから。
黒銀の毛並みを撫で、また、その背に掴まる]
キリルは、戻ルのだいじょうぶ?
レイスに見つかったりしない?
[心配げに見上げて、首を傾けた]
…仕方がないね、
[美味しかったから。そう付け加えて笑う。
うっとりと舐める血の指先を、同胞の舌が舐める。
それへ、悪戯っぽく朱い目を細めて笑み返した]
───ん。お前たちも、もういい?
[狼たちが身を起こすのを見て取り、ロランへ頷く]
大丈夫。……ボクはもう、これで二度目。
[ごく愉しげに朱の瞳が笑った。
心配げな表情に頷き返す。
そう、大丈夫。兄はきっと、まだ寝ているだろう]
だからロラン、皆も気をつけて。
…また、ね?
[次の狩りを示して首を傾ける。
ちらと窺った篝火の方、本を読みふける男の姿があった]
見つからないうちに、帰ろう。
気を着ケて。
[目を細めて笑みを向け。
掴まった狼の足は、広場を大きく迂回してから、
ロランの家の裏手へと戻る。
来たのと同じ窓から飛び込むと、大きな作業台の上。
ここならば狼の毛が残っていたところで怪しまれる事は無い]
また、…かな。
――また、ダね。
[喉奥に未だ残る味と匂いに、うっとりと口綻ぶ]
朝になっタら、しらばっくれて…
あの死体をみて、驚かなクちゃ…
[くすくすと笑いながら、狼が窓から帰って行くのを見送る。
服や髪についた赤は作業場から続くシャワーを浴びて落とさないと、と思う前に、甘い香りに酔ったまま。
窓を閉めてカーテンをひいてから。
作業台の上に丸くなって眠ると、
本当に獣になった心地が、した*]
…ん。ロランも。
[綺麗な赤に染まった同胞に、深く笑みを返す。
しなやかな動作で身を翻した。
直接は部屋に戻らずに、家の裏手の井戸へと向かう。
音を立てぬよう、ついた血を洗い流すのだ]
服も置いておけば良かったかな…。
[ぱしゃり。短い髪から水を跳ね飛ばして呟く。
洗濯は自分がしているから、服の血を咎められることはない]
────…ん、…?
[髪にやった手が、ふと止まる。
僅かに眉を顰めて、くしゃりと髪を指が探った。
あるはずの白い小花のピンが、髪に見当たらない]
落とした…?部屋かな。
[ふるりと首を振って水を払い、空けた窓から部屋に戻る。
ふと、再び未だ天にある紅い月を見上げた。
それは禍々しいものではなく、祝福を与えるかのようにも目に*映った*]
―― 自宅 ――
[どれだけの時間眠っていたか。
騒がしさに男の意識が浮上する。
聞こえるのは扉を叩く音とミハイルの呼ぶ声か。
朧な意識を覚醒させようと頭を振れば飴色が目の前で揺れた]
ン……、ぁ。
……は、分かった、今、行く。
[応えてはみるが寝起きの男の声はさほど響かない。
のろのろと起き上がり玄関へとゆく。
鍵の開く音が小さく鳴り、扉は開かれる。
其処に居たのはミハイルで――]
――…、如何かしたのかい?
顔色が優れぬようだけど。
[案じるように声を掛けた]
[ミハイルの口から幼馴染の訃報を聞けば
男は目を瞠り言葉を失う。
喉骨が上下して、は、と息を吐き出し]
ま、さか。
そんな……、…シーマ、が ?
[柳眉を寄せ信じられぬと言った風情]
冗談、だろう ?
[そうあってほしいという願いから
ミハイルへと縋るような眼差しを向けるが
その事実が覆ることはなく]
―――…ッ
[悔恨と悲哀が心を満たしてゆくようだった。
やりきれなさに男の拳がダンッ、と扉に打ち付けられる]
………案内を、頼めるかな。
[ミハイルにそう願いマクシームのもとへと足を運んだ。
茂みから引きずり出された幼馴染は篝火近くに横たわっている。
マクシームの傍らで膝を折りその首筋へと手を宛がえば
微かなぬくもりが伝い淡い期待が過ぎった。
けれど、鼓動は感じられない]
シーマ、……。
[幼馴染を愛称で呼びかける。
待てど返事はなく沈黙が過ぎった]
如何して、こんな事に……
[遣り切れない思いが薄いくちびるから零れる。
帰るように強く言えばよかった。
俯いて影になる男の顔は何かを堪えるように歪んでいた]
[赤く染まる幼馴染の身体。
柳眉を寄せながら、じ、と観察すると
胸には抉られたような深い傷痕がある。
所々失われた肉片が何処にあるかは知れない]
――…人に襲われたんじゃ、ない、よな。
けど、獣に襲われたにしては……
[考え込むように一瞬間が空いて]
マクシームの近くに居たんだよね。
声は、聞こえなかった?
獣が襲ったなら口を塞げない。
悲鳴くらいは、聞こえると思うんだけど。
[ミハイルへと問い掛ける。
人か、獣か、もしくは人狼の仕業なのか。
幼馴染の命を奪った犯人を知るために]
――…他の、みんなにも、知らせよう。
[マクシームに近しい者――
カチューシャとイヴァンの顔が脳裏に過ぎる]
それから……、
シーマを弔って……
[哀しみの淵に沈みそうになる意識を
何とかもたせようとなすべき事を考え、口にしていた]
ミハイル……、手伝ってくれるかな。
[知らせてくれたミハイルに願う言葉を向ける]
[男は一度家へと戻り白く大きな敷布を抱えて
マクシームのもとへと戻る。
幼馴染である彼の亡骸を白で覆い包むが
彼の身体から流れた血が白を赤に染めてゆく]
――…、
[目を伏せて幼馴染を思い捧げる祈り。
先ずは家族であるカチューシャの家を訪ね
彼女に其れを知らせることにした。
扉を叩き、カチューシャの名を呼ぶ]
カチューシャ、
……悪い知らせだ。
[断りを入れてから
彼女にマクシームが襲われた事を伝えようとした]
― 昨夜 ―
[兄が火の番をするというのにはちょっと心配そうな目を向けて。
「差し入れとかはいいから戸締りして先に寝ておけ」と言われてちょっと不満そうな顔をした]
……はぁい。
[それでも心配されてるのはわかったからしぶしぶ頷き。
一足先に帰るときに、篝火の傍に残っている人たちに手を振って家に帰る]
おやすみなさい。
[広場でミハイルがマクシームを説得しようとして失敗した事は知らないまま。
昨日煮込んでおいた鹿の脛肉と野菜のシチューを、小さめの土鍋に移してロランの家にもって行く。
大抵の食事は届けているのだからこの日もそのつもりで。
ロランはまだ広場にいたのか、それともちょうど帰ってきたところだったのか]
ちゃんと暖めて食べる事、と。
[そんな忠告を書いたメモを置いて――若しくは伝えて、家に帰る]
[広場で番をする兄には差し入れをもっていくことはせず。
ミハイルが一緒にいることも知らないから、家に帰ってきたときに食べられるように、サンドイッチを用意しておいた。
そして入浴を済ませて自室に戻る]
――なんかいろいろあったなあ。
[今日一日を思い返せば、ほんと沢山の事があって。
考える事は沢山あったし、気になることも多かったけれど。
なれない森の中を歩き回ったせいで疲れている体は、ベッドに横になればあっという間に眠りに落ちた]
え? ――――うそ、そん、な……
おにいちゃん、が……?
[もたらされた訃報に、驚いて問いかける。
かくん、と膝が崩れ落ち。
ユーリーが支えようとしてくれた腕にすがって、嘘だといってほしいというように*見つめた*]
―― 翌朝 ――
[マクシームの訃報を伝えに来てくれたのは誰だろう。
ただ、夜のうちは自分の家に誰かが訪ねてきてもそこに自分の姿はなかった。きっと伝えられるのは早朝、畑で早熟な花を摘んだり手入れをしたりしている頃だろう]
…………嘘だろう………?
[何度かその知らせを聞き返し、意味が浸透すれば荷物を放り出して遺体のところへ走るのだ]
―― 翌朝/マクシームのところ ――
[彼の無残な遺体はまだその場だっただろうか。
それとも誰かどこかに安置したろうか。
そこにいるのが自分だけでも、誰かが先にいたとしても、目に入らないように急いで近づいた]
シーマ
[白い布で覆われた彼に呼びかける。声が細く震えた]
……シーマ、シーマ
[そっと布を外してかがみこみ、彼を確かめる。酷いものだった。伸ばした手が少し逡巡を見せるも、そのまま彼の顔に触れた。冷たく硬く、嫌な感触だ]
シーマ………
[ざらり、と乾いた血が掌に当たる。ぐっと拳を握りこみ]
……ごめんな。ごめん。
ほんと、ごめん。ごめん。
[白く関節が浮かび上がるほど握り締めた拳に水滴がいくつも落ちた。最後の方は、涙声で言葉にならなかった**]
/*
狼っぽい行動しすぎて、狼さまに迷惑をかけているような気がしてきた。ごめんなさい。
謝ってるのは、狼騒動が起こるってことを全く信じず、何も協力しなかった結果こうなってしまったことに対して。
[瞠られる青い眸が望む応えは口に出来ない。
夜着にストールを羽織るカチューシャの身体を支えた男は
きつく柳眉を寄せただけ]
――…カチューシャ
[気遣うように青を見詰める。
華奢な身体が一層儚く感じられた]
嘘じゃない。
駆けつけた時にはもう……
手の施しようがなかった。
[ゆる、と左右に頭を振り、マクシームの死を伝える]
[今のカチューシャに損傷の激しい兄の姿を見せるのは忍びない。
腕の中にある彼女に向ける言葉を悩むような間が空いた]
少し休んだ方がいいかもしれないね。
[血の気の失せたように映る彼女から
玄関の奥へと視線を移す。
ふ、と彼女へ眼差しを戻し]
キミに見せられるような有様じゃ、ないんだ。
キミには昨日までのマクシームを覚えていて欲しいと思う。
けど、……会いたいなら、
[男は彼女の答えを待った。
どちらにせよ必要とされる限りは彼女を支える心算で**]
――昨夜――
[台所の机の上、見慣れたちいさな土鍋と見慣れた文字。
見下ろして少し柔らかく微笑んで、きちんと指示の通り
温めてから、美味しく頂いた。
肉の匂いは、今作業場に広がる獣臭と同じそれ。
寝台にあがって横になれば、カーテンの隙間から見える赤い月。
烏色に其れを映し眺め、
そっと目を閉じると眠りに落ちるのはすぐだった]
[それが開かれたのが、何時かは判らない。
ただ、広場にほど近い家。ざわめきに身を起こす。
篝火が落とす人の影が、忙しなく動いて居たから
寝台を降りて、車椅子へと移動した]
……何。
[呟いて、出ようとした時。
誰かが報せに来てくれたかもしれない]
早かったな。
やっぱり少し奥に引き摺るべきだったかな。
[そんな事は出来そうにないくらい夢中だったけれど。
次は冷静に出来ると良い、と、紅い双眸で想う]
[現場へ車輪の悲鳴が着いた時、
丁度ユーリーが死体に白い布をかぶせていた。
胡乱げな眸にそれを映す。
何が起きているのか判らない、
呆然、といった表情が近いかもしれない。
白い布はすぐに真っ赤に染まってしまう。
それは何処か一か所を刺されたりした訳でない、
獣の食事、傷の多さを物語るようで]
……、
[車椅子が、カタカタと小さな音をたてる。
自分の肩を自分で抱き、声をあげる事も無く。
ただ大きく見開いた双眸に、染まりゆく塊を映して居た]
俺が…――殺した。
殺して、喰った。
[見下ろす塊へ、想いは募る。
口端があがらないようにするのに、苦労する。
紅い月はこの身を狂わせる。
咽るような血の臭いがたちこめて、
腰から背へと這いあがるような寒気に身を震わせ。
再び、御馳走様と手を合わせたくもなったが、
それは肩を掴んで誤魔化した]
……――っ
[唇の端を噛締める。声が漏れぬように。
キィ、と車椅子を近く寄せて身を乗り出して、
布の上からそっと、触れて見た。
血に濡れて風に晒された布は、冷たい。
そのままゆっくりと顔を向けると、
赤い血は地面を擦り、篝火の裏の茂みに繋がって居た。
っは、と、息を吐く。
ミハイルが居れば其処が現場だと教えてもらえるだろうか。
車椅子を茂みへと進め、少し身を乗り出す]
ぁあ、
[抑えて居た声が、漏れてしまった。
短い草木、茂みに飛び散る肉片がこびり付いていたから]
…何を、落とした、って…?
[思い出して、茂みへと目を凝らす。
まさか犯人がいきなり現場で証拠隠滅を図るとは思うまい、と
手で茂みをカサカサと探す。
硬いものが指に当たり持ちあげると、マクシームの歯、だった。
ロランはこっそり、血こびり付くそれを、口へと含んだ]
― 昨夜 ―
心配性ねー、すぐそこじゃない。
[ミハイルの言葉>>19に思わず少し笑った。
子供の頃、といってもまだまだ幼かった頃は、お兄ちゃんとか呼んでいたけれど、
此処を出ていく頃には既に名前呼びになっていたりもしたわけで]
でもありがとう。
後はよろしくね。ミハイル、マクシーム。
[二人には手を振り。
それからレイスには送ってもらってばかりだと、苦笑する。
それでも、抱きつかれたことやその時の様子などを、道すがら語ったりはした]
何度もありがとうね。
レイスも、気をつけてね。キリルのことも。
[ひらひらと手を振り、屋内に入るとしっかり鍵をかけた。]
― 翌朝 ―
[外が騒がしい。何があったのかと思いながらも、顔を整えたり、いつものように旦那と娘の食事を用意したりとしていた。
そっと視線を落とす]
化けて出てきてくれればいいのにね。
[小さく嘯いて、笑う。
それこそお伽噺だったから。
――その知らせを受けた時、何を言っているのかわからない、と。
はっきりと表情は、変わった。]
――冗談、でしょ。
だって、昨夜、篝火…ミハイルと二人で、残ったじゃない。
[広場の方へと視線をやるけれど、すぐに言葉は止まり。
首を横に振った。
止められても、広場へと向かう。
赤い血の色をした布。
それが白だったなどわかるわけもなく。
茫然と、その場に立ち尽くす。
誰かを気遣う余裕は、なかった。
化粧をしたというのに、表情は歪み、眦から涙があふれて落ちる。
泣くのなんて、今のように立ち直ってからは、ないことだった]
……ごめんなさい、家にいるから。
[両手で目元をかくして囁くように言うと、踵を返す。
誰か付けろと言われても、今回は待つことなく、家へと戻っていく。
少し落ち着くまでは、自分から広場に現れたりはしなかった**]
ぁ、ぁ………、
[片手で口を抑え、もう片方の手で逆の肩を抑える。
車椅子の上で身を折り、ぎゅっと小さく縮こまった。
暫くの間荒く息を吐き、こくりと何か飲み込む程の音がする。
遠くで、狼の遠吠えのような声が聞こえた。
暫く蹲る様にしていたロランは、ゆるゆると顔を上げる。
頬の端流れる透明が汗か涙なのかは判らなかった。
キィ、と車椅子が音をたてる。
背に音が聞こえたのは、誰か別の人がまた広場にやってきたのかもしれない。
ゆるゆると顔を向けて、遺体の傍へと戻ると、丁度イライダが帰るところで。
その背を見送り、言葉も無くまた遺体包む布を見下ろした]
[ユーリーが支えてくれていなければ、そのまま倒れてしまっていたかもしれない。
休んだほうが良いといわれて、とっさにユーリーの服を握り締めた]
――お兄ちゃん、そんなに、ひどい、の……?
[傷ついた兄の姿がどうなっているのか、想像も出来ない。
どちらでも、望んだ答えに付き合ってくれそうなユーリーの腕の中で悩むように俯き]
……いますぐ、じゃなくて……後で、顔だけでも、見れますか……?
[視線を落として、望みをつげた]
[確認するような声に頷く]
ああ……。
[抑えた声で肯定し閉ざされた青を思う。
服に絡められたカチューシャの手指へと視線を落とし
問われた事にこたえる為に重い口を開いた]
――…大きな獣に襲われたように見えた。
飢えていたのか、損傷が……
[激しい、と続くはずの音は掠れる]
[マクシームの死を受け入れて悼む時間が必要だと感じる。
悩む間の後、告げられた望みにゆると頷いた]
――…嗚呼。
落ち着いてから会いにゆくといい。
そのように手配しよう。
[暫くは広場に置かれる事になるだろうか。
カチューシャの背に腕をまわし
男はぬくもりだけを伝える]
部屋まで送ろう。
歩けるかい?
[獣におそわれたような傷。
旅人の死体も見ていないから、それがどんなものかは想像できなくて。
ただ、ユーリーの声がかすれるから、余程酷いのだろうと思った]
……うん、ありがとう……
[望みを受け入れてくれた事と、背中を支える腕のあたたかさの両方に感謝して。
尋ねられる言葉に小さく頷き]
大丈夫で……っ
[震える足で立ち上がるものの、踏み出せばぐらりとバランスを崩した]
[病が原因であれば幼馴染を家に運んで
一昼夜ほど共に過ごすことも出来ただろうが
家に運び込むには状態が酷すぎた。
仮令肉親であろうとも血の匂いに耐え難いと思う]
――…こういう時は甘えていいんだよ。
[バランス崩すカチューシャの身体を支えなおした。
可愛い妹にべたべたするな、と
マクシームがみていたら言うだろうか。
ちらと過ぎる幼馴染の顔に少しだけ苦いものが過ぎる]
部屋はあっちでよかったっけ?
[立ち入る事のない彼女の部屋の場所はおぼろげで
背に回した手はそのままに、
もう片方の手をスカートの裾、膝裏へと滑り込ませ
ひょいと抱き上げる強引さをみせた]
う……すみません……
[転けずに済むよう、支えてくれたユーリーにすこし恥ずかしそうに謝る。
甘えて良いといわれても気恥ずかしくて小さく俯くだけで。
兄が居れば茶々の一つは入ったかもしれないが、その声は聞こえず]
あ、はい。
あっちの扉の――ひゃっ、〜〜っ
[ユーリーに部屋の位置を教えたところで、不意に抱き上げられてバランスをとるように胸にすがり。
現状を把握したところで、血の気のひいていた顔に朱色が戻った。
恥ずかしくて断りたいところだけれど、歩けないのも事実だから、顔を赤くしたまま部屋まで運ばれるのを大人しく受け入れるしかなかった]
[腕の中ではじらう気配がするが微か口許を緩めるのみで
眼差しは示された扉の方へと向けられる。
部屋の中、寝台にカチューシャを下ろして
先ほどよりも色の戻った花のかんばせを覗く。
オリガの幼馴染の一人。
カチューシャたちの事は妹と等しく可愛がっていた]
……カーチャ、
[何年も前に呼ばなくなった愛称を口にする]
人狼は噂では済まないかもしれない。
若し、僕に何かあったら……
そのときは、イヴァを、頼るんだよ。
[大事な幼馴染であるから名を紡いだと思われようか。
なれど男には――
イヴァンがマクシームを害してはいないという確証があった]
[部屋の中は、趣味でつくったポプリが置かれて、この騒動の中では場違いにも感じられる優しい花の香りがする。
ベッドへとおろされて、頬に朱をのせたままユーリーを見る。
昔は兄の幼馴染たちもおにいちゃん、と呼びかけていた。
それをやめたのが何時だったかはもう覚えていない。
ただ、懐かしい愛称で呼びかけられて昔に戻ったように]
ユーリーおにいちゃんまで、なにかあるなんてやだ……
[子供のように答えて、悲しげに視線を落とす。
人狼はいるのかもしれない。
誰かが、――知っている人の誰かが、兄を害したのかもしれない。
それを思えば表情はかげり。
イヴァンを頼れという言葉にユーリーが彼を信じている事だけは理解したのだった]
[ふと鼻腔を擽るのは花の香り。
それは長閑だった村の日常を思い出させてくれるような優しさは
カチューシャの部屋にとてもあう気がした]
――…ン。
[懐かしい呼びかけにふと目を細め]
僕もキミに何かあったらと思うと、こわい。
何も、いや、これ以上誰も、
傷付かなければいいと思っているけど
[犯人はこの村に居るだろうと思うのは
彼女もまた同じなのか翳りが見えて眉を寄せる。
カチューシャを疑わぬのは
彼女がマクシームを手に掛けた等と考えもしなかったから]
[ベッドの上に座り込んだまま、視線を上げてユーリーを見つめ]
うん……誰も、いなくなってほしくない……
[こくりと頷きを返す。
きっと同じような翳りが浮かんでいるのだろうと、ユーリーの花色の瞳にうつった自分を見るかのように瞳をあわせ]
お兄ちゃんが、襲われたのは火の番をしてたから、なのかな……
ユーリーさんも危ない事、しないで、ね。
[分からない事ばかりで、疑えない人ばかりだ。
だから、せめて、信じたいと思う人の無事を願うだけだった]
[カチューシャの声に同意し青い双眸を見詰め返した。
火の番と彼女が言えば少し考え込み]
かもしれない。
けど、火の番をしてたのはミハイルも、で
彼が見つけた時にはすでに……
[状況を整理するようにぽつりぽつりと呟く]
嗚呼。
篝火も効果が無い事がわかったし
これからは火の番も必要ないだろうから危ない事はしない。
だから、カーチャも危ないことはしないように。
キミに何かあったら……
[紡ぎかけた言葉を飲み込む気配の後、軽く身を引き]
シーマに顔向けが出来ない。
ミハイルさんもいっしょにいたの?
