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書生 ハーヴェイ は 牧童 トビー に投票した
学生 メイ は 冒険家 ナサニエル に投票した
牧師 ルーサー は 流れ者 ギルバート に投票した
冒険家 ナサニエル は 牧童 トビー に投票した
見習いメイド ネリー は 流れ者 ギルバート に投票した
牧童 トビー は 冒険家 ナサニエル に投票した
双子 ウェンディ は 牧童 トビー に投票した
流れ者 ギルバート は 牧師 ルーサー に投票した
お嬢様 ヘンリエッタ は 冒険家 ナサニエル に投票した
牧師 ルーサー に 1人が投票した
冒険家 ナサニエル に 3人が投票した
牧童 トビー に 3人が投票した
流れ者 ギルバート に 2人が投票した
牧童 トビー は村人の手により処刑された……
見習いメイド ネリー は、お嬢様 ヘンリエッタ を守っている。
次の日の朝、牧師 ルーサー が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、書生 ハーヴェイ、学生 メイ、冒険家 ナサニエル、見習いメイド ネリー、双子 ウェンディ、流れ者 ギルバート、お嬢様 ヘンリエッタの7名。
そうね。
何も届かない。
でも……
自分から、離れていってしまうこともないのよ。
そしてその人の命を奪うということは、その人を奪うことだわ。
誰にももう、できないの。
殺した人にしか……
でも……
―一階・廊下―
[ 濡れた手を拭くのも其処其処に一歩遅れて厨房を出てみれば、広間の前で立ち尽くすネリーの姿。其の横顔を見れば先程の言葉を思い返すも再び其れを口にする事も無く、彼女の脇から広間の中を見遣れば安穏たる光景は何処にも無い。
最愛の女を亡くした男に詰め寄る少年、黒衣の神父と対峙する怪我人の男。何方も尋常成らざる様子で、其の眸には殺意とも云い難き物すら宿り正に一触即発と云った雰囲気か。容易に声を掛ける事も出来ずに、言葉を失い黒曜石の双瞳を見開いて其の場に立ち尽くす。]
[その言葉は、少し嬉しくなった。同時に悲しくなった。]
……そうね。そう、あれたら良いのにね。
わたしを……
嬉しいけれど、わたしは逆なのだもの。わたしが、守りたかった。
わからない方が良いのかもしれないわ…
だから人間は、同族を殺すのだから……殺すことを一番の禁忌としながら。
[それからわたしは、現れた姿に頭を下げて微笑む]
さあ、こんにちはで良いのではないかしら。
いやあ、折角人狼を始末したと思ったらこのザマですよ。面目ない。
[苦笑しながら、頭を掻き掻き。]
すみませんねえローズさん。
貴方の言葉は、彼にきちんと伝えました。
……きっと、乗り越えられるはずです。
っ…神父様!
[少女は殴られたルーサーの傍に駆け寄り、その身を起こす手助けをする――]
[するり――]
[伸ばした手と共に視線は――]
[鋭さを増したまま、加害の青年へ*送られていた*]
何をやっているんだか……。
[ 呆れを含んだ聲は男へと向けたものか、人間達へと向けたものか。
嗚呼、此れが人の絆故に起こるものだと云うのならば、何と醜き事だろうか。憎悪は憎悪を呼び其の連鎖は果て無く続くと云うのに。]
/中/
まあ中会話はまとめサイトに
http://werewolf.rash.jp/?%c0%d6%a4%ad%b1%ab%b9%df%a4%eb%b3%b3%a4%ce%be%e5%a4%c7
ちなみに時間軸などのずらしを自由にいれられるように設定してあるんで(←昨日のログ)
今会話していても「後の話にしちゃえばいいんですよ」(待て
/中/
過去ログなどを読んで、空気の読み方のお勉強をしましょう。
同じタイプの言い換えなし完全RP村なら
http://www.juna.net/game/wolf/room/1554/index.html
仔羊達の鎮魂歌
こちらがお勧め。
あまりゲーム中に中発言したくないのでこれにて。
/中/
うーん、ほんとにこのスクリプトってば、妙に空気を読んでくるよねぇ……(' ';;
こうなると、メイ視点ではナサ投票一択だなぁ。
それにしても、うん。
保険をかけておいて正解でした。
今回は、派手に動きすぎましたからねえ。
異端審問官、失格のようです。あはは。
[空笑い。]
ー玄関前〜広間前ー
[外の明るさとの対比で、少しだけ目が眩んだ。
けれど、絨毯に落ちる血痕だけは黒ずんでなおはっきりと視界に飛び込んでくる。]
なんで……?
[もう、誰も死ぬはずがない。
ならば、この血は誰のものだ?
血痕に誘われるように、玄関を進めばよりはっきりと聞こえる喧騒。
まだ幼い叫び声はきっと、あの少年のもの。]
[黒い姿にちらりと目を向け。]
…感謝している。
[獣の姿のまま、ぽつり。]
僕は、ここで殺されたかった。…姉のように。
[一体これは――如何したことか。
傍に先程の青年が来たのが分かったが、あまりの光景に動くことは叶わなかった。
蒼髪の男性に殴りかかる少年。ああ、そう言えば今日殺されたと聞いたのはあの娼婦の女性。
その傍で殴り飛ばされる牧師、殴ったのは怪我をしていた筈の男性。
何故このようなことに。
働かぬ頭のその隅で思ったのは、ああ手許のスープは無駄になるかも知れない、と言う場違いで如何でも良いことのみだった]
[何かに気が付いた様な]
[ハッとした驚きに似たものが面を過ぎり]
[急速に激情が去って]
………!……
[不規則な忙しない呼吸][息苦しいと言った表情]
[恐怖][驚愕][また混乱]
[涙が溢れ出し][立ち竦む。]
……
生きて幸せになってくれると良いのだけれどね。
[それからふっと、身体の力を抜く]
ん……
どうしてかしら、生きてたときより――
[わたしは自分がどうなったのかわからない。だけれど。
*ゆるやかに闇に落ちて*]
いえいえ。私は職務を果たしただけです。
それよりも。
[にこりと笑って。]
あんな男の為に、手を汚す事などなかったのに。
[くす。黒い微笑み。]
[ただ、呆然と。
目の前の光景を見つめるしかできない。
何か違って。
何か間違って。
そんな思いはあれど、でも。
押し止める言葉には、ならずに]
―広間―
[「俺がローズを死なせた」その言葉には返す言葉も無くて。
トビーが殴るのをただ受け続けて
だけど
ぷつり
何かの糸が切れて
少年を振り払う、強く、倒れる少年
ごつり
何か鈍い音がしたのに気付かずに]
お前に何が解る!!
俺がどれだけ悔しいか…お前に解るのか!!
…美味でしたよ、彼は。
[殺せば自分のものになる、そんな先ほどの言葉がふと思い浮かぶ。]
仇もあるが、彼を喰えばどんなに美味か…そんなことも考えていました。
悲しみ、怒り、恐怖…そんなものが積み重なった魂は最上のスパイスとなる。
…あなたも、きっと良い味がしそうだ。
……それにしても。
生者の世界に干渉出来ぬこの身がもどかしいものですねえ。
[大袈裟にため息。]
ウェンディが泣いている時に慰められませんし、
苺もお酒も楽しめませんから。
…………ああ。
まだ、花籠に果物がっ!
[今更思い出したらしい。]
果物か。
[彼の様子をちらりと見て。]
お前は、苺を摘むときに、苺が可哀想だと思うか?
苺を潰してジャムにする時、苺が可哀想だと思うか?
……ふふ。それではきっとご期待には応えられそうにありません。
人狼に対して感じるものなど、ありはしません。
ただ、職務の為に狩りを遂行していただけですから。
[にっこり。]
俺がローズを守れなくて悔しくないと思っているのか?
俺が…
……トビー?
[倒れた少年が動かない事に気づいて声を
少年は動かない]
おい…トビー、冗談は……
[抱き起こそうとして、気付く、出血
少しずつ、床を染めて]
お、おい!トビー、しっかりしろ!おいってば!!
[動かしてはいけない、解っていたけれど
それでも
呼び掛ける、その体を揺さぶって
返事は無かった]
ト、ビー……?
[”あんたが死なせたんだ”悲鳴のような叫びは、いつかの夜、目が合った時に笑った彼の印象とは掛け離れた声。
そしてくぐもった殴打の音。
なにかが倒れる音と、神父を呼ぶ少女の声。
いくつもの音が交差し、よく聞き取れない。
急に薄くなったように思える空気を、ヘンリエッタは吸い込んで、騒ぎの中心へと歩を進めた。]
全く、人狼というものはこれだから。
[大仰に肩を竦め。]
流石に苺と人間を同格にしたくありませんよ。
苺に失礼でしょう。
[そっちか。]
ぁあ、……ぅあ。
[ゼヒ、ゼヒ、ゼィ、]
[呼吸音][喉が鳴り]
[声を出すのも儘ならぬ][そんな様に眼を泳がせ]
[手を喉元に]
[苦痛に喘ぐ][涙で歪んだ視界]
[青年の怒声と][弾き飛ばされた少年が目に映る]
……!!
[ぐったりと倒れた少年]
[蹌踉めきつつも][必死に其処へと近付こうとするが]
まあ。何にせよ。
ナサニエルさんとウェンディに託しておいたメッセージが役に立つ事を祈りましょうか。
[手を組んで祈り、十字を切る。]
誰か…
[医者を…言いかけて思い出す
医者は、来ない]
『……ぅ…』
[トビーが微かに呻いて、その顔を覗き込む]
しっかりしろ、な?大丈夫だ、これくらい……
[嘘。
このままじゃ助からない]
『……何で…ろ…さん……まも……』
もう良い!何も言うな…もう……
[少年の言葉が、少しずつ弱くなる]
……あ。
[トビーがナサニエルに殴りかかって。
ナサニエルがトビーを殴り飛ばして。
その瞬間]
……やめて。
[異能の視界は、ふわりと飛び立つ少年の影を、捉えて]
いやだよ……?
[呟くけれど。
『声』が。
聴こえて]
われらにとっては、人間など搾取するべき資源に過ぎないのだ。
[すっと人の形を取り、彼を覗き込むようにその顎をとる。]
あなたは、苺のほうが人間より可哀想だと、いうのだな。
…そして、職務のためならためらわず誰でも殺せると。
[其れは為らず][もどかしい程の緩慢さで]
[恐慌][不安]
[青い髪の青年が、動かぬ少年を抱き上げようとし]
[少年の頭と][床が][血に染んで]
…こんな話を知っているか?
人狼の牙に襲われて、それでも死ななかった人間は…
その毒に侵され、いずれ獣になると。
われらのような生まれながらのモノとはちがうが、な。
…彼は、殺したな。
大切なものを壊された腹いせに。
[くつり…動かなくなった少年と、うろたえる男をみて哂う。]
まあ、順番に答えましょうか。
[顎を取られても、一切動じず。]
苺云々は言葉の綾ですって。大袈裟ですねえ。
[しばし沈黙。]
……今回の事件が起きるまでは、そうでした。
死んだ今だからこそ明かしますが、ウェンディを実の娘のように思っている事に気付いたのです。
故に、彼女がもし人狼だったのなら殺せたかどうかわかりませんね。あはは。
[自嘲的に笑う。]
/中/
修羅場の途中ですが。
銃型自動結界張り機(だからネーミングセンスが(略))の紋を赤い猫→赤い狗に変えて良いですかorzファビオラさんなので(謎
ちなみにこの紋は施設のマーク也。
…そう、お互い殺し合うのは人間だけ。
神から爪も牙も与えられなかったが故に、
自ら作った禁断の爪と牙で、お互い殺し合う。
[感じた思念に、そうつぶやいて哂う。
既に己の声は其方には届かぬが。]
[抱き起こす、その腕の中で
少年は力を失くして
ぱたり
腕が床に落ちる]
…トビー?
……俺が、殺した……?
[呆然と、目の前の事実を確かめるように呟く]
俺が……
[半ば放心したように、座り込んで]
……毒に侵され、獣に。
へえ。その話は初耳ですね。
生きていれば、手記でも出して書いて差し上げようと思ったのに。
[くつくつ哂う。]
…義兄は姉を殺したのに、お前はあの子を殺せぬのか?
お前の方がよほど、誰でも殺しそうに思うのだが。
[よくわからぬと、困惑の顔。]
[広間の前迄来た時、不意に一瞬だけ、怒声が途絶えた。
ふわりとどこからかスープの匂い。
食欲をそそるはずの南瓜の甘い香りが、何故か場に不似合いに感じた。
そして、少年の名を呼ぶ声。
それに答える声は、聞こえない。]
[閃き][断片]
[血に染んだ骸。]
[……否、其れは肉塊ですらなく。残骸。]
[……嗚呼。]
[斯うして俺は、罪を背負い、]
[自らも罰せられ]
ナサニエルさんがトビー君を殺したのは、単なる弾みですよ。
『殺した』のではなく、『事故』です。
言葉は慎みなさい。
[静かな声色で、感情の色はなく。]
─父さん…母さん…ねぇさ…………………おにいさん…─
[それは、聞きなれた少年の声で。
今朝、自分を必死に呼んでくれた声で。
それが意味する事なんて、理解したくないのに。
巫女の力は。
それを。
現実を突きつけてきて]
……ねえ……どうして?
