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無理は、なさらないでくださいね。
[落ち着いた、と言うエーリッヒの顔を見上げてそう返す。]
ええ、……出来れば誰の報せも聞きたくはないんですけど。
[そして、零された一滴の呟きが耳に入る。]
けれど、やれることはやらないと。
出来る事がある限りは。
……エーリッヒ様にも判りませんか。
広場にはいないようですけど、本当にどこに行ったんだか……。
……二人に、会いに行ったんでしょうか?
[ふと思いついて言ってみる。]
[暗紅色が揺れる。中に走る翠の光]
(どうして――)
[本能に流される意識の中、僅かに浮かぶ思考]
(それを――)
[それでも動きは止まらぬまま。
全体重をかけて上から圧し掛かる]
…。
[僕はエウリノの傍らで、強張ったような様子で静観する。
胸中に沸き起こる漠然とした不安は募る。
思わずロストの傍に駆けつけたかったが、それは今は出来なかった。]
医師 オトフリートが「時間を進める」を選択しました。
[イレーネと共に宿屋へと到着する。
宿屋の外には少し前に宿屋で痴話喧嘩していた男女。
今回は全く違う雰囲気を醸し出していたのだが]
………。
[イレーネが声をかけるのを見て、自分は何も言わずに二人へ会釈]
[普段より足が重く感じながらも歩いていれば、自分の名前を呼ぶ声がする]
ハインリヒのおっちゃん!
[軽く手を上げている姿に、なんとなく安堵を覚え、そちらに駆け寄った]
おっちゃん、アーベル兄ちゃん見なかった?さっきまで一緒にいたのに、いつの間にか居なくなってて…
[かけられた声に、顔をそちらへ向ける。]
イレーネさん。と、ユリアンさん。
[軽く会釈をした。]
いえ、入りたくても開いていないんです。
どうも、どこかに出かけてるらしくて。
[ちらと宿屋を見上げた。]
……ああ。無理はしない。
[静かに言いつつ、頷いて。
続けられた言葉に、ただ、苦笑]
ん、できるだけの事はする。
……背負う覚悟を、決めて、ね。
[静かな言葉、それと共に苦笑は解け]
ここにはいない……。
二人に……というよりは、むしろ。
自分の考えを、固めに行った可能性も、あるかも知れん。
[昨日交わした言葉を思い返しつつ、呟く。
イレーネの声が聞こえたのは、その直後か]
相手を映す鏡を作り出す──。
つまり。
相手の本質を暴き、その心中を読み取る。
そう言うことか。
[アーベルの言葉に動揺するようなロストの気配。
赤の世界を通じて聞いたアーベルの言葉を反芻し、分析。
納得したように言葉を紡ぐ]
[集中が乱れる。制御が利かない。
獣の影が形を保てず、揺らぐ。
具現化させたのは初めてなのだから、当たり前か。
そんな事を考えながらも、かかる重みに視界が移り変わり、僅か呻いた]
二人が死んで、再確認したよ。
俺は、人間が嫌いだ。
信じるなんて、幻想に違いない。
人狼の騒ぎに、皆が如何踊るか、見たかった。
お前は、お前を“信じている”人々を裏切って、如何だった。
楽しかったか、黒き獣。
[押さえつけられながらも、浮かぶのは歪んだ笑み。
自由の効かない手を滑らせて、掴むのは、隠し持った刃]
[駆け寄ってきたティルの様子を見て、声?かけたのは間違いじゃなかったようだな、と安心し]
アーベルかあ?俺は見なかったが…。
あいつも今、色々あって辛え時だろーからな。
独りになりたいのかもしんねーぞ。うん。
[そういってティルの頭をガシガシと撫でた]
もしかしたら、途中で宿に戻ってるのかもしれねーしな。俺は宿に戻るつもりだけど、お前はどーすんだ?もし戻るなら送っていってやるけどな。
[背負う覚悟。
エーリッヒの言葉は、すっ、と心の底に収まる。]
……そうですね。
[深く、頷いた。]
自分の考えを固めに……。
……ああ、
[イレーネとユリアンの視線を気にして、小さくこそりと]
……オトフリート先生のところに、ですか。
あ…開いてないのは仕方ないですよね。
あんな事があったばかりだし…。
おでかけ…ですか?
[ユーディットと同じように宿を見る。]
[エーリッヒの最後の方の言葉は丁度聞き取れたが、意味がよく分からなかったので微か首を傾げたまま。]
[浮かぶ怒気。動揺。悲哀。悔悟。
暗紅色の中に幾つもの小さな光が弾け散る]
[口の中に湧き上がる苦い味、甘い痺れ。
だから牙は使えなかった。使いたいと思わなかった]
グルルゥ!
[一声吼える。
勢いに任せてその心臓を狙い腕を突きこもうとした]
[隠し持たれた刃になど、微塵とも気付かずに]
……苦しい?
見ててやるのも良いけれど、
[この世に未練など、無かった。
その心算だった。
自分が死んだ後の事など、知らない。
ならば、この獣は生かしておいてもいい筈だ。
けれど。
ほんの僅か、脳裏に、何かが過ぎった]
――…それも、癪だね……っ!
[突き込まれる腕を避ける事はせず、
一点へと意識の注がれた一瞬、
獣の首筋に、聖別された銀の刃を突き立てる]
[囁かれた言葉に、小さく頷く]
ここにいない以上……他に、考えられる場所はない、な。
行ってみた方が、いいのかも知れん……。
[あいつも無茶するから、と。
小さく呟いて。
さて、こちらの二人にどう説明したものか、とイレーネたちを見やる]
[出かけて。
ユーディットの言葉にアーベルが居ないと言うことを知る]
…まぁ、店開けてるどころじゃないだろうね。
普通を装ってても、あれは流石に堪えるだろう…。
[昨日見たアーベルを思い出す。
紅く染まりながら、いつも通りを振舞っていたが、その口数は少なかった]
[直前までなされていたユーディットとエーリッヒの会話はさっぱり分かっていない]
/*
9>7>5>3
あと二回吊り凌がないといけないんだよね。
と、後は更新あとに。
ロスト様お疲れ様でした。
頑張ってきます…!
[左手の中に、その鼓動を握り締めるのと同時。
首筋に鋭い痛み。
そのまま全身へと駆け抜ける衝撃]
ウ、ァぁぁぁ――!!
[命の源を握る腕だけが、異形のまま。
その輪郭はヒトでも獣でもない姿へとなり。
動きを止めた]
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