[それは知らなかったから首をかしげ。
何かで一人になったときに、襲われたらしいことを呟きから知り。
膝の上で手を握り締めた]
そっか、よかった……
うん、危ない事しないように気をつける。
[案じる言葉にはこくりと頷き。
身を引く様子に軽く瞬いて、続く言葉に視線を落とした。
ふわりとゆれた髪が表情を隠す]
ユーリーさんがお兄ちゃんに怒られないようがんばるから。
/*
ユーリーさんがかっこよくてどうしようかと思います。
そしてイヴァンがさらっと白判定でてた。
え。白。
え。
……そうか、白なのか(残念
……ん。
知らせに来たのはミハイルだったよ。
[握り締められたカチューシャの手へと視線を落とす。
少しだけ出来た距離をもう一度だけ縮めて
膝上にある彼女の手の甲へ己の掌を重ねようと伸ばし]
そんなにきつく握ったら
手に爪あとが残ってしまう。
[柔く、緩めるように囁き掛けた]
――…気をつけてくれるだけで十分だ。
カーチャは一人で頑張りすぎる所があるから
もう少し、大人を頼っていいんだよ。
長居してしまったね。
[自分が居てはゆっくり休めないだろうと
男はカチューシャの顔色を窺ってからそう切り出す]
僕は広場をみてくるよ。
また、後であおう。
[彼女がマクシームに会いにくるなら
其のとき顔をあわせることもあるだろう。
姿がみえなければ、様子をみにくる心算で
男は静かに踵を返した]
ミハイルさんは無事だったんだね……
[そっか、と微かな吐息とともに呟き。
握り締めた手に優しく重なる手の大きさを見つめ]
あ……はい……
[こくん、と頷いて温かさに促されるように手の力を緩めた]
だって、あたしは何も出来ないし……
せめてがんばるぐらいしないと。
[頼っていいといわれて軽く頭を振り、無理やり笑みを作った]
知らせに来てくれて、ありがと……
うん、また、ね。
[広場を見てくるというユーリーをどこか心配そうに見やる。
すこし血色は戻ったけれど、まだ動くにはどこか頼りないから、ついていくとは言い出さず。
踵を返す背を見送り]
……気をつけて。
[そっと、小さく呟いた]
[カチューシャに頑張るなとは言わなかった。
彼女の性格は知っていたから
言うよりもそれとなく気を配ればいいだけの事。
背に掛けられた小さな呟きに飴色の髪が一度上下に揺れて
振り向かぬまま手を掲げて、わかった、と合図を送る。
外へ行けば掲げていた手を下ろし、拳を握る。
触れたぬくもりを思い、留めるような、動き。
男は広場へ向かう前にもう一人の幼馴染の家に寄った。
イヴァンにマクシームの訃報を伝える。
彼もまた信じられぬといった様子だったが
カチューシャの時のほど言葉は選ばず状況を伝え、
走り出した彼を追うように広場へと向かった]
―― 広場 ――
[去り際にすれ違ったロランの姿も其処にあるか。
マクシームの傍らで彼の愛称を呼び続けるイヴァンの声に
男は苦さを覚えるのか柳眉を寄せ眼差しを下げた]
――……。
[言葉をなくしたように立ち尽くしていたが
イヴァンが“ごめん”と謝る声が聞こえて怪訝な顔]
イヴァ……、
如何してキミが謝る。
[問う言葉ではあるが其の響きは
謝る必要はないだろうという考えが滲むようだった]
―― 広場 ――
[白かった敷布は赤黒くなっていた。
幼馴染が流したものと思えば嫌悪はないが
其処に漂う血臭が鼻についた]
――…ン。
[噎せるような息遣いが漏れる。
既に朝を迎えた其処。
広場の木陰へと視線を移し思案し]
木の近くに、移した方がいいかもしれない。
手伝ってくれるかい?
[力仕事に向きそうな者へと視線を向けた**]
─ 昨夜 ─
…。兄貴、心配かけてごめん。
[案ずる色を乗せて、低く静かに響く声>>24
何と言っていいか分からなかったから、こたえは返せなかった。
笑顔の苦手な兄だ。
いつだか、作り笑いが怖いと言われてより一層笑わなくなった。
けれどボクは知っている。兄はとても優しい人だった。
両親を亡くしてからは、兄妹二人で生きてきた。
その頃から、うちの庭には薬草が増えていった。
メーフィエを亡くしたあとの、兄の様子を今も覚えてる。
酷く悔やんだようだった。
───あなたのせいじゃない、と。
イライダとの遣り取りは知らないけれど、
ひどく、悔いていたことを聞かずともボクは知っている]
─ 自宅 ─
[その知らせを受けた時、ボクは朝食の支度をしていた。
朝の遅い兄貴は、まだ寝ていたろうか]
んー…、今度はレパートリーかな。
サンドイッチのコツを聞こっかな……
[カチューシャのサンドイッチは絶品だ。
思案しながら、二人分の皿を並べていく]
────…、え?
[ガタリ。と、音がした。
よろめいた自分が立てた音だと、あとから気付いた]
マクシーム、お にいさん が…?
[まさかと問い返す、口の中がからからになる。
こくりと唾を飲んで、その知らせの中に嘘を探った。
嘘のはずがなかった。冗談のタチが悪すぎる]
……兄貴 …っ
あにき、マクシームが、マクシームのにいさんが、
[家の中に、兄を呼ぶ。
身体が一気に冷える心地がして、カタカタと震えた]
…ううん、ううん。
だって獣なんでしょう?そうでしょう?
やだ…ボクも確かめる。だって……、カチューシャが、
カチューシャの、代わりにも、
[行かなくては。と、止められても言い張った。
広場へと赴く。───白い敷布を染める、夥しい赤を見た]
…っ……!
[その光景に、思わず口を覆う。咽るような濃い血の匂い。
がくがくと震える身体を、自ら抱くように強く掴んだ。
それでも震えは止まらずに、地面が揺れているような心地すらする]
こんな…、本当に……?
[独り言のように呟く、それへ返る声はあっただろうか。
あるにせよ、縫い止められたように広がる血の赤から目が離せない]
ああ……
[血の匂いが誘うように甘く香った。
もう冷えてしまったそれ。
昨夜は暖かく、なんて甘美だったことだろう。
あの肉体の血を啜り上げ、柔らかな肉を喰らった。
それなのにまだ、あれほどの血を彼は残していたのだ。
勿体無いと思った。
身体が震える。
押さえ付けないと、また再び喉が鳴りそうだった]
[随分と長い間俯いていたから、空が瑠璃色に白み始めていたの気づかなかった。
人の気配に顔を向ける。取り乱す事は無い。
噛み締めたくちびるだけが、心情を語るよう]
…出来る事、ある…?
[ユーリーが死体を動かすと言うのには、小さく告げるが。
自分ができることなんて無いだろう事は知っていた]
[幼馴染の存在に気付けたのは、車椅子が高く鳴ったから。
キイと高く鳴いた車椅子の音に、
漸く赤く染まった敷布から視線を引き剥がす]
……ロラン、
[名を呼ぶだけが精一杯。
傍らへ寄り、支えを求めて車椅子へと震える手を伸ばす。
堪えきれずに顔を伏せた。髪が顔を隠してくれる。
視界が遮られるのが、ありがたかった]
―― 広場 ――
[キリルの呟きに男は一度目を伏せる]
残念ながら――…
[本当、という言葉への返し。
ロランの尋ねには少しだけ表情を緩めた]
ありがとう、ロラン。
キリルの傍に……
[言い掛けて、チラとイヴァンを見遣る。
暫し考えるような間をおいて]
嗚呼、カチューシャの見舞いをお願い出来るかな。
後でくるとは言っていたけど――…
キミやキリルが一緒の方が安心できるだろう。
……っ、ロラン…
[ひくりと喉が鳴った。
啜り上げるようにした声は、涙声のようになる。
堪えようと、ボクはぎゅっと唇を噛み締めた。
幼馴染の手が、優しく髪に添えられる。
昨日イライダが飾ってくれた白い小花のピンは、
今朝は髪に咲いていない]
…辛い、ね。
[頷く。
白い花、という言葉にも。
むせる程の血匂は、恍惚とした笑み浮かべてしまいそうで
それを堪えるのもまた、辛い。]
辛い、ね。
[キリルの髪をそっと撫でるのは、数度だけ。
ユーリーの言葉に視線を向け、小さく、頷いた]
…ん。
キリルも、行く?
[カチューシャの姿はここには見えず。
お見舞いというからには家だろうと、そちらをチラと見た]
カチューシャ…、
カチューシャも、もう、知っているの。
[ユーリーの声に、顔を上げないまま呟いた。
車椅子を掴む手に、きゅっと力が篭もる。
より深く視線が落ちた]
……カチューシャ…、
[やはり、兄と妹のふたりきょうだい。
彼女は今、一人きりでどうしているのだろう]
…ん。
[ぎゅっと、強く車椅子を掴む。
一度伏せた顔は、再び上げるのが怖い。
やはり。と、返る同意に笑みが浮かびそうになる。
場違いな表情を浮かべてしまいそうだった]
…───、うん。
[顔を伏せたまま、こくりと頷いた。
一度伏せた顔を、再び上げるのが怖い。
顔を上げればきっと、また広がる赤を見てしまうはずだった]
一緒に行きたい。
[震える声で告げる]
[ロランの視線がカチューシャの家へと向くのに気付く]
――…多分、部屋に居ると思う。
調子が悪そうだったから運んだんだ。
[扉の鍵は無論かけられずにいたから
あいているだろうこともポツと告げて]
きょうだい、だからね。
真っ先に、知らせたんだ。
[キリルの呟きに、肯定の言葉を向ける]
― 自宅 ―
[しばらくの間、涙が流れるままに嘆き。
とりあえずというように涙が止まって、ボーっとしている。
それからのろのろとした動きで泣き濡れた顔を顔を洗い。
夜着からベージュのワンピースに着替えた。
クローゼットの中には、黒い服もある。
でも、まだそれには手を通す気にはならなくて。
せめて兄の死を見てからにしようと思った]
…ん。
ありがと…
[キリルの言葉に小さく頷き、ユーリーに礼を置く。
車椅子を動かしたいと車輪に手を掛けて幼馴染を見遣り、
体重退けられればカチューシャの―マクシームのでもある家へ体を向け。
ふと、その前にユーリーの脇に一度近寄った。
そっと伸ばす手は彼の腕に、避けられなければ触れて]
…ありがと。
[小さく、もう一度礼を重ねる]
――…いや。
ミハイルがみつけて、知らせてくれた。
一緒に火の番をしていたらしい。
[その光景はみていないから伝聞の形になった。
男はマクシームの方を見ながらキリルに答える]
[腕に触れるは人のぬくもり。
視線を下げればロランの姿が見える]
――…いや。
二人のこと、宜しく頼む。
[感謝の言葉に目許を和ませて
頼りにしているという言葉の代わり
小さく、そう告げた]
そ、なんだ……
……うん。
[広場で彼らが、火の番をしてくれていたことは知っている。
ユーリーの言葉にこくと頷いて、幼馴染の視線にも頷いた。
支えを失って堪えきれず、自らの腕を掴む。
車椅子が動きに従い、キイと高い音を立てた]
……っ、
[唇を噛み締める。
顔を上げないまま、マクシームの遺骸に頭を下げた。
黙祷での祈りを捧げて、ロランの車椅子へと目を向ける]
―― ちょっと前 現場/朝 ――
[呼びに来てもらったユーリーとロランの姿。
目に入らないように旧友の死を悼んで泣いた]
ごめん、シーマ
……ごめん
[謝り続ける。ユーリーから謝罪の意味を問われて]
シーマ
俺が………俺は
[確かに自分が下手人ではない。
だが、どうしたって責任は感じてしまう。
あの遺体を白日のもとにさらさなければ。いや、狼対策を真面目にやっていた友人と歩調を合わせていれば。人狼に効くかは知らないが、獣避けの香料などは持っていた。だが効果なものだ、獣害が本格的になる冬場に向けて無駄遣いはしたくなかったから出さなかった。篝火の設営にも必要最低限しか協力しなかった]
[けれどそれを言ったところで何になるだろう。
友人をもっと苦しめるだけだから、そこで言葉を止めた。周囲からどう聞こえるか、どう見えるか、それにかかずらってはいられない]
/*
どうやって吊られようか考えている。
吊られフラグがことごとく折られているよw
ユーリー猛者。
そしてユーリーは狼イヴァンと対峙したくて占ったならごめん。
/*
そして、ユーリーにとってはいることになっていて、ロランとキリルにとってはこの場にいないことになってるわけかー。どうしよっかなー。いるべきか。いないべきか。
…ん。
[ユーリーの言葉に、少し和らげた目元は赤い。
濡れた睫毛が瞬いて、小さく、判ったとの意を告げる。
キリルの言葉に、ゆるく振りむいて、また、頷き]
――お願い、できると嬉しい。
[車輪から手を離した]
―― 少し前 ――
[イヴァンから謝る理由は聞けなかった。
幼馴染の潔白を知る男は困ったような表情を浮かべる]
シーマの死はお前だけのせいじゃない。
僕だって、あいつについててやらなかった。
[男もまた後悔していた。
吐息まじりの言葉を吐き出し、
薄いくちびるを噛み締めて口を噤んだ]
…ありがと。
[幼馴染に小さく、礼を言う。
車椅子の押し手に震える手を添えた。
掴まるものが何かある、それだけでもまるで違う。
一度鼻を啜ってから、車椅子を押す。
がたりと押せば、車輪がまた高く軋んだ]
[台所のテーブルの上には、濡れふきんをかぶせておいたサンドイッチがそのまま残っている。
兄の部屋も昨日のまま。
―― 一人きりでいる家は、がらんとしている]
……っ
[ぎゅ、と手を握り締めて感情を抑えた]
[ユーリーの腕から離れる手は名残惜しげに空を泳ぐ。
車椅子を押してもらい、カチューシャの家へと向かう。
背後に歩く幼馴染の手が震えて居る気がして、
そっと、自身の肩の上から伸ばした手を、彼女の手に重ねようとした]
…カチューシャ、いる…?
[家の外から紡ぐ声は、小さく。
届くかは判らないけれど、かけずにはいられなかった]
[狭い村のこと、広場からの距離はさしてない。
がたりごとりと車椅子を押し、向かう先はカチューシャの家]
……なんて言おう…。
[途中、ぽつと問う風でもなく呟いた。
さらりと向かい風が吹いて、血の匂いをさらっていく。
ボクは漸く顔を上げて行く手を見た。
カチューシャの家が目に入り、また少し顔が歪んだ]
…カチューシャ、辛いね。
きっと…泣いてる。
[空が白み月の光が陽光に負け始めれば、理性が頭を擡げ。
進めば血の臭いは薄くなり、それもまた作用して
呟く声は、何時ものロランの物となっていた。]
―― 少し前 ――
[ユーリーに首を振る。
確かに後悔しているのは自分だけじゃないだろう]
ありがとう
[それでもしばらく気分は自責から離れそうにない。
どこかに遺体を運ぶと彼が言うのを聞けば]
棺になりそうなものを探してくる。
このまま外には置けないだろう。
木の下でなく、どこか室内がいい。
[そういって、ふらりとその場を離れていく。
それはキリルがやってくる少し前のこと]
…うん。
[血の匂いが薄くなる。
夜は昼に、その座を明け渡してゆく。
それに従って戻ってくる人の性が、ボクの顔を歪ませた。
震える手に添えられた、幼馴染の温もりが暖かい]
───…泣かせて、しまった。
[ぽつりと落とす]
『 そんなにきつく握ったら
手に爪あとが残ってしまう。 』
[優しい声を思い出して、握り締めていた手から力が抜ける。
悲しげな吐息を零して、誰も食べる人が居ないサンドイッチから視線をそらした。
幼馴染二人がむかってきていることは知らなかったけれど。
気持ちを落ち着けるためにお茶をいれようとして]
――?
[名前を呼ばれた気がして首をかしげた。
扉のほうへと視線を向けたときに薬缶が甲高い音を立てて、起きていることを扉の向こうへと知らせた]
[最初に喰らったのは旅人だった。
次に喰らったのは、幼馴染の兄だった。
夜が明け、ボクはその差を思い知る。
最初はやはり、どうあっても外の人間だった。
親しくあっても村の人ではなかった。
けれどマクシームはカチューシャの兄。
幼いときから見知る、村の大切な一員だった。
その重み、その大きさを昼になり知る。
───手が、震えた]
[カチューシャの家の中から、音がしたから眠っているわけではない事が判る。
ドアノブを開けてほしい、と、目だけでキリルへ向けた。
キィ、と高いいつもの音が、誰がを報せてくれるだろう]
…お邪魔、するよ?
[扉を開けてもらえれば、小さく置く言葉]
[彼女の震える手へと重ねる手に、力を籠める。
きゅ、と、少し痛いくらいに]
…飢えると、しんでしまうから。
[彼が死ぬか自分達が死ぬかだったのだと。
言いわけのように告げる言葉は、自身へも向けてのそれ]
俺は、後悔はしてないよ。
[低く添えた]
―― 村はずれ ――
[この村には樵はいない。
ただ、薪炭材用やその他の目的に使うために時折森から木を切り出していたし、先日の旅人を弔うためにいくつか板を用意していた]
……………
[時折手や動きを止めながら、それでも体を動かしていたほうがマシだった。村外れの材木置き場で、友人を弔う支度を淡々と行っていた]
[歯を食いしばり、目元を袖で拭いながら]
……ん。
[きつく、強く手が添えられる。
手の甲が白く、それと微かにしるすほど]
───…ん。
[どこか言い聞かせるかの言葉に、一度目を閉ざして頷く]
[棺になるものを探しにいった幼馴染。
置いておくのはカチューシャがお別れを言えるまで、と
思っていたが其れを言いそびれてしまう]
使われてない小屋、何処かにあったかな。
[屋内が、という幼馴染の言葉を思い出し
ぽつりと呟く。
そうしてマクシームの方を見遣り]
なぁ、シーマ。
家に帰りたい、か?
僕は――…、カチューシャに死の匂いを近づけたくない。
[血の匂いにひかれるものもいるかもしれない。
思案げな様子で呟いて]
それにキミも、――…
[静かに眠りたいだろう、とくちびるのみで紡ぎ目を細めた]
[火を止めれば、薬缶が静かになる。
扉の向こうから、聞きなれた轢む音が聞こえて]
ロランー?
わっ、キリル……
も……もしかして、心配してきてくれた……?
[視線を向けた先、開いた扉からロランの姿が先ず見えて。
キリルが駆け寄ってきて抱きしめられるのに瞳を瞬かせる。
顔を洗ったとはいえ、泣きはらした瞼と赤い瞳はごまかしようがない。
小さな村だから、とっくに知っているだろう二人に、ぎゅ、とキリルを抱きしめ返してちいさくありがとうと告げた]
[分かっている。
食べねば生きていかれぬのは人も人狼も狼も同じこと。
既に旅人を牙にかけたその時から、既に道は別たれている。
分かっている。
────分かっている]
[キリルがカチューシャに駆け寄って抱き締めるのを見る。
キィ、と車椅子を進め、一歩だけ離れた位置まで進む。
手を伸ばせば、指先だけが届く位置。
烏色に映すのはどちらをでもなく、ふたりとも共に]
…ん。
[きゅ、と、手を握る。
ふわふわと揺れる髪にさらりと別の色が重なるのを
じっと、それだけ言って見守った]
/*
んー。
考えているんだが、これ以上の吊られフラグのネタがない。
吊りに方向転換するか……?