[掠れた問いは、誰に対して投げられたのか]
あはははは。
人を大量殺人鬼みたいに言わないで下さいよ。
まあ、傍から見れば一緒ですかね。
人の姿をした人狼と人、区別付きませんから。
[くすくす。]
[それはあまりにも突然の出来事。
赤い黒い染み。
緑の髪を、絨毯を染めて。
理解は追いつかずに]
……トビー…様?
[掠れた声だけが洩れた]
[ 激しい怒声よりも耳を突いたのは硬い物がぶつかる鈍い音。少年の新緑を思わせる髪の合間から零れるのは鮮やかな緋色。黒の瞳は益々大きく見開かれ合わせる様に口を開くも其処から音が洩れ出る事は無く躰は其の場に縫い止められる。
然れど少年の批難の声は止まず青髪の男を尚も苛み続けるか。然し軈て其の声すらも途切れ広間に訪れるのは呼吸の音すら聞えそうな程に不自然な静寂。
俺が、殺した。
呆然とした呟きが少年を抱えた男の口唇から零れる。腕の中の幼い子供はもう動かない、笑う事も泣く事も怒る事もない。其れは恐らくは少年の慕った女性と同様に。暖炉の薪がパチパチと爆ぜる音は遠く、今は目前で命の灯火を消した少年へと視線が注がれる。]
そういえば、結局宿題出した時の約束が守れなかったのでアレですが。
『欲しいもの』、何かありましたかね?
[はて、と首を傾げ。]
俺どころか、人間の手からすらも護れなかったか。
[ 其の聲は果たして男に聴こえていたか否か、何方であれども彼には関心の無い事か淡々とした口調で呟かれる。]
人の命とは脆いものだな。
…だが、殺した。
はずみであれど、われらは仲間に手を上げることなどしない。
祖母がよく、昔話を聞かせてくれた。
人間は、自ら作った鉄の牙と鉄の爪で滅ぶ…。
[緩慢な動きで座り込む。動かない少年の傍らに]
…………。
[しばしの沈黙。
それから、薄紫の瞳が、座り込む蒼髪の青年へ向けられて]
……「悲しまないで」って。
[ぽつり、と。呟くのは、今朝聴いた『声』]
「苦しまないで……ごめんなさい」って。
多分、あなたへの言葉。
あのひとから。
[静かな言葉。そこに、感情はなくて]
[眸の焦点は何処かずれて]
[見ている様で何も見ていない][定かならぬ視線]
「俺が殺した」
[青い髪の青年の][苦渋に満ちた其の声に唱和するように]
…………俺が、殺した……………………。
[悲哀][後悔][苦痛に塗された]
[呟き]
[くすっと笑うと手を離し。]
…そうそう、一つだけあなたは勘違いされていた。
"あれ"は、形見分けですよ。
尤も…足は使用人に渡すついでに、時間を誤魔化すために時計塔に引っ掛けておいたのですがね。
僕の分は、この中に。
[そう言って、胃の辺りを撫でる。]
ふむ。
死者から答え合わせをされるとは。
なんとも複雑な気分です。あはは。
[からから笑う。]
……で、ですね。
普通あんなモノ形見分けされたら引きますから。
ヘンリエッタさんなんかもう大泣きだったんですよ?
[てい、と頭にチョップ。]
[フッ、と][眸の光が失われ]
[立て続けの衝撃に精神の限界が訪れたのか]
[ゆらり][ふらり]
[身体が揺れ]
[其の儘*その場に頽れる。*]
[それまで動かなかった足が不思議と動き出す。殆ど惰性のように。
広間の扉を潜る。
――少年は動かない。
呆然とした男性の傍を通る。
――床に落ちる小さなナイフ。
テーブルに鍋をごとりと置く。
――幽霊に怯え、からかわれていた少年。
振り返り、また彼らのほうを見る。
――隠れていた彼女の背中から出て、「ありがとう」という小さな声。
もう、元には戻らない]
そうそう。
気付いてたとは思いますが、私はアーヴァインの死を悲しんでなどいません。
その事実はウェンディくらいしか知らないでしょうけど。生者の中では。
[チョップした手を引き、にこり。]
……伝えたから。
[短い言葉の後。瞳は再び、動かぬ少年へと。
死を視る事への恐怖は刻めども、それ以外の感情を死者に対して映そうとしなかった、薄紫の瞳が。
揺らいだ]
……こんなの……やだっ……。
こんなのは……いやだよぉ……。
[振り絞るような声と共に、*滴が零れ落ちて*]
大体は物品で済ませてるのですよ、形見分けは。
肉だと腐るでしょ。
目とかもうエグいですよ。
墓守の方には尊敬の念すら抱きます。
[ブラックジョークを言える位、心の余裕はあるようだ。]
流れ者 ギルバートは、冒険家 ナサニエル を投票先に選びました。
[近付く気配にゆらりと放心したまま顔だけを向けて。
此方を見て告げられる言葉に、少しだけ生気が戻る]
言葉…?
[「悲しまないで…」
「苦しまないで……ごめんなさい」
その言葉は]
…ローズ、の?
[ゆらり、瞳の奥が揺れて
涙、気付かないままで]
…何で?何でローズが謝る…?
守れなかったのは、俺なのに……。
[目の前の、少年の亡骸を見る
彼はもう、ローズと出会っただろうか?]
そうだな、皆悲しんでやらない。
なのに、あの女の死も、あの少年の死も悲しむ。
…よくわかりません。
彼の死を嘆いたのは、お前たちがどう思うか見たかったからなのですけどね…。
…どう思うか、見たかっただけ。
彼の破片を見て、どう思うか。
彼の死を見て、どう思うか。
そして、大切だといったものをとりあげられたら、どう思うか。
[くつり、わらう。]
あなたの大事な姫君は、あなたのために人を殺せるでしょうかね?
[少年はいつも何かに怯えていて
だけど、きっと、守りたいと思っていた気持ちは…
だから]
……ローズを、頼むな?
[そういって、そっとその髪を撫でた]
いつか見たものを真似しただけですよ。
あの娼婦の娘は、そうやっていた。
…娼婦は、喰うのが楽でしてね。どんなに悲鳴を上げても、誰も気づかない。
嬌声にしか、聞こえませんから。
……うーん。
彼女には、手を汚して欲しくないのですよね。
ああ、それだけは伝え忘れてしまったか。
いや。うん。
『聖書』を託した時点で、「仇を取ってくれ」と解釈されても仕方がないのか。
困ったものです。あれは形見のつもりだったのですが。
[からからと豪快に笑う。]
うわあ。
とても聞きたくない話を聞いてしまいました。
耳栓耳栓。
[反射的に、服のポケットを探り。]
……って、仮にあっても意味ありませんね耳栓。
心残りはもうほとんどないのですが。一つだけ。
……お父さん、と呼ばれたかったな、と。
ははっ。生きている間に、お願いしてみれば良かったな。
死者のために、仇をとるかもしれない。
…そう、あの少年もあの女の仇を討つ気だったんじゃありませんか?
[倒れた怪我人の男を一瞥。]
面白いものが見れそうだ。仇の仇の仇…そうやって人は殺し合い、滅ぶ。
[息絶えた少年と、彼を抱き抱える男性。傍で涙を流す少女―巫女―と、頽れ倒れる男性。
彼らを見つめるのは何を想うのか、冥く静かな*翠色*]
[何があったというのだろう?
今、自分の手は新たな血で汚れて
違うのは
それを行ったのは自分だと言うこと。
事故、そういってしまえば済むだろうか?
だけど、あの時、彼に対する負の感情は確かにあって]
俺が、殺した。
そうだ、俺が……ローズを殺した奴と同じ……
俺は……
[思考が闇へと捕らわれて
いつしかそれは深遠へと*飲まれていくだろう*]
その方が、美味。
あなたも美味しい苺を食べるためになら、きちんと世話をするでしょう?
…尤も、人の中で育った彼の人は、僕とは違うようですが。
[ 呆然としていた瞳に光が戻れば漸く足を緩慢に一歩を先へ、広間へと踏み出す。其処に数日前までの平穏な光景は無く、血塗られた凄惨な姿を曝していた。
視界の端で神父が形式的な聖句を唱え十字を切るのが見えたが、其の祈りは果たして天まで届くか、果たしてナサニエルが望む様に柔らかな微笑を湛えた彼女の元へと逝けたのか。――往く先が天の国であるならば、此れが均衡を喪った人間の本性の表れだと云うのならば、此処は正に地獄と云えようか。]
……同じでは、有りませんよ……。
[ 呟いた言葉には昏き思考の海に呑まれゆく男には届いただろうか。]
……ふむ。
では、ちょっと聞いていいですか。
どうせ生者には聞こえませんから。
ハーヴェイ君は人狼ですか?
[胸の内にあった、最大の疑念。]
…単に、姉の好きだった花を集めただけ。
クリスマスローズは「追憶」「私を忘れないで」「私の不安を取り除いてください」「慰め」「スキャンダル」。
この花は猛毒だが、強心剤なんですよ。
他にクスノキとキョウチクトウ。…そういえば紅茶も入れましたっけ。
…彼を死なせぬための薬としてね。
[ 然う、異なるのだ。己が為に食を欲して生を喰らった彼と憎悪の感情の果てに生を奪った男とでは。]
……此方の方が余程生産的だ。
[ クスと哂う聲。嗚呼、もっと喰らってやれば良かったか。]
ああ、「追憶」だけしか載っていなかったのですよ。
私が持っていた本にはね。
ええ、猛毒である事は知っています。強心剤である事は知りませんでしたが。
「私を忘れないで」ですか。
勿忘草の方が有名ですね、それ。
僕は、人々が嘆き悲しみ、疑い合い殺し合うのを見るのを好む。
あなたは、正義の使者が悪者を退治して皆が平和に笑いあうのを好む。
故にあなたは急ぎすぎ、そして死んだ。
ところで人狼さん。
遺体の喰い方がいちいちグロいのですよ。
……見たときちょっと吐きそうに。うっぷ。
[口元を押さえてみる。]
正義の使者、ねえ。
……いるんですかね。
[はて。]
まあ、いつか死ぬだろうとは思いましたから。
色々遺しておいたわけですよ。
確かに、少々急き過ぎましたが。
さて。本日はこれにて。
ちょいと屋敷で覗いてきたい場所がありますので、ね。
また、いずれ。
[恭しく会釈をして*ぼわんと消える。*]
その方が美味だからですよ。
苺も、練乳をつけたりケーキにした方が美味しいように、
人間も生かしたままじわじわ痛めつけて貪った方が美味しい。
事切れたら早く喰わぬと味が落ちるもので。
せっかくの機会、楽しまずにいつ楽しむと?
一口でぱくんじゃつまらないでしょう?
[ 物云わぬ亡骸と成り果てた少年は仄暗いランプの光に照らされ、流れる緋色は敷かれた絨毯にジワリジワリと染み込んでいく。其れは恐怖と狂気が人々の心に沁み込んでいくが如くに。仰向けに横たえられた少年の瞳の濁りを交えた緑玉が未だ薄く覗いているのを見留めれば、そぅと其れを閉じさせる。最期に少年が見たのは憎悪の焔に燃える情景だろうか。]
……メイ?
