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ああ、すまない、敵意はない。
[少しだけ名残り惜しげに手を放して]
(俺の能力は接触致死だ。触れているのは、気分が悪かったろう)
(俺のこの手はもう、…何も与えられないんだな…)
[まだ痛む手を無理矢理拳の形に握ると、立ち上がり、歩き始めた]
─北エリア・林─
[針の乱舞は、制するに集中が必要となる。
それを行う間は、動きが制限されるのが、唯一の欠点]
……ちっ!
[舌打ちは、近づくスズメバチへの乱舞へのもの。
そちらに意識を誘われた直後、絶叫が響く]
……つか、それ。
すっげえ、無茶。
[大地から持ち上がる手。
思わずこんな呟きが零れる。
それでも、急所と──他の何より、鴉の翼に当てられる事だけは避けねば、と。
振り下ろされる一撃に対し翳すのは、龍鱗を持つ右の腕]
[伝わる衝撃。同時に走るのは、激痛]
……くっ!
[頑健なる龍鱗は揺るがずとも、度重なる衝撃によりダメージを被り続けた肩は、その一撃に耐え切れなかった。
息が詰まるような感覚。
右の翼は、揚力を生み出しきれず]
[黒耀鴉は、地に落ちる。
一歩遅れて、相手を捉え損ねた針が煌めきながら零れ落ちた]
―隔離エリア―
ああ、いえ。
少し驚いただけです。
[手を離されるとこめかみを少し押さえ]
薬は毒にもなるのは知ってますよね?
随分と信じてくれるんだなって。
[先ほどよりは一歩分縮まった後ろを歩き始める。
握られている拳に、痛みが残っているのかと落胆する]
代償というか、使い続けるとどうにも。
でもまだ大丈夫です。
[だから自分の傷には使っていない。
集中力が落ちているのも明白に見て取れるだろう]
―北エリア・林―
[急激に持ち上がって行く視界。
その視界の端を、鮮やかな蝶の姿が横切った]
つっ!
[足が焼かれ、そして貫かれる感触。
新たな痛みが加わったが、しかし攻撃の動作は止まらない。
両足に残る最後の感覚で、巨人の掌を蹴り更に跳ぶ]
ずっと、考えてただ――
どんだけ無茶すれば、お前さんに届くか、ってな!
[相手の右腕を視界に捉え、鉄槌を振り下ろす。
重力に任せて、全身で回転しながら。
手応えは――あった。
落ちて行く鴉。
そして、娘もまた。鉄槌に引かれるように、落下を開始していた]
この状況下では、そうするのが互いにとって合理的というだけだ。
[言いながら、周囲を警戒する。体調の悪そうなユーディットの分まで]
…生来の能力ではないと言ったな。
…後天的に身につけたのか?
[本当は薄々分かっている。かの研究で身につけさせられたのだろう]
[それでも、その後彼女に何があったのか知りたい]
[知った所で、空白が埋まるわけではないとは、分かっているのだが]
─北エリア・林─
[針が刺さった部分から、紅が滲み出て紫のドレスを染める。出血部が小さいのもあって、一見斑模様に見えることだろう。それもまた、しばらくすれば全てが染まるのだろうが]
……あの子も大概無茶ですわね。
わたくしに余力があったら如何するつもりだったのかしら。
[両膝を地に付けた状態で空から落ちるライヒアルトとロミを見た。勿論余力なんてものは無い。宙へ放ったアゲハチョウとスズメバチが全てだった]
[射出を終えた二匹はその場で溶け、近くの影へと同化する。手にしていたバズーカもまた、その形を保てず消え去っていた。支えを無くしたオクタヴィアだったが、気力で倒れぬよう意識を保つ]
蜂蝶 オクタヴィアが「時間を進める」を選択しました。
─北エリア・林─
[地に落ちて、は、と一つ息を吐く。
右の肩は完全に抜けたか、砕けたか。
いずれにせよ、役には立ちそうになく。
右手が使えない、という事は、龍鱗から生成する針を用いる事もできないわけで]
……これ以上は、無理、か。
[零れ落ちるのは、ぼやくような呟き]
……やれ、やれ。
ホントに、女は怖い、ねぇ。
[続いた言葉は、冗談めかしたもの。
常磐緑の瞳には、険しさはなく。
声音の軽さともあわせて、戦意が既に失せている事は傍目にも明らかだった]
これ以上やりあうのは、さすがに無理。
命かけるつもりはないし、白旗揚げますか。
っても、黒羽しか持ってないけど、ね。
投票を委任します。
蜂蝶 オクタヴィアは、黒耀鴉 ライヒアルト に投票を委任しました。
―北エリア・林―
[ライヒアルトの落下から一瞬遅れて、こちらも地面に到達した。
華麗に着地、とはとてもいかず、前転して勢いを殺すのがせいいっぱいだったが]
つ……
[それでも、鉄槌を支えになんとか立ち上がる]
ライヒアルトさは……これで、降参?
オクタヴィアさは……
[視界を動かす。
意識はまだあるものの、膝をつき動けぬ様子の彼女が見えた]
じゃ……じゃあ……
オラの、勝ち……?
[信じられない、という表情で、二人の方をもう一度見る。
そして確かに、今立っているのが自分だけだとわかって――
緊張が解けたようにペタンと地面に座り込むと、そのままわぁわぁと泣き出した**]
おっ父、おっ母……オラ、勝っただよ……!
―隔離エリア―
合理的。そうですね。
[自分も納得させられる説明が貰えて頷いて。
問いかけには短くない沈黙を挟んでから、溜息交じりに答えた]
…身に着けたというよりは埋め込まれた、ですが。
人為的に能力者を生み出す研究の素体に選ばれたので。
親兄弟を失った幼児には元から抵抗の余地などありません。
それでも死なずにすんだのだから。
悪くは無いでしょう。
[最後は自分にも言い聞かせるような言い方で。
進行方向で高まった方向に身構えた*]
─北エリア・林─
……ええ、わたくしも。
これ以上は無理ですわ。
[ヒトの形をしている時は、ヒトの限界を持っている。力とて無尽蔵ではない]
メーベルトさんの勝ちですわね。
[確認するようなロミに、確定の言葉を向ける。針が消えた腹部を右腕で抑え、左手でイヤリングを弾いた]
───Pflichtvollendung.
勝者はロミ=メーベルト、野槌の娘ですわ。
[『遊戯』のスタッフに対する通信。おそらくは様子を見ているだろうが、義務として仕事は果たしておいた]
……貴女の望みはなんなのでしょうね?
[鶸色は泣きじゃくる少女へと向けられる。この先どうなるかは、この少女*次第*]
蜂蝶 オクタヴィアは、黒耀鴉 ライヒアルト を能力(襲う)の対象に選びました。
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