今日、皆誰吊るつもりなんだろうなあ。
誰かが誰かを吊りにいかんといけないよね。
んー。どうしよう、かなあ。
ユーリーが狼イヴァンを吊るのが一番美しかったのは認める。ごめんユーリー人間で。でも狼だったらこんなに素黒い動きはしなかったよー。多分。
…もう、厭になった?
[幼馴染を抱きしめる様子に、低くかける声。
柔らかいその彼女だって、自分達にとっては餌に成り得るのだ。
自分の想いはかけらも乗せず、ただ、小さく首を傾ける気配]
─自宅─
[その日の朝は、いつもより早く活動を始めた。
昨夜の妹の声を聞くことはなく、未だ何を話していいか分からないまま、作業場で昨日しそびれた薬の整理をしていた。
引き出しを閉じ、鍵を掛けた――滅多に開けない隣の引き出しに、何気なく目を遣った。
その時誰かの来訪を告げる音がして。
それから程なく、妹が僕を呼んだ。マクシームの名と共に。]
……ロランも、ありがと……
[一歩離れた位置でとまるロランに、キリルに抱きしめられたまま視線を向ける。
こうして、心配して駆けつけてきてくれる幼馴染の存在が心強い。
一人きりだった寂しさは、あっというまに消えていった]
[幼馴染を抱きしめる腕は、半ば縋りつくよう。
人たる岸へ繋ぎ止める彼女へと縋りつく。
けれど知っている。もう戻れないこと。
────もう戻らないこと]
―広場―
[そうして、行かなくてはと言い張る妹を止めきれずに。
今僕も広場にいて、それを間の当たりにしていた。]
……ッ
[血には慣れている。その筈だったけれど、これ程までに夥しい量と強い臭い。思わず口許を手で覆った。
生きてはいまい。見なくたって分かる。
本当ならば妹に真っ先に手を貸すべきである筈なのに、それもできなかった。]
本当に、……マクシーム、なのか。
[昨日ミハイルと共に火の番をすると、頑なに譲らなかった彼。
旅人の死を聞いた時以上に、信じ難かった。
ゆっくりと口から手を離し、息を吸う。血の臭いは未だ、濃い。]
…───ううん。
[明確な意思をもって首を振る。
きゅ。と、餌になり得る幼馴染を腕に抱いたままに]
… 厭なんかじゃ、ないよ。
―― 村はずれ ――
人狼
[ぽつりと呟いた。狼の仕業でないことは、旅人の遺体を見たときから分かっていた]
…………くそ
[がん、と積み重ねられた板を蹴り飛ばす]
[別に隣に人食いが生きてようと、殺人者が生きてようと、構いやしなかったのだ。自分が堕落と退廃の影を持っているように、母や祖母が自分に見せる顔とは全く違う嫌らしい表情で互いを罵り嫌がらせを積み重ねたように、それらを知っていながら父や祖父がそれを放置していたように]
……………
[たとえ村の中の誰かが人を食ったのだとしても、もっと上手く隠せばよかったのにとしか思わなかったのに]
…大丈夫?とはとても、言えないけど…
――、ん。
[カチューシャは、思っていたよりしっかりしていると思って
かける言葉も上手く見つからず、首を傾けた。
そっと手を伸ばすと、彼女の腕に指先は触れるか]
…もう、いっぱい、泣いた…?
[問う声は優しげ]
[運ぶのに手を貸せと言われれば頷く。他には劣るけれど、非力では無い心算だ。
カチューシャの元に行くキリルとロランを見送って、再び前方に目を向ける。]
……。
[マクシームに声を掛けるユーリーを、黙って見つめる。
そちらへの答えは、当然ながら返せない。]
……空いた小屋なら、確か川辺に。
[代わりに、心当たりを一つ告げる。
昔僕が教えを請うた老人がいた場所。今は誰も使っていない筈だった。]
ゆっくり悼んで遣れなくて済まないな。
[一人紡ぐ声は幼馴染と話す時の音調。
いつもなら直ぐに返るはずの声は聞こえず
募るのは寂しさだったろうか]
僕は――…
シーマ、キミを襲った犯人を赦せないかもしれない。
仮令、それがこの村の誰かだったとしても……
[マクシームの亡骸の傍で思いを吐露する]
[代わりに泣いてくれる人がいるから、落ち着いていられる。
キリルの背を軽く宥めるように叩き。
優しい声で問いかけるロランに小さく頷いた]
うん……まだ、お兄ちゃんは、見てないけど……
[伸ばされるロランの手が腕に触れる。
幼馴染二人から与えられる温もりに、じわりと涙がにじんだ]
―― 一見獣の仕業に見える。
だが、声…悲鳴は聞こえなかった。
マクシームが用を足しに立って、俺は篝火の近くに残ってたんだ。
火の燃える音以外は、聞いてねぇ。
聞いてたら、ここまでなる前に、……ッ。
…ロラン、
[幼馴染を抱きしめたまま、同胞の囁きに眉を寄せる。
悲しいのだか辛いのだか、感情は混乱するけど]
だい、じょうぶ。大丈夫だよ。
[揺らぐ心のままに揺れる声]
そっか。
泣かずに我慢、してるんじゃないかと思って。
[和らげた声の侭に、指先だけ彼女に触れて。
すいと撫で降ろしてそっと離した]
…最後、見たいなら、行く?
後悔しないように…
[見ておけばよかった、と思わないか、と尋ねる]
/* あ、イヴァン家はユーリーが行ってた。
でもミハイル行ったときイヴァン不在だったからいい…よね。
すまぬ、すまぬ…(´・ω・`)
[レイスが心当たりの場所を言うのが聞こえた。
マクシームへと向けていた意識がレイスへと向く。
一瞬眸が揺れてしまうのは
語るを聞かれたらしい事への気まずさゆえ]
ん、川辺に……?
[小屋の存在を思い出そうとはしてみるものの
何処にあったかは浮かばなかった]
そ、か。
あるなら、其方に運ぶのも良いかな。
[こく、と頷きをみせる]
[優しい幼馴染の声が、身体を通して響いてくる。
とん。と、宥めるような優しい感触。
ボクはスンと鼻を啜った]
ごめんね…カチューシャ。
泣くのは本当は、ボクじゃないのに、
[間近に幼馴染の顔を見る。
彼女の目が泣き腫らしているのをみとめれば、
またじわりと新たな涙が滲んだ]
───…うん。ありがとう、ロラン。
[優しい響きに、一度瞳を閉じる。
再び目を開けた頬に、苦笑が滲んだ]
ボクが守るって、言ったのにね。
――お兄ちゃんに、会いにいこう、とは思う、けど。
一人じゃ怖かったから……
一緒にいってくれる?
[ロランが尋ねたことへの返答として幼馴染二人に、頼んだ]
もちろん。
…車椅子、押してくれる?
[幼馴染の声に、笑み作って頷く心算だったけれど、
少し顔はゆがんでしまったな、と、自覚する。
キィと高い音を立てて車輪を回し、玄関へと向け方向を変えた]
[ミハイルから聞いた未明の状況。
マクシームを襲ったのが獣である可能性は薄れ
人狼という存在がじわ、と大きくなっていた]
――…自分が襲われる、って状況で
悲鳴をあげない理由って、何があるかな。
[広場にいる者に問うように言葉を紡ぐ]
気付く前に口を塞がれた、か。
――…いや、篝火を焚いて警戒してたのに
近づく足音に気付かない、なんて……
[考えを打ち消すようにゆると首を振り]
……、……マクシームが警戒しない、相手。
[自分を含め、村の者には警戒せぬだろう。
甘い幼馴染の事を思えば、は、と溜息が漏れた]
[キイ。と、高く車椅子が軋む。
先は押した車椅子の背後の位置を、
今度はもう一人の幼馴染へと譲った。
震える息を吐いて、袖で目元を擦る。
気がついて扉へと駆け寄り、車椅子の先へと扉を開いた]
/*
盛大に打ち明けて、襲撃か吊りフラグを貰おうかと思ってるんだが
赤側こまったりする? しないよね?
男なんてマクシームだけで十分だよ、と思っていたりとかしないだろうか。え、だって僕が赤なら柔らかそうな女の子食べたいもn
[キリルが離れる前に、もう一度ありがとうとだけ告げて。
ロランの車椅子の背を押すことを支えにしながらゆっくりと広場に向かう]
……二人が来てくれて、良かった……
[一人だったら歩けたかどうかわからない。
支えになってくれるロランとキリルにそっと感謝した]
[両手は椅子の手摺に置いた侭に、広場へと向かう。
未だ赤く染まる布に包まれた死体はそこに。
死体を移動するという話をしていたのを覚えて居るから、
少し気は焦ったが、どうやらまにあったようだった]
…、何の話し…?
[ユーリーが周りに問う言葉を発していたのはきこえなくて。
ただ、ピンと張り詰めた空気は感じたから、見上げて問うた]
…ここに、倒れてた。
[夜の内には見落としていた、飛び散った肉片。
夥しい血液。]
……が、ついて……がら。
[声にならない言葉が洩れた。]
[それから、カチューシャへと目を向ける。
死体へと一度視線を向け、また、戻して]
…後悔、しないで。
[見ない方が良いならまだ帰れるから、と。
小さく添えて、少し身を乗り出してその腕に触れようと手を伸ばした]
[ロランの声がして、そちらを見遣る。
彼だけではなくキリルやカチューシャの姿もあり
男はふっと目を細めた]
マクシームを襲った者の、話、かな。
彼を襲った者は確かにいるはずなのに
ミハイルは彼の悲鳴さえ聞いていないらしくってね。
悲鳴が無かった理由を、考えてた。
[掻い摘んで其れを伝える。
必要であれば知る限りの事は伝えるだろう]
…そりゃ、気を着けたもの。
[悲鳴が無かった、という言葉に仄暗さが眸に宿る。
ふと小さく頭を振り、それを振り払うのは直ぐの事]
…ん…。ロランは、優しいね。
[14年前の、あの時も。結局は彼は赦してくれた。
両足の自由を失った。その大きさを思うのに]
…。ありがとう。
[幼馴染である同胞に囁きかけた*]
…そうじゃないよ。
[優しい、と囁かれた声に返した言葉は、やや苦笑めいた。
優しいはずがない。と、思う。
けれど、そう受け取られるのは、それほど嫌な気分にはならないな、と、想う気持ちはそっと仕舞った]
[マクシームの傍にいた男が屈む。
色の変わった敷布を摘んで
マクシームの顔が見えるようにする。
顔は損傷が少ない。
無残な傷痕のある其処から下は見せる心算はなく]
――…マクシーム。
カチューシャが来てくれたよ。
[声を掛けてからカチューシャに場所を譲る]
―― 村はずれ ――
[棺の代わりになりそうなもの。
友人を送るならしっかりした立派なものがいい。
けれど都合よく適当なものなどはなく。
とりあえず応急処置的なものしか見つからなかった]
麓の役人に届けるべきなんだろうか
[いつのまにか作業は止まっていて、そんな風に考える。
ゆらゆらと首を振った。
何とはなしに、近くにおいてあった鉈を弄ぶ]
………………。
[手の中でくるりと回した]
人狼。じんろう
[カチューシャへ伸ばした手は、先程と同じように
するりと撫で降ろされ、そっと離れた。
車椅子に彼女の震えが伝わってきていたから、
その目は案じるように細められて]
…悲鳴が無かった理由。
[ユーリーの言葉へと顔を向ける。
降ろした手を膝の上で握り、首を傾けた]
あげる暇も無かった、とか。
[顔の表面に損傷少ないが、
マクシームの口を開けさせれば中はまた別で。
崩れる程食べなかったのはカチューシャには良かったのだろうな、と、思いはするものの、食事の時にそれを考えて等いられなかったのは知っているから、少し、眉を顰めて。
咥内に甘い臭いを思い出して、笑み浮かべそうになる]
[赤い布は、赤く染まっていただけのようで。
それに気づいて蒼冷める。
ユーリーが兄の顔を見えるようにしてくれるのに、震える足で近づいた]
――……お兄ちゃん……
[傍らまで近づいたときに、血のにおいと、マクシームの顔にも残る傷にへなへなとその場に座り込み。
そっと手を伸ばして、いまはもう冷たく固くなった兄の肌に触れる]
……っ
[温かさも何もない。
眠っているようとはいえない兄の顔に、きつく唇をかみ締めた]
―― 村はずれ ――
[目を閉じると瞳の奥に鈍痛が走る。
は、っと荒く息を吐いた。小さな村だ。人が来れば分かる]
…………
[全員の顔を思い浮かべる。その中には恋人もいて。
胸が苦しい。守りたい。扉越しの会話。
怯えさせてしまった。噛み付いた。味見]
……………
[ふと気がついた。
旅人は自分の畑に埋まってた。違和に気づいたのは別の人]
あぁ、なんだ。そうか。当然だ。
[腹の奥から何かが噴出してきて、くつくつと肩を震わせる。
鉈の柄を逆手に握り、両の拳で目を覆った]
……本を貸したのは、まずったかな…?
[見知った者だ、と呟く男を見上げる。
疑いが内に広がれば、昼間は人ならざる力も使えない。
同胞が落としたらしき白い花のピンの行方も気になって、
少しばかり気は焦るものの、表情には出来るだけ出さず]
[兄を呼ぶカチューシャの姿に男は瞑目する。
二人きりにすることは難しいが
せめてと思い二人から距離をとる]
――…。
[見知った者、とミハイルが紡げば
ゆる、と頷き同じ考えだと示した]
/*
とりあえずおかしくなっときゃ後でどうにでもなるだろう的な安易な考え。GO
コアタイムにソロールとか何やってんだろね。うむ。
よくあることよくあること
/*
まちごおた。人でも獣でもないもの。はいらなかったかなぁ。
悲鳴あがってないんだしさぁぁ。
グダグダすまぬ…。すまぬぅぅぅぅぅぅ。
そして一人頭悪い文章ですまぬ。
みんなと空気感が違う。つらぁ。
ミハイル……
[名を紡いで彼を見詰める]
人の味を覚えた獣が再び人を襲う可能性は
どれくらいのものかな。
[獣に対する知識が豊富そうな彼にそれを問う]
…どう、手を、打つの。
[見知った者、と聞こえた、年長者の呟き。
それに頷くユーリーの様子に、小さく紡ぐ言葉は
微かに震えてしまったから、
抑えるように自分の肩を手で掴んだ。
彼の猟銃が見えれば、視線を向ける事になるかもしれず]
/*
ただなあ。
勝手しすぎな気もしてるんだ。
いや、初回落ちを狙ってかさこそ画策するのはいつものことだし、派手なイベントも大好きなんだけど、「自分ののぞみだけじゃなくて皆ののぞみをかなえる動き」かと言われるとあまり自信がない。
……なんで……
……、――
[嘆きも、悲しみも、理不尽な怒りも、ごちゃ混ぜになっていて、言葉にならない。
兄の姿を見れば、その死は現実感を伴い。
そして、どうして兄が、という思いもまた]
……〜〜
[唇を噛み切るかというほどにかみ締める。
村の皆を責めたくはなかった]
…100パーセントだよ。
ユーリー。
[声が震える。少し、怖い。
見つかる事。殺される事、人を、殺す事。食べる事。
全てが、――ほんの少しだけ]
/*
んー、まあいいや。
吊られたいので吊られフラグをかさこそ撒くのはいけないことではない、はず。他の人がやりたいことがあるならそこはRP勝負というか、フラグを拾ってもらわなければ良いだけな気もしてきた。
ユーリーが何したいかだなー。ログ拾い頑張ろう。
悲鳴。
[広場にいる者への問い。
詳しい状況は未だ得ておらず、昨夜最期まで共にいた筈のミハイルを横目で見た。]
見知った者、……が。
…… 人狼、か?
[ただの殺人者がこの集落にいるとは思えない。
だが人狼ならば――人を喰らう者なら、ともすれば。]
[周囲でかわされる会話はどこか遠い。
ただ、誰かから兄を移動させる話を聞けば、ゆるりと瞳を瞬かせ]
――……うん。
[一つだけ、頷いた。
ずっと傍には居られないし、兄も家を汚すのはきっと嫌がる。
それなら、と小屋に移す話には頷いて。
村の中の誰かを疑う話にまでは、まだ頭がついていかなかった]
これ以上犠牲が出ないように
犯人を捜す、かな。
お伽噺なら村の為に怪しきを括れ、と
言うところなのかもしれないが……
[ロランに声を返すが
肩を掴む其の様子に男は目を眇める]
言葉が通じる相手なら
襲うのを止めるよう、諭したい所だね。
[マクシームは話す余裕さえなかったのだろうか。
ふ、と幼馴染へと視線を向けた]
―― 村はずれ ⇒ ――
あ
ぁああ あぁああああっ
[唸るように叫んでぐっと鉈を握る。振りかぶる。材木置き場の壁に叩きつけた。友人の死をもたらした狼に対する怒りと、自己嫌悪と、都会で覚えてしまった破壊衝動と]
[ぐちゃぐちゃに渦巻く頭をクールダウンさせるために鉈を振るった。振るい続けた。友人の棺予備となりうる箱に傷をつけなかったのは、せめてもの理性か]
………………
[しばらくの後。たくさん暴れてさすがに落ち着いた。こわばった、けれど表面を取り繕った面持ちでリヤカーに大き目の木箱(薪炭材を詰めていたもの)を運び出す]
[後に残された材木置き場には、木っ端の数と酷い刃傷ばかりが一面に残されていた。鉈はそこにはもう置いてない]
[その傷は、詳しくないものが見れば見ようによっては狼の暴れまわった爪あとにどこか似ている]
/*
土下座。
あれだよ。初回落ちは狙ってるけど、落ちれなかったからって動きが鈍くなることはあれ、詰むことはないし、まあ、初回落ち狙って失敗して最終日生存とか超よくありすぎて困る。
…通じなかったら…
[ユーリーの言葉に肩を掴む指先は白くなるけれど、
じっと烏色が花色を見詰め]
怪しきを括る、か。
[言葉は問いとは成らず、語尾は下がる。
犯人を探すという言葉に思い出す事はあったが、
言葉にするのを躊躇って、結局言わなかった]
[カチューシャの頷きが目に留まる]
今、イヴァンが……
マクシームの為に棺をさがしてる。
彼が戻ったら、川辺の小屋に運ぼう。
[静かに紡がれる声。
満月、とレイスが言えばはたと瞬く。
昨夜は空をみあげる事もなく]
満月……
嗚呼、月に、狂わされた、とか ?
[それが原因であれば、マクシームは――。
遣り切れない思いに男は柳眉を寄せた]
―― ⇒ 広場 ――
[台車にざっと洗った箱を載せ、ゆっくりと広場にもどる。
そこには多くの人影が集まっているようだった]
………………。
[そこにいる面子をくるりと見回す。
キリルの姿を目に留めると、ふっと目を細めた。
けれど今はそちらに駆け寄れない]
[深呼吸して、ユーリーを真直ぐに見た。
朱に染まるマクシームの方へと寄って行く]
悪い、遅くなった。
探したけど、こんなものしか見つからなかった。
…………ごめんな。
[最後の呟きは物言わぬ友人とカチューシャに]
[何時までも座り込んでいれば、キリルが傍にきてくれた]
……うん。
――
[案じる言葉にこくりと頷き。
もう一度兄に視線を向けてから、ゆっくりと立ち上がろうとした]
――…通じなかったら
[ロランの言葉を繰り返し]
口を塞がれるのだろうね。
[襲われるだろう事は予想できた。
甘い考えではいけないとも思っている。
僅か目を伏せ、溜息に似た吐息を零した]
占い師…
[と、ぼそり。
人の姿をした人狼を、見抜くことが出来る者が稀にいると書かれていた。
人狼自体信じがたい話なのに、そんな不思議な力を持った者が存在するなんて。
実在するのなら縋り付きたい気持ちはあれど…。
皆の前で公言するには少し躊躇われて。
独り言のように洩らすに留まった。]
[空から目を戻し、ユーリーに目を向けた。]
赤い色だった。
…… 血の様な。
[頷く。
遠い昔に読んだ伝承の記憶は、はっきりとはしていないが。]
[月が、という言葉にチラとミハイルへと向けた視線は丁度絡む。
彼に貸した本にも、確か伝承として書いてあった筈だ。
旅人が持っていた、其れに]
塞がれる前に、塞ぐ?