部屋、戻っとけ。後は、任せて。
[ 永遠の睡りについた少年から薄紫の瞳から涙を零す少女へと視線を移して紡ぐ言葉は、此の様な時でも――或いは、だから――無器用なもので、唯、静かに声を掛ける。*僅かに揺らめきを持つ其の双瞳を彩る色は、何の感情を示すか。*]
…そう、ただ殺すなど本当にもったいない。
トビーはきっと良い味だったでしょうに。
[聞こえた声に*くすりとわらう。*]
[ 夜は人間に睡りの時を齎し獣に覚醒の時を促し、其れは無論人狼たる彼も叉例外ではなく、今宵も天に煌めく月は彼を誘うかの如くに光を零す。
余りにも唐突な死の訪れから暫しして、人々は思い思いに散り館内には静寂が訪れた。疲れた躰を休めようと目を閉じる彼等は一体何を想うのか。或る者は深き闇へと捕らわれ、或る者は深い哀しみを胸に抱き、或る者は瞳に決意を宿して。
――そして今宵も、彼は仄昏い欲望の焔を奔らせる。]
[ 獣の鋭き嗅覚と聴覚とが捉えたのは、血の匂いを僅かに漂わせる黒衣の神父。夜更けに行動するのは危険だと理解していただろうに、先程の事件が情を持った男の判断力を狂わせたか、己を慕う少女も連れずに一人奥まった部屋へと向かっていく。其れは幾度か訪れた筈のアーヴァインの部屋。現場百篇とは云ったものか、己が“推理”と合わせ何か犯人の手懸りを得ようとして来たのだろう。とは云えど流石に警戒は怠らず、扉の開閉音の後に聞えたのは施錠の音だった。
然し彼は気にした風もなく足音を潜ませて扉の前まで歩み立ち止まる。ノブに手を伸ばし僅かに力を籠めて其れを回せば、パキリと妙に軽い音を立てて鍵は玩具の様に砕けるも防音の施された他者の部屋に其の音が届く事は無い。]
[ 警戒の隙も与えず扉が開けば、詰襟のローマン・カラー姿が見えた其の瞬間、彼は即座に其の首に獣の手を伸ばす。本来の『異端審問官』たる男であれば対処も出来ただろうが怪我をした身に其れは些か辛かった様で、獣の力に容易く喉元を締め上げられくぐもった呻きが洩れた。
カーテンは開かれるも吊りランプの灯を燈す間も無かったが故に、室内を照らすのは窓から差し込む月の光ばかり。薄闇の中、彼の薄い口唇に浮かぶ艶然たる笑みと月を宿した金色の双眸が男の視界を埋めた。]
……今晩和、ルーサー神父。
[ 後ろ手に扉を閉めながら挨拶をする彼の声はあくまでも柔らかい。衝撃に黒の丸縁眼鏡が小さな音を立てて落ちるも、腕に抱えた聖書だけは離さなかったのは聖職者の意地かと思われたが、其処に銃が収められているが為だと彼は察していた。幾つもの生を奪った血塗れの拳銃を。だからこそ直ぐ様其れを取り上げようとしたが、男が聖書を持たぬ手を己が首を締める腕を掴むのを見留めれば、装填する暇が無かったのは明白だった。刻まれた笑みが深くなる。]
[ 男の首にもう片方の手を添え、直ぐには壊さぬよう、貴重な人形を扱うが如く細心の注意を払いながらも逃れられぬようにと力を籠める。]
ああ、そうそう。見ましたよ、“処刑場所”。
彼処で――彼の敬愛する姉の前で殺すだなんて、神父殿も人が悪い。
しかも、肖像画にまで穴を開けて。
死者を穢すだなんて、聖職者のやる事じゃありません。
[ 声の調子は何時もと変わらねど、紡ぐ言葉の裏の潜む毒は云うまでもない。]
お前は唯、神の代行者を騙る醜い人間に過ぎない。
[ 一転して冷徹に放たれた声は、先日広間で会話を交わした際の冷えた視線を思わせる。然し其の内に在るものが獣ではなく人の感情だと、彼自身は気付かない。]
[ 窒息死をさせてしまう前にと、寝台の上へと男の躰を抛り投げた。其処の本来の主は奥の壁に其の躰を凭れかけさせた儘に白い――現在は黒んだ赤に染まった――敷布の下で睡り、共寝をした売女は他の男の部屋に其の肢体を横たえる。
寝台の角に負傷した肩がぶつかったか其の眉が顰められ、漸く呼吸を取り戻し幾度か咳き込みながらも身を起こそうとしたが、寝台に乗れば其の肩を容赦無く体重を掛けて踏みつけた。銀に煌めく爪を顎下に軽く立ててゆっくりとずらせば服が裂け喉には薄らと赤い筋が残り、艶やかな微笑が彼の口許を染める。
己を見下す獣を見詰めながら荒い息の合間洩らした男の声に、彼は目を眇めた。]
復讐? ……違うな。
其の様な下らない事はしない。何せ俺は、人間ではないのだから。
唯、己が生存する為に喰らうだけだ。当然の、本能だよ。
[ 彼の言葉に男は何と答えたか何の様な表情を浮かべたか、其れはよく憶えていない。唯、苦痛に耐えながらも其の手から聖書は離さず、寧ろ己の生が此処迄かと悟れば余計に強く、希望を抱くが如くに両の手で其れを抱え込もうとする。]
[ 何故? 最早己には、用いる事が出来ないと云うのに。
其れを金繰り捨て、素手ででも立ち向かった方が未だ賢かった筈だ。]
……ああ。そうか。
[ 不意に彼の表情が恍惚の笑みから茫としたものに変わる。]
信じているのか?
[ 其れは誰に、何に対しての問い掛けだったかは明白では無い。]
[ 返る言葉も待たず再び口許を歪めれば、其の爪先は喉を掻き切るのではなく、男の両の手を順々に貫く。散る あか が聖書の革表紙を濡らしていく。他を無防備に曝しながらも其れだけは護り続け、矢張り手を離そうとする気配すらない。]
不要な力等持っても、正しく扱えるかは解らないと云うのに。
今日の惨劇を、再び引き起こすかもしれぬと云うのに。
[ 酷く愉しそうに何処か哀しそうにクツクツと零れた嗤い聲は嘲笑か賞賛か。]
……さようなら。“ルーサー神父”。我が同族を殺した男。
[ 別れの言葉を告げれば肩を踏みつけていた足で喉を押さえ、躊躇い無く心臓へと突き立て肉を抉り深く深く穴を穿ち、引き剥がされた敷布の行く末と同じ様に其の寝台をも真紅へと染めていく。周囲に舞い散る花弁だけは、其の色を保って。]
[ 軈て男の意識が朦朧とし始め抵抗する力を完全に失った――尚も聖書は抱くが――のを理解すれば其れは食事の始まりを告げる合図。黒銀の狼と成りし彼は、先ず希望を抱く其の腕へと牙を突き立て、食み、啜る。好きなだけ空腹の癒しを望むだけの喉の潤しを求めて男の躰を喰らっていく。
神の御使いである筈の此の男を救う者は誰もおらず、神の背反者である筈の其の獣を罰する者も誰もいない。唯、獣の所業を見詰める月も叉、其れを咎める事は無い。*ならば、彼を裁くのは誰であろうか。*]
[ 其の中身を知って尚、奪わなかったのはほんの気紛れか、最期まで馬鹿げた思想を持っていた男への賞賛の証か、或いは何かに賭けてみたくなったのか。
其れは先程の問い掛けと同様に、定かではない。]
あぁ……
[悲しいとわたしは思う
なぜこんなにも苦しまなければならないのだろう
苦しむのは自分だけでよかったのに
いつしか闇の中でわたしは形を取る]
ん……わたしたちは痛みも快楽として覚えようとするのよ
傷つけられるのは……慣れているもの
[だから
優しい人は好きで]
……ナサニエルさん
[聞こえぬとわかっていても、
闇の中にいる彼を*よんでいたかった*]
「怒りも憤りも痛みも全て、受け止めてあげるために私は居るの」
…あの娼婦もそう言ったな。
あなたを悲しむあまりに、
仔は憤りをぶつけて死に、
男は憤りをぶつけて殺した。
彼も、彼も、僕のように。
しかしまあ、死者の世界とはどんなものかと思っていたのですが。
意外に生前の感覚と変わりませんな。
あ。幽霊同士ならつかみ合い出来ますかね。あは。
[*からから笑う*]
そう、人は…己のこころのうちの、
己だと認めたくない部分を悪魔と呼び、
己では果たせぬ願いを神に託す。
誰も堕さず、誰も救わぬというのに。
[白い獣は*歌い続ける。*]
─広間─
[呼びかけに、緩慢に顔を上げてそちらを見る]
う……ん。
[こく、と頷いて、それだけ告げるものの。
不安や、諸々の感情に基く無意識だろうか、手が、伸びて。
縋りつきそうになるけれど]
……っ……。
[それを押し止めるように走る、微かな痛みに、その手は左の胸へと置かれる]
[不自然な動きに気づいてか、訝るように名を呼ぶ青年に、なんでもない、と早口に返し]
……部屋……戻る……。
[呟いて、立ち上がる。今は、自分は独りの方が、いいと。
そう、思えたから。
それでも、立ち去り際]
ハーヴェイ……。
ハーヴェイは……しなない……よね?
[思わず、問いがこぼれて。
でも、答えを聞くのは何故か怖くて。
逃げるように二階へと駆け上がり、部屋に飛び込むと、感情の赴くままに、しばし、泣きじゃくって。
そのまま、いつか、眠りに落ちていた]
─二階・自室─
[そして。
翌朝]
……ん……。
[弱々しい朝の光。
それが眠りを破って目覚めを呼び込む。
前夜の一件の疲れが残るためだろうか、目を開く時に警戒心はなくて]
…………あ。
[開いた目。
異能の視界。
そこに映るのは]
神……父……様?
[掠れた、声が、こぼれる]
[視えたもの。
それは四肢を損ないつつ、それでも、聖書を抱えた姿で]
─『聖書』を。貴方に託します─
[聴こえた声は誰に向けられたのか。
彼と共にいる事を好んでいた少女だろうか]
……ねえ。
ボクは……どうすれば?
[問いは、何者に向けて投げられたのか。
少なくとも、今、視えるものではないだろうけど]
……もう、誰も…………なくしたくない……よ。
[呟きの後、目が閉じられ。
開いた時には、視界はいつもと変わらないものに]
…………。
[しばしの、沈黙を経て。
準備を整えて、下へ。
重苦しい静寂の漂う館内を歩いて、*浴場へと向かう*]
-広間-
[開かれたままの扉から、室内へと。
彼女が騒ぎの現場にたどり着いた時には、既に少年は動いていなかった。
床に投げ出された小さなナイフ。血にまみれた少年を抱く男。
状況についていけず、目を瞬く。]
もう、誰も死なないって……
[人狼は死んだ。
では何故、少年は血に濡れて動かないのか。
”俺が殺した”
そう言った男を食い入るように*見つめた*。]
お嬢様 ヘンリエッタが「時間を進める」を選択しました
わたしたちはそういう生き物だもの
[それは彼の白い獣にはわかるだろうか?
わたしはそう思いながら、]
だから執着してはいけない
わたしはだれか一人のものにはなれない
……それが例え、わが子であっても。
……人が人を殺すのも
あなたが復讐にとらわれるのも
悲しいことだと思うのに……
わたしにはそれを*とめられるわけがないのだわ*
[気が付けば、]
[あの少年][トビーと言った][の泊まっていた客室に居た。]
[ぼんやりと寝台に腰掛け]
[あの少年が飛び出して行った時の儘の]
[寝乱れたシーツ][乱雑に捲くれ上がった上掛け]
[見開いた目で]
[宙空を虚ろに見つめる。]
[昨夜の衝撃で]
[記憶の扉は開かれつつあった]
[背負った罪]
[背負った罰]
[背負った……呪い。]
[此れから自分は如何なって行くのだろう。]
[何者になって行くのだろう。]
/中/
ところで、今気がついたんだけど。
好感度すけーる上位ばっか吊り入ってますか、もしかしなくても。
しかし、ここまでこないと他者に殺意pt入らないって、動きにくいキャラにしてすまぬのですorz
(いろんな方向に謝っておく)
[魂が身体を離れる瞬間、過ぎったのは――大好きな家族の顔。]
[それから、ぎこちなくも笑みを向けてくれるようになった、青年の。]
父さん…母さん…ねぇさ…………………おにいさん…
[それは声だったのか、思念だったのか。わからぬままに、混濁。]
[――感覚は、ひどく遠く。
否、身体を離れた魂に感覚はあるのか、定かではないけれど。]
………お兄…さん……?
[ふわり。浮いてるような、気がして。
視線を落とせば、空を(ボクを?)――虚ろに見つめる青年の姿。]
……ねぇ、どうしたの…?
