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─ 広間 ─
……そ、だね。
[年長者たちを見送った後。
終わっていれば、というユリアンの呟きに返すのは同意。>>181]
……終わってるなら……俺の力は、多分、もう、動かない。
始まってから動き出したから……そう、なるんじゃないかって、思うんだ。
[それから、口にするのは小さな可能性]
……だから。
もし、俺の力がまだ動くようなら、終わっていない、から。
…………終わりに、する。
[小さく小さく紡ぐのは、決意の言の葉。
自分の力を制御できるかはわからないけれど。
意識はいつも「にーさん」と呼ぶひとの方へ、強く向いていた。*]
─ 二階・客室 ─
[周囲を見回しても、部屋の中から自分以外の気配を感じる事は出来ない。
生きている時であったなら、獣の嗅覚で花の匂いを探ることも出来ただろうけれど今はもう不可能で。
それが少しだけ寂しくて、心から、安堵した。
魂まで、獣の性に染まった訳ではないと。
そう、思えて]
………だからって。
私のしたことは、無かったことにはならないけれど。
[襲ったことを後悔はしていないとはいっても、それはこちらの都合だけだ。
一方的に襲われて生を奪われた理不尽は、許されるものではないとも、分かっているから]
[死した身では渇きなど覚えないのに、
水を求めて厨房へと行こうとして部屋を出れば
客室のひとつから、微かに人の声が聞こえた。
カルメンの部屋、とまでは知らず、
足を止めて一度そちらを見詰める。]
…………、
[旅人の部屋ではない。
ただ誰かが話しているだけかもしれないが
他に誰か命を失った可能性が脳裏に浮かぶ。
暫し考え、それから軽く頭を振り、
階段をおりて一階へとむかった。]
─ 二階・客室 ─
……行かなくちゃ、ね。
[自分が、自分達が命を奪った彼らの元に。
顔も見たくないと言われるかもしれない、こんな理不尽な場に縛られることなく召されているかもしれない。
それでも、自分達が為したことを最後まで見届けなければいけないと、思うから。
ふんわりと踏みしめる感触の無い足取りで部屋を出ようとした所で、開く扉に目を見開いた]
―→カルメンの部屋―
[ユリアンに向けた言葉に偽りはない、だけど実現する保証もないのは今はいう必要はないだろう、彼には。
広間を出る際、見送るエーファ>>176にも頭を下げて]
それじゃ、仕度してくるからちょっと待ってて。
[そう言って、一度自分の部屋に行きバイオリンを持ち出す。
軽く弓を当て音を確かめてから、イヴァンの待つカルメンの部屋へと足を運んだ。
イヴァンが呟く>>182のに目を伏せる。
本当に、どうしてこうなってしまったんだろう。
今、村に戻らなければ、今もカルメンは笑っていたんだろうか。
(考えても仕方がない)
そんな風に考えて]
用意できたよ。始めようか。
[そう言って見せた表情は、演奏家としての物だった]
[一度カルメンへと視線を向けて楽器を構える。
何を演奏しようかとずっと考えて、漸く決めた音を指が紡ぐ。
選んだのはドビュッシーの「月の光」
月のいとし子たちを包むように緩やかに音が流れる。
その音は、広間にも届くかもしれないが
カルメンには届いているだろうか、喜んで、くれるだろうか。
やがて、演奏を終えたなら、普段と同じように礼をする。*]
─ 二階・客室 ─
[入ってきたのは、イヴァンとオトフリート。
>>182横たわる自身の骸にイヴァンが手を伸ばすのに、何をしようとしているのか最初は分からなかったけれど]
…あぁ。
[めくられたシーツから露わになった顔と、演奏の準備をするオトフリートを見て。
こんな状況になるとは夢にも思っていなかった、最初の日に交わした約束を果たそうとしてくれているのだと理解して。
微か、堪え切れない吐息を零した]
/*
ちなみに、参考にしたのはこれ
DEBUSSY - Clair de Lune - Yu Chien Tseng
https://www.youtube.com/watch?v=tA-SRg_1J7s
ちゃんとバイオリン演奏です。
ベートーベンの月光と悩んだけど、バイオリンのが見つからなかったん。
[先ほどいた二階から聞こえくる音色。
緩やかに目を伏せ、それに聞き入る。
音が止めば、再び前を向き、
広間へと立ちより、
ユリアンとエーファを見詰め、十字架を握った。*]
[>>*9届いた聲の響きは、初めて聴くもので。
込められた感情と、向けられたその想いに目を伏せる。
なんで私には彼の聲が届くのに、彼にこのコエを返せないのだろう]
……同じこと、思っていたのね。
[自分にとっては、彼こそが月だった。
夜闇の地に降り積もる白銀を照らす、太陽の如き金色の月。
彼と聲を共に出来ていたから、私は迷うことも悔やむことも──
自身を見失うことも、せずに済んでいた]
…ありがとうも、ごめんなさいも。
何も伝えないままに、遺してしまったのに。
[やがて、収束する音に一つ息を吐き、ゆるりと顔を上げる。
一礼するオトフリートに対し、心からの拍手を向けた]
……良い音だった。
最初に聞いた演奏会の時の音より、俺はオトフリートの音の方が好きだな。
[事の発端となったものであるために忌避する部分もあるが、純粋に音だけ比較してもオトフリートの音の方が好ましく聞こえる。
奏でる音に彼の想いが籠もっているからなのかもしれない*]
大工 イヴァンが「時間を進める」を選択しました。
─ 二階・客室 ─
[>>185用意出来た、とオトフリートからの呼びかけに視線を向けると其処には初めて見る演奏家の顔があり。
けして二人に見えることは無い、けれど女は演奏会に列席した様に凛と座ってその演奏を聴いた]
……………本当に、綺麗。
[>>186奏でられるそれは、女が最初に魅入られたと変わらぬ彩のまま。
仮面をつけた道化達の内なる悲しみが、繊細な旋律で彩られていて]
───…やっぱり、貴方は全部、知っていたのね。
―カルメンの部屋―
[演奏をしている間は他の事はあまり気に掛からない。
だけど、ほんの僅か変わる気配>>187に気付き、ちらりと一度だけ目を向ける。
月を想わせる曲は、今の彼には重かったかもしれないと
そう思いながらも音を止めることはなく。
最後の一音が空気に溶けて消え、拍手の音>>188に漸く肩の力を抜いて、笑う]
ありがとう。
そう言ってもらえるとやっぱり嬉しいな。
カルメンにも届いているといいんだけど。
[そう言って一度天を仰ぐ。人狼が行き着く先も天国であればいいと願って]
どうする?
広間に戻ろうか?
[広間に戻れば、彼らと顔をあわせることになる。
すぐに動きがあるとは思えないけれど
どちらにしても、これ以上避けることは出来ないのだと知っているから。**]
[まるで自分達の事を謳っているようなその詩曲の、闇夜に降り注ぐ光のように緩やかな優しさに。
オトフリートが奏でる音に込められた心遣いを感じて、目を伏せて]
…………二人とも。
約束を叶えてくれて、ありがとう。
二人はどうか───…生きのびてね。
[自分にとって、二人はそれぞれ生きる意思を支えてくれたから。
自分のように命を落とさないで欲しいと、心から願い、祈った]
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