[ユーリーの言葉に向けて紡いだ言葉は。
掠れ震えて、自分でも驚く程低かった。
椅子の手摺から少し浮かせた手は誰にも触れられる距離でなく。
ただ、膝の上に落ちただけだった]
[ミハイルの考えに男は静かに耳を傾ける。
懸念が彼の言葉により濃くなるようだった]
そう、か。
[重い息を吐き出し呟いて]
犠牲者を増やさない為にも……
覚悟を、決めなくては……
[重い口調。
村で共に過ごした者を疑い
手に掛ける事さえ覚悟しなくてはいけないと思うが
其れを口にする覚悟はまだなく言葉を途切れさせた]
[イヴァンの姿がみえれば、軽く手を掲げた。
何時もと変わらぬ所作。
真っ直ぐ向けられる眼差しに
如何した、というように僅か首を傾ぐ]
――…いや、ありがとう。
[棺があればマクシームも少しは落ち着けるだろうか。
イヴァンへと礼の言葉を向けた]
[自分が思ったことは、決してマクシームの死を悼むことだけではなかった。
そう悟った時、涙が落ちた。
どうして人狼が存在するの。
どうして幽霊は存在しないの。
どうして彼が死んだの。
どうして私じゃなかったの。
もちろん悼む気持ちもあったけれど、
そういう感情が浮かんできて、そんな自分が何よりも醜いと。
嫌悪を覚えたのだった]
[人狼の伝承はおぼろげにしか覚えていない。
だから男たちの話はただ黙って聞いていた]
……
[マクシームの遺体が棺に運ばれるときに、
手を出す事はできず、また小屋までついていくこともできなくて、ただ広場に立ちすくんでいた**]
―― 広場 ――
[そこでなされている会話は途中から来た身ではよく分からなかった。不穏な空気だけを感じる]
………死なないさ。
[カチューシャの呟き。
なんと返答すればいいのか分からなかったので、無責任にそう励ますばかり]
[ユーリーの前まで来ると、無言の問いに首を左右に振ることでなんでもないと答える]
このままではシーマが哀れだ。
話の邪魔をして悪いけど、早めにうつしてやろう。
運ぶ場所は決まったか
[人手は充分なようだ。ごとりと音立てて箱を下ろすと男連中に作業開始を促そうとした]
[伝承を語るミハイルにはたりと瞬く]
詳しいな。
[そう、紡ぐが“占い師”の言葉に目を伏せる。
瞼には陽の光が注ぎ赤に近い色を映したが
レイスのいう赤い色の満月は見えない。
見抜く者、とも聞こえ男はゆると顔を上げた]
誰も死ななければいいと思うけど
状況は芳しくないみたいだ。
[カチューシャの呟きにぽつと声を返す]
…ミハイル、待って
その話題は、しないほうが、いい。
[レイスへと言葉を繋げるミハイルへと手を伸ばして言う。
届く距離では、無いけれど]
こう言えば、疑いを持たれずに済むかな…――?
[咄嗟にそれを考えついたのは、
今まさに、自身がそれをとても知りたいからという、
人狼の感情を最もよく知りつくして居るから、に過ぎないのだけれど]
― 自宅→ ―
[一度自宅に戻ってから、ずいぶんと時間は経った。
手に握りしめた指輪を、ネックレスに通す。
崩れた化粧は、しっかり直す。
泣いた跡は、一見どこにも見えない。]
しっかりしないと、ね。
[服の上から最後、指輪を握れば、家を出る。
そうして、皆の集まっている広場のほうへと足を進めた。
挨拶とかはあまりしない。
ただ心配そうにカチューシャへと視線を向けた]
/*
ロラン白アピ素晴しいwww
そしてイヴァンの頑張りっぷりよ……
よおし、吊りあおうか!!!(
どうなるかなww楽しい楽しいww
[イヴァンがカチューシャへと向けた言葉は優しい。
男は警戒を強める言葉を紡いだ己に苦さを覚える。
対面にきた幼馴染の答えに頷いて]
――…そう、だな。
カチューシャがいいなら、運ぼう。
場所は、……
川辺に小屋があるとレイスに聞いたんだが
イヴァンは場所、分かるかい?
[イヴァンが知らねば、レイスに案内を頼む必要があるだろう。
ちら、とレイスへと視線を向ける]
…人狼は、いちばん、ころしたい筈だから。
[ミハイルの言葉に、添える言葉。
それは人狼を怖がっているようにも見えるだろうし、
そう装っているようにも見えるのかもしれない。
誰かが誰かを疑えば、きっとそれはどちらにも見える裏表。
伸ばした手は膝へと降ろし、困った風に眉を寄せた]
/*
今更ですが、レイスとユーリーの年齢を逆だと思い込んでいたCO。
なんだか変だと思ったんだ。納得納得。
グダグダでごめんなさい…。
そしてよるごはんまだ食べてなかった。
―― 広場 ――
[視線で礼をくれたレイスとロランには幽かな頷きで返す。
その折、やはり視線はちょくちょくキリルの方へ]
いや。だけど行けば分かるかな。
それに、一人じゃどの道荷が重い。
[旧友の亡骸、傍らに膝を付く。
手を伸ばそうとすればやはり震えてしまう]
ごめん
[謝るのは何度目か。そう声をかけて、棺に納め、運ぶ作業に加わっていく]
…――ほんとうにいるなら、
ころしたいから。
[裡に落とす想い。
それと逆を口に出せばいいのだから、
人狼を怖がる演技はそれほど難しく無いな、とも
ふと、思う]
────人狼なんて、いないと言ったのに。
[苦く思う。
外の者を殺されただけならば、平穏であったものを]
…食べもせずに、疑いで仲間を殺すの。
[それは酷く残酷だと心に思う]
[キリルの声が聞こえた。
はっと顔を上げる]
キリル
[名前を呼んだ。けれど彼女は近寄ってこない。
目を細めて眉尻が下がった。ぐっと唇噛み締めて、視線を逸らした]
[イヴァンの促しを受けて
マクシームを運ぼうと膝を折りその肩へと手を掛ける。
伸ばされた幼馴染の手が震えるように見えるは気のせいか。
花色がはたり瞬いた。
協力してマクシームを木箱へと移し]
今日は謝ってばかりだな。
流石に一人で運ばせるつもりはないから安心するといい。
――…僕もいくよ。
人手はあったほうがいいだろう?
[そんな言葉を紡ぎながら棺の担い手をかってでる]
[ロランの言葉がじわりと胸に染む。
此処で秘密を明かせば
襲われる誰かは自分になるだろうか]
――…ン。
[ロランを見遣り小さく吐き出される息]
…食べれば、こうして繋がるのに。
あの人もマクシームも、ここにいる。
食べないのに殺すのが同じなの?
ただ殺すのが、同じなの…?
[低い囁きに、思わず目を向けかける衝動を堪える]
――?
[何の話をしているのかはわからずに、疑問が表情に浮かぶけれど、
たずねることもしない。
棺へと入れられたマクシームの体を見て、一歩前に出て]
ごめんなさい、ちょっと良い?
これ、入れておきたいと、思って。
[銀の軽いブレスレットを差し出して。]
何も答えてあげられなかったから。
考えもしなかったし。
そのお詫びに。
[恋愛感情はなかったけれど、嫌いなわけでもなく。
視線に気付いていたから、それだけと。
そっと困ったように笑った]
――いまさら、要らないかもしれないけれど。
―― 広場 ⇒ ――
[ユーリーが手伝うというのに頷いて、それから。やがて準備が整えば皆と歩調を合わせてレイスのいう水辺の小屋まで遺体と棺を運んでいく。それは誰かに指示をされれば言われるがまま]
……………
[全てが終われば、誰かに呼び止められない限り黙って自分の作業場へ。実は昨日は一晩ここで仕事をやりながら眠ってしまってた]
[そこでぼんやり何かを考え込んでいるだろう**]
それは、ころすがわ、だから。
殺される側には、何も変わらない。
[そう思う。
きっと、人として人を殺すことも、
人狼として人を殺すことも、どっちも考える必要がある。
どうせ殺すなら勿体無いから食べたいと思うのは、キリルの言う「繋がる」とは少し違うのだろうか、とも想い。
自分の手を、見下ろした]
[イヴァンの方を見るキリルへとそっと声をかける]
キリル、行っていいよ。
カチューシャの傍には俺が居る。
[そっとカチューシャの腕に、また伸ばした指先で触れる。
暖かい温度が、自身の冷たい指に感じられた]
[棺に何かを入れるイライダを見て。
自分には入れるものがないな、と、頭の隅。
幼馴染の兄。色々と、世話になった事は数え切れない]
…今まで、ありがとう。
[もう喋らない彼に向けた言葉は、謝辞だった]
[イライダの手からマクシームへと差し出される銀色]
――…。
憧れの女性からの贈り物に
厭な顔するようなやつじゃないと思うよ。
[幼馴染が如何思うかは知れぬが
彼女の行動を遮るような真似はしない。
謝るロランと視線が交われば困ったような笑みを浮かべ]
……ロランの優しさに助けられてるって
何時になったら気付いてくれるのかな。
[ぽつ、と小さく呟いて
マクシームへの言葉を聞く]
[ユーリーの小さな呟きに向けたのは少し見開いた眸。
聞き間違えたかな、とか、言い間違えたのかな、とか
そういった不思議な表情]
…俺。
優しくないよ。
[視線が絡んだから聞き間違いじゃないのかと。
頭を斜めに傾いで花色を見返した]
…何もなく、殺されることが…?
[分からないというように語尾をあげる、
この思考はより捕食者に近いものであるかも知れない。
微かに眉を寄せて、短い時間考えた]
でもボクたちは、仲間を殺すことはしないのに。
[目を細め、死者を送る風景を見る]
…そう、かな?
そうとも言えないかもしれない。
俺が見つかって皆に殺されることになるなら。
キリルもちゃんと、そこに参加しないといけない。
[優しく無い、という言葉の奥で囁く言葉は
ほら、やっぱり優しく無い、と、口端を上げて]
…っ、
[それでも一瞬足は動きかけた。
けれど、と再び首を振る。そうして幼馴染の烏色の瞳を見た]
あとでいい。今は…送ってあげるのが、先でしょう?
[恋人との会話はあとでも出来るのだと告げる。
棺に腕輪を入れるイライダを見た。
カチューシャもまた動くのならば、止めることをしはしない]
…ボクが、ロランを…?
[確かめるように鸚鵡返しに問い返す。
少し考えて、それにもやっぱり首を横に振った。
視線が僅かに地面に落ちる]
───…分からない。
[自信のない曖昧な響き]
ロランは優しいよ。
僕が保証する。
[花色はロランの双眸を真っ直ぐ見詰め
確かな音色でそう告げた]
さて、と。
行こうか。
[イヴァンやレイスへと声を掛けて
ミハイルへとチラ、と視線を向けてから
マクシームが眠る棺代わりの木箱を川辺の小屋へと運ぶ]
そうかしらね。
……一言でも、ごめんなさいっていっておいたら、他に好きな子を見つけられたかしらね。
[困ったようにいって、棺の中に銀のブレスレットを落とす]
運んであげて。
手伝えなくて、ごめんなさいね。
[マクシームの棺が遠ざかるのには、一度目を閉ざした。
先に祈りは捧げたけれど、再びの瞑目を彼へとおくる]
マクシーム兄さん。…安らかに。
[無残な姿の彼へと捧げる言葉が、我ながら虚しかった]
駄目だよ。
ちゃんとそうしないと、俺が殺されても無駄死だ。
勿論…人の目を盗んで食べてくれるのは構わない、けれど。
人として、食事じゃなく殺す事は同胞でもある。
…必要なければ、したくないけれどね。
[告げる声はむしろ乾いてあっけらとすらしていて。
首を振る様子に、困った風に眉を寄せて口元だけで笑った]
…俺が優しい筈、無いよ。
[真っ直ぐ見られる花色を烏色で見返すけれど、
すぐに耐えられないという風に逸らしてしまった。
優しい筈は無い。だけれど、ユーリーが保証するという事までは否定しづらくて、口を噤んでしまった。
少し視線を彷徨わせる間、棺が持ちあげられるのを見て]
…気を着けて。
[川辺は足場が悪いから。
その背に告げた。
脇のカチューシャを一度、見上げる。棺を見送る様子は一緒だっただろうか、それとも思い返して着いて行くと言うだろうか。
その場にとどまるならば、その傍を離れる事はしない。]
ロランは、 イライダ を能力(襲う)の対象に選びました。
如何かな。
それでも想いは変わらなかったかも知れない。
[イライダの言葉にゆると首を傾げ]
仮令報われずとも……
キミを想ってたシーマは
微笑ましくなるくらい幸せそうに見えたよ。
[発つ前にそういい残して男は棺を見下ろした。
ロランの声にひとつ頷く。
何時もなら手を掲げてみせるところだが
棺を持つ為にその両の手は塞がっていた]
[川のせせらぎが近づく中。
男はイヴァンへと声を掛ける]
そういえば……
“大事な恋人”とは仲直りできたのか?
[尋ねは確認にも似る響きで
からかう心算は毛頭なかったが
イヴァンには如何響いたか]
…カチューシャ、
今日は、あまり一人で居ない方が良いんじゃないかな。
[ふと、葬列歩むを見詰めたまま、呟きを落とす。
マクシームと共に過ごした家で独りで眠るという事が、
なんだか辛いのではないかと思えたから。
自分の所という訳には行かないから、
イライダとキリルへと顔を向けて問う視線を投げた]
嗚呼。
[棺の中に落とされる銀色。
それを見届け、瞑目をし、それから掛けられた声に従う。
歩き出してからは、僕は時折方角を告げるだけで、他は黙って歩いた。
ユーリーがイヴァンに掛ける声にも、僅かに視線を向けるのみ。
川辺にある小屋は、主を失って何年経つだろうか。僕にとっては懐かしいと同時に、寂しい場所。
錆びた鎌や擦り切れた縄や、最早生活に役立たない幾つかのものはあるけれど、もう殆ど空に近い。]
変わらなかったかしらね。
……わからないけど。
結局答えられないなら、答えておけばよかったっていう、後悔ね。
[ユーリーの言葉に、苦笑を浮かべて]
そう。
幸せそうだったのね。
……そこまで、マクシームを見ていなかったけど。
ユーリーが言うならそうなんでしょうね。
[少し、笑うような呼気がこぼれて。
それから、棺を運ぶのを、見送った]
[ロランの言葉に、カチューシャを見る]
うちに来ても、大丈夫だけれど。
[幼馴染の方が良いのでは、という視線が向かう。
カチューシャの希望に沿うつもりで]
……ん。
[諭すような言葉に、短い応え。
どこか納得はし難いように、けれど考えるように頷きを落とし]
その時は…、覚えておく。
[困った風を滲ませる気配に、可能性だけを短く返すのだが]
俺は、
[また反論しかけたけれど。
ちょっと考えて、言葉を飲み込む]
…ん………
[思案めくひとときを置いて]
キリルより後に死ぬ気、無い。
[やっぱり、告げた]
[川辺の小屋に棺を運び込めば腰に手を遣り背を伸ばす]
此処なら落ち着けるかな。
助かったよ、ありがとう。
[共に歩んだ彼らに礼の言葉を向けた。
ふ、と小屋を見渡せば主を失い久しいような気配に気付く。
何か言おうと口を開くがイヴァンが帰ろうとするのが見えて
其方へと意識を奪われる]
イヴァン…!
[呼び止めようとするが思い直し]
後でそっちに寄るかも知れない。
[曖昧な言葉を向けて見送る態をみせた]
[それから視線は、キリルへ向かう。
昨日の様子を覚えているから、少し心配そうに。
キリルの言葉を聞きながら、そのあたりはすべてカチューシャの判断に任せる、というところだった]
……お茶を用意するわ。
[ふと、呟くように言う頃には、もう棺は見えなくなった頃。
その場の人に視線を向けて、誘いかける]
他に何かがないなら、うちにいらっしゃいな。
[イライダとキリルへ順に視線を向けて、
カチューシャの良いように、と、表情和らげて言う。
幼馴染が心安らかに少しでもいられれば、と思うのは
間違いない気持ちだった]
…ちょっと、寒いね。
[春先とはいえ、ふとした風が冷たく感じて。
花の香り届けるそれに一度ふると震えて辺りを見渡す。
暖かい陽光は昇り、その冷たさもまた和らいでいくのだろうけれど]
[レイスの応えにゆると目を細めた。
動いたせいか空腹を覚える。
血の匂いのせいで食欲がわくことはなかったが
昨夜貰った紅茶のクッキーが机の上に置かれたままなのを思い出した。
棺の中のマクシームはもう空腹を感じる事はないだろう。
幼馴染と酌み交わしたあの日が酷く懐かしい]
シーマ、
[呼び掛ける声はささやか]
カーチャを守ってやってくれ。
[見守れではなく、守れ、と無茶を言うのは
幼馴染という間柄と願いがそうさせた]
[イライダの言葉に、少しだけ逡巡の様子。
カチューシャとキリルへと視線を泳がせてから]
…えっと、
[おろりと棺が消えた先へ向ける。
ミハイルが居るならば、彼の方を見るのだけれど]
僕らも、戻ろうか。
血の匂いに狼が誘われたらかなわない。
[広場よりも森に近い川辺の小屋。
声を掛けてから扉を潜る。
微か聞こえる水音に誘われるように視線を遣ると
ロランの肘の怪我が頭を過ぎり微か柳眉を寄せた**]
寒いから、あったかいのをって、おもったんだけど。
[ロランの様子に、少し笑みを作る。
でも無理にすすめるつもりはないようで]
……あっちに、行く?
[視線は、棺の行った先へと向かう。
誰かがくるというのなら、先にお茶を淹れに戻り、家に招くことだろう。
そうでないなら、少し話を聞いたり、といったことが続く**]
[座る椅子はもう無かったから、壁に背を付けて床に座る。何とはなしに天井を見上げた。
此処を使っていたのは気の良い人だった。マクシームを置くことも、きっと赦してくれるだろう。]
……お願いします。
[ぽつと呟く。ユーリーの囁く声は聞こえなかった。
やがては促しに従って、其処を後にする。**]
…ん、
[幼馴染の、カチューシャとキリル、そしてオリガ。
女子の3人が固まって泊まったりという事が良くあって。
3人が集まる時にはなんとなく身を引く事が多かったから、
イライダの誘いに迷ったのだった]
いいの、かな
[キリルと目が合って。
少し頭を傾けて、やはり迷うように視線を泳がせた]
ボクは少し嬉しい、かも。
[カチューシャが未だその場にあるなら、首を傾げて彼女を見遣る。
同じく車椅子の幼馴染へも、問うように目を向けるのだけど]
…ハーブの香りは落ち着けるから。
[血の匂いが紛れるとは口にしない。
何にせよ、そうして少しの時を過ごせば礼を告げて自宅へと戻るのだった]
…笑いごとじゃない。
[笑い声に返すのは、憮然とした囁き声。
拗ねめいた声色は変わらないまま]
ロランのいじわる。
[告げる口調は、幼馴染に向けるままに]
[勿論、幼馴染が阻害する気等無い事は判って居て
それが自分の気性に起因するという事は理解していた。
それでも刻まれた想いは少しだけ眉を下げて困った風に]
…ん、じゃあ…行く。
[告げると、イライダは先に戻って用意をするのだろう。
その背を見送るロランは、少し居心地悪そげに身動いだ。
キリルを見上げる。眉を片方だけあげて]
…変な顔。
[ぽつりと言ってやった]
〜〜〜、ひどい。
[イライダを見送って、人影が少なくなれば少し緊張も解ける。
ロランにまた変な顔と言われた。
むううと膨れれば、ぐいと口はへの字になる。
それと同時に、ぷくりと頬は膨らんだ]
ロランの、いじわる…!
[ぐっと手を握り締めて言い返す。
烏色の瞳が笑み浮かべれば、への字口はますます曲がった*]
うー……
[唸る。得意げな顔が、何だか本当に嬉しそうだったから、
じりじりとボクは上目遣いに幼馴染を軽く睨んだ]
………。……………。
……。先に死んだら、泣くんだから。
[何とか反論を探そうとした。
けれど漸く返した反論は、我ながら子どもの我儘みたいな出来だった*]
─ 自宅:少し先 ─
……んー…、どこだろ。
落としたの、かなあ。せっかく…
[自室の寝台の下を覗き込んで、息をつく。
散々家中を探し回ったけれども、結局は見つからなかった。
探していたのは、昨日イライダに貰った白い小花の髪飾り。
カチューシャと分け合ったそのピンは、今は広場の片隅にある。
土埃と黒ずんだ血か何かの汚れに塗れ、
茂みから続く、遺体の移動の道筋に転がっている。
ボクは探索を諦めて、ガッカリと深い息を落とした。
小さな小花の、その在り処も行く末も分からない*まま*]
[キリルの言葉に、眉を下げて表情を和らげた。
カチューシャも居れば、顔を向けて。
少しだけ、何時もの空気が戻ってきた気がする]
…知らなかったの?