[声を掛け、覗き込むけれど。
その瞳に映っているのは、壁と天井の繋がった部分だけで。]
『……こんなに近くにいるのに…、どうして?』
[そう思って――ようやく、気付く。まだ背の低い彼が、ベットに腰掛けた青年を見下ろすなんて、あり得ない事に。]
……あぁ。 ボク…死んじゃったんだ…ぁ……。
[あまりにもあっけない死への感想は、ただそれだけで。]
[ 穢れた体躯を拭く物は幾らでもあったし、昼のうちに屋敷内の構造――通風孔の存在を含め――は熟知していたから、脱出自体は然う難しくは無かった。然し緋色を洗い流す作業までは矢張り少々骨が折れ、同族はよく此の様な事を幾度もしていたものだと、妙な処で感心する。然れど其の危険性を含め、狩りは愉しいのだが。]
―ニ階・客室―
[ 目覚めは変わらず、余り快適ではない。朝早くに風呂を済ませれば薄手のタートルネックとジャケットに着替え、広間に出向くでもなく、客室の寝台に腰掛け昨日同様煙草を吹かす。揺らめく薄い白を見詰める黒曜石の双瞳も叉揺らぎを持つか、煙と共に吐き出される深い息。]
死なないよね、か……。
[ 昨晩、メイの口唇から零れた問い掛け。青年が答えを紡ぐ前に彼女は逃げる様に其の場を去っていったけれども、若し回答を待たれたならば自分は何と答えたか。死なない、と断言出来ただろうか――此の館において、死は身近だった。
数日前、ピアノの旋律を聴いた事が遠い昔の様に思える。麓からの救援は、未だ期待出来そうに無かった。]
其れが何を意味するか、解っていないんだろうな。彼奴は。
[ 彼は死なない事は即ち、悪夢の終焉は訪れないのだと云う事を。
零れる聲は誰に聴かせる為のものでもなく、唯、獣としての彼が思考する際には此の方が何故だか落ち着いた。“ハーヴェイ”が分離されるかの如き感覚。其れでも何方の彼も、自身には変わりなかったが。]
[自分に優しく声を掛けてきた女性]
[無力な自分の世話を焼いて呉れて][又慕っても呉れた][あの少年]
[彼等の死は]
[奇妙に悲しくない。]
[否、『悲しくない』と言うよりは][悲しいが、其んなものだ、と言う感覚。]
[今は未だ、それに違和感のようなものを感じる事が出来る。]
[人であれば悲しい筈だ、悲しまないのは何故だろうと、][思うことが出来る]
[けれど。]
[しかし、もう、]
[彼等の死を前にして、自らが変わりゆくことの苦悩と驚愕の方が大事だと思うのは、]
[既に変わってしまっているのだ。]
[……死ぬ事も、喰われる恐怖でさえも、思いの外で。]
[何の感慨も覚えないのだから。]
ローズさんに、言っておかないといけない事がありました。
実はね、ウェンディを占ってもらわなくてもよかったのです。
彼女の言葉を、信じると決めたから。
例え人狼であったとしても、交わした言葉に嘘などないと思ったから。
はは、やはり私は異端審問官失格ですね。
[くすくす。]
[ 煙草の先端では仄かな焔が燻り続けるも、未だ半分以上残る其れをやや乱暴に灰皿の底に押し付けて消せば漂う煙も次第に薄れ、大気の中に紛れていった。
硝子製の器を卓上に置けば、緩慢に立ち上がり部屋を後にする。換気の為に扉は薄く開けた儘。苦く何処か感覚が痺れる様な煙草の残り香は強く躰に纏わりつき、自らの鼻をも突く。]
[ 何時しか其の匂いは、自らの獣を抑える為ではなく血臭を誤魔化す為のものになっていた。もう、此の様な物等既に大した効果が無いのは解っている。]
[ 軈て歩む廊下の先には開かれた儘の扉。
其の部屋の前まで辿り着けば、嗚咽が耳に届いたか。微かに眉根を寄せる。]
ギルバートさん?
[ 肩を震わせて嘆く其の男に掛ける声。]
ああ。お前も、独りか。
[ クツ、と嗤う様な聲――其の顔に浮かぶのも薄い笑み。然れど其の奥深くに在る感情は別の物。揺らぐ黒曜石の双眸が映すのは過去。]
[びくり。]
[伏せていた面を上げ]
[鋭い琥珀色の視線を投げ付ける。]
[そこに浮かんでいるのは]
[不快][苛立ち][軽い敵意]
[ 琥珀の視線を受け止めて返すのは黒の視線。其れはやや冷たさを帯びた色。]
……失礼しますね?
[ 口調だけは何時もの通りに一歩、部屋の内に足を踏み入れようか。]
[言い掛けた言葉を途中で切り、]
[一瞬目を伏せ嘆息]
…………ほって置いて呉れ。
[如何でも良い癖に……と殆ど声を出さずに呟く]
[ 再び肩を竦める所作。然れども其れはやや芝居がかっているか。]
つれないな。
[ 部屋の中に脚を踏み入れ扉を閉めれば、其の口調も叉変わる。]
折角斯うして話に来たと云うのに。
[ 艶やかに咲く薄い笑み。]
[芝居がかった所作][艶やかに浮かぶ微笑]
[がらりと変わった口調にも][驚く事は無く]
[素っ気無く][気怠るげに][視線を流すのみ]
……暇だから俺を弄りに来ただけだろう。
[その発語は完全なもので。]
哀しむ犬の様子を心配して見に来てやったとは思わないのか?
[ 気を悪くした風もなく、否、寧ろ愉しそうに謂う眸は変わらず黒曜石。唯、湛える其の色の奥底には欲望の光が僅か覗く。口許が象るのは弧を描いた月。
閉ざされた扉へと背を凭れ掛け軽く首を傾ければ、濃茶が揺れる。]
……まあ、其れも或いは正解か。
哀しむ。
[クハハッと]
[自嘲じみた][或いは揶揄も含むような][嗤い]
[唇を歪め]
……そうか。其れが普通だ。其れならば……
[亦も途中で口を噤み]
[ちらり、と][面白くもなさそうな顔で]
……心配だなんて笑わせるな。
俺もお前も所詮は自分の事しか考えて居ない。
[――声は、遠く。
水底から見上げる、月の光のように。揺らめいて。]
………?
[聞きなれた青年の、聞き覚えのない口調に、小首を傾けて。]
[ぼんやりと声のする方を見やれば。
見覚えのある青年の、見たことのない艶笑に、目を瞬く。]
ハーヴェイさ…ん……?
[零れる声は、届くことなく。]
[ 細められた黒曜石は男の様相を冷静に見、声を聞く。]
普通、ね。……唯の御犬様では無さそうだ。
其の方が面白くはあるが。
[ 口許に軽く握った手を当て腕を組み、体重は壁に預ける姿は気怠げか。]
……当たり前だろう?
人の絆の脆さ、愚かさはお前も見た通り。他者の事等考えるだけ無駄だ。
[ 視線は逸らされ窓の向こうを見遣り、続く男の科白に返すのは事も無げな言葉。]
そうか。似合いかと思ったが。
[ 拒絶には少し残念そうな声色に成る。]
若しくはお前も獣か。
ギルバート……、否、"Giselbert"?
[それから。
ハーヴェイへと強い口調で言葉を投げる、ギルバートを見やる。]
[瞳に浮かんだのは、驚きと、不安と、……心配。]
……お兄さん…? どうして………?
[――声は遠く。何を言っているのかはわからないけれど。
唇を歪め、嗤う姿に。感覚のない手を伸ばして、]
[何だろう。
不安げな様子に誘われるのか?
よくわからぬまま、わたしの前には二人の姿。
わたしを殺した人狼と、
怪我をしていたひと。
それから……]
トビー君
分かっている、そんな事は。
[その声が沈み][苦いものを含んでいる様に聞こえるのは][気の所為だろうか。]
……けれども、人を愛する事だって在る筈だ。
孤独を埋めたくなる事も。
あの娘も、お前にとっては如何でも良いのか。
[ココロの揺らぎが、仮初めの身体をも揺らがせるのか。
伸ばした手は、彼の人に届く事はなく。ゆらり、揺れて。]
[拡散しようと、]
「トビー君」
[はっきりと、耳に届く声。恋焦がれた、ひとの。]
………ぁぁ。 ローズ…マリー……さん。
[振り向いた顔には、一筋の雫が流れたか。]
/中/
鳶のローズマリーへの憧れは、母性への思慕も含んでいます。
真ん中っ子で、長男で。甘えるよりもしっかりしないとって思ってる節があったので。
異性として恋心を覚えるお年頃なら、むしろウェンディやヘンリエッタにもっと興味を抱いたかと。
[わたしは。
そう、と少年に手を伸ばす]
悲しいのね
……今は、無理せず、泣いて?
[その体を、抱き締める。]
“我等にとって彼等は搾取するべき資源でしかない”
[ 其れは何時かに聴いた同族の科白と同じ物。淡々と紡がれる。]
……そう云う事だ。
十八年、人として生きてきた。
然れども斯うして覚醒めてみれば、全ては容易く崩れ去った。
[ 窓の外、遙か遠くを見遣る双眸には僅か懐旧めいた色。]
あれは、……果実が熟すのを待っているだけに過ぎない。
[ 後の言葉には微かに洩れる嗤い聲。]
人としても獣としても中途半端、か?
[ 嘲りを含む其れは何処か己に向けられているかの如くにも聴こえる。]
[抱き締められれば、仮初めの温もりが伝わって。]
[逢えた喜びなのか。喪われた悲しみか。それとも――遺してきた事への後悔か。わからぬままに、ぎゅぅとしがみついて、]
……ぅ…あ……ぅぁぁーーーーんっ!
[堰を切ったように、*泣き崩れた。*]
嗚呼。そう、其の通りだ。彼等は唯の肉、何れ捥ぎ取られるべき果実だ。
お前は正しい。
ハーヴェイ=ローウェル。
[クスクスと嗤う男の双眸からは][何故か壊れた様に涙の雫が]
/中/
あ、発言しようと思ったら…
此処には割り込めないな。
しかし、やはり、か…。
さて、どうするんだ?誰を残す?
流れ的に今日俺処刑でもありなんだが?
しかし…
何度目だハーヴ人狼ー!!
[泣き出した少年の頭を撫でる。
あたたかい。
胸に抱いた少年の悲しみが
少しでも癒えるように*優しく*]
[背後から、トビーの様子を見て。
次に、ハーヴェイ達のやり取りを見る。]
……ぐっ。
『異端審問』に反応した理由が、何処かにあるとは思ったが……。
拙いな。
誤った情報を手渡してしまったのか。
せめて、ウェンディが『あの様子』を覚えていてくれさえすれば……!
[だん。
*苛立たしげに、足を踏み鳴らす音。*]
お前は未だ、泣く事が出来るのだな。
[ 其れが如何なる理由で零れた物か、彼には解らぬ様子――或いは仮令理解していようとも謂うまい――が、聲により紡がれる科白は何処か遠い響きを持つ。]
お前は正しきを厭うか? Giselbert.
[ 誘われる様に壁から身を起こせば緩やかに寝台に腰掛ける男へと歩み寄り、其の琥珀から流れる雫を指先で掬い取れば口許に運び紅い舌が其れを舐める。眼前の男を見遣る黒曜石は、未だ陽の照る時間にも関わらず月の如き冷艶さを湛えるか。]
……俺もお前も、変わらないよ。
所詮は、――獣だ。
[涙を掬い取られた時には]
[ふるり][身震いしたが]
[黒曜石の双眸][其処に湛えられた色に]
[魅入られた様に琥珀の眸を]
──すっかり獣に成って仕舞えば。
自分の心が変わって仕舞った事も忘れられるのだろうか。
……さぁな。
[ 琥珀から黄金へと変わる濡れた双眸を眺める黒曜石は揺れる事も無く。]
然れど、獣に堕ちてしまえば昏き闇に揺蕩えば、其れは快い事だろう。
[ せせ嗤う様な声ながらも、薄い口唇からは零れる吐息は僅かに甘い。]
成りたいのなら、――己が欲望の儘に動けば好い。
[ 差し伸べられた手は誘いか。]
[突き放す様で居て][誘い掛ける様な]
[其の言葉に]
[ゆっくりと眸、瞬かせ]
[瞬時差し伸べられた手を見つめる]
[けれども躊躇いは無く]
[手を取り]
御自由に?
[ 近付く其れにも動じた様子も無く微笑は湛えられた儘。]
尤も。俺は、喰うなよ。
[ 触れ合った手をすいと別てば彼の指先が男の口唇を掠めるもそれも叉直ぐに離れ、服の内より取り出すのは皮鞘に包まれた短剣。抜き放たれた其れの柄に刻まれしは緑髪の少年の名。其の刃で自らの左腕に立て軽く引く。]
此れくらいならやるが。
[ 零れる緋色。]
嗚呼……。
[腕に引かれた緋色の線に吸い寄せられ]
[蕩けた蜜の色した眸][黄金に煌き]
[逡巡を振り払う様に]
[久しく求めていた]
[赤く赫い][甘く甘い]
[生命の美酒に口を付ける]
[やがて、刻至れば]
[濡れた琥珀][満ち足りた微笑]
[緋色に口唇を染めて、]
[冷艶な黒曜石の眸を見据える其の顔には]
[*獣の嗤い。*]
[ 零れた緋色の雫で渇きを潤す男を見遣るは月の如き光華を湛える黒曜石の双眸。其の幼子の如き様相に彼は何を思うか、然し浮かぶのは微かな艶笑。]
……今晩和、同族?
[ 軈て欲望を充たした獣を眺めれば、先程の様に男の濡れた口唇を其の指先でつ、となぞって緋色を掬い取り、*薄い口唇は三日月を象って歪む。*]
[私は、30年越しの復讐を行った。
もっとも、直接手を下したわけではない。
私が仕掛けた土台は不安定要素が多すぎた。
それは先刻承知。
だから。私は全てを『神』に託した。
これで何も起こらなければ復讐は失敗、諦めもつく。
だが、もし。
人狼が、あの男を食い殺したなら。
復讐は、その時点で成功だった。
後は頃合を見計らって人狼を探し、始末すればいい。それだけのはずだったのだ。]
[誤算だらけだった。
第一に、年端も行かぬ子供が集まりすぎた事。
子供の扱いは苦手だ。
第二に、人狼が完全に特定出来なかった事。
情報を収集しにくかったのだ。
最後に、『彼女』に情が移ってしまった事。
まったく、困ったものだ。
異端審問官になる時、そんなものは完全に捨てたはずだったと言うのに。]
[この事件が起こる前は、別にいつ死んでも構わなかった。
名前を偽り表情を偽り感情を偽り。偽りだらけの日々だったから。
それが、なんたるザマだ。血も涙もない異端審問官の名が泣く。
いや、今更愚痴を言っても仕方がないか。
むしろ、主に感謝しなければならないのだろう。
最後の最後で、人の情を思い出させてくれたのだから。
手のぬくもりが心地よかった。その涙を止めたかった。
実の娘のように、いとおしかった。
あの子だけでも、生きてこの館から出て欲しい。
そう願うのは、傲慢なのだろうか?]