[いじわる、との言葉に首を傾けて見せる。
ヘの字口に、ほらそれ、と指差して、
落ちつくらしきハーブティへ想いを馳せた*]
/*
ああああああ
きりるうううううう
表出るのか、出てますね…
死ぬ気なんでしょうか…
先に死にたいってゆってるのに!!(
でも占い師いるから、こっちはまだ隠れてますね…
ふたりとも出たらお仕事なくなっちゃう、よね…?
……だめ。
[子供の我が儘のような言葉に返したのは
こちらも、まるで子供のような言葉だった。
たのしそうに目を細めてわらう。
満たされた今、何時ものように無表情を湛えて居られなくなっている事に対して、ロランの自覚は無かった*]
キリルは、 ユーリー を投票先に選びました。
―広場→川辺の小屋―
[棺にマクシームを納め、ユーリーの視線>>212にこくり、と頷いた。
レイスの案内に従い、マクシームを運ぶ。
密かに思いを寄せていた、イライダのブレスレットと共に。
川辺の小屋まで運び、棺を一度撫でた。]
(すまない。痛かったろ、苦しかったろ…。
近くにいたのに、気付けなかった…。)
[イヴァンを呼ぶユーリーの声を聞いて>>222、なんだ?と首を傾げる。
そう言えば、夜、彼の家に報せに行った時には返事が無かったな、と思い出したりして。
戻ろうか、との声に無言で小屋を出た。
広場までは戻らず、途中ふらりと皆と別れて自宅へ。**]
[それからイライダからのお茶の誘いには幼馴染二人と視線を合わせて]
うん……二人と一緒に行く。
[こくりと頷いた。
ロランがキリルをからかうのには小さく笑って。
イライダがお茶の用意をしてくれれば、しばらくは穏やかな時間が戻るのだった**]
―― 回想 ――
[葬送の作業をしながら、友人とイライダのやりとりを聞く。
何も言わなかった。
正直自分は彼女はあまり得意ではなかったので、マクシームのアピールもとりあえず笑って見ているだけで常日頃から何も言わなかったからだ]
………………
[棺の中のプレゼントを眺めながら運んでいると、ユーリーからキリルとのことを聞かれた]
どうかな。したと思ったんだが……無理っぽい。
[はふ、と答えを詰まらせ、段差を越えたからだと言い訳した]
さっきの感じじゃもうだめなのかもしれない。
大好きだし愛してるけど。まあ、全部自業自得だ
ちょっとね、酷いことしかけたから。
完全に怯えられてるかもしれない。
でも、それでいいんだ。多分そういう姿勢で正解なんだ。
シーマには申し訳ないけど、彼女だけはこんな風になってほしくないから。
[とつとつと語る。
レイスの方を見て、謝るように黙礼した]
[その件について語るのはそれだけだった]
―― 作業小屋 ――
[花摘みの作業も途中だし、それが終われば花卉の洗浄や乾燥などやらなければいけないことが山積みだ]
………………
[ただ、どうにもやる気にならずぼうと作業小屋に座ってた。
後で話があるといったユーリーに、ここにいると告げたから、その場にいた人たちなら自分の居場所は分かるだろう]
[自分の座った周囲には、紙くずが丸めていくつも散らばっている。普段は整理しているだけに、割と酷い有様だった]
[ここに誰が尋ねてきても、ノックをされれば物憂げに「どうぞ」と声だけかけて扉を開けることもせず話をするだろう**]
[イライダの家で、ハーブティーを御馳走になる。
慣れない香草の薫りは気持ちを確かに落ち着けてくれたけれど、
口の中の脂が無くなる感じがして、あまり好みでは無かった。
勿論、それをイライダに伝える事は無いけれど。
甘くないクッキーは美味しくて、そちらばかり手を伸ばした。
女の子達のお喋りに耳傾けて、
気づいたら日の光は遠くなっていた。
きちんと礼を述べて彼女の家を出る頃、
見えた空は紫とピンクの交じる茜色]
―― 回想 ――
[恋人との事に答えるイヴァンの声が詰まれば
怪訝そうに片眉が持ち上がる。
段差が理由と言われれば、追求せず]
――…ん。
酷い事しかけたなら怯えられても仕方ないな。
けど、怯えてるだけじゃないんじゃないか。
本当にそうなら、名前を呼んだりしないだろ。
話したいと思うから声を掛けたんだと思うけど?
[僕の見当違いか、と尋ねるように首を傾げた**]
[ロランが笑う。
ボクはその声にむくれたけれど、無論本気ではないじゃれあいだ。
その原因になった彼の笑い声は心地好く響くから、ボクは殊更彼に、それを指摘することをしなかった]
狼が、どうかした…?
[やがて聞こえた声に問いを向ける]
[レイスの言っていた赤い月を思い空を仰げば
傾きかけた太陽が空を茜色に染めていた]
シーマが最期に見たのも赤い月だったのかな。
[暫くは見られぬ満月と幼馴染を思う。
彼の見た最期の景色が犯人の顔でなければ良い。
誰の姿であれ、きっと彼は心痛めるだろうから――]
―― 作業小屋 ――
[途中、車椅子の啼く高い音が聞こえた気がしたが
材木置き場の方へ行った彼の姿は見えなかった。
別れ際にイヴァンから聞いていた場所を男は訪ねる。
扉を叩けば、幼馴染からの応えが聞こえた]
邪魔するよ。
[名を言わなくとも幼馴染だから声で誰かは分かろうか。
扉を開けて中に入れば珍しく散らかった様子が目に留まり
花色の眸が驚いたようにはたりと瞬いた]
なんだ。
片付ける間もないくらい忙しかったか?
[尋ねて男は近くの作業台へと体重を預ける]
[じ、と花色の双眸がイヴァンを見据える。
如何切り出したものかと悩むような沈黙が流れた]
―――…、
[大きく深い呼吸が一度]
僕は何があろうとイヴァに怯える事はない。
[落ち着いた声音でそう宣言する]
―― 作業小屋 ――
[友人の訪れを座ったまま迎えた。
ふと、先ほどいわれたせりふを思い出す。
名前を呼んだということは、話したいということ]
(……そうだといい)
[先ほど、その言葉で少し気分が軽くなっていた]
まぁね。一番忙しくなるのは明後日くらいからだが。
その頃にはお前もひきずりこむさ
[日常の会話。けれど何故か現実感が薄かった。
散乱している紙くずは、すべてどこか切羽詰ったキリルへの恋文の書き損じ]
…………
[友人の作る沈黙は、特に邪魔することなく待っていた。じっと彼を見つめる]
それは……
そうか。ありがとう。友達冥利につきるな。
[そこで一度口ごもる。
作業台をとん、と指でたたいた]
正直、その信頼に応えられる自信がないんだ。
俺はたまに俺におびえるし、その俺を信じてくれるユーリーのことが信じられない部分もあるんだ。
[最後の部分では、耐えられなくて視線をそらした]
ごめん
―広場―
[マクシームを運んだ後の復路。
途中で離れるミハイルは何も言わずに見送った。向かう方向は恐らく彼の家だろう。
ユーリーとも何処かで別れたか、僕は一人広場に向かった。
気がつけば随分と時間が経っていて、もう陽は沈みかけている。]
……。
[マクシームが発見されたという茂みを見遣る。
遠目な上暗くなりかけていて、僅かに残る赤は此処からでは伺えないが。]
人狼……
[この集落には何処か遠い存在だった。
それはもう過去の話。]
……そう考える他無いか。
[篝火の跡に目を移す。
火を嫌うただの獣が、わざわざ此処まで来て事を為したとは考え辛い。
集落の他の人間に殺されなければいけない程、マクシームは悪い奴ではなかった。
考えれば考える程、その存在が現実的になる。
小さく息を吐いて、目を逸らした、その先に、
何か光るものを見つけた。]
[それを拾った事に、特に理由は無かった。ただ何となく気になったのだ。
随分と汚れていて、初めは何か分からなかった。
可愛らしい小花の髪留め。僅かに残った白い部分が、光を跳ね返していたらしい。]
カチューシャか、……イライダ姉さん?
[僕は化粧を施された妹を見ていなかった。
だから思い浮かんだのは、可愛らしい雰囲気の彼女の友達。第二候補の大人の女性がこれを付けるとは考え辛い気もしたが、他に思いつかなかったのだ。
よくよく見れば汚れは黒ずんだ血のようにも見えたが。]
後で訊いてみるか。
[2人とも遺体の傍に寄る機会があったから、その時は疑問に思うことは無かった。
先程落としただけにしては随分とこびり付いていることも、疲弊した頭では気がつかず。
拾得物を指先で摘まんだまま、暫しの間、物思いに沈んでいた。**]
[マクシームが此処に居たなら何と言うだろう。
そんな事を考えてしまうのは共に居た時間の長さゆえ。
居るのが当然だった存在が今は遠い]
……ん。
そろそろ花の収穫時期か?
[色が変わりつつある花を真っ先に連想するのは
イヴァンの生業に深く関わるものだから。
落ちる紙くずをチラと見遣りその一つに手を伸ばす]
友達冥利、か。
幼馴染だから、友達だから――…
信じたいとは思っていたがあんな事があったんだ。
何の根拠もなく信頼は寄せられない。
[本気とも冗談ともつかぬ口調で軽く肩を竦める]
[信じられない部分があるという幼馴染にふっと笑い]
――…そういう正直な所、嫌いじゃないぞ。
易々と信じると言っていたら、――…
それはそれで心配だし、な。
[己におびえるというイヴァン。
彼が自身の何処に不安を抱くかは分からない]
イヴァ。
人狼のお伽噺、覚えてるかい?
あの話の中に、人狼を見破る者が居た、だろ。
[訥々と本の中の話を語る。
それは何処にでもあるお伽噺の一つで]
―― 作業小屋 ――
[友人が書き損じを拾うのを見ると、ついと視線を逸らした。
守るから一緒に村から逃げよう、とか、そんな言葉が塗りつぶされた中に少し垣間見えるかもしれない]
あぁ。盛りはほんとに一瞬だから、種がつくぎりぎりまで待って一気にいかないと。
[窓の外には赤みを帯びた黄色のじゅうたん。
紅という本質を、可愛い黄色い皮で覆い隠す花]
根拠……
シーマをお前が食べて、次に食うのが俺だからか
[言いかけて、御伽噺のことを聞く。
あぁ、と納得したような少し残念そうにも聞こえる声を落として。それからいくつか瞬き]
[ぐっと力をこめて彼を見た]
探して、俺で外したのか。
[イヴァンの言葉に気分を害した様子はなく目を細めた。
外した、との声に男は肩を竦める]
僕は、イヴァがそうかそうでないか、確かめた。
確かめて、旅人やシーマを襲ったのがキミじゃないと知ったから
こうしてキミに話してる。
[そうは言いながらも幼馴染を疑い調べようとしたわけでなく
知らず意識が其方に向き、視えてしまったという方が正しい。
自らが選んだ結果でなくとも、其れを知り安堵したのは事実]
――…皆に、言おうと思うんだ。
未だ、人狼をみつけてはいないけど
そう簡単には信じてもらえないだろうけど
それでも――…
誤って人が括られてしまうのを、僕は、見たくないから。
[考えている事を口にして、は、と息を吐き出す]
名乗り出ても僕が無事なら――…
イヴァが僕を仕留めるといい。
[信じて欲しい、とは言わない。
マクシームに対してもきっと同じように言う。
力のこもる眼差しに花色を重ねた後、
台に預けていた体重を自らに戻し扉の方へと踏み出す]
……いや、まあ気を使わなくてもいいさ。
ただ単純に信じられるよりはすっきりする。
[言い直されたことに首を振る]
何があっても見つけるまで誰にも言うなよ。
シーマに続いてお前があんな姿になるのは見たくない。
[しばらく考えて掠れた声で反対した]
見つけたら教えてくれればシーマの仇は俺がとるから。
……人食い狼に立ち向かうなら、草食動物のユーリーより俺の方がマシだろう。
無実の人を手にかけたくないなら、見つかるまでは無理に攻勢に出ず皆で自衛に徹すればいい。夜は屋内の一箇所で寝て、見張りを複数たてて。
見つかりもしないのにそんな無茶をする必要がどこにある?
ユーリー、それは断る。
正直、キリルさえ食われなければお前が人狼だってかまわない。シーマを食ったのが事実なら、半殺しにするまで殴りつけて墓の前にひざまづかせてやるが、それで仕舞いだ。
……愛してるって言ったろ? ユーリー。
君とキリル以外が狼なら、シーマの仇をとりたいけれど、君ら2人が狼ならば、死なれるのがいっとう嫌だ。
[彼の背中にそう告げる]
収穫は、手伝えないかもしれないな。
――…嗚呼、
葡萄酒の樽は空けて貯蔵庫に置いておくから
必要な時に……
[言うだけ言って立ち去ろうとするも
イヴァンが反対する声に動きが止まる。
きょと、と驚いたように瞠られる双眸]
其れをいうなら……
僕だってイヴァがシーマと同じになるのはイヤだよ。
[困ったように笑い肩を竦める]
草食動物でも鍛えているから問題ない。
キミ一人に手を汚させようとは思わないさ。
シーマの仇を取りたいのは、僕も同じだ。
――…。
[イヴァンの提案に考え込むように柳眉を寄せた。
視線を落とし暫し口を噤んだ後]
自衛に徹してもどれだけもつか。
シーマも警戒してたはずなのに、殺された。
この村で共に暮らしてきた誰かが人狼なら……
いつか何処かで油断して、また、犠牲が……
[マクシームの死を知り支えあう村の仲間の姿を思い出す。
其の中にマクシームを手にかけた者がいるとは考えがたいが
そう考えなければ辻褄があわない]
……お伽噺をなぞるわけじゃないが
それが僕の役目だた思ったんだ。
[無茶をしようとした理由をぽつ、と呟く]
熱烈な告白だな。
[男はくつりと喉を鳴らしてイヴァンを流しみる]
その言葉、キリルにも聞かせてやるといい。
キミの想いが彼女にも伝わるだろうさ。
勢い付ける為に秘蔵の葡萄酒でも差し入れよう。
[肩を震わせながら言うのは
幼馴染が紡いだ言葉への照れ隠しもあるが]
僕も愛してるよ、……
[紡ごうとするのは幼い頃の愛称。
ごく親しい者同士で使うそれ]
イヴァ。
[けれど口にしたのは常の愛称。
背を向けて手を掲げ、その手をゆらりと揺らし扉を潜る]
材木小屋が……?ううん。
ボクは知らない。
[首かしぐ気配に返る否定]
……他に牙持つ存在が…?まさか、ね。
でも、人の仕業なら。いい目眩ましかも知れないな。
[思考する。それが恋人の仕業とは知らぬまま**]
どれだけもつか不安なら、次の機会に必ず見つければいい。ここでうかうか公表して、肝心の狼を見つける前にユーリーが殺されてしまえばなんてこった犬死にじゃないか。
[彼のつぶやきにそう説得を重ねるが、一体どこまで届くだろう]
[友人が作業小屋を出るまで見送ると]
……言うのはともかく他人から言われると照れるな。
[ポツリと呟けば、気を取り戻したように紙くずの散る作業場を整理し、加工作業に取り掛かっていく。残念、収穫に最適な早朝は過ぎてしまったから、この小屋の中で**]
― イライダの家 ―
……おいし……
[イライダの家で、お茶を飲む。
この日、初めて食べ物を口にした。
お茶を飲むだけでも気持ちが落ち着き。
キリルやイライダとの会話ですこし笑顔も戻った。
静かにクッキーばかり食べるロランに]
ロラン、そのクッキー好きなんだ。
――甘くないほうが良かった?
[今迄お菓子を差し入れていたときは普通の甘さで。
嫌がられた記憶はなかったけれど、もしかして言えなかったのだろうかと首をかしげたりもした]
[お茶の時間が終ってイライダの家をでる頃]
うん、それじゃ、あとで荷物もってキリルの家に行くね。
[先に行く車椅子の彼は見送って、ともに出てきたキリルに家に行く事を約束した。
そして、一人。
広場に戻る]
―自宅―
…………。
[「ただいま」と言う相手を喪って久しい。
どうってことは無い。
両親共に、病で逝ってしまっただけだ。
自分が20の時に父が40で逝き、27の時に母が46で逝った。
その後、三人で暮らしていたこの家を離れることもなく、また、誰かを迎え入れることもなかった。
21だったか。
狩猟で遠出し、他の集落に逗留した際、女を覚えた。
けれど事故のようなもので、恋情や愛情にまでは至らず。
似たようなことは何度かあったが、最初の女と同じく、伴侶となるまでの関係にはならなかった。]
[最初、その汚れたものが飾りだとは気づかなかった。
レイスの指摘で、小さな白い花飾りだと気づいて。
それが広場に落ちていたと聞いた]
―― あ、 はい。
[カチューシャのかと問われて不自然な間があく。
昨日、返したつもりで返せていなかったのか、それとも――]
[考えたくない事を考えそうになって一度首を振った。
イライダの家でのお茶会でよくなった顔色は、また蒼冷めるけれど。
空を赤く染める夕日にまぎれてその変化はよくわからない]
どうして――
[キリルになにかあったわけじゃないのは今日会っていたから分かっている。
見落としていた事はあったかもしれないけれど。
触れた温かさとか、泣いてくれたことだとかはちゃんと覚えている]
……返してもらって、良いですか?
[レイスはなにか違和感を覚えたかもしれないけれど。
そっと震える手を差し出した]
[誰かに先立たれるのも、誰かを遺していくのも面倒だ。
両親共に比較的早世だったことから、自身もあまり長生きは望めないのではと感じていたところもあるかもしれない。
縁が無かったのもあり、気ままな独身生活を送っていた。
ロランの祖父などには、「家族を作れ」と説教じみた話をされたこともあっただろうか。
――幼い頃に出会った旅人。
そんな生き方を、無意識に真似たいと思っていたのだろうか。
だが、完全に独りになるほどの何かもなくて、こうして集落に留まっている。
血を分けた家族とは違うけれど、集落に住まう人々にそれに近い情はあった、…らしい。]
マクシーム…。
[兄弟の無かった自分にとって、この集落の年下の者達は全て弟や妹のような存在で。
生まれた時から知っているせいだろうか。
自分より年長の者を喪った時よりも、胸が痛んだ。
昨晩の軽口を叩く彼の顔と、変わり果てた姿で横たわる彼の顔が交互に思い出される。]
―材木小屋―
[材木に近寄って、傷を調べる。
車椅子からから身を乗り出し、指で触れる。
鋭い切り口。獣の毛は見つからないし、
血のりらしきも見えなかったが、
少なくとも新しいらしきは分かって]
…?
[眉を寄せる]
こんなこと、続いて堪るか…ッ!
――誰が、殺した…?
[共にここで暮らしてきた面々の顔を思い浮かべる。
どの人物もマクシームを殺す姿など、想像できなかった。
テーブルに両肘を突き、頭を抱える。
そして、ロランの願うような言葉>>208を思い出した。
そうだ。
何もまだ、この集落の人間がマクシームを殺したと決まった訳じゃない。
見知らぬ人の姿をした人狼が声をかけてきても、「道に迷った…」などと言われたなら、あのマクシームのことだ。
悲鳴などあげずに、耳を傾けたかもしれない。
その考えは、ロランの言葉に籠ったそれと同じく、…願望だろう。
そうあって欲しい。そうでなければ…。]
――カタン。
[椅子から立ち上がり、猟銃と大量の銃弾を持って扉を潜った。
マクシームが襲われた茂み。
そこから森へと通じる道を辿り、入ってみるつもりだ。
一睡もしていないことなど、頭も体も忘れていた。**]
/*
あ、椅子に座る描写消したの忘れてたwwwwwwwwww
いつ座ったんや。
座ってなくってテーブルに両肘wwwwwwwww
あかんwwwwwwwww
グダグダ……… o rz
[子供の頃はやんちゃだった。
マクシームやイヴァンと一緒に駆け回った。
悪戯をして三人一緒に怒られもした。
年上のミハイルには注意されもしたが
本気で怒っているのでないと知れたから恐いとは思わなかった。
元気な証拠だと何処か優しい目をしてみていたのも知っていた。
頼りになる兄貴分だと思っていたけど
敬称をつけると何だか距離が感じられるから
昔から、ずっと、ミハイル、と名だけを呼ぶ。
十歳の頃に村を離れたイライダ。
子供の頃の五歳差は大きくて彼女は酷く大人びてみえた。
昔から綺麗だったから、マクシームが心惹かれるのも当然。
まだ年近いレイスに関しては時折悪戯に巻き込んだ。
それも、妹たちが生まれてからの話ではあるが。
妹ができた時期が近かったからか其の頃から親近感がわき
ユーリーから話し掛けるようになっていた]
投票を委任します。
カチューシャは、 ユーリー に投票を委任しました。
[人の仕業だとしたら。
まるで暴れたみたいな様相に、眉を寄せる。
こんな凶暴な事をしそうに思う人がいないから。
獣の毛も無いこの場、自分でもキリルでも無いなら
人であ筈ではあるのだけれど]
……
[殺し合いが始まる。
予感に寒気が走り、肩を抱いた]
/* 初回吊り、もしくは襲撃され、隊!!
縁故強い人達残った方が楽しいもの!!
オッサンうまく絡めんかったから早く死にてぇの(´ω`)
[作業小屋を出て一人歩む。
去り際に背に投げられた幼馴染の言葉。
しっかり届いてはいたが笑うような気配を残しただけで
言葉は返さずに別れた]
犬死する気はない、けど。
――…イヴァがそうなら刺し違えても止める気だった。
オリガがそうでも、きっと、止める。
[もしそうだとしたら
それはとても苦しいことだと思ったから。
自分なら止めてほしいと思うから。
独り善がりと思いつつもそんな風に考えていた]
[松明程度の材木を拾い、膝に置く。
キィと車輪が高い悲鳴を上げるも構わずに
材木小屋から、土に溝着けて外に出る。
その材木には沢山の傷がついていて、
大きな獣が爪とぎでもしたかのよう]
あぁ…
[空を見上げると、随分と日の位置は変わっていて。
細める目、上下の睫毛を数度だけぶつけ合った]
[レイスに渡してもらった小さな髪飾りをそっと両手で包み込む]
……ありがとう。
あの、家に行くの、ちょっと遅くなる、って。
キリルに言って、もらえますか。
[レイスを見つめてぎこちなく笑う。
よくわからないことばかりで、考えたくもない可能性だけが脳裏にちらつく。
レイスにぺこりと頭を下げて、早足で歩き出す――]
[材木を見下ろして、少しずつ進んでいたから
生垣の角曲がった時に、同じく曲がってくるカチューシャに気づけず。
あ、と声を上げてギャリ!と車輪を止めたが]
カチュ…っ
[手にしていた材木が宙に浮く]
/*
たった2箇月村断ちしてただけなのに…。
あいのりもそうだったけど、上手く動けぬぐぎぎ
あ、いあ、元々たいしたことはできねーんですがね(つд⊂)
/*
真似たいってのはなんか変だったかなー。
ただ彼の心境を知りたいってのが大きいかな、と。
PCとPLがごっちゃになってしまった気が。
今日の更新後、3日目からは24hコミット。
メモメモ。
すぐ忘れるからな。まぁ死んでしまえば間違わなくてすm
[手にした髪飾りは、たしかに昨日キリルの髪を飾っていたものだった。
どういうことなのか良くわからなくて。
考えたくない思考を振り切るように歩いていたから、いつもなら気づく車椅子の音にすら気づかなくて]
――きゃあっ!
[車輪の悲鳴と、ロランの声に気づいたときにはぶつかる寸前で。
ぎりぎりで立ち止まれたけれど、ロランの膝から飛び出した材木が飛んできた。
無意識に身をちぢこませて立ち止まるだけで、回避する事もできず。
ガツッという音とともに、材木が足にあたった]
…っ、ごめん、呆っとしてた…!
[目を見開いて、彼女を見る。
尻餅ついたわけではないからその心配はないが、
材木かたてた音は耳に聞こえたから]
大丈夫か?
[車椅子を寄せ、脚を見ようと身を乗り出し屈めた]
[ロランが持っていた木材は傷ついてささくれていた。
そのために、ワンピースのすそを引っ掛けられて、千切れた裾の間から斜めに赤く傷ついた足が見える。
木材が引っ掛けて行ったのは服だけではなかったようで、その痛みに顔をしかめた]
――っ、……大丈夫……ごめんね、ロラン。
あたしも、考え事してたから……
[手にした飾りはワンピースのポケットに突っ込んで、痛む足を見下ろした。
身を乗り出したロランからは、傷が良く見えたかもしれない]
…っっ、血、が…
[伸ばした手が、カチューシャのスカートのすそを掴む。
ほっそりした足に、赤い筋が見えて。
ロランは更目を見開き、息を飲んだ]
ごめん、カチューシャ…!
直ぐに、レイスの所に行こう。
歩くのが痛かったら、俺が呼んでくるから、
[自分の身に傷がついたかのように、
痛そうに顔を歪めて早口で言う。
それから心配げに、彼女を見上げた]
……っ
[斜めに二つ三つ、引っかかれたような傷がある。
ささくれていた木材でついた傷はきれいとは言えず。
早口で言葉を重ねるロランに、痛みをこらえて]
大丈夫、だから……
歩けると思うし。
ロランのせいじゃないから、ね。
[ちゃんとよけれなかったのが悪いのだからと、心配そうな顔をする人に、もう一度ごめん、と告げた]
カチューシャが謝る必要ない。
膝に座ってもらって進むこともできるけど、
[そこまで言って、はたと動きを止め。
パッとスカートから手を離した]
俺、ごめん…!
[しかも脚を覗き込んでいた。
手で口を覆い、顔を横に向ける]
[傷を見るために軽く持ち上げられていたスカートがふわりと下がる。
見えていた傷は、スカートの千切れた箇所に重なって、裾がすこし汚れた。
あわてたロランの様子を見て。
さっきまでがどういった状態だったのかを客観的に考えて]
――え、あ……いや、心配してくれた、だけだって分かってるから。
[謝るのにあわてて首を振った。
ロランの様子につられるように、そわ、と視線がさまよった]
え、あ、うん、そう、だけど、
でも、流石にひどいね。ごめん。
[口を覆った手は軽く拳握り、咳払い。
顔色はいつもの白いままに、耳だけが赤いけれど、
夕陽の下では全てが紅く見えるだろうか]
…レイスのとこ、行く?
[幼馴染も目をそらすものだから、
目は見れずに尋ねた]
[どっちの意味で謝られているのか。
判断がつかないというかつけたくないからこくりと頷くだけにしておいた。
あまり顔色の代わらないロランの耳が赤く見えるのが夕日のせいかどうか、つられたように湧いてきた羞恥心の聖で、確認することはせず]
えと……あとで、キリルのとこ行くし。
そのときで、いい、よ。
[歩けないほどではない。
すこし足を引きずるけれど、我慢できないほどの痛みでもないから、小さく首を振った]
[広場に程近い茂み。
マクシームが襲われた現場に男は立ち寄る。
黒に近い濃い赤はマクシームが流したもの。
葉にこびりついた歪な塊は――]
――…くっ
[口許に軽く握った手の甲を宛がい眉間に皺を刻む]
何か手掛かりが残っているかと思ったが……
さすがにそれほど甘くはないか。
[独り言ちて、男は静かに瞑目した**]
そ、か。
…急いでた…?
[車椅子の音にも気づかれなかった。
問ながら、車輪を回して転がった材木へ寄せる。
横に身を乗り出して手を伸ばす]
急いでたっていうか……
ちょっと、考えごとしてたから。
[急いではいない。
ただ、混乱していただけだ。
ロランが微かに血のついた材木を拾うのを見る]
ロランは、それ、どうしたの……?
―広場―
[指先は無意識に髪留めを弄ぶ。
暫くぼんやりとしていたから、カチューシャには彼女から声を掛けられるまで気がつかなかった。
一度瞬きをして、彼女の顔を見る。]
何……嗚呼、そう言うことなら。
[断る理由は何も無い。
経緯は見ていなくても、妹が彼女を誘った理由は察する事ができた。]
考え事…?
[材木に手を伸ばしながら首を傾ける。
続いた問に、ん、と頷いて
材木を膝に置きつつ身を椅子へと収める]
ん…、これ、見て。
材木小屋の木材がこんな感じにくちゃくちゃになってたんだ。
何かあったのかな、って、誰かに聞こうかと思って。
確か、棺を持ってきてくれたのはイヴァンだったかな。
[まさか彼がひとりでやったとは知らぬ事]
[ふと、自分の手の中にある物に目を遣る。
体勢を僅かに変えて、カチューシャの目の前にそれを持ってきた。]
そう言えば、これ……髪留めかな。
此処に落ちていたんだが。
[丁度良いからと尋ねた後で、そう言えば汚れたままだったと気づいた。恐らくは彼女の兄の血。
洗ってからにすれば良かっただろうか。そう思いながらも、]
カチューシャの物かと思って。違うか?
[問い掛けた言葉に、不自然な沈黙が落ちる。]
……カチューシャ?
[二度目の呼び掛けで、漸く彼女は頷いた。
心なしか、先よりも顔色が悪くなったようにも見える。辺りの色の所為で良くは分からなかったが。
どうして、と呟く声。]
あ、……嗚呼、悪い。
[何が、と尋ねる前に差し出される手。
彼女の物だと言われれば、返さないわけにもいかない。指先から離れた髪留めは、僕よりも小さな掌に収まった。]
いいや。
[礼の言葉には首を振った。]
分かった、伝えておく……
大丈夫か?
[ぎこちない笑みは、此処で話し始めた時からそうだった。けれど最初とは何処か違うようにも見える。
髪留めを受け取った掌は、微かに震えていたようにも見えた。
小さな、幾つかの違和感を残したまま、カチューシャは早足で去って行った。]
[静かになった広場で、また空を見上げる。月は未だ無い。
とは言えイヴァンを訪ねるにはもう遅いだろうか。]
……戻るかな。
[そうして僕が動き出したのは、ミハイルやユーリーが広場に来るより少し前の事。
道すがら掌に視線を落とす。髪留めを摘んでいた指先には、あの黒ずんだ色が少し移っている。
其処からは微かに錆の様な臭いがした。**]
聞いてみようかな、と、思って。
…、
[視線はまた彼女の足に向いて、赤を追い。
ゆっくりと逸らされた]
…じゃ、キリルのとこ行ったときはレイスに診てもらって。
俺の肘も、もう、痛くないから
[知っているだろうけれど
レイスの傷薬は良く効くから、と添えた]
カチューシャでは、ないみたい。
[めくらましになるのは嬉しいが。
今この時期にどうしてそんな事をしてくれるのか。
分からなくて、思考を巡らせる。
今のうちに。
――本能に理性が飲み込まれないうちに]
そっか……イヴァンさんは大丈夫だと思うけど。
一応、気をつけてね。
[聞きに行くというロランに小さく頷き]
うん、ちゃんと診てもらうから。
ロランの怪我もたいしたことなくてよかった。
[傷へと向く視線と、続く言葉に素直に頷く。
肘の傷も大丈夫だといわれて、安心したように笑みを浮かべた]
/*
あたがまふっとーしそーだよー
じゃなくて単純に体調不良と重なってたことにいまさら気付いてorzしているなう
そうだよな病み上がり+休み明け6連勤+色々ってそりゃ自分きつかったよな…。
健康目標にはしっかり勝利であるけども、そもそも常に眠い状態じゃ負け続きであるとも言えるわな。。。
[カチューシャの笑みに、ロランも表情を和らげる。
手を伸ばし、届けば彼女の腕をそっと叩いて]
暗くなる前に、キリルのとこ行ってね。
夜はまた何があるかわからない
[告げて、向かうのはイヴァンの家の方角だ]
[そっと触れるロランの表情が和らいだのに、笑みを返し]
うん、わかった。
ロランも、遅くならないようにね。
[動き出す車椅子を見送って、歩き出そうとして。
足の傷が痛むのにゆっくりとした足取りになった]
[車椅子の音が遠ざかり、小さく吐息を零す。
足の傷はずきずきと熱を持ち始めていたから、足取りはとてもゆっくりなものだ。
ちょっと歩いては痛みをこらえている間に、茂みのほうからやってきたユーリーを見つけ]
あ、ユーリーさん。
[小さく、名前を呼んだ**]
―イヴァンの家―
イヴァン…いる?
[作業小屋にいるとは知らず、扉をノックする。
声はあるだろうか。
暫く待ってみて物音でもすれば覗くし
何もなければ自宅向かい広場の方へ帰る心算]
…、誰が、何の為に。
[小さい呟きが落ちた*]
[結局何もみつけられずに茂みを出る。
ガサガサと茂みを掻き分けようとして
男は手に握られたままの紙くずに気付いた]
……あ。
[作業小屋に落ちていたイヴァンの書き損じた恋文の一つ。
じ、と見詰め、其れを開く。
けれど目を通す前にカチューシャの呼ぶ声がした]
やあ、カチューシャ。
[不自然に思える足取りに視線を落とせば
スカートの裾が裂けてみえた]
足、怪我したの?
[労わるような響きで尋ねる**]
/*
レイス来ないのかー。
すごく楽しみにしてたんだけどもー。
そして吊られなさげな雰囲気。
頑張る。めっちゃがんばる。
ロランからのヘイトは充分かなという気がしつつ、彼が物理的にキリング不可設計をしてるんじゃないかと心配だったりはする。
ミハイルに後ろから撃たれたいです。ぱーんって
―― 作業小屋 ⇒ 家 ――
…………………
[ユーリーの先ほどの用件を考えていた。
精一杯止めたつもりだが、彼はやると決めたらやるのだろう。
無罪な人物を公表したところで何が変わるとも思えず、首を振る。何か無言で考えた]
[レイスの心の裡は知らず、他に来客予定もなかったのでゆっくりと家にもどっていく]
やぁ、ロラン
……そこで何してるんだ。
[さすがに常のように笑みは浮かべられない。
車椅子の背後からゆっくりと声をかけた。
疲れた喉から出る音は、なんだか淡々として低い]
[ユーリーの姿にほっとしたような、吐息を零した。
ひょこひょこと不自然な足取りで近づけば当然気づかれて]
あ、はい……ちょっと、前方不注意、という奴で……
今夜はキリルのところにお邪魔するから、そのときレイスさんに診てもらおうかと。
[労わるような響きに小さく頷きながら答える。
ユーリーが手にした書き損じはみえない]
今朝は、ありがとうございました。
[ずっと言おうとおもっていたことをようやく言えて、小さく笑みを浮かべた]
/*
狼イヴァンと刺し違える夢を持っていてくれたユーリーにはほんと申し訳ない。狼引けたらユーリーを丸め込もうとするタイプの狼やってたかなあ。
ああ、あの旅人? 食べたのは俺。
せっかくご馳走食べるチャンスだったからさ。
ちゃんと埋めたつもりだったんだけど、狼たちが駄々こねて引っ張り出されて騒ぎになって悪かった。代わりにその狼は群れを追い出して金輪際この界隈に近寄らせないようにしたよ。
……うん。シーマについては俺も慙愧に耐えない。
今まで自覚がなかった狼が目覚めちゃってね。欲望のままに襲ってしまった。悔しいよ。正直悔しくてたまらない。
分かってる、俺の責任だからちゃんと責任持ってしつけるさ。
え、俺を殺す?
何で? 今まで何も迷惑かけてなかっただろ。
シーマを食った罪なら直接俺じゃあないし、旅人を食った罪でも役人につかまるならともかく君に殺される謂れはないなぁ。
ユーリーは牛や馬の肉を食べてる人間を片っ端から殺すの? 人間と牛とどう違うのさ。もう見知った人間はこうはっきりと分かる形で食べないから安心してよ。今回の件は、本当にごめん。殺されるのは勘弁だけど、どう謝罪すべきか悩んでるんだ。
的な。
[不意の背後からの声に、少し驚いた。
みひらいた目で振り返り、息を吐く]
イヴァン。
聞きたいことがあって…、
[ひざに置いた材木を持ち上げてみせる]
これ、何があったか知ってる?
―― 自宅 ――
[示された木材。
ハッとした。すっと血の気が引いて、眉が震える]
………………
[ロランはキリルの幼馴染だ。
想いが通じる前も後も、思わず嫉妬するほど仲がいい。
キリルをもう怖がらせたくなかった]
………いや。
知らない。
[少し視線が泳いだ。軽く呼吸を整えて]
どうしたんだ、それ。何故俺に聞く?
[少しばかり早口だった]
そっか。
[知らない、と言われればそれ以上続ける気はなく。
イヴァンをじっと見上げて口を開く]
材木小屋が酷い有り様だったから。
棺を持ってきてくれたのイヴァンでしょ。
何かあったのかな、って
[目泳がせる様子を見て、首を傾けた]
―― 自分の家 ――
[引き下がられた。心臓の鼓動が高まっていく]
……………
[思わずまだ身に着けたままの鉈を探ろうとしてしまいそうなので、ぐっと拳に力をこめた。掌を開いて、握って、開いて。両の手が踊る]
ああ、うん。そう、俺。
いや……何も。うん。何もなかったさ。
[彷徨わせていた視線が木片に幽かについた紅い色を認めた]
……え、血? 何で?
[少し目を見開いて、思わず意外そうな声を出してしまった。
はっと口を閉じる。少し奥歯を噛んで]
いや、なんでもない
[怪我をしたときの詳細は語らない。
血はまだ滲んでいるから、ワンピースの裾がすこし赤くなっている]
ユーリーさんは、なにを?
[茂みから出てきたのには首をかしげて問いかけた。
その奥のほうで兄が死んだとは知らぬまま。
ポケットの中の髪飾りの汚れの理由もまだ、知らないままだった]
前方不注意?
そうか、レイスに診て貰うなら安心だね。
痕が残らないようにしっかり手当てしてもらうんだよ。
カチューシャは女の子なんだから。
[カチューシャの説明に納得したように頷く。
今朝の事を言われれば笑みを浮かべた。
未だマクシームの事に胸を痛めているだろうと思い
軽い言葉は掛けられない]
如何いたしまして。
[感謝の念を素直に受け取る言葉を返し
微笑む彼女を見詰める]
…、何?
[血に疑問を浮かべる様子は、何か知っているよう。
心中わからず、何度も睫毛をまたたかせて
じっと、視線外さず見詰める]
…、イヴァン?
何か、知ってる、の?
[何をとカチューシャに問われ、男はふ、と視線を彷徨わせた]
ちょっと調べごと、かな。
――…マクシームの居た場所が、其処だったらしいから。
[迷いながらも彼女には知る権利があろうと
如何いう場所なのかを告げた]
ああ、それより……、血が滲んでる。
早く手当てしてもらった方がいい。
血の匂いをさせてたらよからぬ者が寄ってくる。
暗くなる前に――…
[話をかえようと言葉を紡いだはずなのに
結局、事件に繋がりそうな話題となり男は苦笑した]
[塗りつぶされた恋文。
“守るから一緒に村から逃げよう”
と、イヴァンの筆跡で綴られている。
再び彷徨う視線が手元へとゆく。
紙くずと思っていたものが恋文と知れば破顔して]
カーチャ。
キリルの所に行くんだったよね。
それなら、これを彼女に届けてくれないか?
――不器用な男からの、恋文だ。
[皺を軽く伸ばし四つ折りにして
イヴァンからキリルに宛てた恋文を
カチューシャへと差し出した**]
あ、うん。
ロランにも遅くなる前に、って言われたし……
早く帰るつもりはありますけど――
[そこまで口にしてから、苦笑を浮かべるユーリーを見上げて]
あたし、まだ、誰かが兄を殺したなんて信じられなくて。
――誰も疑えない……
[危機感が少ないのはそのせいかも知れない。
怪我をした、その血の匂いに惹かれる存在がいるかもしれないことを意識できていない]
[嘘をつかなければ良かったのかもしれない。
正直に認めればよかったのかも]
[何を?]
[むしゃくしゃして村の共同財産をダメにしました。って。
友人の葬送を急がないといけないときにやったんです。って。
こうしてモノを壊したり人を殴ったり傷つけたり、そういうことが平気で出来るんです。って。
それを全部隠して涼しい顔で生きてるんです。って]
いや、知らない。知らないよ。
[首を振った。もう少し上手くやればいいものを。
この騒動が起きてから上手く取り繕えなくなってきている]
[あぁ、とふと思いついた表情が、くるっと変わって心配そうなものになる]
……その傷、酷いな。血がついてるってことは、誰か怪我したとか? 心配だ。残念ながら何も知らないけど。
[ユーリーから差し出されたしわのよった紙を受け取る。
恋文、と聞いてイヴァンの顔を思い浮かべ]
はい。
ちゃんとキリルに渡しますね。
[愛称を呼ぶユーリーに小さく笑みを返して、ポケットにいれた。
血のついた、髪飾りのあるポケットに]
/*
都会に行って不良やってました的な。
根がチキンなんで足を洗った後も昔の悪行がばれるんじゃないかと不安がってるダメな奴。になった。うん。
…、そう。
[大人しくあっさりと退く。
彼の破壊衝動を知らないから。
無表情を作り貼り付け、続いた言葉に首を傾けた]
カチューシャにぶつけてしまったんだ。
怪我を、させた。
[心配しているように見える顔に、
少し情けない顔を見せた]
[あっさりとした返答に肩の力が少し抜けた。
彼の無表情に喉の奥が少し苦い]
これをここに持ってくる時に?