[私は今、人狼に食われつつある。
罪深き人殺しであり、脅迫者であった私には。相応しい最期なのだろう。
それでも。
出来る事なら。
『彼女』と共に、穏やかな日々を過ごしたかった。
死した私の姿を見て、涙するのだろうか。
どうか泣かないでほしい。
私はいつも、貴方の傍にいるのだから。
貴方の幸せだけを祈って。]
/中/
さてさて。
取りあえず、覚醒フラグは揃ってるんですが。
殺害可能になった途端に墓下行くとかあったら笑うというか、まあ、それもありなんだよなぁ、正直。
というか、そろそろ区切りつけにゃならんのだけど。
ほんと、色々ごめんなさいですよ、皆様orz
ここまで覚醒ハードル高くなるとは思わんかった……読み甘すぎorz
さて、泣き言はここまで。
あとはエピで、扇打賞をもらいましょうか、うん。
─浴場─
[湯の中に浸かって、物思いに耽る。
表情はやや、陰りを帯びて見えたか。
しかし、薄紫の瞳には、感情らしきものは見えず、どこか虚ろ]
……結局…………最後に、決めるのは、自分なんだよね。
[ぽつり、と。
ずっと考えていた事を口にして、湯船から身体を引き上げる。
いつも男物の装いに包んでいる肢体は華奢で。
今は、表情の虚ろさとも相まって、容易く手折れそうにも見えた]
力の印……巫女の印……異能の証。
……人にも、異形にも。
どちらにもなれない、どちらにも寄れない、中途半端な存在、か。
……どちらにも、受け入れられないなら。
何のために、いるんだろうね、ボクらは。
[ふる、と首を振り、脱衣場へ。
身体の水気を丁寧に取り除き、用意してきた着替えに身を包む。
それまでの、男物ではなく、女物の衣類に。
着替えを済ませるとしばしの逡巡の後──外へ]
─館外・吊り橋跡付近─
[いつかのように、対岸を見やる。
でも、やはり対岸には誰もおらず、ただ、風鳴りが響くのみ]
……ね、ばーちゃん。
ばーちゃん、言ってたよね、確か。
じーちゃんに、殺してほしかった……って。
一番、大事なひとに。
ボクは……どうなんだろね?
そも、そういうんじゃないしなぁ。
[言葉と共に、くすくす、とこぼれる笑い声は楽しげで]
……ま、なんでもいいや。
わかってるのは、「いなくなったらやだ」って事だけ。
それから、「いなくなったから悲しい」って事。
……ボクは人でも異形でもないから。
どちらの決め事にも、縛られはしない。
どうせ、異能としてしか生きられないなら……そこから逃げない。
……こわいけど……ね。
[最後の言葉は小さく呟いて。ゆっくりと踵を返し、館へと戻って行く]
─音楽室─
[館に戻り、足を向けるのは音楽室。
いつかの事を思い出せば、僅か、その表情は陰りを帯びるか。
それでもすぐに、その色彩は失せ。
開かれる鍵盤。
そっと、指が落ちて。
*紡がれる旋律*]
―自室―
[早朝。未だ館の多くは眠りにつく時間帯か。
それは彼女の眼前で寝息をたてる少女もまた例外ではなく。
昨夜の少年の死も相俟ってか、相当に疲れているのかも知れなかった。少女が未だ起きる気配がないのを見て取り、薄暗い部屋の隅よりスーツケースを引き出す。錠を外し、中に眠る銀色の小箱を手に取る。
蓋を外せば、そこにあるのは一見すれば銀の弾丸。けれどかの牧師の持つ物より輝きは劣るか]
[それから彼女の視線は左の腕へと移される。
ぱちりと袖のホックを外した。覗く小さな皮のホルスターに収められた、やはり銃と思しき黒い塊を掌中に。丁度彼女の掌に収まるサイズのその隅には、彼女が仕えていた家とは違う紅い狗の紋が刻まれる。
それは幾年も前、表には出ることなく滅ぼされた“施設”のもの。
“銃”に“弾”を一つだけ込める。
両手で握り、狙う先は少女]
――…
[少女に向けて放たれた弾丸は銀粉の光を纏う壁となる。
獣の悪意には強靭な、けれど人からのそれには脆く儚い]
[彼女が全てを元の通りに戻し部屋を後にする頃には、その壁は人目には見えないものへ]
――広間にて――
[悲しみの果てに歯車が狂った情景を、少女はどこかぼんやりと眺めていた。]
[悲しみに暮れて責め立てる少年に、振り払った青年の力はあまりにも多大すぎたのか――]
[がたり――]
[音を立てて崩れ行く少年は、あまりにも脆くて――]
[悲嘆にくれる蒼髪の青年の声と少年の呟きに、少女はぎゅっと自らの手を握り締めて――]
どうして…?どうして人は――…こんなにも愚かなの…?
[息絶えていく年端の変わらない彼の事を思い――
はたまた自らの体験と重なったのか――]
[こつり――]
[少女は靴音を立てて――]
[さらり――]
[金糸を揺らしながら、神父と共に名も知らない少年へ、祈りを捧げた――]
[悲壮に暮れるその場から少女が立ち去ったのは、神父の導きか、それとも少女自身の体力の限界が近付いていたのか――]
[変わらず大きな手に自らの白い手を重ねて、向かうは少女に割り当てられた部屋へ――]
――広間→客室へ――
[部屋に入るなり、少女の記憶はそこで途切れる。加害の者もいない、言わば信頼できる者だけで囲まれた空間、父のような存在のルーサーの温もりに安堵したのだろうか――]
『おやすみ、ウェンディ。良い夢を――』
[夢現で囁かれた初老の優しい声色に、少女は確かに微笑み、瞳を閉じて眠りに就いた――]
[その声が――]
[彼の最後の言葉になろうとは知る由もなく――]
――客室――
[窓から差し込む朝日に、少女は静かに目を覚ます。
――清々しい朝。置かれた状況を考えれば、朝日と共に新たな情報を与えられるのだが、今はただこうして。無事に朝日を拝めることだけでも、少女にしてみれば喜ばしいことだった――]
おはよう、神父様。今日もいいお天気みたいよ?
[部屋を一歩出れば、また惨劇の舞台へと借り出される身だとは理解っていながらも。
――せめてこの部屋にいるときだけは…、擬似的な平和である日常を味わいたくて。
少女は努めて明るい声で室内へと振り返った。
在るべき筈姿を求めて――]
[しかし、少女の目に映ったのは――]
[机の上に無造作に置かれた――]
[一枚の紙――]
――客室――
[一枚の紙を手に取り、少女は無言でそれを握り締めると。
無造作にドアを開けて部屋を飛び出した。]
どうして…?
どうして片時も離れなかったのに、『今回だけ』一人で出て行ったの?神父様…。
――調べたい物って…夜が明けてから…せめて人狼が動けなくなる夜明け以降では…だめだったの?
[少女は屋敷内の廊下を駆け巡りながら、ルーサーの姿を探し始める。
脳裏に浮かぶのは、走り書きに記されていた言葉――調べ物――と、夜が明けても戻ってこなかったら――の二つの文。
それが何を意味しているのか――
解らない少女では無く――]
――客室→広間→アーヴァインの部屋へ――
[少女は記憶を辿り、神父と共に向かった場所を見て回る。
花を摘み取った温室を覗き、広間へ。
そこに武器庫の鍵が置いてあることを確認すれば、少なくても武器庫には用が無いと思われ――]
調べたいもの…調べたい…。
人狼が活動する時間にでも調べたいものって何…?喰われたあのお姉さんの事?
――きっと違う…。死体損壊について調べたければ、昨日の時点で済ませている筈…。
二人で巡って…まだ行って無い所は何処?――夜中で無ければ駄目な場所とは…?
[――少女は記憶を遡って――]
[一つだけ合致した場所のドアノブに手を掛け――]
[かちゃり――]
[静かに扉を開いた――]
――室内へ――
――アーヴァインの部屋――
[ドアを開けると、まだ温め切れていない風が室内を漂っていた。
開け放たれた窓に、靡くカーテン。
その緩やかな動きに目隠しをされながら、少女は一歩ずつ室内へと歩みを進める。]
[潮の満ち干きに似たカーテンの動きに合わせて、揺らめく赤の色彩――]
[ふわり――]
[目隠しが外れれば――]
[少女の目に映し出されたのは――]
しん…ぷ…さま?
[横たわる、変わり果てたルーサーの姿――]
/中/
現状まとめ。
狼:ハーヴェイ(現在地:自室?)
C狂:ギルバート(現在地:鳶部屋)
霊能:メイ(現在地:音楽室)
守護:ネリー(現在地:不定)
墓下
狼:コーネリアス
占い師:ローズマリー
残りは村人、っと。
ルーサーは役職希望だったのかな?
しかし狼側の人選、ナイスだ。(中の人的に)
-ネリ−私室/朝-
[目がさめると、いつものように彼女の姿はない。
いつもならすぐに身支度を整え、部屋を出るヘンリエッタだが、今日は違った。
寝台の上、膝を抱えたまま動かない。
赤褐色の目は目の前の壁を指すけれど、少女が真に見ているのは記憶の中の光景。
緑の髪の少年の血に汚れた無惨な顔。
赤く染まった床と、赤く染まった青髪の男の腕。
少年を殺したのは、人ならざる力ではない。]
……人だって、人を殺せる。
[ならば、人と獣と何が違うと言うのだろう。]
[少女は口許を緩め、綺麗な笑みを携えながら。
ルーサーの横たわるベッドに近付き、腰を下ろす――]
神父様…、こんな所で寝ていらしたんですか?
もう朝ですよ…?窓も開けっ放しで…。起きないと風邪引いちゃいますよ…?
[気丈にも微笑を絶やさず。
しかし声は次第に震えを増していく――]
…ほら、腕が片方…無いですよ?何処に落として来たんですか?足だって…見当たらないし…。
…もぅ、神父様がこんなに寝相が悪いとは…私…わた…し…思わなかった……。
――っねぇ?神父様、心臓が…腕が…脚が…無いよ?どうして…?ねぇ!どうしてなの!どうして……
[少女の声はやがて悲痛な叫びに変わり――]
[室内を包み込んでいった――]
[まだ狼はいると、緑の髪の少年に祈りを捧げた神父はいった。
けれど、それはもう意味のある言葉には思えなかった。狼が何人いようと、いなくなろうと、人が疑い、殺しあうことができるのなら同じだ。]
何人殺せば、終わるのかしら?
[呟いて、誰もいない部屋を見回す。
先日までは、一人になると不安だった。
けれど、他者といたからといって決して安全ではないことを、今のヘンリエッタは知っている。]
――アーヴァインの部屋――
[どれ位その場所で時を刻んでいたのだろう。
もう流れ出る血液も無い、屍と化したルーサーの傍から片時も離れることなく、少女は静かに歌を口ずさんでいた。]
眠れ良い子よ ひつじも小鳥も眠り入り
庭も野原も沈黙し はち一匹も飛んでいない
銀色に輝く月が 窓からこちらを覗いている
うつろな月明かりの中で ねむりなさい
[いつかルーサーが少女に歌っていた子守唄。その味のある歌声が、今では懐かしく感じる――]
ふふっ…神父様ったら、子守唄を歌ってやるぞ!って意気込んでいた割には…歌詞すらあやふやで…。
結局――私が歌詞を教えてあげたんだっけ…
[遠くを見つめる眼差しから]
[ふわりと笑みが零れる]
ねぇ、神父様――私はこれから…どうすればいい?
――どうすれば…あなたの仇が討てる?
教えて……どうすれば良いの…?
[虚ろ気な瞳の少女は――]
[ふわり――その場から立ち上がると…]
[何かを求め彷徨うように]
[遺体のある部屋を後にした――]
――アーヴァインの部屋→…――
―広間―
[ゆらり、視界が揺れる
静寂
既に広間には誰も居らず、目の前、既に冷たくなった少年]
……俺が……
[ただ、それだけ繰り返す]
『……同じでは、有りませんよ……。』
[深遠に沈む思考に微かに届いたそれは、誰の物かまで思い出せずに]
――廊下――
[少女は行く当てもなく屋敷内を彷徨っていた。
その姿は、何か手掛かりを求めるような物ではなく、ただ現実から逃げるように――]
[ふと――
階段を緩やかに降り、一階の廊下に差し掛かった時、ピアノの音色が少女の耳を擽った。]
[その音色に誘われるように――]
[さらり――]
[少女は色褪せた金糸を揺らして――]
[重々しいドアをそっと開けた――]
――音楽室へ――
[『彼女』の気配を探し、ようやく追いつく。]
……追いついたっ。
[肩で息をする。もう呼吸すら必要のない身であるにもかかわらず。]
仇を討つとか、そんな事考えなくても構いません。
ただ、生き残ってくれさえすれば。
……いずれにせよ、残りの人狼を倒さねばなりませんか。
『あの事』さえ貴方が思い出せば、『ヤツ』を追い詰める事が出来る、必ず。
だから、思い出してください。
私と貴方が行動を共にする事となった、そのきっかけを!
[届かない叫びを、ウェンディに向かって投げかける。]
…同じじゃない…?
[あぁ、そうだ
奴らは好きで人を殺すのだ、と
弄ぶように、残忍に
殺して、喰らって、打ち捨てる]
……俺は?
[目の前の少年を見る
ローズの姿を思い出す
胸が痛む
悲しみ
それを感じるうちは、人で居られる気がした]
─音楽室─
[扉の開く気配に振り返る。目に入ったのは、金色の髪]
ああ。
どうしたの?
[静かに、問う。
どことなく憔悴した様子から、彼女が自分と同じもの──その現実を見たのだと、察しはついていたけれど]
―厨房―
[昨夜のスープを暖める。
あの日錆をつけた手袋は、既に白く綺麗になっていた。けれど未だ持ち出した刃は服の下に。
“銃”は直接的な傷を負わせる手段ではない。これで如何ほど奴等に対抗できるのか、それは分からなかった]
…
[溜息と共に火を止め、鍋を手に広間へ]
―厨房→広間―
―広間―
[静かな空間の扉を開ける。
誰もいないのかと思ったそこには青年が一人と、少年…だったものが一つ。
僅かに躊躇して小さく目を伏せる。
会釈だけをして、中へと足を踏み入れた]
[人が表れた気配に顔を上げる。
緑の髪の少女
昨日の神父との会話を思い出す。
ほんの僅かな時間消えていたという鍵の行方。
あの時、名前が出なかったのは…]
あぁ、ネリー、ちょうど良い。
話があるんだけど……良いかな?
――音楽室――
[室内に入れば、少し年上の少女の姿。確か名前はメイと言っただろうか――]
こんにちは…メイさん…。
ちょっと…神父様と…探し物に…
[どうしたのかと問い掛けられれば。
口を次いで出た言葉は、在り来たりなもの――]
[誰にも会わず、屋敷の外へ出た。
日は既に頂上に差し掛かり、その眩しさに目が眩む。
ここ数日の快晴で、ぬかるんでいた地面は乾き、踏み締める足を確かに支える。
雨は降っていないから、血痕もまだ僅かに見える。
室内の絨毯に残るそれとは違い、風吹く大地に残る血のあとは少ない。注意して見なければわからない程。
けれど、血痕とともに溢れる僅かな肉隗が、はっきりと道を記してくれた。]
……探し物?
[不思議そうに呟いて。
薄紫の瞳を鍵盤へと戻せば、一度止めた演奏をまた再開する]
ここに探すような『もの』があるとは思えないけど……。
……ああ。
『伝言』なら、聴いているけれどね。
[ごく、何でも無い事のように。淡々と告げて]
[昨日そうしたように、テーブルの上に鍋を置く。
まさに昨日、人の死した空間。恐らく手をつける人は少ないか…若しくは皆無かもしれない]
――はい?
如何か…?
[声を掛けられるとは思っていなかったのか、怪訝そうに振り返る。
すでに黒く固まった血の跡が視界に入った]
-館外 枯れ木の下-
[少し前までの自分なら、血痕だけでも震え上がっただろう。
けれど今は、何故か恐ろしく思えない。血も、肉片も、命を失った全てはただの物体。
自分の中の何が麻痺してしまったのか、少女にはもうわからない。
赤い標をもとに、たどり着いたのは枯れ木の下。
そこが現場だと、分ったわけではない。ただ、目の前に広がる崖に足を留めた。]
[此方を見る目は怪訝そうに
今の自分の姿では其れも仕方がないかと薄く笑う]
いや、昨日神父さんと話しをして…
武器庫の鍵が一時行方不明だった、と。
で、彼はあんたが持ち出した可能性を言っててね。
武器庫の鍵を持ち出したのは、ネリーなのかい?
[再開された演奏に]
[ゆるり――]
[耳を傾け。どうして『神父様と』と付け加えてしまったのかには…目を逸らして――]
そうよね…魂は…『物』ではないわよね…。
[返された言葉に、悲しそうな笑みが零れる――]
[そして、『伝言』という言葉には、確信めいた色を瞳に湛えて――]
ねぇ、メイさん…。その…『伝言』――
私に…聞かせてもらえないかしら?
[さらり――髪を揺らして…少女は微笑んだ――]
[崖の周りにあるはずの垣根や杭はここには見えず、一歩踏み出せば、縋る場所一つないむき出しの斜面が果てなく続く。
枯れ木を支えに、崖下を覗けば深く。
はるか遠くに川の流れるのが見える。
思わず一歩後ずさった拍子に、小石が一つ、崖下に飛んだ。
子供の手のひらでも握れるほどの大きさのそれは、小さ過ぎて落ちる途中で見えなくなる。
ここから落ちれば、楽に死ねるのか。
誰も殺すこと無く、殺されること無く、ここから解放される。
それは救いかも知れない。
そう思ったのに、足が震える。
自身さえも殺すことの出来ない己の弱さを、ヘンリエッタは噛み締めた。]
[微笑む少女に、薄紫の瞳は一瞬だけ向けられて]
これは、キミ宛て。
それ以外の誰に向いてるとも思えないね。
「『聖書』を。貴方に託します」
それが、ボクの聴いた、『声』。
[静かに、告げた後]
……悲しい?
[投げられたのは、前後の脈絡のない、問い]
[怪訝そうな表情は、話を聞いているうち―“武器庫”の単語が出ると同時にす、と失われ。
薄く笑みを浮かべる目の前の男性を見つめ]
――彼は。
如何して、私と。
[感情の読めない眸で、それだけを告げる]
/中/
あっさり認めようかとも思ったけど、そうすっと武器庫シーンとの矛盾が出そうで(´・ω・)
いまいち行動パターンが定まらんなこの子。
ただの消去法さ。
俺は自前の武器がある。
子供たちに扱えるものじゃない。
メイは自分では人を傷付けられないし、ハーヴェイは鍵を探していた。
そしてもう一人は怪我で動けなかった。
残ったのが、ネリー、そういうこと。
もっとも、彼は断定はしてなかったけど。
[崖の側を離れ、館を振り向く。
逆光で暗く陰る館は遠く、大きかった。
そこから顔を背け、裏手の庭園へと足を運ぶ。
訪れたことはない。けれど、広間の窓から見えるその存在は知っていた。
自分は死ぬことは出来ないから、せめて、先に逝った人たちに、花を。]
[一瞬だけ――
目の前の少女の瞳の色が変化し――]
あぁ…やっぱり――
[少女は確信したように溜め息を吐く。
形は違えど、同じような力は何処でも息衝いている――
少女は僅か記憶に残っている言葉を思い出す]
[そして呟かれた言葉に――]
[瞳は潤むけれども…
涙として見せないのは――]
聖書を…私に…。
そうですか…神父様はそのような言葉を…。
神父様の声を聴いてくれて…ありがとう――
[にっこりと笑顔を浮かべて礼を言い]
――悲しい?
[投げ掛けられた言葉には、同じように問い掛けて――]
今はまだ…悲しむ時期では無いわ?そう…思わない?
[口角をきゅっと上げて微笑む。――誰かを挑発するように]
ああ、成程。
流石、異端審問官を名乗られるだけのことは。
[観念した、とでもいうように表情を緩める。
そういえば今日は彼の姿を見ないと、そう思うも]
……それで。如何なさるおつもりですか?
[開き直ったのか、それともあの時短刀を持ち出した時点で、罪の意識など消えてしまっていたのか。
視線だけはずっと、男性の姿を捉えたまま]
-庭園-
[名も知らぬ花を乱暴に手折り、花束を作る。
茎が、葉が、指を傷つけたが、花鋏など、少女は持っていなかったから。
花束は、同じ緑の髪をした二人と、束の間父と呼んだ男に。
銀の髪の青年には用意しない。
そんなものを彼は望んでいないだろうから。
殺された三人が、それを望んでいるかもわからないけれど、少なくとも拒否はしないだろう。
とりどりの花束を抱え、少女は館へ。]
そう。
[返ってきた言葉に対するそれは、妙に簡素で]
ボクは、悲しい。
ちっちゃい時に、憧れてたお兄ちゃん。
元気が良くてからかいがいのある、弟みたいな子。
どっちも、死んじゃった。
人の手で。
だから、悲しい。
[独り言のように、呟いて。
その手は緩やかに、旋律を織り成して行く]
/中/
ちょい愚痴る。
昨日『混乱や疑心暗鬼を招きそう』って理由でルーサーに入れてた人は、誰に処刑させる気だったんだろうな?
その後の流れで俺とトビーに入れたのは、流れで処刑RPするのが決まっていて、自分がやらないで済むから、とかって理由じゃねーよな?
投票するって事は、殺したいって事。
自分が殺すくらいの気持ちで居てほしいな、とか。
投票しといて後はお任せ、ってのはどうなの?って思う。
まぁ、PC視点で殺せないからってPL視点でコーネに投票した俺に言われたくねーか。
―二階・客室 夕刻―
[ 寝台に腰を下ろし壁に背を凭れ掛けさせ、青年は何処か遠くを見詰める。]
平穏な村に住まうのは何処にでも居る様な平凡な人間の女。
そんな女の、憐れなる物語。
[ 昔話を語る母の如く、詩を吟ずる詩人が如く、或いは過去を懐古するが如く、唯静かに聲は紡がれて。]
有り触れた毎日、退屈な日々。何も変わる事の無く流れる時間。
其れでも優しい父母と愛しい恋人に囲まれた女は、幸せだった。
[ 落日に色を変える天と同じくして、其の物憂げな横顔も朱を帯びて僅かに揺らぐのは眸の黒曜石。]
然し、或る月夜の晩の事。
結婚を目前に控えた其の日、女は名も知らぬ旅人に襲われた。
物云わぬ骸と成り果てた、嘗て恋人であったモノの傍らで。
[ あくまで其れは物語だと事も無げに彼は謂う。]
事が終わった後なれど男は直ぐに捕えられ、獄中で死す。
女に外傷は在らねど心には癒えぬ傷痕、周囲の人間は女を慰め気遣うも、其れも死した男が人狼であり女が子を孕んだと解るまでの事。
[ 人狼の子かもしれぬと解れば、当然の如く父母は腹の中の子をおろす事を勧めれども女は拒否し、村の皆にまで其れが広がれば周囲の目は一転した。まるで壊れ物でも扱うかの如くの対応も何処へか失せて、化け物の母と見るように。]
……結局、女は生誕の地を追われ流れ流れて寂れた崖の麓の村へと辿り着けば、事情を知らぬ人間は妊婦である女に優しく、彼等の助けを借りて貧しいながらも新たな生を歩んでいく事と成った。希望の光は未だ絶えていないと、然う思った。
然し。
女の産んだ子に、愛する者の面影はなかった。
[ 少し硬い金髪ではなく、柔らかな茶色の髪。透き通るような蒼の瞳ではなく、闇のように深い黒の瞳。色素も顔立ちも彼女に似てはいたが、彼を思わせるものは何一つとして有りはしなかった。]
女は神に祈り希望に縋り続けるも、軈て生きるのにも疲れ果てた。
そうして選んだのは残酷な途。我が子に真実を告げ、己が命を絶つ途を。
[ 朱のは地平線の彼方へと沈み、宵の影が迫れば世界は色を失っていく。]
其れが獣を覚醒めさせ世に放つ事に成るのだと、無知な女は識らずに――
[ 其処で言葉は途切れ、聲は深い闇の底へと沈んだ。]
冒険家 ナサニエルは、流れ者 ギルバート を投票先に選びました。
冒険家 ナサニエルが「時間を進める」を選択しました
-玄関〜広間前-
[花束を抱え、広間へと向かう。
そこにはまだ、少年の遺体が安置されているはずだ。
玄関の肖像に少しだけ歪んだ笑顔をみせて、通り過ぎる。
広間の戸はわずかに開き、そこから零れるのは、甘い南瓜の匂いと、二つの声。]
人が人を殺すのならば、其れは狼の脅威と何が違うのかな。
[ クツと嗤う聲は何処か愉しげに、僅か哀しげにも聴こえたか。]
そうですか。
[目を閉じて、息を一つ吐き出した。
後の問いには]
――いいえ。何も。
[嘘を吐いたのは、目の前の彼を信用しているわけではないからか。
尤も――入っておいて何も手にしていない、など通用するかは別ではあったが]
[返された言葉に、少女は自嘲気味に微笑を浮かべて――]
素直に悲しめることは――幸せだと思うわ…。
私は――その感情すら…二年前に失くしてしまったの。
父も母も、雑貨屋のお姉さんも、小さい頃から可愛がってくれていたおばあちゃんさえ――全て失ってしまったから…。
[少女は薄紅色の唇で呟き。聞こえてくる旋律にはくるりと踵を返し――]
もし、神父様に伝えられるなら…伝えて?