それは……痕が残らないといいな。
多分大丈夫だと思うけど。レイスは腕がいいから
[その心配は心から。
それからロランがまだ自分に用があるなら二言三言話をして、まだ仕事があるからと断ることでロランが帰るのを見送った]
[茶の一つでも勧めればよかったかと思ったのは後のこと]
[家の窓から、車椅子の後姿を見つめてた]
[疑えないといったことに対するユーリーの返事はどうだったか。
しばし迷うように視線を落として]
もし……もし、ね。
ユーリーさんが人狼を見つけたって言ったら。
あたし、それを信じることにしても、良いですか?
――自分で探すなんて、出来ないから、頼っても、良いですか?
[恐る恐るユーリーを見上げて。
そんな頼みを、小さく告げた]
うん。
残らないといい、よね…
[残ってしまったらどうしよう。
ちょっと、泣きそうな顔をイヴァンに向けてから
材木握る膝の上へと視線を落とした]
…ね、イヴァン、
イヴァンはさ…
[顔をあげ、小さな言葉つむぎかけ。
その先飲み込んで、笑に向け誤魔化した]
なんでもない。
[大丈夫というカチューシャに頷く。
彼女の大丈夫は心配させまいと紡がれる事が多そうだ、と
以前マクシームに言った事がある。
幼馴染には過保護だと笑われてしまったけれど]
――…ん。
[茂みに落とされる青を追うように見詰め]
そ、か。
ロランと一緒だったんだね。
[ずっと一人だった訳ではないと思うと
微か安堵の色が浮かぶ]
僕も信じたくないし疑いたくない。
キミの気持ちは分かるよ。
[カチューシャの声に頷くが]
出来るなら――…
キミには僕さえも疑うくらいの警戒心をもってほしいけど。
[苦笑受けべた男は首を傾げて思いを伝える。
恋文がカチューシャの手に渡れば目を細め]
ありがとう。
助かるよ。
ユーリーさんを疑うなんて、できないよ……
[苦笑を浮かべる年上の人を見上げて、小さく首を振った。
誰をも疑うのは難しいけれど。
兄の友人で、幼馴染の兄で、昔から優しかったこの人を疑うなんて、それこそできるはずもなかった]
― 少し前 ―
[ロランが迷う様子に、不思議そうな顔をした]
いらっしゃいな。
ね。皆で。
[年若い幼馴染たちの様子を見つつも、
三人の返事を聞いて笑みを作って]
それじゃあ待っているわ。
ハーブティーでいいのね。
[紅茶にするかとは、キリルの落ち着けるという言葉を聞いてたずねなかった。
そうして先に、準備に家に戻り、やってきた三人を持成すのだった]
― 自宅 ―
[ハーブティーもクッキーも用意して。
話をすれば、皆の緊張も解けてゆくよう。
ロランの様子になんとなく、紅茶も入れてみたり。
話は聞く側のほうが多い。]
そういえば、キリル。もっと欲しかったら言ってね。
カチューシャちゃんも、化粧とかしてみる?
[そんなことを尋ねてみたりもした]
そういえばロランくんにあげられそうなものって、特にないのよね…。
メーフィエの持ってた本とか、手帳のカバーとか…?
あの人おしゃれじゃなかったものねぇ…。
[町で暮らしていたにしても、と少し苦笑して。
それから、そっとキリルをうかがうように見た。大丈夫だろうかと、心配そうな視線]
―― ちょっと前 ――
そうだな。
[ロランの泣きそうな表情を見て、あぁと同意をした。
少しいつもの調子がもどってくる]
大丈夫だよ、きっとさ。うん。大丈夫
[無責任な言葉を紡ぐ。名前を呼ばれて眉を上げる。
その声音に潜む色に、なんだか落ち着かなくなった]
何?
――なんだよ、気になるな。
まあ、いいや。ごめん。ちょっとまだ仕事があるんだ。
力になれなくて悪かったけど、ちょっと失礼していいかな。
[そんな風に別れを切り出していた]
[迷うようなカチューシャの仕草。
男は彼女が語るを聞いて驚いたように瞬く。
見上げる彼女の青を見詰め返す花色がふっと和らいだ]
カーチャに頼られるのは嬉しいよ。
[問いには了承の頷きを向ける。
一歩二歩、彼女に歩み寄り距離を縮め
男は軽く腰を折り彼女の耳朶に囁く]
――…イヴァンに頼るよう、言ったよね。
彼は信じられる、人間、だから。
僕は人狼か否かを見破る力を持っていて
イヴァンが人狼でない、と、知ったから。
いつか皆に言わなきゃいけないと思ってるけど、
まだ人狼をみつけてないから無謀な事をするなって
イヴァンに言われてしまって、ね。
―― 回想 ――
[それはいたいけな少年の頃]
[朝起きて、まず今日どの服を着るかで真剣に悩む。
選択の結果で母と祖母のどちらの機嫌が悪くなるかが決まるからだ。夜寝る前の家族の状況と朝起こしに来た母の顔色から空気を読む]
[どの順番で何を食べるか。食器を縦に置くか横に置くか。家族の誰にどんな声音で愛してるよと言ってどういう順番でキスをするか]
[子どもの頃からそりゃもう毎日が高度な社会戦だった]
[失敗すると母や祖母は感情を昂ぶらせた後さんざん涙を流し、余計に面倒なことになる。助けを求めて父と祖父を見やると目をそらされた。このやろう]
[とてもくだらなくて、まあ皆適当に空気を読んで限度は越えず、家が離れていることをいいことに近所には仲の良い仮面を見せる。どうせばれてるだろうけど]
[三人が家を出る頃、そっとキリルに言葉をかける。
頭を撫でながら。]
あなたに元気がないと、皆心配するわ。
だから、いつでもいらっしゃいね。
泣いた跡も、全部隠してあげるから。
[そんなことを言って、最後は笑顔で三人を見送ったのだった]
[悪い人、というのは多分そういなくって、全員を間違いなく愛してる。いるだけいいじゃないか。その通り。愛されていていいじゃないか。その通り。ただたまに全部炎で一度に燃えないかなーもう全部吹き飛べばいいのにとか思うのだ。1日に1回くらいのペースで]
[ある程度の年齢になれば、実際にそうなったら耐え切れないし、近くに大切なものを失った人たちもたくさんいるわけで、滅多なことではそんなこと口に出せないのも分かってた]
[そこらへんが、多分ささやかな萌芽]
―― 回想 ――
[幼馴染たちとやんちゃの限りを尽くしてストレスを発散し、まあ恵まれた少年期だった。かさこそかさこそと家で根回しを重ね、遠くの町に進学した]
[自由だった。何を食べようと何を着ようと何時に起きて何時に寝ようと泣かれることはない。すばらしかった]
[都会の生活は刺激的すぎて、ホームシックになっても帰るたびにあー実家爆発しないかなーと思って都会に帰る。そんな田舎者丸出しな学生が、故郷のノリでやんちゃをすれば結果は一つに決まってる]
[悪い仲間と交友関係が瞬く間に出来た。
そして、故郷の友人達にどれだけ恵まれていたのか痛感するのだ]
[え、それ壊しちゃうの。え、そこでその子殴るの?
ストッパーはちょっとずつ麻痺させられて、ウェルカム堕落と退廃と暴力の日々へ]
[仲間が付き合ってる女の子をぼこぼこにして、さすがにどんびいた時に言われた。言った相手は誰だっけ]
『何言ってんだチェリーボーイ。愛してるから殴るんだ。
愛は最高のスパイスだ。
愛しているからこそこいつの涙が狂おしいほど美味いんだ』
[そうかそうか。それで祖父も父も妻が泣いても根本的解決をしないのか]
[えーまじで?]
[まぁそんな日が長く続くはずもなく。
卒業不可であっさりと故郷に帰り、自分の価値観がかなりまずくなっているのを自覚し、後悔した]
[もう二度と町には出ないで真っ当に生きようと心に決めた。
幸い理性で善悪の判断は出来たし、まともな友人がいて、何よりあの暗い街から見るとはるかに眩いキリルに恋をした。大切で大切で、絶対幸せにしたいと誓った]
[幸せの絶頂だった――]
[疑えないというカチューシャの言葉に
困ったような微かな笑みが浮かぶ。
嬉しいと思うと同時に、それは心配の種でもあった]
ありがとう。
[先の内緒話は命を預けるにも似た行為。
曲げていた背を伸ばした男の顔は
いつものように淡い淡い微笑を湛えていた]
イライダは、 ミハイル を投票先に選びました。
[じっと見つめていれば、花色の瞳が和らぐのが見えて。
了承されれば、ほっと息をついた。
頼った事を迷惑がられなかった事が嬉しくて微かに笑みを浮かべ。
近づく人に首をかしげた]
ユーリー、さん……?
[小さく名を呼ぶけれど、耳元で告げられる言葉に口を閉じる。
囁きが耳朶をくすぐり、その内容を理解するのにすこし時間がかかった]
…うん。ごめん。
[仕事があるというイヴァンに、困ったような笑みむけて
彼の家を後にする。
幼馴染みを傷付けた木材は持ったまま]
…――――――
[寂しげな笑みを残して。
その場を去る後ろに、車椅子の音だけが反響残した]
――、……ユーリーさんが、「うらないし」?
[イヴァンを信じている根拠を聞かされて、幾度か瞬きを繰り返し。
御伽噺に出てきた名前は、ただ唇で形をなぞるだけで声にはならなかった]
それは、イヴァンさんが正しいと思う……
そんな事、知られたら……きっと次に居なくなっちゃうの、ユーリーさんだもの。
[それは嫌だというように首を振り。
淡い笑みを浮かべる人を見上げ]
[カチューシャのくちびるが言葉を綴る。
音にならねど何を言わんとするかは伝わり
青を見詰めて、男はしっかりと頷く]
イヴァンが正しい、か。
それでも、居るか居ないか知りたい人は居ると思うから。
――…明日には、皆に伝えようと思ってる。
[淡くもあたたかな陽の光に似た髪。
男は揺れるその色に手を伸ばした]
心配してくれてありがとう。
……ん、それも、ちゃんと分かってるんだよ。
[自分が居なくなった後の事を考え
イヴァンの名を彼女に告げた男はそと目を伏せる]
―広場→茂みへ―
[陽が傾き始める頃。
広場には誰かいただろうか。
猟銃と、森に入る最低限必要な物を入れた布袋を肩に掛けて広場に立つ。
これから茂みを抜け、森へ入る。
森へ入る前の一服。
自分だけのジンクスのようなものだ。
どこでどんな獣に遭遇するか分からない。
最後の一服になるかもしれない。
今回は特に、…もしかしたら、人狼に遭遇するかもしれない。
そう思うと、普段以上に深く香りを吸い込み、深く吐き出した。]
カーチャは優しいね。
[真剣な彼女の言葉に微か顎を引く。
カチューシャが信頼する者になら
伝えても構わないと言うつもりだった。
其の思いは今も変わりないが、伝える機を逸した]
/*
フラグがいっぱい見える気がする。
ミハイルのは襲撃フラグかなぁ。
実はミハイルに伝えるつもりで茂みがさがさしてたんだよn
[頷く人をただまっすぐ見つめて。
ふわふわした髪に大きな手が触れるのをただ受け入れた。
優しい手つきを感じながら、告げられる言葉に瞳を伏せて]
……ユーリーさんが決めたら、反対はしないけど……
気を、つけてね。
ユーリーさんまで、居なくなるなんて、嫌だから。
[分かってるという人に、ただ、心配だとつげる言葉を紡ぐ。
優しくなんてないと知っているから首を振った。
ただ、これ以上、なくしたくないだけだった]
―― 自宅 ⇒ キリルとレイスの家 ――
[どうしたらいいか分からなくて、彼の無表情と声音が怖くて。
追い返してしまった]
………キリル
[話がしたいというのは本当だろうか。
無性に会いたくなった。ずるずると壁に寄りかかるように座り込み、顔を覆う]
ごめん、キリル。
ごめん、ユーリー。
[ユーリーは無罪の人を吊るすといった。
皆、本当にそれをやるんだろうか。
不安定な中で、出来てしまうんだろうか。
はっきりしてれば出来る、と思う。少なくとも自分は]
………よし。
[こうしているうちにキリルが食われたらと思うと怖かった。
獣避けの香料を小さな袋につめて立ち上がる]
[何か急くような気持ちで近道するため森を通り、キリルの家に向かう。途中誰かに会うだろか]
[柔らかに波打つカチューシャの髪を梳き撫でる指先が
頬の輪郭をうすくなぞり、離れゆく。
指先に触れるぬくもりは守りたいもののひとつ]
ありがとう、気をつけるよ。
[居なくならないとは言えなかった。
守れないだろう約束。
彼女には不誠実な事をしたくはない]
キミも気をつけて。
僕はキミが無事であることを願っているから。
[髪から頬へと流れる指がくすぐったい。
仕事をする男の指の固さを感じて、朱色が上る。
気をつけると言ってくれただけでも嬉しいから、小さく笑んだ]
うん……気をつけます。
今日はキリルの家に泊まるから、一人じゃないし。
大丈夫、だよ。
[ユーリーの花色を見上げて、安心させるように告げた]
[白く滑らかな肌が朱色に染まる姿は好ましく映る。
カチューシャを映す男の双眸が優しい色を濃くした]
――…ん。
レイスも居るだろうし
戸締りも――…、と。
[何処かで過保護だと揶揄る声が聞こえた気がして
続きをいうのを止めるのだが]
……送っていこうか。
[足の怪我もある。
さほど距離がなくともついそんな事を言ってしまった]
/* お、おじちゃんとこ通ってもい、いいかなぁ…?
時間軸が若干ズレているような気がしてるから、強行突破してもいいのかな?
イヴァンに遭遇しそうな気がするんだ。
―広場―
[材木を膝に置いたまま、車椅子の音をたてて砂を踏む。
陽光は既に落ち少し欠けた赤い月が天に昇る。
見上げると烏色は写しこんで、赤。]
…月が 昇る。
[目を細める]
[優しい色を浮かべた瞳を見返して、はにかむように笑みを浮かべ]
レイスさんもキリルもいるから。
[途中で止められる言葉には、なんだか兄の茶々が聞こえた気がした。
ユーリーが気にかけてくれるたびになんだかんだと口を挟まれていたせいだろう、きっと]
え? いや、そんなに離れてないし……
それに、一度家によるつもりだったから……ユーリーさんの迷惑になっちゃう。
[申し出は嬉しいけれど。
家にも行くつもりだったから小さく首を振った。
怪我をした足はきっと歩みが遅いから、余計に迷惑がかかるはず]
─ 自宅 ─
[未だ兄は家に戻らず、だからボクは懸命に失せ物を探す。
寝台の下を見た、枕元も見た。
鏡の前には春色を映した化粧品。そこも見た。
けれど探し物は見つからずに息をつく。
失せ物が、兄からカチューシャの手に渡ったとは知る由もない。
仕方なく、纏めておいた洗い物に手を伸ばす。
日の傾く刻限には相応しくないかも知れないけれど、仕方なかった]
―― レイスとキリルの家 ――
[森の中を通れば、いくつもの狼の瞳に見られているような気がした。
ふるりと身を震わせ、手の中の香袋を握る]
………レイ兄、キリル。いる?
暗くなってからでごめん。
[少しためらってから、コンコンとノックした]
[じゃぷり。
血を浴びた衣服を水に漬ければ、微かに血の匂いが漂う。
日が傾き始めている。
淡く香る甘い香りに、ほんの少しの間手が止まる]
…いいにおい。
[人の目に付かぬためには仕方がない。
けれど洗い落とすのは、いかにも惜しくて仕方なかった]
/*
どうやったら死ねるんだろう。
必死で考える。
割とみんな殺しに来てくれたらいいなあ。
ミハイルかなあ。
フラグは立てた。が。
どうなんだろなあ。
一度家に戻るなら尚更だ。
送っていくよ。
[今度は断言してカチューシャの眸を覗く]
抱っことおんぶ、どちらが良い?
[悪戯な笑みを浮かべ問い掛ける。
迷う素振りをみせるなら
男は躊躇わず彼女を姫抱きにするだろう]
─ 自宅 ─
[それは洗い物を済ませて、全て干した頃合だった。
既に日は傾いて、昼は夜にその座を譲り始めている。
紅い月が、天空へと昇り始めている。
微かに扉を叩くノックの音がした。
それへと向かい、ボクは聞えた声に思わず足を止める]
…イヴァン?どう、したの…?
[少し迷って、躊躇いがちに細く扉を開いた]
―自宅前―
[自宅が見えてくる頃、玄関の前に人影を見た。
辺りは薄暗いからすぐには誰か分からず、僅かに身構えてしまう。
目を凝らす。先に、声が聞こえただろうか。]
……イヴァンか。
[それが妹の恋人と知れて、そっと息を吐いた。]
え?
……うぅ。
[断言されてきょとりと、覗き込んでくる花色を見つめ。
続く言葉と笑みにあっというまに頬を染めた。
どちらも恥ずかしくて選びにくい]
えと、歩ける……っ!
[返事をするのとほぼ同時。
抱き上げられてあわてて訴えてはみた]
[夫と子を亡くしたとき、塞いでいてもつぶやいたことがあった。
一度限り、二度はなく。
今ではその衝動も失っていたけれど。
それは、簡単に堰をはずしてしまった]
――…さて、お墓に、行こうかしら。
[森のほうから狼の声が聞こえる。
一人でいるのは良くないのではと、頭を掠めたけれど。
それでも、足は止めることがなかった。
広場の篝火は、今日はきっとないのだろう。
空に上りはじめる月は、今日も赤く見えた]
/*
イヴァンが死亡フラグ立ててる感じがしつつも。
本当に吊り先が読めない。
取り敢えずお兄ちゃんは様子見がてらニヨっておこうか。
―森―
[銃を構えたまま森の中、…ガサガサと草木を分けて入って行く。
何故だろう、今日はあまり動物達を見かけない。
警戒し、遠巻きにこちらを窺っているのだろうか。
無意識に焦って、自分の立てる物音が普段よりも大きくなっていたかもしれないが。
それとも、彼らも何かを感じ取っているのだろうか。]
そろそろ、…陽が暮れるな…。
[もう少しだけ深いところまで…。
そう自分の中で見切りを付けて、引き返し始める頃には、完全に陽は暮れていただろう。]
―― レイスとキリルの家 ――
[いつの間にか、もう月が出ていた。
ため息をつく。また、女の子を訪問すべき時間ではなくなっていた]
[細く開かれた扉。向こうにキリルが見えて頬がゆるんだ]
ごめん。迷惑だったかな。
どうしても――どうしても会いたくなって。
キリル、俺が怖かったらそのままでいいよ。
でも昨日、また毎日話をするよっていったのに、今日出来なかったから。
[背後に何かの気配を感じた。
それがレイスだとは気がつかず、ちらりと後ろを振り返る。
そちらはちょうど暗くてよく分からなかった。首を振る]
歩けるって言っても痛むだろう?
カーチャの怪我が悪化でもしたらと思うと心配だ。
それに、この方がきっとはやい。
[カチューシャが慌てて言えど
男は彼女を下ろそうとはせず
抱き上げたまますたすたと歩みだす。
流れる景色よりも花色が映すのは揺れる金糸。
カチューシャの家に辿りつけば玄関で彼女を下ろし]
用事、済ませておいで。
いそがなくていいからね。
[言葉を添えて、中へと促す]
[いつもなら何も気にせず、そのまま声を掛けていたことだろう。からかいの言葉一つ投げたかもしれない。
けれども赤い月は今日も昇る。]
…… まさか、な。
[嫌な想像が過ぎり、声を掛けるのを躊躇った。
振り返った視線から逃れる様に、少し移動する。丁度近くの木の影に隠れる形になった。
キリルの側からは見えたかも知れないが。]
レイスは、 イヴァン を投票先に選びました。
― →墓地 ―
[辿り着いた墓地で、夫と子の元にひざを付く。
キリルに言った言葉は本心からだ。
さっきまでのことを思い出して、暖かい気持ちになるのも]
でも、あなたたちはいないのよね。
[褒められたとか、お礼の言葉とか。
そういうのを聞いても、一度思い出した感情は消えない]
死んだら、会えるのかしらねぇ…
でも、怒られるのは嫌だし。
[呟きつつ、ネックレスをはずす。通した形見の二つはそこに置いて]
─ 自宅 ─
……ん。
[扉の向こう、見えたのはやっぱり大好きな笑顔。
迷惑と言われてふるり、と首を横に振った。
どう伝えたら良いのだろう。また少し泣きそうになる]
ボクも…、会いたかった。会いたかったの。
[それでも中に招き入れることはしない。
境のように扉を立てる向こう、人影が見えた。
既に暗くなりはじめる道の向こうではあったけれども]
────…?