あなたの死は…事が全て終わったら…一人で嘆くからと――
今はただ…残された時間で、出来る限りの事をしたいからと…
[それだけを口にすると、何事も無かったかのように歩みを進め――]
[ぱたり――]
[ドアを開け――]
[少女は部屋を*後にした*]
[どれほどの涙を流したのか。
いや、魂に本当に涙が流せたのかすら、はっきりしないけれど。
やがて、顔を上げて。]
……ありがとう…。
[涙の筋は残るものの。にこ、と笑んで。
ゆらり。拡散。]
[ふ、と。手が止まる]
……そう。
[既にいない背に、小さく呟いて。
ふ、と瞳を伏せる]
……仇を討つのが先、ってことか。
キミの仇は、異形。
なら。
ボクの仇は?
[呟く刹那、瞳は冥く]
…そう?
[持ち出したか、との問いに否を返され意外そうに]
何も持ち出さなかった…でも、気にはなった、と言う事なんだ?
で、鍵は元に戻した、と…
いやね、もし人狼なら自分を殺す為の物を放置しとくかな?って。
鍵を返さずに武器を使えなくして。
奴らは武器を必要としないだろうし、ね。
でも、あんたは鍵を返した。
ついでにそれを持ち出したことも認めた。
全てを信じるわけじゃないけど…
でも、俺にはそれだけで良い。
[自分が次に見た光景――多分それはつぎ、でいいんだと思う。
やっぱり少し、時間の感覚が曖昧で困ってしまうけれど]
/中/
とりあえず、明文化されたもの以外のルールは存在しないのなら、私の正しいと思うやり方で投票させて頂きます。
殺さないをPC視点で選ぶのも、崖から滑り落ちるのも有りなのだから。
……まあ、最終的に残るメンバーを考えつつのPC視点ですので、メンツ的に壊れ、処刑された方が良さそうなら壊れることも視野に入れつつ。
はい。
勝手に持ち出したのは申し訳なかったのですが、…ずっと、あの部屋が気になっていたものですから。
……でも、それだけです。
[笑みすら浮かべて、平然と嘘を。
その手は下のほうへ少しだけ動いて、けれど止まる]
ええ、人狼なら――武器などなくても。
[そう呟く時、声色は僅か低くなって]
[ 笑みを消せば何処か気怠けな表情で腰掛けていた寝台から立ち上がれば、首筋に手を遣りゆっくりと巡らせ、僅かに目を伏せて小さく溜息を吐く。其れから一度緩やかに瞬きをすれば、其処に在るのは何時もと変わらぬ、ハーヴェイ=ローウェルという一人の青年の姿。――何も変わりはしない。]
書生 ハーヴェイは、見習いメイド ネリー を投票先に選びました。
書生 ハーヴェイは、お嬢様 ヘンリエッタ を能力(襲う)の対象に選びました。
[ナサニエルとネリーの様子を見る。
ねぇ、]
生きていてくれるだけでいいのよ……あなたたちの手は罪の色に染めたくなかった。それはわたしだけでよかったのよ……
なのに。
-広間前-
[彼女の声は、既に顔を見なくてもわかる。
感情を抑えた、ともすると冷たく聞こえる声。
けれど、その声の持ち主が決して冷たい人ではないことを、その声が時にとても優しく聞こえることをヘンリエッタは知っている。
男の声は最初、誰だかわからなかった。
口調と声の消去法で、それが、少年を殺した男のものだと気づいて、体を強張らせる。
彼女が危険な目に遭いそうなら、いつでも飛び出せるようにそっと、開いた扉の隙間から中を覗いた。]
気になるのは仕方がない。開かずの間だったみたいだしね。
[声音が変わるのに気付き]
…警戒されてる?
仕方がないか。あんな事の後じゃ、な。
俺はあんたを殺す気はないよ、今の所は、ね。
あんたが俺を殺すって言うんなら抵抗はするけど。
[ 一階に辿り着けば赤髪の少女の姿は見えただろうか。然れど気にした様子も無く、すいと其処を横切り当て所なく廊下を歩む。]
[扉の僅かな隙間では、青い髪の男の背に隠れ、ネリーの顔は良く見えない。
「武器庫」「鍵」「持ち出した」思いもかけない言葉が出て来て、耳をそばだてる。
彼女が、鍵を持ち出したことを認めた時、思わず息を飲んだ。
彼女が武器庫に何の用があったと言うのか。]
[わたしはソファに座る。それはそちらのではなくこちらがわの。
意識が作られているだけなのかもしれないソファに。]
/中/
あ、ハーヴにスルーされた!
そして、ログ読み間違えて花を摘んでいる間に夜になった件orz
ネリーのスープって、晩ご飯だったのですね……
――音楽室前――
[流れるような鍵盤の音を背に、少女は扉を閉じる。
背後で呟かれた言葉は耳に届く筈も無く――]
だって…。
神父様と――あの人との思い出は…私だけのもの…。
だから誰とも…分かち合いたくは無いの――
憎しみも、悲しみも全て――
[扉に寄りかかり、少女はそっと薄紅色の唇を指でなぞり――]
[さらり――]
[金糸を宙に靡かせて――]
[ふわり――]
[再びルーサーの眠る部屋へ――]
――音楽室→アーヴァインの部屋へ――
[ネリーの話を聞いて、考える
鍵を持ち出したことをあっさりと認めた
その先を言及されるかも知れないのに]
多分、嘘は言ってない…。
本当に持ち出さなかったかは別だけど
でも、この状況…持ち出した、と言った方が納得するだろう。
身を守る為に、と言う理由で持ち出したといえば不自然じゃない。
……でも、持ち出さなかった、と彼女は言った。
何故、持ち出さなかったのか、と思えば疑いの目もかかるだろうに。
[人狼ならば、との言葉に僅か反応した、声
あれは自身を疑われたとの動揺だろうか?]
もっと上手く誤魔化すだろ、あいつらは。
[つまりはネリーを信じるということ]
ねぇ、ナサニエルさん……
人狼でも同じ嘘ついたらどうするの?
[少し笑っていってしまう。聞こえていない。淋しい]
…
[如何してこうもすんなりと。そうは思ったけれど、口にはしない]
いえ、あれは…事故でしょう。
[少年の姿を見遣れば、声は僅か悲哀を帯びたか]
如何して殺すと言うのですか?私は何も持ちませんと言うのに。
[その後の言には、あくまで惚けてみせる。
尤も、あの赤毛の少女を殺すというのなら――意識は僅か刃に向くか。
その少女が今まさに扉の向こうにいようなどとは、彼女は思わずに]
……だとすると、疑わしいのは誰だ?
[考える。
そういえば、今日はあの神父の姿を見ていない]
…いつもなら顔を出すはずなのに…?
悪い、ネリー
ちょっと人を捜してくる。
すぐに戻るから。
[そういって、広間の外へ]
[止まっていたはずのピアノがまた歌いはじめる。
けれど、その旋律は自分の心臓の鼓動に邪魔され、良く聞こえない。
扉の向うの会話も、ピアノと鼓動に邪魔されて。
青い髪の男は、彼女のことを疑っているのだろうか?
自分は、ネリーのことを疑っているのだろうか?]
[ドアを開けると、赤い髪が走り去るのが見えて]
…嫌われたかな?
[とだけ呟いて
神父の姿を捜して、二階へと]
―広間→二階―
[ 金髪の少女が其処を訪れていた事等知らずに、青年は其の音色に聴き入るかの様に黒曜石の双瞳を細め、然れど立ち入る事も無く其の場に佇む。
傍の壁に手を突いて身を前に倒せば、軽く額が扉にぶつかり音を立てた。]
――アーヴァインの部屋――
[再び立ち入る部屋には、発見した時と変わらず横たわるルーサーの姿が目に入る。]
――神父様…あなたの最後の言葉…聞いて参りました。
[少女は柔らかな笑みを浮かべて、ベッドへと近付く。
窓から差し込む光が――彼の顔を青白く照らす。
まるで眠っているような姿に――
少女はそっと指を伸ばして――]
でも…冷たいのね…神父さま…
[呟けば――]
[ぽたり――]
[雫が瞳から零れ落ちた]
[何処を捜すべきか、悩んで
まずは昨日共に訪れた自分の部屋
そして、そこに居ないと見ると暫し考え]
…あそこか?
[最初の犠牲者である、アーヴァインの眠る部屋へと]
[何かに憑かれたように、ただ、無心に。
旋律を織り成していた手が、ふと止まる。
扉に何かがぶつかる音。
それが、意識を引き戻して]
……誰か、いるの?
[――甘い、花の香り。
瞼を開ければ、独り廊下に佇む赤毛の少女の姿が見えて。]
……こんな所にいたら…危ないよ…。
夜は…魔物の時間だから……。
「…早く寝ないと、怖い怖い魔物が攫いに来るわよ…?」
[耳に蘇る、姉さんの声。
おそらくは、子供を寝かせる為の、他愛のない脅し文句。
けれど、今は本当に、闇に生きるものがいると知っているから。]
…ねぇ、ヘンリエッタ。
部屋に帰らないと…危ないよ……?
[彼女の細腕には大きすぎる花束から立ち上る香りに、目を細めながら。腕を伸ばして、その肩を揺すろうと。]
[柱の影に息を潜め、男の姿が階段へと消えるのを待つ。
逃げ去る後ろ姿を見られていたとは思いもせずに。
腕に抱えたままの花に、顔を埋める。
甘い香りが胸をついた。]
[ 中からの声に緩やかに瞬いて寄せていた額を扉から離すも、]
あー……、
[何処と無く溜息混じりの声が零れたのは、旋律が途切れたが為か少女に自らの存在を気付かれたが為か。ややバツの悪そうな、そんな雰囲気を湛える。]
[広間には誰もいなくなった。彼女と、“彼”以外は。
横たわるままの少年を静かに見]
このままには、しておけませんね…
[広間の外へと足を向ける]
―二階・アーヴァインの部屋―
[扉を開けると、思ったとおりの異臭が鼻を突く
ぐるり、見渡して
ベッドの上に、尋ね人
しかし其れは既にただのモノと化した]
……あぁ…
[やはり
其れしか浮かばない
昨夜、彼は何度も言っていたではないか
後を、頼む、と]
[――けれど、彼の手が届く前に、少女は走り去り。
黄色い花弁が、その手の平をすり抜けて、床へと散って。]
……あぁ。 もう、届かないんだ……
[哀しみに瞳を閉じれば、また意識が揺らいで。 混濁。]
[流れ落ちる涙。
頬を伝う温かさに、少女は改めて神父の魂がこの身には無いことを思い知らされて、嗚咽を漏らす――]
[しかし、悲しみに暮れている暇が無い事も少女には解っていて――]
『聖書』――預からせてくださいね…
[袖口で涙を拭い――]
[死して尚握り締める書物を、少女はその体から受け取った。]
[聞こえて来た声は、聞き慣れたもので。
その調子に、くすり、と笑みがもれる]
……何も、入ってくればいいのに。
[事も無げに言って。
また、旋律を紡いで行く]
[彼女が、武器庫の鍵を持っていたからと言ってどうだというのだ。
別に何も悪いことはない。
自分の身を守る為に武器を持つことは、悪いことではない。
あの男が、彼女に何もしなかったと言うことは、疑っていなかったと言うことだ。
そう、頭では分っているのに。
何故、こんなに不安になるのだろう。]
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……誰がやった?
誰がこんなことを?
[訊ねた所で返事などあるはずも無く。
ふと思い出す
彼の姿に過剰に怖れを抱いていた男の姿を]
まさか、あいつが?
[傷つき倒れていた男
人か、獣か、と問うて来た男
人狼に襲われたのでも、疑われ殺されかけたのでもなく
彼自身がそうだとしたら?
捕らえられ、逃げてきたのだとしたら?]
だとしたら…殺さなくては。
[相変わらずも死んだ少年の部屋で]
[ぼんやりと][窓の外を見ている]
[自失したかの様な][虚ろな瞳は]
[少年の死を嘆き悲しんでの故か]
[其れとも]
[自らの運命を受け入れた所為なのか]
[傍から見るものには知りえよう筈も無く]
[心の内は定かでない]
……。
[ 昨日迄の様子とは打って変わり――新たに人が死んだにも関わらず――落ち着いたように思えやや其処には途惑いが生まれるも、後頭部に手を遣れば軽くクシャと髪を掻けば、普段通りの表情に戻りドアノブに手を掛ける。]
お邪魔します、と。
[ 冗談めかした口調。]
[顔を埋めた花の香りにむせ返りそうだ。
ヘンリエッタは一度、きつく目を閉じると顔をあげた。
緑の髪の少女も部屋を出たのを見送ると、柱の影を離れ、広間に入る。]
……別に。
[ 中に一歩踏み入れば再び項に手を宛がい、僅かに首を傾けながらも視線はやや外へと逸らされるか。広間に行く気になれなかったのは彼の惨状を思って。ならば自室から出て来たのは一体何故だろうか。]
気が向いたから。
――アーヴァインの部屋――
[少女は託された聖書をそっと開く。
ずっと傍に居た為、その本に施された細工は、僅かながらに見たことがあった。
案の定、見た目とはうらはら、中身は神に捧げる言葉など敷き詰められておらず――
拳銃と皮袋に入った銃弾を、少女は探し当てる。]
もう、神父様ったら…。
こんな物騒な物子供に託すなんて――っ……
どうして…銃を持っていながら…抵抗できなかったの…?
[幾度目かの][長い長い溜息]
[す、と目を伏せ]
[意を決した様にはっきりした表情を浮かべると]
[立ち上がり、廊下へと向かう。]
[扉を開けた時、]
[ほんの一瞬][室内を振り返り]
[少年の居た寝台に視線を]
[暫くして、毛布を抱えて広間へと戻る。
すっかり冷たくなってしまった少年に触れれば、少し指先は震えたか]
…失礼します。
[冥い眸を僅かに伏せて。
眠っているような彼を毛布で丁寧に包み、そっと抱き上げて広間を出る。
出る際に廊下に落ちた黄色い花弁が目に入ったが、さして気には止めずに]
―広間→二階―
[湧きあがる疑問を口にして――]
[しかし少女はおぼつかない手で銃弾を込める――]
[そして、銃弾の詰った武器を空に翳して――]
きっと…負けてしまいそうね…。
でも――
[くすり――]
[僅かに舞った微笑みは――]
[くっきりと――]
[月夜に照らされて――]
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気が向いたから、ねぇ。
[半眼で睨む様子に、くす、と笑んで]
……別に、悪くないと思うよ。
ちょっと、驚いたけど。
[ごく軽く、言葉を綴る様は。
霊視の力が目覚める以前とほぼ同じにも見え。
わずかな変化は、その瞳の色彩のみか]
-広間-
[人気の無い広間には物言わぬ少年がひとり。
冷めて薄れたスープの匂いに混じって、僅かな死臭。
すっかり血に汚れてしまった絨毯は、誰も洗うものなどなく。
すっかり固まって黒ずんだ血痕を踏まないようにそっと避けて、少年に花を捧げた。
彼は、あの男にナイフを向けたのだと言う。
その瞬間を自分は見なかった。
あの少年が人にナイフを向けるようなどんな感情があったと言うのか、ヘンリエッタにはわからない。
もしかしたら死んでいたのはあの男かも知れなく。]
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[途切れ途切れの意識が、また、ふいに繋がって。
惹かれるままにそちらをみやれば、毛布に包まった彼を抱く、お下げ髪の少女。]
……ネリーさん…?
…あっ……! 重くない…大丈夫かなぁ……?
[きょとん。それから、何度も瞬いて。
曖昧な感覚の床を踏んで、慌ててその後を追いかける。]
/中/
ところでですね。みくしに書きましたけど
なんでそんなにまとめサイトを利用されるんですか。
会話する場所はまとめサイトではないです
ここです
まとめサイトの会話なんてやらないでください、本当に……
[階下へと降りる階段の途中で]
[毛布に包まれた少年の亡骸を抱き抱えた]
[侍女服の女性に行き会う。]
あ。
[と会釈して]
……それは、トビー……?
[問い掛ける]
[少女は『聖書』の中に託された物を丁寧に仕舞い込んで――]
誰から…聞きに行きましょう?
[聖書を小脇に抱えて、長く細い金糸を靡かせ――]
行って来ます、神父様――
[アーヴァインの部屋を後にした]
[暫く少年の顔をじっと見つめていたが、近付いてくる足音に、慌ててテーブルの下に姿を隠した。
息を顰めたまま、緑の髪の少女が、少年に毛布をかけ、運ぶのを見守る。
彼を抱き上げるその仕草はやはり優しく見えて。]
[階段途中で会った男性に、同じように会釈を]
……はい。
ずっと広間に置いておかれるのも、…ですから。
[言いながら、男性が昨日牧師を殴っていたのを思い出す。今の、いつもの姿からはかけ離れた、激昂したような。
そういえば、殴られていた彼は――?]
昨日は……何が如何なったのか全然分からなくて……
トビーを其の儘にしてしまった。
出来るなら、自分が…あの子の部屋に寝かせてやりたい。
良いだろうか?
[彼女が出ていったのを確認し、テーブルの上に残された鍵を握る。
錆の感触が手にざらついた。
そのまま、足音をしのばせて広間の扉から外を窺う。]
[ 変化の無い様子には寧ろ訝りはするものの敢えて其れを問う事も無く、不機嫌そうな表情を返す青年も叉、覚醒めの前とは何も変わらぬ様に見えるか。]
……失礼だな。
[ 然れどだからこそ余計に、此の状況では未だ感じられる不自然さ。]
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そう…ですか?
……でしたら、お任せします。
[この間話した時より、口調がしっかりしているような印象を受ける。
違和感を覚えつつも、毛布に包まれた少年をそっと、男性のほうへ差し出して]
[年齢の割には細い彼が軽いのか、それとも仕事柄力があるのか。ネリーの足取りは安定していて。
ゆらゆらと意識が揺らぎながらも、その少し後ろを付いていく。]
「……それは、トビー……?」
[遺体(からだ)の近くにいるからなのか、今度ははっきりと届いた声に、ぱっと顔を上げて。]
だって、さ。
何となく、なら、書庫に行くようなイメージがあるんだもん、ハーヴェイの場合。
[やや、小首を傾げるようにしつつ。さらりと返して]
―階段―
[下へと向かう階段の途中で捜していた男を見つける]
こんばんは。
随分元気そうだね?
[出来るだけ冷静に、声を掛ける
片手で上着の下のナイフを探って]
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投票を委任します。
書生 ハーヴェイは、流れ者 ギルバート に投票を委任しました。
――廊下――
[『聖書』を片手に、少女はくるりと記憶を廻らす]
無くなった武器庫の鍵…。神父様の対象から外れたのは…誰…?
そして――男手の神父様を…あそこまで出来るような人は…?
[ふっと溜め息を吐いて――一度だけ瞳を閉じると…]
あの人は、何という名前だったかしら…?
[くすり――]
[微笑を湛えて――]
[少女は歩みを進めた]
ありがとう……
[そっと差し出された少年の遺骸を]
[壊れ物を扱うように抱き取る]
[痛ましげな目で蒼褪めた顔を見つめ]
……俺が、あの時、
[感極まった様に言葉詰まり]
……ああ。
そう云えば、すっかり忘れてたな。
[ 書庫。何故だか其処に行く事は思いつかなかったと顎の辺りに手を遣りつつ、]
じゃ、清廉なる音色に誘われてとでも?
[軽く笑みを返して然う答える。異質な状況の中の平穏な会話は矢張り違和感か。]
[”あれから”の青年達の遣り取りを、温かな胸で泣き濡れていた彼は、知らずにいたから。
流暢なその言葉を、不思議には思うも。それ以上に、嬉しくて。]
………ありがとう…お兄さん………。
ネリーさんも……ボクを連れて行ってくれようとしたんだね…ありがとう……。
[くしゃりと笑みを浮かべようとしたけれど、それは頬を一粒滑り落ちた雫ゆえに、泣いてるようにも見えたろうか。]
[少年の顔を見つめる瞳に、抱いて来た疑念が少し、揺らぐ。
――獣がこんな表情をするのだろうか?
言葉の続きを黙って聞こうとして]
「……あ、トビー君。」
[後ろから掛けられた声に、一つ瞬いて、振り返る。]
…ローズマリーさん……?
[一瞬、笑みを浮かべるも。
なんだか少し緊張した気配を感じて、不安そうにその名を呼んだ。]
[その男の腕に抱かれた物を見れば一瞬表情が変わり
しかし其れはすぐに消えて]
あんたとそいつは仲が良かったもんな…
悪いな、俺のせいで。
[感情は無く、淡々と]
[わたしは――
あぁ、きっと止められない。
それでも今は、目の前の子のために。
微笑を作る。]
きっと、弔ってくれるのでしょうね。
良かった。
[どうにかしてこの子をここから離そうと思った。]
それはどうも、って答えとくべき?
[返ってきた言葉に、くす、と笑う。
外で貼り詰めて行く緊張に、気づいているのかいないのか。
そこだけは、全てが動き出す前、さながらで]
お蔭様で。
怪我は大分良くなった。
記憶も……昨日あんたがトビーを殺した所為で思い出したよ。
[吐き捨てるように]
[琥珀の眸が激情の強い光を帯びる]
[ 此処に在るのは嵐の前の静けさだろうか。
部屋の外の空気が変わるのには薄々と気付いていた。己が血を与えた獣の動向は、全てでは無くとも僅かには感じられていたから。尤も、然う云う効果があると彼自身知っていた訳ではなかろうが。
然れど彼が手を下す事はない。唯したのは、獣を解き放つ手助けだけ。]
書生 ハーヴェイが「時間を進める」を選択しました
そうか?そいつは良かった。
[相手の目に剣呑な光が浮かんでも、それを返すように睨んで]
あんた、俺に言ったよな?
人か、獣か、って。
同じ言葉をあんたに返す。
あんたは何だ?
人か?…獣か?…どっちだ?
まあ、そうだな。
[ 何かに気付いたのか、己が入って来た部屋の扉を一瞥するも視線は直ぐに逸らされ、メイの云い様には矢張り小さく笑みが零される。]
……。
[ 不意に訪れる沈黙。募る、奇妙な違和感。]
大丈夫か?
[ 或いは其れは、尋ねない方が好い事だったのかもしれない。]
[話を聞いた時は恐ろしくて、よく気に留めていなかったけれど、武器庫は一階のどこかにあったはずだ。
初めてここに来た時に、探検してあけることの出来なかった場所。
ヘンリエッタは記憶を頼りに開かずの扉を探した。]
此処に運び込まれた時には色々と世話になったそうだから、先ずは礼を言って置こう。
けれど、お前がトビーにしたことを許す積りは無い。
[ギルバートが踵を返した気配に気付いたか。
ふと視線をそちらへとやれば、階上には彼を――した、蒼髪の男の姿。]
――――あ…っ!
[反射的に怯えたのは。死の瞬間を思い出してか。]
[ 緩やかに上げた黒の視線は碧の少女の向こう、窓の外を彩る深き闇を見遣る。既に陽は落ちて地平線の彼方に沈み月は天へと其の姿を現した。其れは即ち――。]
……獣の時間、か。
[ 刻を告げる、静かなる聲。]
[廊下を彷徨い、耳にしたのは鋭い声。
聞き覚えの無い……いや、どこかで聞いた覚えはある気がするのに、思い出せない。
ヘンリエッタの知る誰とも違う、吐き捨てるような口調。
それが、先ほどネリーが向かった階段の方から聞こえてくるのに気づき、嫌な予感に胸が騒いで。]
いっそ獣なら…?
[そういわれ思い至る。
人狼に心捕らわれた哀れなものに]
なるほど、でもあんたは獣の味方だろう?
ならば、やはり赦しては置けないな。
[冷たい笑みを浮かべ、見つめて]
[ 酷く不思議そうな――平然とした様子に何処かが可笑しいと、然う感じられる。然れど其の正体までは掴めず、黒曜石の双瞳には僅か困惑の色。揺らぎ。]
……メイ?
[ 眉根を寄せて小さく其の名を呼ぶ。]
[ローズマリーの作られた微笑みも、優しい言葉も怯える彼を素通りして。ただ、震える。]
…ゃ、だ……
[ローズマリーと逢えたからか、魂が肉体と切り離されたからか、ナサニエルへの理不尽とも言える怒りは既に消え去っていたけれど。]
[もっとも身近な”死”の原因であるゆえか、恐怖はいや増して。]
[先程まで穏やかに話していた彼ら。彼女に対しては。
2人が顔を合わせた途端、酷く剣呑な雰囲気を漂わせて]
[息を飲み、様子を見つめる]
仲間を信じられない?
其れは思い違いだろう?
あんたがそう思ってるだけだ。
それとも、人狼のほうが優しかったか?
あんたは人を裏切った、違うのか?
大丈夫、大丈夫だから。
落ち着いて……?
[あぁ、耳が捉える音にわたしは泣きたくなる。
でもそれよりも
トビーを強く抱きしめて]
[何故こんなに不安なのだろう。
自分は、彼女を疑っているのではなかったか。
でも、
それ以上は思考にならず、ただ、緑の髪の少女を求め階段へと急いだ。]
[そっと近づく、優しい姿と声。大好きな女性(ひと)。
――けれど、彼女と”あの男”は…とてもとても親しかったから。]
……ゃだ…… ぁぁ……
[ふるふると首を振って。後ずさる。
耳に届く敵意の言葉は、どれくらい理解できていただろうか。]
――!
[ギルバートの言葉。まるで獣を知っているとでも言いたげな。
ナサニエルの言葉には、覚えがあった。
獣の味方。――何のことだっただろう。
脳裏に響く嗤い声]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
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