[兄貴。と、イヴァンの肩越しに声をかけようとした。
けれど隠れるように影が移動をするのに、困惑して口を閉ざす。
少し、声を掛けるのを躊躇った]
/*
とりあえず投票してみたりしつつしつつ。
でもこれ通っちゃうとキリング僕になりそな予感。が。
と言って他の人を殺れる気は微塵もしなかった。
痛い、のはいたい、けど、我慢できないほどでは……
[心配してくれる気持ちを否定はしたくないし、実際運ばれるほうが早いのは確実だけど。
それでもしっかりとした腕の中で運ばれる恥ずかしさはなんとも言いがたくて。
赤く染まった顔を隠すようにちょっとでも俯こうと無駄な努力をしていた]
――ありがとう。
直に済ませるから、ちょっと待っててください。
[玄関でおろされて、急がなくて良いといわれても恥ずかしいからつい早足で歩く。
とはいえ痛みで直にひょこ、と立ち止まるけれど。
それでもなんとか用事を済ませた。
手にしたのは一つの袋。
中には着替えとキリルにサンドイッチの秘訣を教えてといわれて思いついた調味料の小瓶]
……っ、おまたせ、しました。
[ぱたぱたと、動き回ったせいで、かさぶたになりかけていた傷がまたすこし開いた]
―広場―
[日が沈めば、茂みの奥のミハイルが灯りを使えば見えるだろうか。
広場へと戻ってくるようならそれを見詰め。
誰か別の人が来ればそちらへと目を向けるが]
/*
死亡フラグが乱立しすぎだなwwww
カチューシャに責められるまでは死ねない気が する。
ってことは明日か、明日なのかね!!!
あれ、それじゃあ今日はどうするんだい。どうしようww
―― レイスとキリルの家 ――
あぁ。そう言ってもらえて良かった……!
[遮られるように立てられたままの扉。
疑われたり恐れられたりするのは当たり前で、こうして合って貰っているだけで感謝すべきだ。分かってる。でもどうしようもなく不安だったから]
中にレイ兄はいる?
[その在不在を確認したかったのは、中で一人よりは中に彼がいた方が安全なんじゃないかと思ったから。彼とはふるい付き合いだが、キリルと恋仲になってから何となく後ろめたい思いを持っていた]
あのさ。今日、その、シーマの件があったから。
だから、
[扉で遮られて彼女の視線の先は分からない。
背後の気配に落ち着かなくて時折挙動不審に振り向くけれど、それは森の中で感じた幻想と同じなのかもしれない]
人狼がいるってこと、怖がってるんじゃないかなって。例えば、俺とか。
生きるために──…
誰かを犠牲に。
[嗚呼。くらりと眩暈がする。
でももう少し。今はまだ呑み込まれるわけにはいかない]
…────、今日は誰にしようかな…。
[最後は密やかに、冷酷な獣の気配が滲んで嗤った]
[抱き上げている間は俯く彼女の口許がちらと見えるくらいか。
玄関で待つ間、考え事をするように視線を足元へと向ける。
声が掛かり、戻ってきたカチューシャを見遣れば
開いた傷口から赤が一筋の線を描こうとしていた]
急がなくていいっていったのに。
困ったこだね。
[彼女に向けることは柔い響き]
キリルやロランの言葉ならキミは素直にきくのかな。
[小さく呟き、なんでもないというように首を左右に振る。
袋を手にした彼女に歩み寄り
先ほどと同じように抱き上げようと手を伸ばした]
―森―
[薄暗くなり始めた頃には、ランタンに火を入れた。
普段ならば鳥の鳴き声くらいは聞こえるのに、今日は耳にしていないように思う。]
結局、今日は何もみつかんなかったな…。
[未だ銃を構えたまま、広場の方へと戻ろうとして、ハタと足を止めた。]
あ、…篝火。
……は、もう要らねぇ、か。
[マクシームは篝火のある広場横で殺された。
篝火には何の意味も無かった、ということだ。]
─ 自宅 ─
…ごめんね、イヴァン。
[大きく安堵の息を零すのに、彼の裡の怖れを知る。
それが申し訳なくて、ボクは僅かに眉を下げた。
問われるのに、再び首を横に振る]
ううん、まだ誰も。
今夜はカチューシャも泊まりに来る予定なんだけれど。
だから今は、……だい、じょうぶ。
[戸口で話をしているのを気にしたかと、付け加えた。
木の陰に隠れた兄の姿は見えていたけれど。
気遣ってくれているのかと、声立てるのを抑える]
ボクが、イヴァンを…?
[意外な言葉を聞いた。とばかりに、瞬いた。
目を見張り、緩く首を横に振る]
……ごめんなさい。
早く戻ってきたかったから……
[柔らかい声で告げられる言葉に、しゅんと俯いた。
さきほどまで傷を意識していなかったから、血がまた流れている事に気づいて心配させてしまったのだと理解する。
キリルとロランの名前に首をかしげ]
ユーリーさん?
[不思議そうに問いかけた。
小さな呟きはちゃんとは聞き取れなくて、何を言ったのか考えていたから彼の行動への反応が遅れた]
ひゃっ! っ、ま、また……?
[抱き上げられて、近い位置にある顔を見上げ。
羞恥をうったえるように、含羞を含んだ瞳で睨む]
…イヴァンが、今は目の前に。
兄貴もすぐ、傍にいる、から。
────…辛い。
[扉を押さえる手に、力を篭める。
今はと抑える理性と紅い月に呼び覚まされる本能と。
波のように打ち寄せる二つに抗うように、木の扉をきつく掴む]
― 広場 ―
[空を見上げつつ、広場へと向かう。だから足元はあぶなっかしく、
時折躓きかけたりもした。
やがて辿り着いたそこには篝火はなく
暗い森には明かりが一つ、ゆらめいている]
ロラン、まだ、外に居たの。
そろそろ夜だから、ちゃんと鍵しめておかないと。
[広場の影に、まずはそんな風に声をかけた]
…ねえ、イヴァン。
本当に人狼は、いるのだと思う?
本当に村の中にいるのだと思う?
だとしたら誰だと思う?
ボクは──…、
[一つの名、告げかけて躊躇い、]
………ボクが人狼なら、イヴァンはどうする…?
[きつく木の扉を掴んだまま、問い掛けた。
───月が、紅い]
キリルは、 ミハイル を投票先に選びました。
─自宅前─
[聞くつもりは無いのだけれど、辺りが静かな所為か。時々聞こえてくる会話。
如何して僕の不在を尋ねるのか。
如何して何処となく挙動不審なのか。
疑念は重なって、その度に嫌な想像が掻き立てられる。知らず知らず眉間に皺が寄っていた。
それらは全て、ただの想像に過ぎないのだけれど。]
/*
ミハイルさんと吊りあいたい、のだけど。
こうなるかも知れん。どうなるだろうwww
うおおお、どう見ても本日吊られるべきは私!
動き悪くてすまぬすまぬ…週末クオリティすぎた。
―― レイスとキリルの家 ――
いや、いいよ。こんな時間に尋ねてきた俺の方が悪い。
[謝罪合戦になってしまいそうだから、くすりと笑った。
でも、笑みはどこか薄く、切なげに眉が寄る]
そっか、カチューシャと、レイ兄と。
じゃあ安全だ。良かった。
[さすがに兄を食べないだろうし、妹を食べないだろう。
けれど、自分が傍にいられない場所にいることを許されている人が多くいて、辛くなってきた。ぐっと拳を握りこむ。香袋を持ったまま、扉の上の方に手をついた]
[そこで、きっぱりと信じると言われた。目を丸くする]
え?
じゃあ、何で。
[ああ、だめだ。そんなにきっぱり言われてしまうと、本当に顔が見たくなる。大丈夫、抱きしめたいけど触らない。顔だけ見られればいいや]
[知らず、ちょっと声が低くなった。
ちょっとだけ下心が滲む声]
ねえ、キリル。じゃあ、って言うわけじゃないけど。
お願いがあるんだ。もっと近くで顔を見たい。
ここを開けてもらえないかな。ちょっとでいいんだ。
ああ、そうだ。渡したいものがあるんだよ。
それを渡すまででいいや。
謝らなくていいよ。
[しょげる様子が目に留まれば
カチューシャにそっと言葉を重ねる。
小さな呟きが彼女に届かなかった事に僅かな安堵。
年下の彼女に、拗ねているのだと知られるは恥ずかしい]
ん、なんでもないよ。
さて、いこうか。
[慌てるような響きが耳朶に触れれば
クツクツと愉しげに喉を鳴らす。
睨む青に花色を重ね]
カーチャは可愛いね。
[にっこりと笑みながら囁いた]
[イライダの姿に、ペコリと礼をした。
パチパチと、目を瞬いてから、茂みを指さした。
遠く、ランタンの灯りがチラチラ見える]
…ん。
あれ…なんだろう
[膝の上の材木はまんまに、
不思議そうな顔をイライダに向けた]
投票を委任します。
イヴァンは、 レイス に投票を委任しました。
[夜の帳の下りた道を歩み
男はカチューシャをキリルたちの家へと運ぶ。
玄関に人影がみえればきょととして
彼女へと一度視線を送るが――]
――…何をやってるんだか。
[ぽつ、と呟いて。
家の前まで行ってから
抱いていたカチューシャをそっと地面に下ろす]
ユーリーは、 イライダ を投票先に選びました。
/*
orz
その手があったかー。
でも今日イヴァン以外に誰吊るんだろ。
正直投票場所が分からなすぎて委任しか出来てないんだが。
/*
すっかり忘れてた。ぜ!
そういえばカチューシャが泊まりにくるってことは、キリルの家が混むってことだった。
イヴァンうっかり。
[しょんぼりした気分とか、聞き取れなかった言葉への疑問とかは、抱き上げられた羞恥にどっかに飛んでいった。
愉しそうに笑う人を、赤く染まった顔で睨み]
〜〜っ、ゆ、ユーリーさんの意地悪……っ
[花色の瞳に見つめられた上に囁かれる言葉に、耳朶まで赤く染めて。
手にした袋を抱きしめて顔を隠した。
可愛いといわれるのは、はずかしくて、でも嬉しい。
さらには抱き上げられているものだから、まともに彼を見ることもできなかった]
ううん、誰か――
[いるんじゃないか、と。
そんな言葉は、茂みの音に止まる。
そこから現れたミハイルを見て、瞬いて。
告げられた言葉に、少し拗ねたような表情を作ってみせる]
あら、そんなこと。
ミハイルもじゃない。出歩いて、しかも森なんて――
[不自然な言葉のとぎれ。それから、うつむいてしまうのに、こちらも言葉が止まった]
……あなた、具合悪いの…?
[羞恥に染まる肌も
顔を隠すその仕草も
意地悪と紡ぐ声さえ可愛いと思う。
思うもののそれ以上言葉を重ねれば
カチューシャを困らせるだろうと思い飲み込んだ]
─ 自宅 ─
…、ん。
[ごく小さく零される笑みに返る声は、ごく短い。
恐れぬという指先は、それでも微かな震えを帯びていた。
堪らず、一度地面へ俯く]
心配してくれたの。…ありがと、イヴァン。
イヴァンこそこんな時間に、危ないのに。
[声がくぐもる。
問い返しに、ふるふると首をまた振った。
それ以上をこたえずに、続く願いに顔をあげる]
[暗くなった道では、他に誰か居てもよくは見えず。
というか袋で視界をふさいでいるから明るくても見えはしなかった。
ユーリーにつれてきてもらったキリルの家の前。
そろ、と周囲を見れば玄関から離れた位置に居るレイスと、玄関先のイヴァンが見える]
……なんだろ……?
[同じような疑問を零し。
ユーリーが丁寧におろしてくれる仕草に、ありがとう、と小さく告げて]
……たすかりました、けど……恥ずかしいので、次ぎはやらないでほしいです……
[そんな頼みを、しておいた]
イヴァン。それは駄目。
駄目なの…大好きだから。大好き。
だからお願い、……っ
[もう帰って。とまで言葉にはならずに扉を掴む。
ほそく開いた木の扉は、切迫した声の調子を恋人に伝えよう。
それでも不安定な境界は、力篭めれば容易に開く]
明日の朝じゃ、駄目…?
[拒みきるには迷いも多く、揺れる声が問いを向けた]
/*
ぴこーん!
逃げる⇒森の中へ⇒そいつがルパンだおえー!⇒ミハイルにぱーん
よし、完璧だ。ユーリーの白判定さえなければ。
/*
そして襲撃するには、こっち人口密度高いね。
自分含めて5人とかいるんじゃn
ロランすまぬwwwすまぬwww
嫌、あとでやとろうか。そうしようか。
それでもいいよねww
…っ
[ミハイルの声に、肩をきゅっと竦めた。
けれど、次の言葉が降ってこないのに、瞑った目を片目だけ開けて]
ミハイル!?
[大きな声を出した。
車椅子を咄嗟に動かし、彼の側に倒れるまでに間に合うか]
/*
ううううん、襲撃はイライダ姉さんか!!!
という気がしているどうだろう。
セットしておくかな…どうすっかな…
どうよ相棒。また相棒( とか思ってる。
[どういう状況なのかは掴めない。
疑問零すカチューシャにわからないと言うように首を傾げる。
礼の言葉が聞こえれば目許を和ませ]
――…そうだね、善処しよう。
[頼みを了承するのは
また彼女が怪我することがないよう望む気持ちがあったから。
ひら、と手を掲げるのみで次を約束する言葉は紡がない]
[扉開けば、紅い月の光が目に飛び込む。
そうなれば本能抑える自信は、もう既にない。
恋人との境隔てるのは、僅かに開いた薄い木の扉が一枚だけ。
そして傍には兄も居る。
やがて程なく、カチューシャも来るであろうに]
…ひと、多すぎる……
[懸命に堪える。今本能を解き放つのは、自殺行為だ]
― レイスとキリルの家の傍 ―
[善処、という言葉にちょっと不満そうな視線を向け]
……怪我しないように、しますから。
今日は、ありがとう……
[ユーリーにいろいろな意味を込めてのお礼をもう一度つげた。
彼が立ち去るのなら見送って。
振り返った玄関先にイヴァンがいるから、たぶんキリルも居るだろうと、まだ家に入るのは遠慮している。
レイスが断片的に聞き取った会話も知らないから、ただその場にいるだけだった**]
ロランは、 ミハイル を投票先に選びました。
―― レイスとキリルの家 ――
俺?
はは、危なくなんかあるもんか。大丈夫。
こう見えて案外強いよ。そうだな、狼が来たら、俺はともかく君は絶対守る。そのくらいには。
[しつこい男は嫌われる。分かってる。肩を落とす]
[決死の声音で拒否されて、拳にぐっと力が入った。
何かをこらえるみたいに]
狼は夜くるって、聞いたから。
どうしても嫌ならいいけど……
[賑やかな背後の気配が増えたのはそんな頃か。
びくりと肩が震える。細く扉を開けさせたせいで彼女が狼に襲われたらたまらない]
[けれどそうして警戒するように振り返ったのがいけなかったか、思わぬ力が入り、扉を無理に開けるように引く形になった]
……ん。今、周囲に皆がいる、から。
でも月が、もうそこに、
ごめん、ロラン。
もしも堪えられなかったら、暴かれてしまったら…許して。
俺、は…いーんだよ。おじさんはつよいからー。
[イライダの言葉>>396に、俯いたままそう答えた。
「森なんて」と言われるのには苦笑して。]
あぁ、なんか手がかりでもねぇかなーってな。
…なぁーんもみつかりゃしなかったけどよ。
[不自然に切れてしまったのには流石に気付かれて、]
ちょっと、寝不足。 眠れば治る、から。
[咄嗟に支えてくれようとしたのか。
近付いてきたロラン>>402の頭にはぽふ、と手を乗せた。
そのまま、ニ、三度撫でるように手を動かした後、]
ンなこた、どーだっていいから。
お前等、ちゃんと家帰って戸締りしろって…。
[グリグリ、とロランの髪の毛を乱した。]
/*
wwwwwwwテラカオスwww
待て、どうしたいんだい。どうするのがいいんだい!?
対立はした方がいいよねいいよね……
どうしようwww
ばっかじゃないの。
体調が万全でもないのに何を考えてるの。
[文句言うような口調。
ロランがあわてて近づくのを見て、自分も彼らへ近づいて]
だいたい探すなら夜じゃなくてもいいでしょ。
何でそういう馬鹿みたいなことするの。
家で戸締りくらいするけど、まずはあなたを送ってくのが先だと今日は言わせてもらうわ。
[きっぱりと言い切り、次いでロランを見る]
ねぇ、ロラン。一緒にこのおばかさんを家に連れていきましょう。
一人にしとくとまたふらふらするんなら、見張りで勝手に泊まるのもありね。
[不満そうな様子に少しだけ困ったような様子。
けれど怪我しないように、と彼女が言えば
安堵したように笑みを深め頷いた]
こちらこそ。
カーチャと話せてよかった。
[カチューシャが中に入れずにいるのが気になるが
彼女にも考えがあるだろうとお節介は控えておく。
男は彼女に別れを告げて
誰も居ない家へと戻ってゆく]
─ 自宅 ─
…っ、ばか!
そんなことを言って、本当に……!
[本当に、なんというのだろう。
言葉を切って唇を噛み締める。思わずまた、俯いた]
……明日の朝、イヴァンの家に行くから、
[頼りない約束を囁きかける。
俯いていたから、咄嗟の動きに反応は遅れた]
/*
んー。
なんていうか、皆々様に申し訳なさすぎてもう、ね。
ごめんキリル。
恋人縁故を拾ってくれたのに、美味く生かせてないような気もしないでもなかった。でもありがとう。
[聞こえる声に、頷く。
目を盗めるだろうか、とチラチラと2人を見あげ]
俺の所はふたり、かな。
…気を反らせられれバ。
[何時でも。
手の中で、握る手は強くなる]
[開かれた扉の頭上、凶暴なほど赤く月は輝いている。
今はと退いたのは、僅かに残る理性と判断。
ふたつ、足音が増えたのも先に人ならざる耳は捉えた]
イヴァンに、兄貴に…多分、カチューシャが、
[全て襲い尽くせたなら。
喉がこくりと鳴る。警鐘が脳裏に響いている]
―自宅前―
[泊まりに来る筈だった少女がすぐ近くまで来ていた。その事にも気付けはしない。
それくらい、視界は狭くなっていた。
扉の開く音がする。
実際には偶然に過ぎないそれが、彼の手で無理矢理開かれた、ように見えた。
何か思う前に、身体が動いていた。
懐の鋏を掴む。]
キリルは、 イヴァン を投票先に選びました。
ばかっておま…!!
第一、わざわざ夜に入った訳じゃねぇ。
ちょっと引き際を見誤って夜になっちまっただけだ。
[――嘘だ。
夜なら夜で、普通の人間は出歩かない。
動くものを見つけたなら、ひたすら銃弾を撃ち込むつもりだった。
結局、銃弾は一発も放つことなく終わったが。
送るという話が出てくるのには、]
ちょっと待て、も、もう平気だ。
ちゃんとお前も送ってくから…!!
[これで帰りにイライダやロランが襲われたなら、生きてはいられないくらいに自分を許せそうもない。]
[闇色に包まれた家に男は明かりを灯してゆく。
奥にある自室にゆけば机に置かれたままのクッキーに手を伸ばした。
一欠けらを頬張りながら厨房でグラスを二つ出し
それに葡萄酒をなみなみと注ぐ]
――…は、
[一口含み、ゆっくりと嚥下して]
今夜は酔えそうにないな。
[シーマ、とくちびるのみで幼馴染の名を紡いだ**]
ロランは、 レイス を投票先に選びました。
―― レイスとキリルの家 ――
あ、ごめ……
[無理矢理開けたみたいな形になってその拍子に香袋を落としてしまった。彼女が後ろに退くのを見れば、それを支えようと手を伸ばす]
[さっき彼女が扉越しに何かを言っていたのはきっと、扉に阻まれてしまって聞こえなかったけど]
ごめん。キリル。
[獣避けの香袋。キリルへ、と小さくリボンの宛名がついている。
それは触ると少しくしゃりとした感触がある]
[中をもし覗くなら、小さな走り書きで
『これは獣避けだけど、もしこの匂いが酷く嫌いだったらごめん。その時は俺の家に来て。一緒に逃げよう。しばらくは苦労をかけるけど、色々な意味で衣食住には不自由させないから』]
[そんなメモが、一つだけ。念のために入ってた]
ロランは、 イヴァン を投票先に選びました。
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